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更新日:2023年9月28日

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被災建築物応急危険度判定

1.応急危険度判定の目的

 応急危険度判定は、地震により被災した建築物について、その後の余震等による倒壊の危険性ならびに建築物の部分等の落下あるいは転倒の危険性をできる限り速やかに判定し、その結果に基づいて恒久的復旧までの間における被災建築物の使用にあたっての危険性を情報提供することにより、被災後の人命に係わる二次的災害を防止することを目的としています。

2.適用範囲

 応急危険度判定は、地震被害を受けた木造、鉄骨造、鉄筋及び鉄骨鉄筋コンクリート造等の建築物に適用します。建築物はその構造種別の違いによって構法や高さ等の規模が異なり、地震被害の様相やそれに起因する危険度も異なるので、本判定方法は構造種別ごとに設定します。

3.用語の定義

  • 応急:応急の語には、暫定的という意味と緊急という意味の両方の意味を持たせて使用しています。すなわち、ここでは、被害を生じさせた地震の直後に短時間で多くの判定をしなければならない緊急性と、判定には必ずしも十分な調査検討がなされないために、後に十分な時間をかけて被害調査が行われた場合には判定結果が異なる場合があることを考慮した暫定性、の二つの側面があることを前提としています。
  • 危険度:建築物の構造躯体の破壊、および建築物の部分等の落下、転倒が人命に及ぼす危険の度合をいいます。各部についての被災度調査の結果により、その危険度を危険、要注意、調査済の3ランクとしています。→「調査済」の語は、この調査判定上ではいわゆる「安全」の意味に用いているものですが、外観調査を主とした限られた範囲の応急危険度判定では、その建築物の「安全」を保証できる程の調査判定が行われているわけではなく、調査した内容の中に「危険」または「要注意」とする要因が無いことを確認しているのみなのが実態です。また、判定結果を「安全」とすると、その建築物の恒久的な使用を保証しているような誤解を生む可能性もあります。以上を考慮し、ここでは「調査済」の語を用いることとしています。
  • 被災度:建築物及び建築物に付帯している物体の地震による破壊または変形の程度をいいます。応急危険度判定では、その程度により被害の小さい順にA、B、Cの3ランクとしています。
  • 損傷度:鉄筋及び鉄骨鉄筋コンクリート造における部材または部位の破壊の程度をいい、「震災建築物等の被災度判定基準および復旧技術指針(財団法人日本建築防災協会、平成3年2月)」の「被災度区分判定」では、破壊の小さい順にレベルIからレベルVの5段階に区分しています。なお、本応急危険度判定では、判定にレベルIII以上の破壊が関係します。

4.調査方法

 被災建築物の調査判定は、応急危険度判定に関する有資格者が現地において、主として建築物の外観から目視により建築物及び建築物の部分等の沈下、傾斜、破壊等を調査します。調査は応急危険度判定マニュアルに記される要領に従って行い、所定の判定調査表を使用します。

  • 木造建築物の応急危険度判定調査表
  • 鉄骨造建築物の応急危険度判定調査表
  • 鉄筋及び鉄骨鉄筋コンクリート造建築物等の応急危険度判定調査表

5.判定方法

 応急危険度判定調査表に記されている判定基準に従って建築物等の沈下、傾斜、構造躯体の被害等を調査判定し、その結果に基づいて建築物等の危険度を次のように判定します。

(1)建築物の危険度

  • 危険:建築物の沈下、傾斜、または構造躯体の被害のいずれかに対して1つ以上のCランクがある場合には、その建築物を「危険」と判定します。また、Cランクが無くても、鉄骨造建築物においてはBランクが4つ以上、鉄筋及び鉄骨鉄筋コンクリート造建築物においてはBランクが2つ以上ある場合はいずれも「危険」と判定します。
  • 要注意:建築物の沈下、傾斜、または構造躯体の被害のいずれかに対して1つ以上のBランクがある場合には、その建築物を「要注意」と判定します。
  • 調査済:「危険」または「要注意」に該当しない場合。

(2)落下転倒危険物の危険度

  • 危険:落下あるいは転倒危険物に関する調査項目について1つ以上のCランクがある場合には、その調査対象物を「危険」と判定します。
  • 要注意:落下あるいは転倒危険物に関する調査項目について1つ以上のBランクがある場合には、その調査対象物を「要注意」と判定します。
  • 調査済:「危険」または「要注意」に該当しない場合。

[解説]

  • 被災建築物についての危険度の判定は、余震等による建築物の崩壊によって引き起こされる人命の危険度と、建築物の部分等の落下や転倒によって引き起こされる人命の危険度をそれぞれ別途に判定し、それぞれの危険度に応じて定める方法により、建築物等の使用の可否等を表示する仕組みです。
  • 例えば、建築物には全く被害が観られず崩壊の危険性は無くとも、建築物の出入口付近に落下危険物や転倒危険物があり、それが建物使用者や所有者ならびに一般の第三者の人命に危険が及ぶ恐れのある場合には、その建築物を危険と判定せざるを得ない場合もあります。
  • このように、建築物の崩壊による危険度と建築物の部分等の落下や転倒によって引き起こされる危険度とは区別してそれぞれについて判定を行います。

6.判定内容による対応

 調査判定者は、危険度判定の結果を建築物の所有者や使用者、または所有者や使用者以外の第三者に知らしめるため、原則として所定の判定ステッカーを建築物の出入口などの認識しやすい場所に貼付し、建築物の所有者等がいる場合には、判定内容について説明を行い危険がないように注意を喚起します。また、落下危険物等に対しては、危険個所付近に判定ステッカーを貼付します。

  • 「危険」を表示するステッカーの例(赤色)
  • 「要注意」を表示するステッカーの例(黄色)
  • 「調査済」を表示するステッカーの例(緑色)

7.判定の変更

 応急危険度判定が行われた建築物等について、後に崩壊等の危険を防ぐための有効な処置が講じられた場合、あるいは被災状況に関するより詳細な調査が行われた場合、その他被災状況に変化が生じた場合など当初の判定を変更する必要があると認められる場合には、これを変更することができます。

 

東日本大震災の教訓 ー震災における公共施設の安全確認、被災建築物応急危険度判定および被災宅地危険度判定に関する考察ー

 平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は、これまで本市が取り組んできた防災対策や都市づくりの想定をはるかに超える規模の大災害となりました。

 今回の災害発生時に被災建築物応急危険度判定及び被災宅地危険度判定を実施するにあたり、これまでの判定体制では不十分であったため改善が必要となりました。

 そこで市地域防災計画の見直しに即して、発災以降必要とされる業務に的確に対応するための局職員配備など組織体制の充実強化を図るべく、部局内の関係各課を中心とした判定体制の整備に関する検討会を設置しました。震災の経験に基づく職員の活動を体系化し、検証および検討を行い、避難所等公共施設の安全確認に係る新たな体制や被災建築物応急危険度判定と被災宅地危険度判定の連携に関する体制を明確化し、市地域防災計画及び実施計画の見直しに反映することにより、判定体制を整備することとしました。

 本考察は震災当時、直接実務に携わる職員が直面した課題を明確にし、今後、対応が必要な事項についてとりまとめたものです。皆様方、特に直接実務に携わる方々におかれましては、今後の判定体制整備、さらに住民の皆さまの安全対策において本考察が少しでも役立てていただけたら幸いです。

 震災時に数多くの民間判定士の皆さま、他都市から応援職員の皆さまにご支援いただきまして、困難な状況下において判定を実施することができました。この場をお借りして、心から感謝申し上げます。

平成25年4月 

東日本大震災の教訓(仙台市都市整備局)(PDF:9,086KB)


 
 
 
 
 
 

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