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沓形遺跡(仙台市高速鉄道東西線関係遺跡)

発掘調査 現地説明会資料

平成19年7月28日(土)
仙台市教育委員会文化財課

調査要項

遺跡名 沓形(くつかた)遺跡 調査原因 仙台市高速鉄道東西線建設
所在地 宮城県仙台市若林区荒井字矢取東地内 調査主体 仙台市教育委員会
調査面積 10829m2 調査担当 仙台市教育委員会文化財課
国際航業(株)
調査期間 平成19年4月2日〜12月下旬 調査協力 仙台市交通局
松本秀明(東北学院大学地域構想学科)

調査で発見したもの……津波の砂に覆われた弥生時代の水田跡

 約2000 年前の津波堆積物(つなみたいせきぶつ)と判明した砂層(さそう)(5b 層)に覆(おお)われた弥生時代の水田跡(6a 層水田跡)が発見されました。水田は、津波によって砂がもたらされるほどの被害を受けて放棄(ほうき)されたと考えられます。こうしたことがわかったのは、国内で初めてです。

 また、砂層の上で見つかった水田跡(4a 層水田跡)は、時期が古墳時代前期(4世紀)であることから、この場所が再び水田耕作に適した土地になるには、河川による土砂の堆積(たいせき)など、長い年月を要したことがわかります。


写真1  1a 区6a 層水田跡(弥生時代) の畦畔確認状況(白い部分が津波の砂)


写真2 5b 層(津波の砂) から出土した
弥生土器(上: 出土状況 下: 土器表面)

図1 調査区全体図


写真3 基本土層

 沓形遺跡の土層には、津波や洪水などによってもたらされた自然堆積層(しぜんたいせきそう)と、耕作によって土が混まぜられて、層の下面(かめん)に凸凹(おうとつ)がある水田耕作層(すいでんこうさくそう)の、大きく二つがあります。写真3の撮影場所では、基本土層のうちの6つの層があり、両者が交互に見られます。

1層
:水田耕作層(現代の水田)
3層 :自然堆積層(水田が営まれていない時期にゆっくりと堆積)
4a層 :水田耕作層(古墳時代前期の水田)
5b層 :自然堆積層(約2000年前の津波の砂:津波堆積物(つなみたいせきぶつ))
6a層 :水田耕作層(弥生時代の水田)
7層 :自然堆積層(縄文時代に広瀬川の氾濫(はんらん)で堆積:洪水堆積物(こうずいたいせきぶつ))

 沓形遺跡では、洪水や津波といった自然の力の影響に対して、当時の人々がその時々の状況に応じて土地を利用していたことがわかりました。

なぜ津波の砂と判明したのか……松本研究室(地形学)の研究成果

 沓形遺跡は平成19年1月に遺跡として登録されました。面積は97,900m2、標高2.3〜3.0mで微高地(びこうち)と低湿地(ていしっち)に立地しています。

  遺跡の位置は現在の海岸線から約4km離れており、その間には過去の海岸線位置の指標(しひょう)となる、「浜堤列(ひんていれつ)」と呼ばれる砂地の微高地が海岸と平行に3列あります。沓形遺跡は、図2に見られる第I浜堤列のさらに内陸側に位置しています。


図2 沓形遺跡の位置

 宮城県内で発見された弥生時代の水田跡としては、海岸線から最も近い場所にあたります。

 約2000年前の海岸線は、第II浜堤列の位置でした。

 当時、遺跡は海岸線から約2kmにあったことになります。


図3 沓形遺跡周辺の地形


図4 遺跡範囲と津波の砂層の分布範囲


図5 基本層7層に相当する層(洪水堆積物)
の粒度分析結果


図6 基本層5b層の砂(津波堆積物)
の粒度分析結果

 沓形遺跡で認められる砂を含んだ堆積層(たいせきそう)には二つの成因(せいいん)(堆積層ができた理由・原因)が考えられます。一つは河川の氾濫(はんらん)により陸側(りくがわ)から運ばれた堆積層、もう一つは津波などにより海側(うみがわ)から運ばれた堆積層です。河川の氾濫(はんらん)による堆積層中の砂は、濁流(だくりゅう)の中を移動してくるため粒の揃(そろ)いが悪く、一方、津波による堆積層中の砂は、海岸で絶えず波に洗われていたために粒が揃っている特徴があります。

 図5・6を見ると、図5の砂にはさまざまな大きさの粒が存在してまとまりに欠けているのに対して、図6では粒の大きさがそろっています。つまり、今回発見された基本層5b層の砂は津波により海側から運ばれたことがわかります。

 沓形遺跡の発掘調査は、松本研究室(地形学)と連携(れんけい)して進めてきました。今回の調査成果は、遺跡に対する両者の共通理解をはかりながら、現地で検討を重ね、協力することによって生まれました。

(図2〜6は東北学院大学地域構想学科 松本研究室による)

 

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