学校規模の現状
少子化の進展に伴い、児童生徒数が減少し、多くの学校で小規模化が進んでいます。これは本市でも例外ではありません。仙台市立小・中学校の児童生徒数は、ピーク時と比べて約7割にまで減少しています。学校1校あたりの学級数は、平成元年と19年で比較した場合、小学校では18学級から15学級に、中学校では18学級から13学級になっており、ともに減少していることがわかります。
それぞれの学校が持っている歴史や地域性は様々ですが、特に、宅地造成によってできた戸建て住宅中心の団地では、世代間の入れ替わりが少ないため学校の小規模化が急速に進む傾向にあり、1学年1学級という学校もいくつか現れています。
今後も少子化の進展が予想されている中、子供たちの教育環境という視点からこれからの学校のあり方について、皆様とともに、考えていく必要があります。
年齢3区分別人口及び年少人口割合推移
(仙台市・S25〜H17)

総務省統計局「国勢調査結果報告」より
※合併以前の旧泉市、旧宮城町、旧秋保町の数値を含む
小・中学校数及び児童生徒数推移
(仙台市・S40〜H19)

宮城県「学校統計要覧」より
※合併以前の旧泉市、旧宮城町、旧秋保町の数値を含む
小規模校の「よさ」「課題」

その一方で、大勢の児童生徒の迫力ある運動会や学習発表会を行うこと、学年単位での活動に制約があることなど、課題もあります。
現在小規模校では、それぞれの学校が持つよさを活かしながら創意工夫し、課題となることを補う努力をしています。
しかし、学校の努力だけでは解決することが難しい課題もあります。
規模に起因する課題
例えば、1学年に1学級しかなければクラス替えを行うことはできません。この場合、入学から卒業まで同じ人間関係が続くことになり、知らず知らずのうちに児童生徒の間で、互いの評価の固定化や、順番付けがされてしまうなどの可能性があります。また、学校にはグループ別学習や部活動など、一定規模の集団があることにより大きな効果が得られる教育活動もたくさんあります。しかし、小規模校ではこれらについても、十分に行うことが難しくなります。
加えて、教員の数については、学級数により教員数の標準が法令で定められている関係から、小規模校では教員間での教科に関する研究などが十分に行えるような教員の配置ができないなど、学習指導面で充実を図ることが難しくなります。
これらは、学校の規模そのものが原因となって起きる課題であるため、小規模校のままで解決することは大変困難です。

学校の役割
小規模な学校が抱えるこのような課題は、なぜ解決しなければならないのでしょうか。学校教育は、児童生徒に「確かな学力」「豊かな人間性」「健康・体力」をバランスよく身に付けさせることにより、変化の激しいこれからの社会を生き抜くために必要な「生きる力」をはぐくむことを目的としています。
この「生きる力」をはぐくむためには、基礎的・基本的な知識・技能を身に付けることはもちろん、児童生徒が、様々な意見や考え方を持った仲間と交流したり、議論することなどを通して、思考力や判断力、表現力を身に付けたり、多様な人間関係の中でも他者と協調できる社会性を身に付けていくことも大変重要です。
学校は、そのような教育活動を実現していくという役割を担っていますが、小規模校では規模に起因する課題があるため、その役割を十分に果たすことが難しくなります。
そのため、課題の根本的な原因である学校の規模を一定の大きさにすることにより、小規模校の教育環境を充実させることが必要になります。

実現すべき教育環境
学校として一定の規模を確保することにより、以下のような環境を実現し、学校が果たすべき役割である教育活動が十分に行えるようにしていかなければなりません。実現すべき教育環境
- 児童生徒間、児童生徒と教員間、それぞれにおける多様な人間関係を通し、互いに理解を深め、励まし合い、時には、競い合うことで向上しながら社会性を培っていくことができること。
- グループ別学習や部活動、学校行事など、一定規模の集団を前提とする教育活動を支障なく成立させることができること。
- 教科研究や指導の充実を図るため、教員間で情報交換などを行うことができるよう、教科ごとに複数の教員が配置されていること。

期待される効果
出会いの機会が広がることで、多くの友人をつくり、様々な刺激のなかから、子供たちをより豊かに成長させることができます。
集団での学校行事や多くの部活動の設置が可能となることで、様々な仲間たちと力を合わせる喜びや達成感がより大きくなり、子供たちの新たな可能性を広げることができます。
教員間で指導法を相談したり、相互に意見交換をする機会を増やしたりすることで、これまで以上に学習指導や内容の充実を図ることができます。
一定規模の基準
一定規模の具体的な基準として、小・中学校ともに、少なくとも各学年でクラス替えのできる学級数は必要であること、それに加えて、中学校においては、5教科(国語・数学・理科・社会・英語)に複数の教員が配置され、その他の教科にもそれぞれ専任の教員が配置できる学級数が必要であると考えます。以上のことから、小学校は12学級以上、中学校では9学級以上を一定規模の基準とします。通学距離については、国の基準に従い、小学校おおむね4km以内、中学校おおむね6km以内を基準とします。

今後の進め方
一定規模を確保するための手法としては、複数校を1校にする統合を考えています。対象となる地域については、児童生徒数や通学距離、地域の状況等を勘案しながら、順次話し合いを行ってまいります。その際には、地域活動や防災面など、地域コミュニティにおける学校の役割にも配慮し、地域の皆様のご意見ご要望を十分伺いながら、ご理解いただけるよう努めてまいります。
保護者、地域の皆様へ
これまで、それぞれの学校では、教師や保護者、地域の方々の多くの努力により、様々な創意工夫を凝らした特色ある学校づくりが行われてきました。
歴史の浅い深いにかかわらず、どの学校も卒業生にとっては様々な思い出や歴史が刻まれた大切な母校であり、地域の方々にとっても、ともに協力し築き上げてきたかけがえのない存在であると思います。
その一方で、小規模校には、関係する方々の努力だけでは解決することが困難な、規模に起因する課題があります。そのような課題を解決し、教育環境のより一層の向上を図っていくことが、教育委員会の役割であると考えております。
皆様方が、これまでに築き上げてきた学校に対する思いを、現在、そしてこれから学んでいく子供たちの教育環境という視点から、私たちとともに今一度考えていただきたいのです。
この先、社会に出ていく中で、様々な人々とかかわり、多くの経験を重ねていくことになるであろう子供たちが、その中をしっかりと生きていけるように、学校教育のなかで「生きる力」を身に付けさせていくことが必要です。
そのためには、できるだけ多くの仲間とのかかわりを通じて、子供たち自身が多様な意見や考え方に触れながら、互いに学び合い、切磋琢磨することで、少しずつ成長していくことができるような環境を整えていかなければなりません。
学校の統合については、児童生徒数や通学の問題だけではなく、地域コミュニティの状況など様々な要因がからむ問題ではありますが、子供たちをはぐくんでいくという学校本来の役割を第一に考え、「子供たちにとって必要な環境を新たに作り出していく」という視点でとらえていただきたいと考えます。
私たち教育委員会も、学校が地域の方々を様々につなぐ橋渡しの役割を果たす存在であることを踏まえて、地域の皆様との話し合いを大事にしながら、進めてまいりたいと考えております。
仙台市教育委員会

