| 平成18年度 包括外部監査の結果報告書/ 公の施設での指定管理者制度運用について |
<仙台市民会館>
(1) 施設の状況
項目 内容 設置の目的 市民福祉の増進を図るとともに、文化の向上に寄与するため設置する 開設時期 昭和48年11月3日 利用時間等 午前9時〜午後9時30分 12月29日〜翌年1月3日休館 業務内容 ホール等の貸出
大ホール1、小ホール1、会議室8、和室2他利用状況 利用人員
15年度364,929人、16年度340,922人、17年度346,400人運営上の改善点 利用率の低い貸部屋の利用向上に向けて、団体に呼びかけたり自主事業を行って集客することで、利用率の改善を図る。
(2) 指定管理者の状況
[1] 指定状況
年度 公募、非公募の別 指定管理者 16年度 非公募(1年間指定) (財)仙台ひと・まち交流財団 17年度 公募(3年間指定) 東北共立・陽光ビル企業体 18年度 19年度
[2] 指定管理者(構成団体を含む)の概要
指定管理者 概要 (財)仙台ひと・まち交流財団 仙台市戦災復興記念館の項での記載を参照 (株)東北共立 同上 陽光ビルサービス(株) 本社仙台市、資本金4千万円、ビル管理、マンション管理、警備事業を主たる事業とする。 東北共立・陽光ビル企業体 上記2社の連合体
(3) 指定手続
平成17年度の公募指定に関わる手続につき検証する。
[1] 設置条例の制定、改正
仙台市民会館条例第11条に「市長は、市民会館の管理運営上必要と認めるときは、地方自治法第244条の2第3項に規定する指定管理者に市民会館の管理を行わせることができる。」との規定が盛り込まれた。
[2] 債務負担行為の議決
公募による協定締結に基づく3年間の指定管理料の支払いに対して、平成16年第3回定例会(市議会)において平成17年度から平成19年度まで732,000千円の債務負担行為限度額設定議決を行った。
[3] 選定委員会の開催→募集要項の作成
・16年10月7日指定管理者選定委員会(市民会館専門部会)にて指定管理者募集に関する事項が審議された。議事録には公募に至る審議の記載がなく、なぜ17年度より公募することとしたのかの理由が不明。
・選定委員は6名(内訳:民間委員3名 市職員委員3名)
・16年10月から11月において、募集要項の配布、応募者説明会を実施
[4] 申請書の提出
8団体が応募、申請書を提出
[5] 選定委員会による選定
応募団体に対する面接と、選定委員それぞれによる「指定管理者評価シート」を使った評点により実施。
「指定管理者評価シート」では、1.運営管理に当たっての総合的な取り組み方針 2.安定した運営管理を行う能力 3.施設の運営管理に関する提案 4.運営管理に関する収支計画の4項目につき評点を与え合計得点にて選定を行った。
[6] 議会の議決
平成17年第1回定例会(市議会)で次を議決。
(施設の名称) 仙台市民会館
(指定する団体) 東北共立・陽光ビル企業体
(指定の期間) 平成17年4月1日から平成20年3月31日まで
[7] 協定書の締結
平成17年3月10日付にて協定書を締結する。指定管理料は次のとおり。
平成17年度 222,267,000円
平成18年度 221,567,000円
平成19年度 221,767,000円
(4) 市(担当課)の指導、監督状況
[1] 事業報告書の収受状況
平成17年5月30日 平成16年度実施報告書を非公募指定管理者((財)仙台ひと・まち交流財団)より収受
平成18年5月31日 平成17年度実施報告書を公募指定管理者(東北共立・陽光ビル企業体)より収受
実施報告を基にした施設運営の評価(利用状況良否への対応、管理経費削減への対応、その他問題点の把握と対応等)に代るものとしては「指定管理者評価シート」による評価が行なわれており、また、年度中において施設運営に関する疑義や問題点等が生じた場合、その都度、実地調査及び指示により改善、解決への検討が行なわれている。
[2] 実地の調査、指示の状況
平成16年度非公募指定管理者においては、法に基づく実地調査、指示の実績はない。ただし、業務上の問題点の改善に向けて、適宜、担当課との打合せが行われている。
平成17年度の公募指定管理者においては、年度中、月1回程度のペースで市担当課と指定管理者との間で打合せが行われ(市民会館との打合せ記録による)、施設運営の改善、問題点の解決への検討が行われている。
(5) 指定管理料(委託料)の推移
[1] H15年度委託料、H16年度以降の指定管理料の推移
(千円) *17年度人件費のほとんどが指定された企業体の直営業務としており、前年度までの人件費+委託費に相当するものと思われる。企業体構成会社の直接実施部分。
項目 15年度実績 16年度実績 17年度実績 18年度協定額 管理委託 非公募指定 公募指定 公募指定 人件費 54,141 54,303 * 136,551 49,267 物件費 水道光熱費 44,763 48,492 45,122 委託料 116,633 112,398 15,991 その他 17,150 17,451 24,603 物件費計 178,546 178,341 85,716 172,300 委託料/指定管理料計 232,687 232,644 222,267 221,567 仙台市返還金 △ 22,272 △ 8,442 ― ― 従事人員 12人 11人 ― ― 1人当人件費 4,511 4,936 ― ―
*15、16年度人件費には退職手当引当金繰入(=引当預金積立額)を含む
*仙台市返還金は契約委託料、指定管理料を実績が下回ったことによる返還額
(6) 非公募から公募に向けた対応
[1] 非公募指定とした理由
指定管理者選定委員会への審議依頼の中で、公募しない場合の理由として「平成15年12月18日付け<総総行第90号 指定管理者制度導入にあたっての実施方針について>により、当面は現在受託している団体を指定管理者として指定することを基本とすることが本市の実施方針として示されているため」としている。
[2] 公募指定に向けた対応
平成16年度非公募指定管理者選定では、「現に仙台市民会館の管理業務を受託しており、業務内容に精通しているため」としていたが、平成17年度指定管理者選定において、業務精通者を差置いて、何ゆえ公募指定としたかの理由の開示が無い。
(7) 結果及び意見
[1] 指摘事項
(ア) 非公募とした理由の開示
仙台市民会館の平成16年度非公募指定とした理由は、平成15年12月18日付け<総総行第90号 指定管理者制度導入にあたっての実施方針について(以下実施方針という)>の「2.指定する団体」では次のように規定していることを理由としている。
「指定管理者については、公募によって選定することを原則とするが、手続条例第2条但し書きにより他の方法も可能とし、当面は現在受託している団体を指定管理者として指定することを基本とする。」
手続条例第2条において次のように規定している。
「市長は、指定管理者に公の施設の管理を行わせようとするときは、当該公の施設に係る指定管理者の指定を受けようとする団体を公募しなければならない。ただし、公募の手続を取る暇がないとき、当該施設の適正な運営を確保するため必要と認められるとき、その他市長が特に必要と認めるときは、この限りではない。」
以上より、実施方針で「当面は現在受託している団体を指定管理者として指定することを基本とする。」とあるのは、手続条例第2条の但し書の状況にある場合のことであり、手続条例とは別の取扱として当面の措置を定めているわけではない。実施方針及び手続条例で言うとおり、指定管理者は公募によって選定することを原則とすることには変わりはない。公募によらない場合は但し書きの状況、すなわち@公募の手続を取る暇がないとき、A当該施設の適正な運営を確保するため必要と認められるとき、Bその他市長が特に必要と認めるときのいずれかに該当する場合であり、その具体的内容は何かを開示、説明した上で選定委員会へ諮る必要があったこととなる。
指定管理者制度の概要の項でふれたとおり、指定管理者制度は、公の施設の管理に民間の参入を促し、公募による競い合いの中で住民サービスの向上、管理経費の削減を目指す制度である。よって、民間の参入や、公募による競い合いを当面見送ることについての合理的理由の開示は、市民、住民に対する説明責任を果たす上で重要なものと判断されることとなる。
これに関連して、平成15年第4回定例会(平成15年12月9日)で、指定管理者につき、現行の委託団体の指定と公募との関係、指定管理者を指定する際の基準についての質問に対して、総務局長答弁では次のように述べている。
「当面は、本市が設立した団体による運営の実績等を考慮いたしまして、基本的には現在の委託団体を管理者にしつつ、さらに、今後条件の整う施設から順次公募による選定という事を行ってまいりたい。」
このことから当初の非公募指定の理由は、施設全体に対する仙台市としての取り扱いがそうであるからと言うことになり、さらに、今後は条件の整う施設から順次公募することも表明している。すなわち今は公募指定の条件が整っていないので従来どおりの団体を非公募で指定することを表明したわけである。
このことは公募を原則とした指定管理者制度の導入については、その条件がまだ整っていなかったことを意味することとなり、仙台市におけるこの制度の導入は時期尚早であったことを言っていることになるのではないだろうか。導入にあたって、制度の趣旨と現状とのすり合わせ、条件整備の見通しなどの検討が充分だったかどうか疑問とするところである。
地方自治法では、指定管理者制度の導入を平成18年9月まで猶予するという経過措置を定めている。この間、制度の趣旨を実現しうる環境、条件の調査及び整備を行なった後に指定管理者制度を導入し、その効果を充分に発揮することを期待していたものと考えられる。
仙台市の導入方針は“オートクチュールのスリムな服を取り揃えたものの、中身のダイエットはこれから”と言うに似ている。
ちなみに宮城県における指定管理者制度導入状況を見ると、平成17年度から段階的に導入するとする条例をスタートさせ、公の施設333施設の内、平成17年度に6施設に全て公募により同制度を導入し、残り327施設については、導入猶予期限を迎える平成18年度に、282施設について公募により、45施設について非公募により同制度を導入している。公募割合は、導入当初で86%余りと高くなっている。また、非公募施設を見ると障害者福祉施設等特殊な施設が多く見られ、個別事情により当面非公募としたものと推定される。
いずれにしても、仙台市では平成15年12月に「仙台市の公の施設に係る指定管理者の指定手続に関する条例」を制定し、平成16年4月より、指定管理者制度の対象としないものを除く全ての施設において同制度を導入した。導入した上は、条例の取り扱いが基本となる。この条例では公募指定を原則とし、公募によらない場合も例外として認めている。よって平成16年度の仙台市民会館のような、公募によらない非公募の場合は、例外なるが故にその理由は当然に求められ、具体的内容は何かを開示、説明した上で選定委員会へ諮る必要があったこととなる。
その理由が、「公募の条件が整わないため、従来の管理団体を非公募により選定することを市の導入当初の方針としているため」であるとしているわけだが、それは公の施設全般についての状況を言っていることであり、個別施設については、どのような条件整備が必要とされているから現状非公募としなければならないかの具体的事由があるはずであり、そのことを開示、説明しなければならない事となる。全般的事由のみを“水戸黄門の印籠”のごとき根拠とすることなく、個別施設ごとの公募に向けた条件整備の進行状況を開示、説明して、指定管理者制度への積極的取組みを示していくことが、いち早くこの制度を取り入れた仙台市としての行政裁量の方向性であると思われる。
以上は、仙台市民会館の平成16年度非公募指定による手続きについての考察であるが、今後の非公募による指定手続きにおいては、上記考察における指摘の趣旨を生かしていくことに留意する必要がある。
[2] 意見
意見については総括意見の項を参照されたい。
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