No.222 2003年 1月号
平成14年仙台市の人口動向
−住民基本台帳人口による−人口の動向は,自然動態(出生及び死亡の動き)及び社会動態(転入及び転出の動き)によって説明されます。この特集は,住民基本台帳人口による平成14年1年間の仙台市の人口動向について,社会動態を中心に報告するものです。
・本報告書で用いた地域区分は次のとおりです。
仙台都市圏内の他市町村:塩竈市,名取市,多賀城市,岩沼市,亘理町,山元町,松島町,七ケ浜町,
利府町,大和町,大郷町,富谷町、大衡村
北海道地方 : 北海道 東北地方 : 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県 東北5県は,東北地方から宮城県を除いた地域 関東地方 : 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県 東京圏 : 埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県 中部地方 : 新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県 近畿地方 : 三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県 中国地方 : 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県 四国地方 : 徳島県、香川県、愛媛県、高知県 九州地方 : 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 ※なお,本文中にある「その他の地方」は,特にことわりのない場合,上記のうち東北地方と東京圏を除いた地域をいいます。
<<用語の説明 >>
・人口増加数=自然増加数+社会増加数
・自然増加数=出生数−死亡数
・社会増加数=転入数−転出数+その他の増加数(職権記載,国籍取得,帰化,転出取消等)
<<解 説>>
平成14年1年間の人口増加数は3,406人となり、平成13年の人口増加数5,825人に比べ2,419人縮小しました。その内訳は,自然増加数が4,379人(対前年320人の縮小),社会増加数が-973人(対前年2,099人の縮小)と,共に過去10年で最小となっており,特に社会増加数は大幅に縮小しています。平成14年末の住民基本台帳による人口は995,725人となりました。
(図1,表1,統計表第1表)
図1 人口増加数の推移(平成元年〜14年)
区別の動向をみると,5区全てで人口は増加していますが,増加数が前年を上回ったのは宮城野区のみで,その他の区ではすべて前年の増加数を下回っています。
増加数が最も多かったのは泉区の1,319人(自然増加数1,023人,社会増加数296人)となっており,次いで青葉区の908人(自然増加数698人,社会増加数210人),太白区の459人(自然増加数1,061人,社会増加数-602人),若林区の396人(自然増加数474人,社会増加数-78人),宮城野区の324人(自然増加数1,123人,社会増加数-799人)と続いています。(図2,表1,統計表第1表)
表1 人口の推移−全市,区,総合支所(平成9年〜14年)
図2 人口増加数の推移−区(平成9〜14年)
2自然動態
過去10年間の自然増加数の推移をみると,出生数は1万人前後でほぼ横ばいとなっており,死亡数は4千人台から5千人台へとわずかずつ増加の傾向となっています。平成14年の出生数は前年より254人減少して9,913人,死亡数は前年より66人増加して5,534人となったことから,自然増加数は4,379人となり,平成13年の4,699人に比べ320人縮小しました。
(図3,統計表第1表)
図3 自然動態の推移−全市(平成5年〜14年)
平成14年の社会動態は,市外からの転入が51,881人,市外への転出が53,005人で,-1,124人の転出超過となり,これに区間移動と職権記載等のその他の増加数を加えた社会増加数は-973人となりました。これを地域別にみていくと,宮城県内及び東北5県に対しては転入超過となったものの,東京圏に対する転出超過数が6年連続の拡大となり,その他の地方も平成12年以来の転出超過となったことなどにより,全体として転出超過となりました。
(表2,図4,統計表第1,2,3表)
表2 市外との移動:転入数,転出数,社会増加数の推移−全市(平成5年〜平成14年)
図4 転出入超過数の地域別内訳(平成5年〜14年)
(1) 東京圏に対する人口移動
東京圏に対する人口移動は,転入数が11,281人,転出数が16,339人で,5,058人の転出超過となりました。社会増加数は平成5年から8年まで転入超過が続いていましたが,平成9年に転出超過に転じてからは年々拡大しており,平成14年は過去10年で最大の転出超過となっています。また,平成14年の転入数は過去10年で最少,逆に転出数は最大となっています。
(図4,5,表2,統計表第2表)
図5 東京圏との転出入者数(平成5年〜14年)
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(2) 県内他市町村に対する人口移動
仙台都市圏内の他市町村に対する人口移動は,転入数が6,151人,転出数が7,331人で,1,180人の転出超過となりました。市町村別の内訳を見ると,転入超過となっているのは5市町で,亘理町では平成13年まで転出超過となっていましたが,転入超過に転じました。一方,転出超過となっているのは8市町村で,名取市と利府町で過去10年で最少の転出超過数となっていますが,富谷町では大きく拡大しています。
(図4,6,表2,統計表第3表)
図6 仙台都市圏との転出入者数(平成5年〜14年)
仙台都市圏以外の県内市町村に対する人口移動は,転入数が6,728人,転出数が5,035人で,1,693人の転入超過となりましたが,転入数・転出数はともに過去10年で最少となっています。
(図4,7,表2,統計表第3表)
図7 仙台都市圏以外の県内市町村との転出入者数(平成5年〜14年)
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(3) 東北5県及びその他の地方に対する人口移動
東北5県に対する人口移動は,転入数が17,604人,転出数が13,477人で,4,127人転入超過となりました。転入数は平成7年,転出数は平成10年をピークとして減少しており,平成14年はともに過去10年で最少となりました。
(図4,8,表2,統計表第2表)
図8 東北5県との転出入者数(平成5年〜14年)
その他の地方に対する人口移動は,転入数が10,117人,転出数10,823人で,706人の転出超過となりました。転出数は前年並みでしたが,転入数はすべての地域で前年より減少しており,過去10年で最少となりました。
(図4,9,表2,統計表第2表)
図9 その他の地方との転出入者数(平成5年〜14年)
(4) 区別の社会動態
平成14年の区別の社会動態は,青葉区と泉区で社会増加,宮城野区・若林区・太白区で社会減少となりました。その内訳については,次のような点が特徴として挙げられます。
@ 市内他区に対しては,青葉区,若林区,泉区で転入超過,宮城野区,太白区で転出超過。
A 仙台都市圏以外の県内市町村及び東北5県に対しては,全区で転入超過。
B 東京圏及びその他の地方に対しては,全区で転出超過。
図10 地域別社会増加数(転入数−転出数) ー 区 (平成14年)
青葉区は,東京圏及びその他の地方で転出超過となりましたが,東北5県の転入超過が拡大したことなどから,社会増加数は転入超過となりました。
宮城野区は,東北5県と仙台都市圏内の他市町村は転入超過となっていますが,それ以外は転出超過となっており,社会増加数は転出超過となりました。
若林区は,市内他区の転入超過数の縮小と,その他の地方が転出超過に転じたことなどから,社会増加数は転出超過に転じました。
太白区は,東京圏への転出超過の大幅な増加と,市内他区に対する移動が転出超過になったことから,社会増加数は転出超過に転じました。
泉区は,仙台都市圏内の他市町村・東京圏・その他の地方への転出超過が大幅な増加となり,社会増加数は大きく縮小しました。(図10,11,表3,統計表第4表)
図11 区間人口移動 (平成14年 転入ベース)
区間相互における人口移動を見ると,最も人口の移動が多いのは青葉区・泉区間で,両区間の移動数が2千人を超えています。逆に最も人口の移動が少ないのは,若林区・泉区間で,若林区から泉区への移動は500人を下回っています。
相互間の移動数に最も差があるには泉区・宮城野区間で,泉区は351人の転入超過となり,逆に宮城野区は同数の転出超過となっています。
区ごとの増加数を見ると,青葉区は泉区に対してのみ転出超過で,全体では63人の転入超過。宮城野区は太白区に対してのみ転入超過で,同じく546人の転出超過。若林区は宮城野区・泉区に対して転入超過で,同じく163人の転入超過。太白区は若林区に対してのみ転入超過で,同じく307人の転出超過。泉区は若林区に対してのみ転出超過で,同じく655人の転入超過となっています。表3 社会増加数の地域別内訳−区(平成9年〜14年) (単位:人)
注:「その他増加数」は,職権記載,国籍取得,帰化,転出取消など。