ホーム > 事業者向け情報 > 環境・衛生 > 食品・生活衛生 > 特定建築物 > パンフレット「バイオフィルムを除去しましょう!―冷却塔のレジオネラ属菌対策について―」に関するアンケートの結果について
ページID:6283
更新日:2023年6月23日
ここから本文です。
レジオネラ症防止対策において、レジオネラ属菌繁殖の温床となっているバイオフィルムを除去することは重要であり、化学的洗浄はそれに対する有効な対策です。
しかしながら、仙台市内特定建築物の冷却塔設備における化学的洗浄の実施率は、平成19年度の特定建築物管理状況報告書の集計結果によると23.1%と低い状況にあります。
そこで、化学的洗浄に関して正しく理解していただき、その実施率を向上させることを目的として、冷却塔設備をもつ仙台市内特定建築物に対しまして、化学的洗浄に関するパンフレットを作成、送付いたしました。同時に、アンケートを実施いたしましたので、その結果について報告します。
ダウンロードする場合は、下記添付ファイルをご覧ください。
アンケート配布数 199通 回答数 109通(回答率 54.8%)
A.レジオネラ属菌は土の中や砂埃などに広く分布するものの、その菌量は少なく、増殖速度も一般的な病原細菌に比べ遅いため、一般的な環境では人に感染しレジオネラ症を発症させるほどの菌数まで増殖することはありません。
細胞内寄生性という特徴をもち、アメーバなどの原虫に取り込まれ、その内部で増殖し、やがて増殖したレジオネラ属菌は原虫を破裂させて外界に放出されます。レジオネラ属菌増殖の温床として知られるバイオフィルムには細菌が多数住み着いているため、エサとなる細菌を求め、アメーバ等の原虫が集まってきます。他の細菌がアメーバ等に食べられるなか、レジオネラ属菌は集まってきたアメーバ等に取り込まれることで逆にその数を増やしていきます。つまり、バイオフィルムは、レジオネラ属菌にとって、競争相手である他の細菌が少なく、増殖するのに便利なアメーバ等が多数存在する環境といえますし、そのような環境で増殖することでレジオネラ属菌は人への感染が可能となるのです。
図 レジオネラ属菌がアメーバに寄生し増殖する様子
最近の研究では、実験的にレジオネラ属菌に感染させたacanthamoebaという種のアメーバ1個から1,000個程度のレジオネラ属菌が放出されることが明らかになりました。
A.過去7ヵ年の国内におけるレジオネラ症感染報告数は、平成11年が56人、平成12年が154人、平成13年が86人、平成14年が167人、平成15年が146人、平成16年が161人、平成17年が281人となっています。データ上は年々増加傾向にあるようですが、レジオネラ症の認知度が上がったこと、診断技術の向上により容易に診断可能となったことが、報告数の増加の大きな要因となっているようです。
発生施設については、レジオネラ症は日和見感染症であり、原因施設利用者の全員が感染するわけではないことから、原因施設の特定は難しく、1999.4~2000.7における国内の感染状況調査報告では、推定原因施設について報告があったのは145例中69例(47.6%)と全報告のうちの半分以下にとどまっています。推定原因施設についての報告があった中での内訳は、温泉・浴場施設が52例と約4分の3を占めており、次いで24時間風呂が3例、空調・冷却塔等が3例、土・塵埃が3例、スポーツ施設・プール等が2例、井戸水が1例、浄水場が1例となっています。
なお、日本国内におけるレジオネラ症の発生数は、「感染症情報センター」のホームページの「サーベイランス感染症発生動向調査 週報(IDWR)」→「年別一覧表」→「その1:全数把握」→四類感染症の表に過去7ヵ年分の報告数が掲載されています。また、仙台市内におけるレジオネラ症の発生数は仙台市全数報告感染症の発生状況(仙台市衛生研究所)に掲載されています。
A.化学的洗浄の目的は、循環配管内のバイオフィルムを除去することにありますが、殺菌剤の投入や冷却水をブローすることでは、バイオフィルムを除去できません。
バイオフィルムとはバクテリアが産生する細胞外多糖類を主成分とする固体表面や液体表面に形成される膜(いわゆるぬめり)で、多くのバクテリアがそれを住家にしています。バイオフィルムをつくる細菌は多種にわたり、その中には殺菌剤に抵抗性を持つ細菌もいます。そのため、殺菌剤を投入することでバイオフィルムをつくらせにくい状態にすることはできますが、完全につくらせない状態にすることはできません。
また、水環境に生息する細菌は、レジオネラ属菌を含まれるのですが、実に99%がバイオフィルム中で生息しており、一度バイオフィルムがつくられてしまえば、頻繁にブローを行ってもバイオフィルムとその中で生息する細菌を除去することはできません。
以上のことから、新版レジオネラ防止指針では、殺菌剤の投入を実施していても、使用期間前後の年2回は化学的洗浄を行うよう示しています。
A.新版レジオネラ症防止指針中に、「人がエアロゾルを直接吸引する可能性が低い人工環境水であっても、100cfu/100mL以上レジオネラ属菌が検出された場合には、直ちに菌数を減少させるため、清掃、消毒等の対策を講じる。また、対策実施後は、検出限界以下(10cfu/100mL未満)であることを確認する。」とあり、これを元に、仙台市では冷却塔水で100cfu/100mL以上検出された場合には化学的洗浄を実施し自主検査で10cfu/100mL未満となることを確認するよう指導しています。
ただ、レジオネラ菌が100cfu/100mL未満検出された場合であっても、冷却水管内にバイオフィルムがすくなからず存在し、化学的洗浄以外に除去する方法がないことから、本市では定期的に年2回以上化学的洗浄を実施するよう指導しています。
A.レジオネラ属菌は土の中や砂埃などに広く分布し、死滅しないで生息していることからも乾燥や低温にある程度抵抗性を持つことが伺えます。冬季の使用停止期間における低温・乾燥の状態では盛んに増殖するようなことはないでしょうが、死滅するようなことはないと考えられます。
A.微細な粒子や氷の粒を循環水中に混ぜて循環させることでバイオフィルムをこそぎ落とす方法や微細な気泡によってバイオフィルムを取除く方法など、物理的な方法を用いてバイオフィルムを除去する方法はあるようです。ただ、物理的な方法は冷却水管の曲り具合や分岐などの構造に影響を受ける恐れがあり、施設によっては十分効果を発揮できない可能性があり、その点では、循環水管のすみずみまで一様に作用することが期待できる化学的洗浄に劣ると思われます。
新版レジオネラ防止指針においてはバイオフィルム除去のための洗浄方法としては、(1)過酸化水素、(2)グルタールアルデヒド、(3)酸のいずれかを用いた化学的洗浄を実施することを示しています。
A.“cfu”はcolonyformingunitの略で、直訳すると「集落形成単位」となりますが、検査の中で寒天平板上に得られる1つの集落(コロニー)は1個の細菌が増殖してつくられるものなので、“cfu”は細菌の個数と同じ意味になります。つまり、“cfu/100mL”の意味は、「検体100mL中における細菌の個数」という意味になりますし、冷却塔水のレジオネラ属菌検査の場合は、「冷却塔の循環水100mL中におけるレジオネラ属菌の個数」ということになります。
写真 BCYEα寒天平板培地上のLegionellaPneumophilaの集落(コロニー)
提供 仙台市衛生研究所微生物課
細菌は目では見えないので、培地上で増殖させてコロニーをつくらせて、目に見える形にして数をかぞえます。
パンフレット「バイオフィルムを除去しましょう!―冷却塔のレジオネラ属菌対策について―」(PDF:118KB)
PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。Adobe Readerをダウンロードしてください。Adobe Readerのダウンロードページ
お問い合わせ
Copyright©City of Sendai All Rights Reserved.