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更新日:2024年3月29日

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カバの「カポ」の安楽死処置について

これまでの経緯

「カポ」は、当園で飼育していたオスの「ダブ」とメスの「ブカ」の子どもで、昭和47年に当園で生まれました。「ダブ」と「ブカ」が死亡した後も、オスの「ベロ」やメスの「ヒタチ」を迎え入れ30年以上一緒に暮らしてきました。大きな病気はほとんどなかった一方で、15年前より後肢の関節炎がひどくなり歩くのが厳しくなってきました。
平成23年の東日本大震災の際には、プールの冷たい水で立つことができなくなり、職員全員で温水を運び厳しい状況を乗り切りました。
その後も、サプリメントの投与やダイエットなどで関節炎の悪化を予防しながら、気付けば今年50歳を迎え、国内のメスカバで最高齢となっていました。
今年の夏ぐらいから食欲がないことが増え、歩き方もとてもゆっくりとなっていました。

最近の状況

11月27日に屋内プールから陸に上がったのを最後に、座り込み立つことができなくなってしまいました。
11月28日からは、飼育員が与える餌を一切食べなくなり、水を飲むだけとなりました。
12月7日からは、水を飲みこむことができなくなり、全身の状態は大きく悪化しました。

安楽死の選択

当園では、動物の飼育管理において、(1)生活の質(QOL)の向上を維持し、(2)動物の尊厳を守り、(3)耐えがたい苦痛を継続して与えないことが動物福祉(アニマルウェルフェア)上求められると考えております。さまざまな状況下で、これらの確保が困難な場合は、安楽死の処置を選択する場合もありえます。
今回の「カポ」においても、以下の状況が顕著になり、治療及び適切な飼育管理を行っても苦痛の緩和・除去や生活の質(QOL)の維持が困難であると判断し、安楽死処置を行いました。

  • 両後肢機能不全による起立困難(両前肢も力入らず)
  • 食欲廃絶による著しい削痩(17日間)及び飲水廃絶による著しい脱水(8日間)
  • 横臥状態の継続により、内臓の圧迫や身体の褥瘡(一部皮膚が腐敗)が進行
  • 血液検査結果により腎機能不全所見を認め、尿毒症発症の可能性が高い
  • 病的眼球震盪が認められ、中枢神経系不全の兆候がみられる

処置後の結果

病理解剖の結果、従来より機能不全がみられた四肢の関節面に変形がみられました。また右横臥で2週間以上起立不能となっており、褥瘡や筋膿瘍が形成され、その結果、敗血症が生じていた可能性も推察されました。今回、起立不能となった直接の原因は判明しませんでしたが、高齢による健康状態の悪化と四肢の機能不全から生じたものと考えられました。

 

当園で生まれ、50年という長い間、飼育員と皆様に愛された「カポ」のご冥福を職員一同心からお祈りいたします。

お問い合わせ

建設局 八木山動物公園 飼育展示課
仙台市太白区八木山本町1丁目43
電話:022-229-0122