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走り出した夢のプロジェクト -藻から次世代エネルギーが生まれる-(106万市民のみなさまへ)

走り出した夢のプロジェクト -藻から次世代エネルギーが生まれる-(106万市民のみなさまへ)

平成25年4月30日

 海や沼などに生息する藻類。その中に「石油を生む藻」がいることをご存じですか?
 この藻を使って、下水の生活排水や汚泥からオイルを作り出すという、夢のような話が実現に向けて走り出しました。この世界初のプロジェクトは、先週、仙台市の南蒲生浄化センターの片隅で始まりました。

 プロジェクトは、文部科学省の補助事業に採択され、東北大学、筑波大学、仙台市の共同研究として実施されますが、震災直後からこれまで、何かに導かれるように事が進んできました。

 平成23年3月末、本市の職員が、津波被害を受けた東部地域の実地調査に訪れたとき、この土地をどう再生すればいいのか途方に暮れながら、ふと3カ月前に読んだ「オーランチオキトリウム」発見の新聞記事を思い出したといいます。「あのオーランチオキトリウムを使って、ここにオイル生産の基地を作れないか」という発想でした。

 石油に近い成分のオイルを生む「藻」の研究は、世界がしのぎを削っており、「ボトリオコッカス」という藻が実用化の最有力でした。記事は、筑波大学大学院の渡邉信(わたなべ・まこと)教授が、従来の藻に比べて10倍以上の油を生産する「オーランチオキトリウム」という新しい藻を沖縄の海から発見し、実用化されれば、小資源国の日本が産油国になれるかもしれないというものでした。

 さっそく調べてみると、渡邉教授は、宮城県丸森町の出身で、東北大学を卒業されているというではありませんか。

 職員は、これはお会いして直接お願いするしかないと考え、6月、先生の研究室へ。先生は、初対面の職員におもむろに企画書を手渡したそうです。ふるさとが震災に見舞われたことに大きな衝撃を受け、東北復興のためにという思いで書き上げたものでした。藻類を使って、下水処理施設でオイルを生産するという、画期的な循環型システム構築のプラン。先生は、東北大学にいる研究者仲間と連携した共同研究のアイデアも提案してくださいました。

 その後は、とんとん拍子で話が進み、23年11月、筑波大学が「藻類の生産技術確立」、東北大学が「オイル抽出・生成技術確立」、仙台市が「下水処理施設を中心とした協力」という役割分担で、協定が結ばれたのです。

 プロジェクトの課題は、生産や抽出・生成の技術をより効率化し、コスト縮減を図ることですが、先生は10年での実用化を目標に掲げられています。

 国内最先端の頭脳を結集して取り組むこのプロジェクトは、まさに純国産の知的資源です。厄介者だった生活排水や汚泥からオイルを作り出すという循環型モデルの構築に成功すれば、仙台は、この新しい技術を東北、世界に向けて発信する基地となりえます。

 また、オーランチオキトリウムから生まれるオイルを精製してできるスクアレンという物質は、私たちが普段使っている化粧品や健康食品、そしてインフルエンザ・ワクチンの材料にもなるといいます。現在、スクアレンは、絶滅危惧種の深海ザメからとられていて、その代替として期待されるとのこと。新しい産業の創出への期待が膨らみます。

 震災という絶望の中から生まれた小さな希望。直径が1ミリの50分の1にも満たない小さなオーランチオキトリウムですが、大きな可能性を秘めています。
 オーランチオキトリウムの活躍を楽しみに見守っていきたいと思います。

仙台市長 奥山 恵美子

 渡邉信教授と仙台市長 奥山恵美子
〈オーランチオキトリウムの培養とオイル生成の過程を説明する渡邉信教授〉

南蒲生浄化センター内に4月24日開所した研究開発施設
〈南蒲生浄化センター内に4月24日開所した研究開発施設〉

 
左:ボトリオコッカス 中:オーランチオキトリウム 右:スクワレン

  

 

 

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