We Know SENDAI

素材技術を駆使した最先端の電子部品やソリューションを創出

産学官ベンチャー企業の草分けとして誕生

当社の創立は1938年です。東北大学の本多光太郎先生が発明したKS鋼、増本量先生らが発明したセンダストなど当時の先端材料を事業化するための受け皿としてスタートしました。以来、世界最先端の電子部品を作り続けています。当社の強みは自社の製品を素材そのものから製造していることです。また、製品を製造するための装置も自社で開発しています。年間売上は約500億円で、同程度の売上の電子部品メーカーは世界に300社以上ありますが、当社のようにパウダーレベルの素材から作っているメーカーは世界で10社もありません。直接消費者の方々に製品を販売しているわけではありませんので、『トーキン』と聞いても馴染みが薄いかもしれませんが、皆様が使用されているスマホやパソコン、テレビ、エアコンなどの電化製品や自動車まで、当社の製品が入っていないものはほとんどないといえるほど、広く世の中を支えています。

高い技術力で宇宙から医療まで幅広い分野を網羅

当社発祥の地である仙台事業所には現在約220名が勤務。東北大学を中心に、地元の学術研究機関や大学と連携し、素材を研究開発する拠点となっています。また、それらの素材を使った材料や製品も製造しています。シンボルともいえる製品のひとつが小惑星探査機「はやぶさ」のイオンエンジンに使われている磁気回路です。マグネットとしての性能だけでなく、10億キロを超える航行の間、ずっと宇宙空間にさらされるため、低温、高温、放射線などに5年、10年という長い期間耐えられる素材を開発。宇宙空間では有機物が入った接着剤は劣化するため、組立にも匠の技が求められましたが、材料の開発から組立にいたる全ての作業を仙台事業所で完結しています。初代「はやぶさ」での実績により、「はやぶさ2」にも当社製品が採用されミッション遂行中です。
また、放射光施設の実験装置やガンの治療装置に使われている巨大な電磁石も特色ある製品です。仙台事業所のもう1つの代表的製品といえるのが形状記憶合金「メモアロイ®」です。非常に柔軟で強靭かつ生体に安全な特長を活かし、医療用として世界中で使われています。
仙台のいいところは、東北大学を始め、学校や学術機関が充実していることです。優秀な学生さんたちを輩出してくれることも魅力です。首都圏まで新幹線でのアクセスが良いことはもちろん、都市機能の利便性が高いです。自然環境に恵まれ、教育環境が充実していることは、従業員の家族の方々にも喜ばれています。国内外からのお客さまに誇れるホスピタリティも備えています。仙台市からは設立時から様々な支援を受けています。なかでも、東日本大震災などの大規模な自然災害の際に、操業継続のため、市の各部門からのご協力を受けたことに大変感謝しています。

グローバルなマーケットへ向け、仙台から新たな素材、技術を発信

これから起こるであろう車の電動化や自動運転、AI、5G、IoTなど、社会やテクノロジーの変化に伴い、新しい電子機器や電子システムが作られていきます。そのためには新しい電子部品や電子材料が必要となり、当社の成長するチャンスも大きく広がっていくと考えています。当社では、現在も電子機器や自動車などに使われる製品を世界中へ販売していますが、成長を続けていくためには、更にグローバルなマーケットに展開していくことが重要であると認識しています。創業以来、約80年間にわたり続けている素材開発をこれからもブレずに行い、仙台から新たな素材、技術を世界に発信していきたいと考えています。東北大に設けられる次世代放射光施設は産業にとって大きな意味を持つ研究施設となるため、世界中から研究者が集まってくると思われます。このように恵まれた環境を背景に仙台からグローバルなマーケットを目指していく企業や仲間が増えることを期待しています。

（2020年1月29日取材）

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企業DATA

株式会社トーキン

本社の所在地：宮城県白石市旭町7丁目1番1号

仙台の所在地：仙台市太白区郡山6丁目7番1号

拠点開設年：1938年

仙台拠点の主な事業内容：電子部品開発・製造・販売、電子機器開発・製造・販売