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更新日:2025年4月30日
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事業者 |
鈴屋金物株式会社 仙台市若林区六丁の目中町21-5 |
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活用補助金 | |
既存事業 | 金属工事業 |
鈴屋金物株式会社は、建築物の金属工事をはじめ、資材販売やリフォームなどを行う昭和21年に創業した会社です。長らく人手不足の課題を抱えている建設業界ですが、こちらの会社では、人材の安定的な確保と育成を目的に、人材開発支援助成金を活用して、新入社員のビジネススキルや建設工事の設計図面の制作といった専門的な研修を実施しています。助成金をどのように活用したか、代表取締役の鈴木大輔さんに伺いました。
(PDF:3,113KB)
画像をクリックすると活用事例集volume38が開きます。
──はじめに事業概要について教えてください。
※以下、敬称略
(鈴木)当社は、仙台・東北を中心に、建築物の金属部材を設計・製造・施工する金属工事を行っている会社です。特に、大手のゼネコンから委託を受け、手すりやパネル、雨どい、タオル掛け、物干しといった金属工事を請け負うことが多いです。ほかにも、建築現場への資材販売や、個人宅のリフォームなども行っています。創業が昭和21年で、私は4代目になります。
──人材開発支援助成金は、どのように利用していますか。
(鈴木)建築物に設置する金物の設計や工事には図面が必要です。図面を書くためにはCADというソフトを利用するのですが、初心者が独学で、現場で使えるレベルを身につけるには難しい技術なので、社員には、専門の講習を受けてもらっています。25日間、1日2時間ほど通学するもので、朝会社に来て、講習を受けて、また会社に戻ってくるスタイルです。6年ほど前から助成金を活用して人材育成に取り組んでいます。
今年度、高卒で採用した新入社員に、CAD講習のほかに、ビジネススキル研修も受けてもらいました。ビジネススキル研修は月1回、半年ほど実施されます。電話やメール等の応対方法といったビジネスマナーから、仕事としての目標の立て方、ビジネスの構造など、社会人の第一歩として、さまざまなことを学べる大事な機会です。一般的な中小企業はOJTを通じて学ぶと思いますが、当社では人材育成の観点から、外部の研修を活用して、しっかりと基礎を身に付けてもらうようにしています。研修を受けるたびに、成長していく様子が見て取れて、頼もしく感じました。
今回は、60%の補助が受けられました。研修はひとり40万円ほどかかるので、大変助かりました。
──CADの研修が必要だと感じたのはなぜですか。
(鈴木)建築物に設置する金物の設計や工事には図面が必要です。当社は以前、CADを使って製図できる社員が2名しかおりませんでした。しかも、その2名は営業を兼ねて大変多忙で、お客さまの要望に合わせた図面をパッとつくるのも、他の社員にCADの使い方を教えるのも、難しい状況でした。
また、建設業界全体が常に人手不足となっているなかで、CADが使える社員を増やすにはどうすればいいか悩んでいました。そこで、今までは少なかった女性社員の採用に力を入れることで、人材不足を解消したいとの考えに至りました。
採用以降に、CADのスキルが身につけられることを当社のアピールポイントに、就職説明会を行ってきましたが、功を奏したようで、毎年、必要な社員数を採用することができています。そして現在では、製図できる7名の女性社員が設計部で活躍しています。
CADは会社以外の場所でも使うことができます。夫の転勤で県外に転出する女性社員がいたのですが、今でも社員として、リモートワークで設計業務を担っています。CADの技術習得により、在宅での作業が可能になったことで、ライフステージが変わっても、当社で働いてもらえるという点も、大きなメリットだと感じています。
──採用の点で変化はありましたか。
(鈴木)採用面接には、女性が集まるようになりました。これまでの採用を通じて、女性が社内で活躍するようになってから、社内の雰囲気が穏やかで、世間話も良くするようになりました。社員同士のコミュニケーションが増えて、風通しが良くなったので、そういう雰囲気を感じ取ってくれているのかもしれません。
それでは、今年研修を受けた新入社員の2人に話を聞いてみてください。
──田村小雪さんは、設計部で働いているそうですね。入社を希望したのはなぜですか?
(田村)私は商業科出身なのですが、設計や建築の仕事がおもしろそうだなと思いながら、会社を探していました。採用されてすぐにCADの講習が受けられるというのは、やはり安心できるポイントでしたが、なにより説明会の雰囲気がとても良かったです。説明を聞いてみて、おかしいなと思うところや違和感を持つところが全くありませんでした。そして、この会社だけを志望して、入社することができました。
CADの研修を受けて、図面を制作できるようになったことで、仕事を通じて、自分のやりたいことをかたちにできるうれしさを感じています。これからも、社会に貢献できる仕事をしていきたいなと思います。
大友佳奈子さんは、営業部ですね。研修を受けてみていかがですか?
(大友)ビジネススキル研修を通じて、社会のマナーを基礎から学ぶことができました。ロールプレイを通じた実践的な学びも多く、仕事にすぐ生かせるポイントも多かったように感じています。特に印象に残っているのは、相槌の打ち方です。聞き方、話し方にもポイントがあるということに気付くことができ、実際に、先輩の営業に同行するときも実践するようにしています。
また、CADの講習を通じて、図面を読み取れるようになったことで、図面を使いながらの打合せができるようになりました。これからは営業のスペシャリストとして、自分で売上をたてられるように頑張っていきたいです。
──鈴木さん、お二人の話を聞いていかがですか。
(鈴木)高校を卒業してから1年も経たないうちに、ここまで仕事ができるようになっているのは、ほんとうに素晴らしいと感じています。2人とも大きな戦力になっていて、今後の活躍にも大変期待しています。図面は、1枚書くごとに1万円から1.5万円ほどの売上につながるので、20~30枚書くと、自分の給料分は稼いでいる計算になります。
当社も含めて建設業界の人材育成は、これまで「先輩の背中を見て覚える」という昔ながらのやり方が多かったと感じています。業界全体が人材不足という課題に向き合うなかで、当社では女性の採用強化や外部の講習活用を行ったことで、社員の継続的な採用・雇用や風通しの良い社風といった変化にも繋がりました。
しかし、何かを変えようとするにはお金がかかります。そういうときに諦めるのではなく、補助金に助けてもらうのはとても大事なことだと感じています。補助金の情報はインターネットで調べることが多いですが、銀行の営業で知ったり、社労士等の専門家から聞いたりすることでも集めることができます。今後も積極的な情報収集に努めながら、事業展開を考える際には、さまざまな補助金を活用して進めていきたいと思います。
──本日は貴重なお話をありがとうございました。
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