更新日:2016年10月1日

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平成28年度施政方針要旨

平成二十八年第一回定例会の開会にあたり、市政運営の所信の一端と施策の大綱について申し述べます。

東日本大震災の発災後、「ともに、前へ」を合言葉に、議会をはじめ、市民の皆さまと力を合わせ、各方面から多大なるご支援を頂戴しながら懸命に進めてまいりました復旧・復興事業は、間もなく震災復興計画期間の終了という一つの節目を迎えます。
「百万人の復興元年」から、「復興実感の年」、「復興躍進の年」と復興への階段を着実に上り、最優先課題であった住まいの再建に関する事業も、防災集団移転による住宅再建や復興公営住宅への入居が本格化し、完了が見通せるところまでまいりました。
引き続き、かさ上げ道路をはじめ災害対応力を強化するための基盤整備を進めるとともに、新たなふるさとでのコミュニティづくりなどについて、被災された方々が希望を持って前に進むことができるよう、さらに丁寧に取り組んでまいります。
本市が復興に全力を傾注する間におきましても、全国的な少子高齢化は確実に進行しており、東京への人口流出を防ぎ、国内外からの交流人口を拡大するなど、東北の中枢都市として本市が手立てを講じなければならない課題は、一刻の猶予も許されない状態まできております。
これまで仙台が高く評価されてきた住みよさに加え、首都圏にはない魅力を創出し、若者の流出を食い止め、人を呼び込むための戦略を打ち立てる必要があり、まさにまちづくりの創意が試されています。
こうした認識のもと、基本計画の後半五年間で重点的に取り組むべき戦略として政策重点化方針2020を策定し、「東西線開業を契機とした都市の楽しさを創造するまちづくり」「社会のイノベーションを生み人口減少に挑むまちづくり」「防災と環境を基軸とした未来を創るまちづくり」の三本の柱を掲げました。
スタートとなる新年度は、復興の総仕上げに向けた取り組みを進めるとともに、人口減少社会に立ち向かい、未来へ向けた歩みを確かなものとするための重要な一年です。
その際、鍵を握るのは、市民協働をさらに成長、発展させることではないでしょうか。
発災から五年、町内会をはじめとする地域団体やNPOはそれぞれの持つ強みを発揮し、復興の推進力となりました。企業が独自の専門性やノウハウを提供した復興支援活動が積極的に展開され、また、志を持った若者によるボランティア活動や起業などが活発に行われたことに、このまちに愛着を持ち、支える主体の多様さ、力強さを感じ取ることができました。
復興を通じて顕在化し、高められたこうした仙台の強みは、複雑化する地域課題解決のための先駆的な取り組みへとつながるに違いありません。
防災力の向上、環境負荷の低減や子育て支援などさまざまな場面で協働の力を生かすため、目標を共有し、異なる分野の知恵を掛け合わせ、創意工夫を重ねる、新しい仕組みの構築に取り組んでまいりたいと考えます。人と人との出会いによって生まれるその力こそが、今後のまちづくりを力強く推進していくと確信するものです。
大きなポテンシャルを持つこのまちが持続的に発展していくため、人がまちを元気にし、まちが人を呼び込む仙台の都市文化を築きたい、このような考えのもと、新年度を「わたしたちが開く、新しい仙台」決意の年と位置付け、議会、市民の皆さまとともに誇りある未来を創るべく、各般の施策を推し進めてまいります。

新年度の施策の第一の柱は、「東西線開業を契機とした都市の楽しさを創造するまちづくり」です。
まちが元気であり続けるためには、国内外から多くの方々に訪れていただくことが不可欠であり、魅力の創出や発信に広い視野で取り組むことが重要です。
スポーツや文化、観光などの分野の有機的な連携を図り、戦略性を持って仙台・東北の地へ人を呼び込むべく、新たに「文化観光局」を設置し、交流人口の拡大に向けた取り組みを強化いたします。
これまでの広域連携の取り組みに加え、六魂祭で培ったネットワークや北海道新幹線の開業という好機を生かし、東北の各自治体との連携を深めながら、旅行商品の開発や教育旅行の誘致を促進し、首都圏等に仙台・東北の魅力を強くアピールしてまいります。
海外からの誘客につきましては、仙台空港の民営化を追い風とした国際定期便の誘致や滞在環境の充実などの取り組みを進めます。
G7仙台財務大臣・中央銀行総裁会議の開催に向け機運が高まる秋保地区については、受け入れ環境を整備するとともに、優れた観光資源を世界のメディアに向け強力に発信してまいります。
このまちが培ってきた文化の主役は市民の皆さまです。四季を彩るまつりやイベントを支援し、心を一つに盛り上がる機会や、出演者やボランティアとして活躍する場を広げていきます。
第六回を迎える仙台国際音楽コンクールは、才能あふれる若き音楽家たちの奏でる音を楽しみながら、音楽との絆を感じられるイベントです。
このような音楽を愛する文化が根付く、楽都にふさわしい音楽ホールの整備につきましては、有識者からご意見をいただきながら、引き続き検討を進めてまいります。
世界的なスポーツの祭典である東京オリンピック・パラリンピックに向けては、参加国・地域を応援するホストタウンとしてキャンプ誘致などに取り組むほか、国際スポーツイベントの誘致などを通じて、機運を醸成してまいります。
東西線の開業は、人の動きを変え、まちに新たな刺激をもたらしています。新しく手にした東西線を、移動手段にとどまらずフルに活用していくことで、このまちの可能性はさらに大きく開かれていくものと考えます。
開業の盛り上げに力を発揮したWEプロジェクトを今後のまちづくりへとつなげていくため、人材の育成を進め活躍の場を広げていくほか、アーティストが滞在して地域の方々とともに作品を制作するなど、地域の魅力を発信するアートによるプロジェクトに取り組んでまいります。
東西線の駅については、駅上部空間への保育所整備や集う場づくり等により機能と魅力を高め、特に、結節点となる仙台駅においては、民間開発とも連動しながら、自由通路でつながる東西の一体的なにぎわい創出に取り組んでまいります。
沿線地域における集客施設、居住施設等の立地誘導や、都心部における民間の不動産等のリノベーションを促進し、都市機能の集積や既存資産の新たな活用を図ります。
東西線が加わった交通体系を最大限に生かすとともに、都心の道路空間の利活用など、まちの魅力向上にもつながる都市交通政策の検討を進めます。
これらの取り組みにより、東西・南北の都市軸を、そこに行けば新しい何かに出会える、楽しさへの期待感あふれる場所としてまいります。

第二の柱は、「社会のイノベーションを生み人口減少に挑むまちづくり」です。
社会のイノベーションとは、まちづくりの新たな手法を用いて課題解決や魅力づくりを進めていくことです。地域経済の活性化や福祉の充実に向け、国家戦略特区を活用するなど、仙台独自の施策を展開し、人口減少に伴う課題への対応を進めてまいります。
人材や知的資源の豊富さといった本市の強みを生かして、不断のチャレンジにより新たな成長産業を育てるなど、地域経済の振興を図ってまいりたいと考えます。
「日本一起業しやすいまち」を目指し、起業家同士の交流会や啓発イベントの開催などにより、機運の醸成を図るとともに、法人設立や雇用手続きなど各分野の専門家による相談会の定期的な実施や、国の雇用労働相談センターの誘致などにより、起業を支援する環境を整えてまいります。
本市経済の中核である中小企業の活性化に向けては、基金を効果的に活用し、人材確保の総合窓口の設置や、クラウドファンディング事業者と連携した資金調達の多様化などの取り組みを進めます。
首都圏からのUIJターン就職を促進するため、首都圏の大学へのプロモーションや合同企業面接会を実施するとともに、管理職として活躍する女性を育成するプロジェクトを実施するなど、仙台経済活性化の鍵となる人材の確保・育成に努めてまいります。
東部沿岸地域の復興が進む中、リニューアルオープンする農業園芸センターにおいては、収益性の高い農業に向けた支援や、市民が農と触れ合う場づくりに取り組みます。また、都市部の人材を農村地域に受け入れ、地場産品の開発・PRに取り組むなど、農と食を連携させたビジネスを推進いたします。
若い世代の方々に仙台を定住の地と定めていただくためには、働く場の確保に加え、子育て環境の充実が肝要です。出産、保育から就学と切れ目ない総合的な取り組みを充実させ、子育て応援社会を形成してまいります。
妊娠から子育てまでのさまざまな相談や支援をワンストップで行い、安心して子を産み、子育てを楽しむことができる環境づくりを進めます。
待機児童対策といたしましては、認可保育所や小規模保育施設などの整備を鋭意進めるとともに、保育サービス相談員による丁寧な相談と調整により、ニーズに合ったサービスの提供に努めてまいります。さらに、国家戦略特区の活用により、地域限定保育士試験を新たに実施し、保育人材の確保に努めるほか、都市公園への保育所の設置に向けた取り組みを進めます。
子どもの貧困対策として、学習・生活サポート事業を引き続き実施するほか、児童養護施設等に入所している児童に対し就業や自立のための支援を行うなど施策の充実に努めてまいります。
喫緊の課題であるいじめ問題については、全中学校に専任教諭を配置するとともに、二十四時間体制の相談専用ダイヤルを設置するなど、市を挙げて防止に取り組みます。
豊かな体験活動を提供する学校支援地域本部の設置を市内全域に広げ、地域ぐるみで仙台の未来を担う子どもたちの育ちを応援いたします。
高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けるためには、健康づくりから日常生活の支援、医療、介護までをトータルで支える環境づくりが重要です。
平成二十九年度からスタートする介護予防・日常生活支援総合事業を見据え、全ての地域包括支援センターに専任職員を配置し、地域で高齢者の生活を支える体制づくりを進めるとともに、介護予防プログラムの実践と効果検証を行い、円滑な事業運用に向け準備を進めてまいります。
今議会に提案しております「仙台市障害を理由とする差別をなくし障害のある人もない人も共に暮らしやすいまちをつくる条例」に基づき、障害及び障害者への理解を促進するための普及啓発を行うとともに、紛争解決のための調整機関の設置など体制整備に努めてまいります。

第三の柱は、「防災と環境を基軸とした未来を創るまちづくり」です。
環境への意識が高い「杜の都」の個性に、震災から立ち上がる中で鍛え上げられてきた防災力という新たな価値を融合させ、世界に広げる防災環境都市づくりを進めてまいります。
災害からの復元力の高い都市としての本市の取り組みを発信するとともに、インドで行われるアジア防災閣僚会議への参加や、防災に関する国際会議の誘致などを通じて、本市の存在感を示し、仙台防災枠組の国際的な推進に貢献してまいります。
本市における市民協働の力を結集し、若年層等を対象としたごみ減量・リサイクルの啓発キャンペーンを実施いたしますとともに、地域特性を踏まえた温室効果ガス排出削減の取り組みを促進し、環境に優しいまちとしての底上げを図ります。
創エネルギー導入促進助成や民間施設への再生可能エネルギー導入補助などにより、エネルギー自律型のまちづくりを推進いたします。
ふるさとの杜再生プロジェクトでは、海岸公園の蒲生・荒浜地区への植樹を実施して海岸防災林をはじめとしたみどりの再生を図り、安全な未来への願いを託します。
有事の際の対応力の強化に向け、気象情報や避難情報などの災害時の情報発信を一元的に管理するシステムを開発して、市民の皆さまに的確な情報を迅速にお伝えしてまいります。
コミュニティや市民の自助・共助の力は、仙台の防災力を支える基礎となるものであり、防災意識の高い人材を育てるため、地域防災リーダーのバックアップ研修を充実させるほか、防災分野をはじめ地域において女性がリーダーシップを発揮できるよう、研修会やフィールドワークを行います。
震災の教訓を踏まえた本市独自の防災教育に取り組んでいる学校の研究成果を生かし、より実践的な防災教育のプログラムを構築するとともに、リニューアルする環境交流サロンでは、大学との連携講座の開催に加え、小中学生に環境に関する総合学習ができる場を提供するなど、幅広い市民を対象とした学びの場において防災・環境への意識を高めてまいります。
未曾有の震災を経験した私たちにとって、教訓を後世に、世界に伝えることは使命であり、文化として次代へ継承するために拠り所となる場が必要です。
間もなく本格オープンする荒井駅内の「せんだい3.11メモリアル交流館」においては、市民の方々とともに防災文化を深めるための企画を実施してまいります。
この東部沿岸地域の拠点と連動させ、震災の記憶と経験を発信していくためには、市内外の方がより多く集まる中心部における拠点も必要であり、外部委員会を立ち上げ、具体の構想について検討を進めてまいります。

もとより、こうした三本の柱により仙台の次なる道を切り開くためには、復興の長期的な課題にしっかりと対応してまいらねばなりません。
被災された方々が気持ちを新たに生活をスタートしていただけますよう、住宅の再建先において、町内会等による交流活動を支援し、震災をきっかけに生まれたつながりを育み、交流を楽しめるコミュニティを形成してまいります。
沿岸部におきましては、遺構として保存する荒浜小学校やモニュメントの整備を進め、震災の記憶や地域の歴史をその地に刻みます。
復旧・復興の取り組みを振り返り、直面した課題や対応策など震災から得た教訓を取りまとめ、本市の災害対応に生かしますとともに、他の自治体にも参考としていただけるよう、復興記録誌を編さんし、復興の総括を行ってまいります。

最後に、都市経営の推進についてであります。
各般の施策を確実に実現していくためには、その進行管理が肝要であり、現在策定を進めている実施計画において、市民の皆さまにわかりやすい評価指標や工程表をお示しし、着実な事業の推進に努めてまいります。
安心して利用できる公共施設を将来にわたり提供していくため、適切な保全を行っていくことが必要であり、学校や市民センターなど市民にとって身近な施設の改修を計画的に進めながら、大規模施設改修のための基本計画策定に着手するなど、戦略的に取り組みを進めます。
また、ガス事業につきましては、経営基盤の強化に努めつつ、今後の在り方の検討を引き続き行ってまいります。
適切な市有債権管理に向けては、現在策定中の基本方針に基づき、統一的な手続き・基準を定めるとともに、効果的な管理を行うため、弁護士など専門家による支援体制を整えてまいります。
職員の人材育成におきましては、市民協働やコンプライアンスに対する意識の向上に引き続き取り組みながら、意欲の高い実行力のある職員の育成に努めます。
これらの項目を盛り込みます次期行財政改革計画に基づき、まちづくりを下支えする取り組みを着実に進めてまいります。

東日本大震災は、このまちに厳しい試練をもたらしましたが、仙台市民はこれまで培ってきた協働の精神、地域コミュニティの底力により、これを乗り越えてまいりました。市役所もまた、経験したことのない困難に対し、地道な努力と挑戦を積み重ね、全力で立ち向かってまいりました。
難局を切り開き、未来への手応えを確かにした今、仙台の将来の姿を共有し、市民の皆さまと行政が力を一つにして、次の一歩を踏み出すことができると考えます。
未来は自らの手で創るという気概を持ち、百八万市民の皆さまとともに、「新しい仙台」を開くため、持てる力の全てを注いでまいる決意でございます。

以上、市政運営の所信の一端と施策の大綱について申し述べてまいりました。
議員各位及び市民の皆さまのご理解ご協力を心からお願い申し上げます。

仙台市長 奥山恵美子

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まちづくり政策局政策企画課

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