仮想発電所(バーチャルパワープラント:VPP)技術を活用した防災環境配慮型エネルギーマネジメントの構築に向けた取り組み
仙台市は、東北電力株式会社との連携により、地域の防災力強化および環境負荷低減を目指し、仮想発電所(バーチャルパワープラント:VPP※1)技術を活用した実証事業に取り組みます。
これは、災害時に指定避難所となる市内小中学校等に設置している「防災対応型太陽光発電システム」をVPP技術による集中監視と一括制御で最適な状況にし、防災環境都市づくりに向けた仙台発の防災と環境に配慮したエネルギーマネジメントシステムの構築を目指すものです。
※1 自治体や企業などの発電設備や蓄電池、電気自動車等の複数の設備から生み出されたエネルギーをICT技術により集約し、あたかも一つの発電所(仮想発電所)のように機能させ、その操作も遠隔制御で行うもの。発電所や電力系統への新たな設備投資の抑制を図りながら、地域の全体の電力需給バランス調整や再生可能エネルギーの普及促進への寄与が期待されている。
具体的な取り組み内容
- 太陽光発電設備(1カ所につき、出力10kW程度)と蓄電池(1カ所につき、容量15kWh程度)が設置されている仙台市内の指定避難所のうち25カ所を対象に、東北電力のVPP実証プロジェクトのシステムを用いて、太陽光の発電電力量や蓄電池の残量等を常時監視。また、防災機能を損なうことなく、気象状況や電力の使用状況等を踏まえながら、太陽光発電設備や蓄電池を最適に制御。
- 太陽光発電設備と蓄電池が設置されている荒井東市営住宅において、東北電力独自のシステム活用による蓄電池の遠隔監視・制御を実施。
- 最適制御により集約したリソース(電力)について、電力需給バランス調整機能としての活用可能性を検証。また、太陽光発電の余剰電力の有効活用や蓄電池の長寿命化を図る仕組み(防災環境配慮型エネルギーマネジメント)の構築に向けて検証。
- 検証期間は、平成30年4月27日から令和3年3月31日までの3年程度。

仙台市と東北電力株式会社の基本協定締結式を行いました
平成30年4月27日(金曜日)、仙台市役所本庁舎において、郡和子・仙台市長および原田宏哉・東北電力株式会社取締役社長による本事業の基本協定締結式を行いました。

取り組み結果
VPPシステムの構築
- 指定避難所25箇所に対して、電力計測装置およびエッジコントローラー(蓄電池制御端末)を設置し、蓄電池の遠隔監視・充放電制御が可能な環境を構築。
- VPPシステムの遠隔監視画面を整備し、蓄電池の残量、充放電実績、受電電力、機器障害等が確認可能となった。
蓄電池の劣化診断
- 蓄電池の防災性を評価するため、充放電実績を基に容量劣化診断を実施。
- 指定避難所25箇所について、蓄電池の健全性を把握。
ピークカットに向けた検討
- 夏期(8月中旬〜9月上旬)の需要ピークを対象として蓄電池の遠隔制御を行い、15拠点で期間内におけるピークカット効果を確認。
電⼒需給バランス調整⼒への活用検討
- 蓄電池の充放電により指定避難所の受電電力を制御することで、電力安定供給のための調整力としての活用可能性を検証。
荒井東市営住宅の蓄電池における取組
- 荒井東地区においてエネルギーマネジメントに取り組んでいる一般社団法人荒井タウンマネジメントと連携し、東北電力独自のシステムを用いて蓄電池の遠隔監視及び制御を実施。
- 蓄電池の制御による受電電力のピークカット実現に向けたシミュレーションを実施。