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更新日:2022年10月27日

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「福祉ネイル」で笑顔のコミュニケーション【仙台市中小企業チャレンジ補助金取組事例】

有限会社ほのぼの介護の取組事例

 ほのぼの介護(泉区)は訪問介護・居宅介護支援を主な事業として、平成13年の創業以来、介護を必要とする家庭のニーズに寄り添う形で、ペット関連や訪問理美容など介護以外の事業にも取り組んできた。福祉ネイル「Luna+(ルナプラス)」もその一つだ。

福祉ネイル事業を立ち上げた熊谷優子さん

(「爪のおしゃれで明るい気持ちになってもらおう」と福祉ネイル事業を立ち上げた熊谷優子さん)

 きっかけは、新型コロナの感染拡大により外出や人との集まりを控えざるを得なくなったこと。日常の楽しみが失われていく利用者に心を痛めたスタッフの熊谷優子さんが、「爪のおしゃれで明るい気持ちになってもらおう」と会社に福祉ネイル事業の立ち上げを提案。仙台市の「中小企業チャレンジ補助金」に申請・採択されたことで、実現した。

 福祉ネイルは高齢者や障がい者に特化した美容ネイルのことで、熊谷さんはもともと関心があって勉強し認定資格も取得済み。事業化にあたってもう一人のスタッフも資格を取り、2人体制でスタートした。

福祉ネイルは、高齢者や障がい者に特化した美容ネイル

(福祉ネイルは、高齢者や障がい者に特化した美容ネイル)

 性別や障がいの程度を問わず、ニーズはあった。ALS(筋萎縮性側索硬化症)で体が動かせない男性に施術したこともある。手が動かないため直接自分で見ることはできないが、写真に撮って見せた。往診の医師や看護師が「きれいですね」と話しかけ、コミュニケーションのきっかけにもなる。家族にも施術を行い、「一緒に旅行や食事には行けないから、素晴らしい思い出になった」と感謝された。

 

デイサービス施設でも施術、高齢者に笑顔

 デイサービス施設にも訪問する。最初は警戒していた女性が、きれいになる爪を見てどんどん前のめりの姿勢になっていく。「塗り終える頃には満面の笑みでした」と熊谷さん。「生きていくのにどうしても必要ではないけれど、小さな“プラスα(アルファ)”でこんなに表情が変わる。周囲の人も笑顔になる。それがうれしい」。

 福祉ネイリストには高齢者や障がい者に関する知識が必要だ。「介護職で培ってきた知識と経験がとても役に立っている」と熊谷さん。巻き爪や関節が曲がった指に施術したり、認知症やコミュニケーションが取りづらい人に好きな色や柄を引き出す話しかけをしたりもする。時間も、体力を考慮して一般のネイルサロンより短い30分程度で仕上げる。爪に色を塗るだけでなく、手全体をきれいに拭いたり包み込んだりしてリラックスしてもらうことも福祉ネイルの一部だ。

高齢者や障がい者について知識を持った福祉ネイリストが施術する

(高齢者や障がい者について知識を持った福祉ネイリストが施術する)

 

介護する人もされる人も、ネイルのおしゃれを当たり前に

 また熊谷さんには初めから、介護する側の人にもネイルを施したい思いがあった。介護はきつく、大変なことも多い仕事だからこそ、きれいな爪で明るい気持ちになり、手のマッサージで癒されてほしい。華やかになった爪が、介護するときに利用者さんと話題のきっかけになるといいと考えている。

 「介護する人もされる人も、ネイルのおしゃれを当たり前にしたい」と熊谷さん。課題は、ネイルを良く思わない、特に高齢者には必要ないと考える風潮だ。「価値観をひっくり返して、年を取ってもおしゃれを自由に楽しむ世の中に変えたい。だって私たちも行く道だから」と笑う。介護現場でのネイルをもっと広め、施術者も増やそうと、福祉ネイリスト養成事業も計画している。要介護者の暮らしを楽しくする事業なら、何でもやってみる価値がある。ほのぼの介護の挑戦は続く。

 

(令和4年9月取材)

 

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