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更新日:2024年2月9日

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令和6年度施政方針要旨

令和6年第1回定例会の開会にあたり、市政運営の所信の一端と施策の大綱について申し述べます。

初めに、改めて令和6年能登半島地震によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被害に遭われた方々に対し、心よりお見舞いを申し上げます。多くのご支援により東日本大震災を乗り越えてきた本市は、その教訓やノウハウを生かしながら、被災された地域の皆さまを積極的に支えてまいる所存でございます。

コロナ禍が収束した令和5年度は、全国都市緑化仙台フェアやG7仙台科学技術大臣会合、都心再構築、脱炭素先行地域への選定など、多くのプロジェクトが動き出す年となりました。また、5月の国連本部における仙台防災枠組中間評価の発表などを通じて、東日本大震災の教訓をもとに進めてきた防災環境都市づくりが国際的にも高く評価され、このような取り組みを広げていくことで本市の強みを世界に発信できることを実感したところでございます。

今後とも、市民、大学、企業など多くの皆さまとの協働により、動き出した各般のプロジェクトを確かなものとしながら、都市機能のアップグレードを図ることが不可欠であり、そのためには、コミュニケーションを活性化し、失敗を恐れず果敢にチャレンジしていく姿勢こそが重要であると、私は考えます。

折しも、昨年、東北大学が唯一の国際卓越研究大学の認定候補となり、女性研究者に加え、留学生や外国人研究者を大幅に増加させる等の成果指標を掲げたほか、本年4月の次世代放射光施設ナノテラスの運用開始により、本市は、多くの企業、研究者を迎えることになります。

令和6年度は、国内外に「仙台」を打ち出す絶好の機会です。ダイバーシティの視点からこのまちのあり様を見つめなおし、国籍や年齢、性別、障害の有無などに関わらず、誰もが自分らしく輝くことのできる環境を確立していく。このことこそ、本市が内外から選ばれる都市となるために求められるのです。

その実現に向けて、「(仮称)ダイバーシティ推進会議」を立ち上げ、内外への情報発信、サインや公共施設のユニバーサルデザインなど、各般にわたる取り組みを検討するとともに、教育・研究機関の集積を活用し、最先端のリサーチコンプレックス形成に向け企業誘致を進め、産学官協働によるイノベーション創出の基盤づくりを推進します。

昨年開始した「仙台グローバルスタートアップ・キャンパス」では、選抜された高校生を含む20名の若者がシリコンバレーやボストンに渡りました。このような取り組みを強化し、大学発スタートアップなど、このまちに暮らし、学ぶ若者の世界に向けたチャレンジを積極的に応援してまいります。

また、コロナ禍で加速した少子化に対応するとともに、地域活力を維持するためにも、「子育てが楽しいまち・仙台」の実現に向けた歩みを強化していかなければなりません。

そのため、まず、安心して出産できる環境づくりに向けて、妊婦健康診査費用の助成額引き上げや助成回数の拡充、不妊に関する検査や先進医療治療に要する費用への助成を行うほか、産後ケア事業の利用者負担軽減の取り組みを進めてまいります。

子育てする皆さまが「楽しい」と実感できるまちづくりに向けては、仕事と育児が両立できる環境整備や若い世代の雇用の確保、公園などの社会基盤を子育ての視点から見直すなど、部局を超えた取り組みが必要となります。男性育児休業の取得促進に向けた中小企業向け奨励金制度創設など、本市独自の支援策を拡充するとともに、仙台こども財団による職場環境づくり支援をはじめ、地域社会全体で子ども・子育てを支える体制の確立を推進いたします。

デジタル技術の進化は日進月歩です。情報は瞬時に国境を越え、Web3.0などの次世代技術は社会・経済活動に大きな影響をもたらします。令和6年度から3年間を「Full Digitalの市役所」実現に向けた集中改革期間と位置づけ、新たなデジタル技術も積極的に活用しながら本市業務プロセスの再構築を行い、効率的で利便性の高い行政サービスの提供に努めてまいります。

カーボンニュートラルや資源循環型社会の実現は世界的な課題であり、防災環境都市づくりを進める本市として、昨年国より認定を受けた脱炭素先行地域における取り組みを加速するとともに、地域企業の脱炭素経営の後押しや、市有施設ZEB化の率先推進などにより、まちの脱炭素化を強力に進めます。また、企業や大学等との連携による資源循環を推進いたします。

選ばれる観光都市、グローバルMICE都市の実現に向けては、国内外でのトップセールスに取り組むほか、直行便確保の課題ともなっている仙台空港からのアウトバウンド推進や、国連世界観光機関による国際会議の本市開催を目指します。また、さらなる本市観光の魅力向上と、そのための安定的な財源となる宿泊税の導入に向け、宮城県や宿泊事業者をはじめ関係する皆さまとも調整を進めてまいります。

今夏には、前身の六魂祭から数えて三巡目となる東北絆まつりが本市で開催されます。東北の中心都市として発展してきた本市にとって地域活力は重要であり、絆まつりを契機として東北各地の魅力をPRし、交流人口の拡大を図ります。

昨年秋に東北各地の自治体と連携して開催したDXイベントには1,000人を超える参加者があるなど、DXは自治体の関心も高く、人口減少が進む東北の課題解決に有効であることから、各自治体との連携を強めながら東北の持続的な活力維持に取り組んでまいります。

少子高齢化や人口減少が加速する中、本市が将来にわたって都市活力を維持するためには、グローバルな視座に立ってまちづくりを進め、内外との交流を活性化させることでイノベーションを創出し続けることが不可欠です。

そのため、本市が進めてきた「ひと中心のまちづくり」を世界に通用するステージへと押し上げ、人や投資を呼び込み、まち全体の活力へとつなげていくことが重要であり、持続可能で誰一人取り残さない「社会の包摂的成長“Inclusive Growth”」を、この仙台から実現する所存でございます。

そのような考えのもと、新年度におきましては、「未来の担い手を育み、生き生きと学べる環境の充実」、「都市個性を生かした賑わい・活力の創出とグローバルな魅力の発信」、「安全・安心な暮らしを支え、自分らしく輝ける活躍の応援」の3つを柱に据え、市議会をはじめ、市民の皆さまとともに、各般の施策を推し進めてまいります。

施策の第一の柱は「未来の担い手を育み、生き生きと学べる環境の充実」です。

重い障害がある児童等を育てる保護者への支援を強化するため、特別支援保育の対象を、重度障害児等に拡充します。

また、子育て家庭の支援強化と子どもの健やかな育ちを支えるため、令和5年度から実施しているモデル事業の結果を踏まえ、就労要件を問わずに保育施設等を利用できる「(仮称)こども誰でも通園制度」の導入に向けた試行事業に取り組んでまいります。

児童館においては、令和8年度までの3年間で全ての遊戯室にエアコンを設置すべく取り組みを加速させるなど、児童の生活の場・遊び場の環境改善を図るほか、学校でも、特別教室及び体育館へのエアコン整備やトイレ洋式化、防犯カメラ設置等の環境整備を推進します。

さらに、公立保育所及び小中学校の給食について、物価高騰による食材料費の増加分を公費により負担します。

そして、地域社会全体で子ども・子育てを応援する機運を醸成するため、仙台こども財団の事業展開を通じた多様な主体とのネットワーク構築を進めるとともに、仙台の子育ての魅力を発信していきます。

子どもの遊びの環境充実に向けては、既存資源の活用や都心部の賑わい創出にも資する遊び場の検討を行うほか、自由な遊びをサポートするプレーリーダーの育成に取り組みます。また、子どもの創造性や豊かな感性を育むため、学校や保育所、幼稚園などに芸術家を派遣するアウトリーチ事業を実施します。

もとより、子どもの権利が守られ、個性に応じた教育環境の確保こそが、生き生きとした学びの基本となります。35人以下学級を小学校6学年まで拡充し、国に先んじて小中学校の全学年に適用するほか、不登校支援について、在籍学級外教室「ステーション」の小学校への拡大に加え、学びの多様化学校、いわゆる不登校特例校への通学やフリースクールへの通所の支援、オンラインを活用した居場所や学びの場の確保を行います。いじめにつきましても、未然防止や早期発見、早期対応に係る取り組みを強化してまいります。

市立学校の情報化の一層の推進に向けて、ネットワーク回線を強化するとともに、校務支援システムに入力された情報を集約して可視化できるダッシュボード機能を導入し、児童生徒の迅速な状況把握や効果的な施策展開に活用します。

また、学生の交通機関利用を支援しながら、公共交通の利用促進につなげるため、学生フリーパス制度を導入します。

施策の第二の柱は「都市個性を生かした賑わい・活力の創出とグローバルな魅力の発信」です。

地域経済の持続的発展に向けて、成長意欲の高い中小企業を継続的・集中的に支援するとともに、留学生も含めた多様な人材活躍に向けた後押しや中心部商店街の賑わいづくりに取り組みます。

併せて、東北大学をはじめとした産学官連携により、回遊性向上のための自動運転の実証やオンライン診療カーの実装など、市民ニーズに即した先端的サービス創出や規制改革を実現してまいります。

農業分野についても、津波被災から復興した東部地区でスマート農業機械の導入や新技術を活用したモデル実証事業に取り組み、持続可能な農業を確立します。

交流人口の拡大に向けては、国内外から選ばれる仙台実現のための新たな観光戦略を策定し、効果的な誘客と魅力の発信を進めるほか、人手不足に悩む宿泊事業者の人材確保を支援します。

スポーツ分野では、市民がスポーツに親しむ機会を創出し、交流人口拡大による地域活性化にもつなげるため、全国・国際規模の大会誘致を進めます。

文化振興については、現在策定を進めている文化芸術推進基本計画に基づき、共生社会実現に向けた取り組みなど、社会課題解決に資する公益性の高い文化芸術活動への助成と、広報等の伴走支援を行うとともに、漫画・アニメを含む本市ゆかりの多様な文化コンテンツを生かして、まちの活力向上を図ります。

本市が誇る資源の魅力充実に向けては、青葉山エリアにおいて、仙臺緑彩館に伝統文化と最新テクノロジーを織り交ぜた観光コンテンツの充実を図るとともに、滞在環境を整備します。また、るーぷる仙台でタッチ決済を試行的に導入するほか、音楽ホール・中心部震災メモリアル拠点複合施設の基本計画を策定し、それを踏まえて基本設計に着手します。

勾当台・定禅寺通エリアでは、本庁舎をはじめとした再整備を着実に進めるとともに、一番町四丁目商店街の回遊性向上を図る取り組みなどを支援し、個性が際立つ交流の場を創出します。また、大町・西公園エリアのまちづくりや西公園南側の再整備、広瀬川の賑わいづくりを進めてまいります。

他の地域でも、東部沿岸部においてループバスの試験運行や貞山運河の利活用推進、せんだい農業園芸センターへの簡易宿泊施設の試行設置を行うほか、長町地区の歩いて楽しい街並み形成推進や泉中央地区の賑わい創出、宮城総合支所庁舎建て替えによる拠点機能強化を図るための基本構想策定に取り組みます。さらに、秋保地区では秋保大滝・二口エリアの魅力向上を図ってまいります。

都市のブランド価値向上、発信に向けては、全国都市緑化仙台フェアで高まった緑化意識を新たな百年の杜づくりにつなげていくため、緑化に係る市民協働の取り組みを支援・推進します。

また、世界防災フォーラムへの参画等を通して、防災・減災や復興の取り組みを継続的に国内外に発信していくとともに、仙台防災枠組の更なる推進に向け、オンライン上のプラットフォームを活用し、関係者間の連携を強化してまいります。

資源循環の推進については、定禅寺通・国分町エリアにおける食品廃棄物をリサイクルするモデル事業の実施や、若林区における、デジタル技術によりごみ収集の最適化を図る実証実験などに取り組みます。

都市インフラの面では、地下鉄南北線に安全性・快適性の高い新型車両を導入するほか、ガス事業の民営化について、市民の皆さまの利便性向上はもとより、地域経済の活性化にも資するものとなるよう、引き続き取り組んでまいります。

施策の第三の柱は「安全・安心な暮らしを支え、自分らしく輝ける活躍の応援」です。

女性の活躍を一層後押しするため、女性登用に向けた啓発や人材育成支援を行うとともに、性の多様性が尊重される社会の実現を目指し、理解促進に係る取り組みやパートナーシップ宣誓制度の年度内導入に向けた検討を行います。

また、映像通訳による多言語サービス拡充などを通じた多文化共生推進に加え、障害者への差別解消、理解促進を図るため、ポータルサイト構築や当事者との交流促進、本庁舎仮囲いへの障害者アート作品の掲出などに取り組みます。

若者の社会参加推進に向けても、地域課題解決に自ら取り組む場を設けるほか、若い世代の定着やコミュニティの維持に資するよう、子育てしやすい良好な住宅への住み替えや、結婚し新生活を始める若年世代への支援を行います。

様々な困難を抱える方への支援については、子ども食堂を運営する団体への助成継続に加え、課題を抱える家庭の小学生に対し生活習慣の確立等を支援するとともに、部局間連携のもと潜在的なヤングケアラーを把握し、子どもたちやその家庭を適切な支援につなげてまいります。

さらに、昨年実施したひきこもりニーズ調査の結果を踏まえ、フォローアップや情報発信、居場所の確保支援などを強化するほか、東日本大震災で被災され、今なお困難を抱えている方への個別支援や健康相談などを継続します。

犯罪の被害者やそのご家族への支援に向けては、有識者による懇話会の議論も踏まえながら、年度内の条例制定を目指した検討を加速してまいります。

本市が将来にわたって都市活力を維持するためには、高齢者が生き生きと暮らし、その意欲と能力に応じて力を発揮できる環境を整えることが重要です。市民の皆さまが年齢に関わらず健やかで心豊かに生活できる「健康の都」の実現を目指し、パーソナルヘルスレコードの活用や生活習慣の改善等による健康寿命延伸、タブレットをはじめデジタル機器を活用したフレイル予防などを展開するほか、敬老乗車証制度について、丁寧な説明に努めながら見直しを行い、高齢者の社会参加促進策としての持続性確保を図ってまいります。

また、救急隊の増隊や救急情報システムの機能強化の取り組みを進めるとともに、救急患者受入病院からの転院体制の構築や在宅医療を支える事業所への支援など、医療提供体制の充実を図ります。

さらに、外国人人材の活用も含めた介護事業所の人材確保への支援や、ICTによる障害福祉サービス事業所の業務負担軽減を推し進めます。

防災・減災の推進についても、福田町周辺とその上流域を「仙台市流域治水推進モデル地区」と位置づけ、農地での田んぼダムや宅地での地域協働による流出抑制の実践・実証などに取り組むほか、宮城県による第五次地震被害想定調査の結果を踏まえ、今後の被害軽減に向けた行動計画を策定します。

最後に、行政運営と職員の意識の改革についてです。

社会環境が大きく変化する中において、本市は、将来を見据えながら先手を打ち、市民の皆さまの期待に的確に応えていかなればなりません。

そのためには、ベテラン層の退職などの状況も踏まえながら、業務執行の見直しと多様な人材の確保・育成、働く環境の整備など、職員一人ひとりが能力を十分に発揮し、高い意欲を持って職務に向き合える体制を構築することが重要になります。新たなDX推進計画の着実な実行や障害福祉事務センターの設置など業務改革を推し進め、市民ニーズに向き合い、「ひと」中心の業務に注力できる体制を確立してまいります。

さらに職員には、財政制約が強まる中にあって、どうすれば国内外で仙台の存在感を高め、持続可能なまちづくりを進めることができるのか、自ら考える姿勢を求めたいと考えております。私自身のリーダーシップのもと、市民福祉の向上と本市のイノベーション創出に向けた挑戦を続けながら、市民の皆さまとともに全庁挙げて未来の仙台を切り開いていく所存でございます。

以上、市政運営の所信の一端と施策の大綱について申し述べてまいりました。

新年度は、グローバルな視座に立ったまちづくりへの新たなチャレンジをスタートさせる画期となる一年です。各般の取り組みを確実に成果へと結びつけ、本市に関わるすべてのひとが輝き、笑顔と活力があふれる「“The Greenest City” SENDAI」の実現に向けて、力を尽くしてまいります。

議員各位及び市民の皆さまのご理解ご協力を心よりお願い申し上げます。

仙台市長 郡 和子

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まちづくり政策局政策企画課

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