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更新日:2024年3月28日

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補助金活用事例集volume34:株式会社一心寿司

 

事業者紹介

一心寿司代表の写真

事業者

一心寿司

所在地:宮城県仙台市若林区南鍛冶町34-2

活用補助金

小規模事業者持続化補助金

既存事業 寿司店

 

活用事例集:地域密着型の寿司店が事業承継を機に再起 店に活気を取り戻すべく新たな顧客層の開拓へ

1979年の創業以来、地域密着型の寿司店として地元の常連客を中心に愛されてきた一心寿司。先代の父母が長年かけて築き上げた店舗を承継した現代表の尾形公一さんは、ネタとシャリへのこだわりはそのままに、新たな顧客層開拓に挑みました。その経緯や補助金活用のポイントについて尾形さんにお話を伺いました。

 

 事例集34(PDF:2,024KB)
 画像をクリックすると活用事例集volume34が開きます。

 

インタビュー記事

一心寿司外観の写真

 

──はじめに事業概要について教えてください。

1979年に父母が「一心寿司」として創業し、約20年前に現在の場所(若林区南鍛冶町)に店を構えました。店舗自体はそれほど広くないのですが、とにかくネタとシャリにこだわり、長年かけて地域を代表する寿司店となれるよう励み、おかげさまで多くの常連のお客様にご利用いただいてきました。

寿司を握る様子

 

――お店の特徴を教えてください。

ネタは毎日市場に足を運び、新鮮で良質な素材を仕入れています。昔と比べて物流システムも整備されていますので、全国の美味しいものが新鮮な状態で手に入ります。地のものにこだわるというより、その時々の旬の素材を目利きして仕入れています。シャリは様々な品種を試行錯誤した結果、今はコシヒカリを使用しています。

寿司の写真

 

――事業継承されたきっかけを教えてください。

長年、店を二人で切り盛りしてきた父母も年齢を重ね、比例するように常連客も高齢化で足が遠のく方が多くなりました。以前は盛んであった出前も少なくなり、店の活気も薄れつつあった中での新型コロナ感染症の流行。最初は店のコロナ関連の助成金申請などをサポートするだけでしたが、当時はお客様の来店が全くない状況が続き、私は父が握る寿司が好きでしたし、二人が築き上げてきた店をこのまま終わらせるわけにはいかない。そう思い、2020年10月に事業承継することにしました。

 

――それまで経営の経験はあったのでしょうか。

父の知り合いの寿司屋で4年ほど学ばせていただき、その後はホテルや仕出し屋で長年和食の調理などに携わってきました。その間、一度「店を継ごう」と戻ってきたこともありますが、当時の父はバリバリの現役。衝突も多く、一緒に働くのは難しいと考え、改めて外に出て働いていました。

勤務先の和食店では、寿司のオーダーがあれば自分が握って提供しており、握りに関しての不安はありませんでした。それよりも和食店での自分の経歴がプラスに働くと感じました。例えばこれまでは一人前の寿司しか提供していませんでしたが、和食店での経験を生かしておつまみとなるような料理を提供すればお酒が進み、客単価も上がります。寿司だけでなく、その時々の旬の一品ものを提供し、お客様の満足度を高めていけると感じていました。

インタビューに応じる尾形代表

 

――事業承継にあたり、どんな課題がありましたか。

ひとつは、テイクアウト需要に対して店舗の設備が対応していない状況でした。店舗は非常に窮屈で、一度に多くの注文が入っても器を並べ、盛り付けするスペースがありませんでした。こちらは早急に改善が必要でした。もう一点は新たな顧客層の開拓です。これまでの常連客は父と同年代でしたので、若い世代の方々に店を知ってもらい、利用していただかなければ、今後は厳しいだろうと感じていました。ですが、店舗のしつらえはいわゆる昔ながらの寿司屋。特に若い世代の方々には敷居の高いイメージを持たれ、利用を遠ざける要因になっていたと思います。事業継承にあたり自分が思い描いたのは、小さな子ども連れでもふらりと利用できる地元のお寿司屋さん。誰でも安心して、気軽に美味しい寿司を食べられる店にしようと思いました。

新たに整備した個室ブースの写真

 

――課題の解決に向けて補助金を活用されたと伺いました。

持続化補助金は、店舗の改装、ホームページの構築などに活用しました。これまで十分に活用できていなかったスペースを活用し、テイクアウト注文にも対応できるよう作業台を設けた他、座敷席からテーブル席に変更したり、新たに個室を確保し、今のお客様のニーズに合う空間に改装しました。また、メニューや店の特徴の紹介は店舗外にある看板や地元の口コミに依存していましたが、自社ホームページを立ち上げ、多くの人に当店のメニューやこだわりをアピールしようと思いました。安心して利用していただけるように、握りの価格一覧も表示しています。

テイクアウトを準備する様子

 

――その効果はいかがですか。

ホームページや看板でのアピールが奏功し、テイクアウト利用が増えました。近隣の会社からの問い合わせも増え、学生の方からの注文も少なくありません。若い世代の方にとっては寿司といえば回転寿司ですが、価格を明示したことで「それくらいの手頃な金額で食べられるんだ」と興味を示してくれる方も多いです。それまでスーパーや回転寿司の寿司を購入していた方が、当店の寿司を食べて「全然違います」「もっと早くに知っていれば」と言ってくださることもあります。自分が思っている以上に、皆さん寿司屋に興味を持っていることが分かり、これは新しい気づきでした。

 

――お店で飲食されるお客様の層も変わりましたか。

がらりと変わりました。承継当初は60代以上の方がほとんどでしたが、現在は約8割が30~40代の方。個室には小さな子ども連れのお客様の姿も見られ、ランチではさらに若い世代の方にもご利用いただいています。それまでランチメニューは一皿になるべく多くの握りを盛り付けて1,000円程度で提供していました。これをネタに応じて一つひとつ炙ったり、漬けにしたりと、一手間加えた握りを少量で提供するメニューを取り入れました。また、若い世代のニーズに合わせてキャッシュレス決済も取り入れました。やはり時代や顧客ニーズに合わせたシステムの導入は大切だと感じています。社会情勢の変化もあるので一概に比較はできませんが、新たな取組が奏功し、先代の頃より売上が数倍に増加しました。  

出前の電話に応じる様子

 

――補助金申請については、どんなサポートを受けましたか。

商工会議所には何度も足を運び相談しました。そのやりとりの中で、改装前に今後どういった店づくりが必要かといったイメージの具現化に向け考える良い機会になりました。ただ、申請書類の準備などに関しては、店舗の営業を続けながら自分一人で行うことは難しかったので、行政書士の方に助けていただきました。私が考える事業計画の内容を伝え、それを文章として作成していただき、自分は寿司に専念しながら申請書類を確認する日々が続き、かなり大変でした。今回は大掛かりな改装でしたので、自費だけでは厳しかったものが、周囲の方々のサポートのおかげで実現できました。

 

――事業承継をして、どんな点が良かったと感じますか。

店を継ぐ前までは、裏方として食に携わることが多く、お客様と直に接する機会はほとんどありませんでした。事業承継後、対面で寿司を提供するようになり、お客様から直接「美味しい」と言っていただける。自分の仕事に対してのリアクションがその場で返ってくることは非常にやりがいになっています。これまで雇用される立場で働いていて、経営者として事業を承継することには不安もありましたが、補助金を含めさまざまな支援制度があります。一歩を踏み出すことで初めて見える景色があるのだと実感しています。

また、事業承継をして改めて先代が築いてきた40年以上の歴史の重みを実感しました。こうした仕事を長年続けてきた父母はすごいなと、改めて尊敬しますね。

今後の展望を語る尾形代表

 

――最後に今後の展望についてお聞かせください。

思い描く「誰でも気軽に、安心して食べられる寿司店」に少しずつ近づいていると感じます。理想は敷居を低く、でも格式は高めること。そのためにはおいしい寿司の提供だけでなく、接客サービスも強化する必要があります。「少し高いけど、このお寿司ならまた食べたいね」と感じていただけるように、歴史を大切にしながらも、柔軟に変化をすることで、地域の方により愛される個人寿司店に向けこれからも努力していきます。

店頭に並ぶ飾りの写真

 

――本日は貴重なお話をありがとうございました。
 

補助金申請の相談窓口「オーエン」

オーエンロゴ(外部サイトへリンク)

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