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更新日:2024年1月31日

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マダガスカルの自然

マダガスカルの自然

マダガスカルの自然1a

バオバブ並木に沈む夕日(左)と自然の針山「ツィンギー」(右)

世界で4番目に大きな島であり、日本の1.6倍の面積をもつマダガスカル島は、8000万年以上前に他の大陸と切り離され、その後独自の進化を遂げた不思議な生物が非常に多いことで有名です。
およそ80パーセントもの動植物が、世界のここにしか生息していない「固有種(こゆうしゅ)」であると言われています。
1999年以降の約10年間で、マダガスカルで発見された新種は615種にのぼり、今後も新種の発見が大いに期待されます。

その一方で、マダガスカルの貴重な生き物たちが生息地の減少に脅かされています。
多くの生き物たちが生息する森林はマダガスカル島の面積の約20パーセントしかありません。
専門家によれば、かつての90パーセントの森林がすでに失われてしまった、と言われています。

危機にあるマダガスカルの生物多様性

2020年IUCN(国際自然保護連合)によって公開された最新のレッドリストでは、原始的な特徴をもったサルの仲間、キツネザルの96パーセントが絶滅の危機にひんしていることが発表されました。
国際的な自然保護団体のCI(コンサーベーション・インターナショナル)は、マダガスカルを生物多様性ホットスポットに指定し、世界へこの国の環境保護の必要性を呼びかけています。

マダガスカルの動物

マダガスカルの自然3~4 ヒメカメレオンとヒメハリテンレック

ヒメカメレオンの仲間(左)と、葉の陰に隠れるヒメハリテンレック(右)

マダガスカルにはかつて、コビトカバや、地球歴史上の最大の走鳥であるエピオルニス、ゴリラくらいの大きさがあった原猿類のメガラダピスが生息していましたが、2000年ほど前に人間がこの島に入植して以降数を減らし続け、いずれも数百年前までに絶滅してしまいました。

キツネザル類やテンレックの仲間などには、アフリカなど他の大陸に生息する近縁種が大昔に失った行動や生理的な特徴が残っており、マダガスカル島に大昔に移り住み、独自の進化をしてきたことがうかがえます。

世界で発見されているカメレオンの3分の2はマダガスカルの固有種で、この国を象徴する動物のひとつです。世界最小の爬虫類と言われるミクロヒメカメレオンや、カメレオンの中で世界最大のパーソンカメレオンが生息しています。

マダガスカルの鳥類も、遺伝的に大陸のグループと隔離され、ゆっくりと独自の進化を遂げてきました。
中でもオオハシモズの仲間は、この島にキツツキやシジュウカラの仲間がいなかったため、森林内の空席(ニッチ)に進出し、くちばしや体の大きさなど生息環境に適応するように姿を変えていきました。

他の生物に比べ、昆虫類・淡水魚類の研究はあまり進んでいませんが、毎年世界各国からたくさんの研究者が訪れて新種を発見しています。

キツネザルの仲間たち   

マダガスカルの自然5

左から、ネズミキツネザル、ベローシフカ、ワオキツネザル、アイアイ

マダガスカル固有の野生動物を代表するのが「キツネザル」です。
確認されている107種すべてが、マダガスカルにしか生息していない固有種なのです。
キツネザルの仲間は、サルの中でも原始的な原猿類に分類され、鼻が湿っていて匂いでコミュニケーションを取っています。
世界最小のサル・マダムベルテネズミキツネザルや、木の幹から幹へ忍者のように飛び回るシファカたち、しましまのしっぽを揺らしながら集団で行動するワオキツネザル。そして、日本では童謡でおなじみのアイアイもキツネザルの仲間です。

マダガスカルの植物

マダガスカルの自然 気候区分図

マダガスカルの気候区分

マダガスカル島は南半球の熱帯にありますが、島の南北に標高の高い高原が広がり、乾燥した平地が広がる西部と雨が良く降る急斜面のある東部で気候が異なり、植生も変わります。
マダガスカルの生物多様性は、地理的な要素によって多様化した植生に育まれているのです。

マダガスカルの自然 カナボウノキと南部有針森

カナボウノキと南部有針森

乾燥した地域には特にマダガスカル固有の植物が育ちますが、中でもディディエレア科の植物は、世界でもマダガスカルの南西部にある有針林にしか生えていません。
姿形が似ているのでカナボウノキ(金棒の木)とも呼ばれています。乾燥に耐えるため枝や葉が極端に小さくなったと言われています。

マダガスカルの東部にはランの種類が多いことでも知られており、1200種以上発見されています。中には「このランの蜜を吸う長い口を持った蛾がいるはずだ」と進化論の父ダーウィンが予言した、距(きょ:蜜がしまってある管の部分)が長い着生ラン、アングレカム・セスキペダレがあります。

日本でも有名なマダガスカルの植物

マダガスカル17~19 日本でも有名な植物

ニチニチソウ(左)、南部のザーバオバブ(中)、パキポディウム(右)

マダガスカルは薬草が多いことでも有名で、現地では民間薬としても活用されています。
ツルニチニチソウの一種からは悪性リンパ腫や白血病などがんの薬にもなる成分が発見されており、日本の医学・薬学の研究チームもマダガスカルの民間伝承薬や有害動物についての調査で派遣されています。
バオバブはアフリカ大陸とオーストラリアでも見られるのですが、世界にある9種類のうち7種類がマダガスカルでしか見られません。
パキポディウムはミニバオバブと呼ばれ、日本でも観葉植物として親しまれています。

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