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更新日:2016年9月20日

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質疑応答の概要

(1)震災遺構の保存について市長の考えを伺う

震災遺構については、第一に、現地で被災された方々のお気持ちをしっかりと考えなければいけません。

しかし一方で、震災を体験しない世代が遠からず、30年後、50年後に社会の大層を占める時に、何らかの遺構があることによって、具体的にそこから思いをはせることができるという意味で、後世のため、あることが望ましいことは確かだと思います。

ただ、この間のいろいろな経緯等を拝見すると、一つには被災された方々のお気持ちが大きくありますが、もう一つは、遺構を保存するための経費の問題、これが大変大きいという印象を受けています。

例えば、国の災害復旧のような補助制度も何もない中で、それぞれの自治体単独でそれを持ちこたえるというのは、遺構はいったん保存と決めたら、今度は責任を持って保存していくという義務が生じますので、それに対する財政的な裏づけが、あっていいのではないかと思います。

何でも残せばいいということではないことも確かですので、もう少し広く、国なり最低でも県レベルで、その重要性の判定や財源的な補償のあり方や、どういうものをどういう考え方で残していくことが可能かなどを、学識経験者の方のご議論をいただくとか、広く意見を求める市民アンケート、県民アンケートのようなものを行うとか、いろいろ手法はあると思います。

じっくり時間をかけて解決する、それには、それぞれの遺構が存在する自治体任せという、ちょっと言い方は酷ですが、現状はそう思えますので、それでは、保存はかなり難しいと思います。

(2)国や県の補助、維持費についてはどう考えるか

今回の被災地の中で、具体的には南三陸町の件について、町長さんからもいろいろとご発言がありましたが、南三陸町の財政規模などを考えると、あの防災庁舎を仮に残したとして、その維持・補修、特に、現に壊れたからこそ遺構になる一方で、壊れているからこそ保存が大変なわけですので、それを町で負担せよというのは、ちょっと私は難しい気がします。

国で基金を作るということも可能でしょうし、さまざまな取り組みとして、むしろ国民全体が共有すべき震災の教訓を、日本全体として後世に伝えていくという意味からすれば、震災遺構は被災地だけのものではなくて、むしろ国民全体のために残すという考えだろうと思います。だとすれば、これに国費を使うことは、何も問題ないと私は思います。

(3)震災遺構の保存について、国への要望、働きかけを何か考えているか

具体の調整に入ったことはないですが、今後、東北市長会や県内の市長会の中で、あらためて、そのことを議論する場があれば、私どもとしても、必要な動きはしていきたいと思います。

(4)仙台市として震災遺構を保存する場合、前提条件は国などの支援が担保されないと保存できないという考えなのか

仙台市については、私はある程度市としての責任の中で、費用も含め、市民の皆さんの理解を得られれば、保存していく方向で決定していきたいと思っています。

ただ、仙台市の財政規模と被災自治体の中でも大変財政が厳しいところとでは、考え方に違いが出てくることもあると思います。全体とすれば、財政的な面で国の責任があって良いと思います。

(5)特別支援学校の増設について、市長の考えを伺う

特別支援学校については、議会でもお答えしましたが、県として行う事業となっていますので、県としてしっかりと、現在の特別支援学校への入校を求める子供たちが増えている状況を踏まえて、整備計画を作るなりして、対応を進めていただくように、あらためて強く申し入れたいと思っています。

(6)仙台市として、何か対応しないのか

基本的には、行政はそれぞれの自治体、また国がどういうことをやるかということに基づいて事務が配分されているわけですし、またそれに合わせた形で税財源の収入、もちろんそれが実態とうまく合っていないということに対する我々の反論というのは、政令市としてあるわけですが、原則そのような組み立てでなっているので、国がやってくれないからといって、全部自治体でやればいいかとか、県がやってくれないからといって、全部基礎自治体でやればいいかいうと、そうはならないと、私は思います。

(7)特別支援学校を通常学校へ併設するなど、市で検討することはあるか

特別支援学校の設置主体が県であるということは、基本的にまず特別支援学校をどういうあり方で、宮城県として整備していくかというビジョンを県として持っていただく必要があるわけです。

その県として持っていただくビジョンについて、我々として協力できることがないかという段取りであれば、我々も協力できることについては、頑張ってやっていこう、ということはこれまでも申し上げています。その一つとして、仙台市の小学校の空き教室を提供してくれないかという話も以前ありました。また、現に特別支援学校に、仙台市の給食を提供しているということもありますので、いろいろな実務的な協力は、やぶさかではない、ご相談に応じたいと思います。

ただ、そのビジョン全体を作っていくのは、設置主体、責任者である県でしっかり考えていただかないと、それぞれの自治体がそれぞれにやったのでは、非常に地域的にアンバランスになる恐れもある、だからこそ特別支援学校の設置は県だ、広域的なものだという整理のもとに、この事業がそう位置付けられたということを踏まえておく必要があると思います。

(8)海外出張の支度金制度について市長の見解と今後の検討を伺う

制度ができた時に比べて、基本的に今の状況の中では、必要度は低下してきていると思います。

この制度については、早速担当に廃止も含めて制度の見直しについて、作業に入るよう指示をしました。ただ、それに代わる代替措置として実費分などが必要ではないかとか、そういったことも精査する必要はあると思っています。

(9)支度金制度は当初は役立っていたが、今では必要ないという認識か

例えば、私が最初に海外に出張させていただいたのは、今から27、8年前になりますが、国際姉妹都市のフランスのレンヌに行ったときでした。その当時は、私も初めての海外旅行でしたので、いわゆる旅行かばん、スーツケースを買いましたが、現在になれば、新たに旅行のために何かをそろえるという状況には、少なくとも私自身はないわけですので、そういう意味からしても、見直す必要性は現実的にあると思います。

(10)東北への医学部新設について、市長の所感を伺う

この話は、昨年の東北市長会でも議論が出まして、我々東北市長会として、自治体病院の医師不足、広くは地域の医師不足ということですが、それが東北の中で、東北の地域の実情に沿った形で、医師の養成に取り組む医学部の増設を、特別決議として決定したという経緯があります。

今回、そうした諸々の地域の声も受けた中で、国がさらに前向きになっていただいた発言であると聞いています。それは、我々としても、一歩前進、喜ばしいという方向で受け止めています。

(11)医師の偏在が問題だと思うが、そのあたりはいかがか

現在の状況の中では、自治医科大学のような特殊な組み立ての学校を除けば、医学部を卒業した医師の方に、インターンとして行く病院の指定ですら強制はできない状況です。その中で、ましてや本格的な就職の中で、東京にいくらたくさん医師がいらっしゃるとしても、お金の問題で来ていただける状況でさえないというのが東北の現実であります。

そういう意味では、大学に入るときから、そういった地域医療をしっかりと志すということを、いわば大学の理念として、そういった学生に受験していただき、また、ある意味では義務として、その後地域医療に取り組んでいただくような仕組みを持った大学でないと、難しいと思います。今の職業の自由の中で、ただ単に我々が、医師がこちらに余っているから、こちらに移ればいい、ということでは、一体誰がその作業をするのだといっても、まったく今のままでは見通しは立たないと思います。

(12)仙台は医師不足ではないと思うが、大学は仙台に創設される動きである。東北の他地域の医師不足は改善されないのではないか

どういうシステムを作るかだと思います。例えば、栃木県にある自治医科大学ですが、自治医科大学の医師が、栃木県にしか行かないというわけではありません。なるべく各地に行っていただくように制度設計をしているわけです。

それが十分ではないと思いますが、大学として募集される生徒の中で、岩手県に行っていただける方、青森県に行っていただける方、と事前に合意・ルール化しておくなど、その点については、東北市長会の特別決議をする中でもいろいろ話がありました。

自治体によっては、寄附講座のような形でもいいから、確実にわが県に来ていただける方に対して奨学金を出したらいいのではないかとか、いろんな議論がある中で、制度設計としては可能だろうと思います。

別に仙台に大学があるからといって、全員が仙台に就職するわけではありません。現に東北大は仙台にありながら、東北大の卒業生、医師は仙台で就職しないわけです。そういうことを考えれば、大学が所在することと、医師がそこで働くというのは、今の社会ではパラレルではないと思います。

(13)昨年の東北市長会の要望に東北への医学部創設が入っていたが、今年の要望にはなかった理由を伺う

特別決議の後、いろいろ働きかけをしてきました。当時の民主党政権にも伺いましたし、政権交代をしてからは、自民党にもいろいろとお伺いをして、作業してきました。

その中で、自民党さんの「東北地方に医学部の新設を推進する議員連盟」、大島議員が本部長の「東日本大震災復興加速化本部」の中で、自民党として、しっかり考える段階までいっているというお話を伺いましたので、重ねて決議をする必要がこの時点でなくなったという判断です。

特別決議の趣旨は受け止めていただいたという判断の元に、その後は自民党の中での推移を見守っていたという状況です。

(14)他の地域から反対の声が上がったようなことではないのか

特別決議の段階から、一部の県においては、大学が設置されることにより、引き抜きみたいな形で、県内の医師不足が、さらに加速化されては困る、そのことに関してはきわめて慎重にやってほしいという意見など、さまざまな意見がありました。

それらは、大学を作る際の教員選抜のあり方とか、大学ができることによって、さらにダメージを受けている東北の医療事情が壊滅的になったということでは本末転倒ですので、そうならないような仕組みとして、どう取り組めるか考えることだ、という議論は内部でもありました。

(15)ルール作りがあれば、仙台市に積極的に誘致するということはあるか

東北全体のために、東北の医学部が九州や関西に比べて少ないのではないか、特に被災地の中でもあることだし、というようなことから始まった議論です。私としては、現時点で仙台にこれを誘致するというのが目標となって、鋭意働くという状況ではありません。

何はともあれ、東北市長会として決議した、東北全体のために医学部を創設する、それは、地域医療を充実させることが目的ですので、私としては、そのことがしっかり確立されるように、力を出したいと思います。

(16)10月27日に宮城県知事選があるが、村井知事の第一声の際に、市長は応援に行くのか

第一声の時は平日で、公務の日程も入っています。現時点では特に応援に行く予定はありません。

昨日の夕方、村井知事にお会いしました際、第一声では国会議員や自治体首長の方々にマイクを握る応援を求めないということを、私にではありませんが、同席していた国会議員の方におっしゃっていました。

(17)いつかは応援のマイクを握ることはあるのか

お話があれば、日程を参酌しながら検討したいと思います。

(18)公務の合間を見て行くことになるのか

そうです。ただ、公務といっても相手方のあるお話ですので、従前から約束している日程などを優先しなければいけないものも、たくさんあります。その上でとなります。

(19)応援の内容はどのようになるのか

まだ、具体的に何も要請もありませんので、決まっていません。

(20)もし、要請があれば応援に行くのか

要請があれば、その時点で日程を見合いながら考えさせていただきます。知事は今回、仙台にはほとんどいませんとおっしゃっていました。広く県内、仙台市外を回られると聞いています。

(21)校長が逮捕されるなど、教員の不祥事が続いているが、市長の考えを伺う

今回の事件も含めてですが、教員の不祥事が続いていることは、私としても残念に思います。教員というのは、単なる職業ではなくて、これから伸びていく子どもたちを、信頼を得る中で育てていく、そして社会に送り出していくわけですので、普通の職業以上に倫理的なモラルをきちんと高く求められる仕事だと思っています。

また、そのことにやりがいを感じて、多くの方は入ってこられるし、十分に期待に応えて活躍している教職員も大変多い中で、1件とはいえ、このような事件が起こると、大変信頼を損ねますので、あらためて教育長にもお願いをしたところです。それぞれ一人一人の教員の方の心の問題ですので、ご自身が教員を志した原点を、しっかりと忘れないで、最後の退職辞令をもらうその時まで、気を引き締めて取り組むようにお願いしたいと思います。

(22)市職員に比べて、不祥事が多いがいかがか

今回も飲酒が原因でもあるようです。特に学校の管理職、校長、教頭は、地域に呼ばれたり、いろいろな会合が多いことは確かですが、お酒というのは、気を緩めると、お酒を飲んでいるはずが、お酒にのまれてくることもあると思います。

あらためて飲酒の限度を他人がどうこう言うのもおかしいのですが、場合によっては飲酒そのものについて、自制していくような働き掛けなども、校長会等でも自発的に考えていただいて、やはり校長同士がお互いの大変さや悩み、陥りやすい気持ちのエアポケットのようなものを分かり合っていると思いますので、教育長がしっかりと指導してくれることももちろんですが、校長会としても、同じ校長という職を分かち合う者たちとして、お酒の飲み方や私生活の部分も含めたモラルの維持について、検討を深めてもらえればと思います。

仙台市長 奥山 恵美子

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