更新日:2016年9月20日

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平成25年度施政方針要旨

平成二十五年第一回定例会の開会にあたり、市政運営の所信の一端と施策の大綱について申し述べます。

東日本大震災から二年が経過しようとしております。想像をはるかに超えた災害に見舞われ、我が国は幾多の混迷と辛苦を体験いたしました。
高齢化の進展に伴う社会システムへの不安や長引くデフレによる経済の低迷など、社会全体が将来のあり方を模索している今であるからこそ、大震災を経験した本市は、その苦難を貴重な教訓やノウハウに変え、我が国の確かな未来へとつなげていく責務を果たしてまいらねばなりません。
この二年間、本市は仙台再生への全力疾走を続けてまいりましたが、復興のトップランナーとして今なすべきは、前へ進まんとする気概を決して緩めることなく、早期の復興へと自らを奮いたたせながら、本市だからこそ可能となる新たな防災環境都市の姿を具現化し、内外に発信していくことでございます。
その大きな目標に向け、新年度は100万人の復興プロジェクトをさらに加速し、被災された方々に震災復興への確かな手ごたえを感じとっていただける年にしてまいりたいと考えております。
もとより、こうした大事業は、ひとり行政の力のみによって成し得るものではなく、多くの方々のさまざまな思いや願いをつむぎ合わせ、議会をはじめ、地域団体やNPO、事業者の方々としっかりとスクラムを組み、オール仙台の総合力が十二分に発揮されて、初めて達成できるものであります。
このことを胸に、私は、平成二十五年度を「復興実感の年」と位置づけ、百六万市民の総力を結集し、東北の復興と発展を力強く牽引すべく、各般の施策を強力に推進してまいる決意でございます。

ふりかえりますと「復興元年」と位置づけた平成二十四年度は、全市を挙げて復興の諸課題に取り組んだ結果、今後の対応について、骨格となる制度の確立と財源の確保が図られ、早いところでは具体の成果が出始めるなど、本市復興の輪郭が姿を現した年でありました。
震災がれきにつきましては、新年度中には処理を完了する見込みとなり、津波防御の要となるかさ上げ道路についても、新年度中に工事が開始されるところまで、作業が進んでおります。
防災集団移転への取り組みにおきましても、移転先となる宅地の供給が始まり、新たなふるさとづくりがスタートいたしました。東部の冠水した農地のうち、この春には新たに約九百ヘクタールで二年ぶりに営農が再開されます。さわやかな五月晴れの空のもと、緑の稲田が広がる光景を再び目にする日が待たれてなりません。
仙台再生へ向けての取り組みは、このように復興元年の名にふさわしい進捗をみたものと改めて感ずるところでありますが、事業のスピードをさらに高め、より多くの成果へとつなげるべく、引き続き、「新たなふるさとづくり」「未来へつなぐ安全なまちづくり」「東北の元気づくり」を復興の三本の柱にすえ、今後直面するであろうさまざまな試練を乗り越え、復興の坂道を駆け上がってまいる所存でございます。

まず、被災された多くの方々の切実な願いを受けての「新たなふるさとづくり」への取り組みについてでございます。
津波被害や宅地の被害により、お住まいを失われた方々への対応は、最優先の課題であり、節目節目における丁寧な意見の交換やきめ細かな情報の提供を心掛け、お一人おひとりの具体の事情に寄り添った住まいの再建が図られるよう事業を進めてまいります。
防災集団移転につきましては、荒井、仙台港背後地に続き、田子西、荒井東地区において、移転先となる宅地を順次供給してまいりますとともに、本市が直接整備をいたします六郷、田子西隣接地区などの各移転先について、それぞれ造成工事に着手いたします。また、復興公営住宅につきましては、市施工分の鹿野、荒井東、田子西などについて平成二十五年度末の入居を目指して建築工事を進めるほか、民間施工分千三百八十戸についても、施工事業者とともに、円滑な事業の進捗に努めてまいります。
地すべりなどに見舞われた宅地への被害につきましては、すでに本市の助成により自力再建を果たされた方が約二百件に上っておりますが、二十五年度中に公共施工分百七十地区の復旧工事を完了いたしますとともに、引き続き、本市独自の助成制度による支援を継続いたします。
また、震災の発生から月日が経過する中でも、被災された方々が将来への希望を持ち、健やかに日々をお過ごしいただくことができるよう、個別訪問の体制を強化し、健康面へのサポートや自立に向けた課題の整理、就労支援などに努めてまいります。
とりわけ、高齢で仕事を失った一人暮らしの方や市外から新たに仙台に来られた被災者の方など、ともすれば孤立しがちな方々に対しては、区社会福祉協議会に新たに配置いたしますコミュニティソーシャルワーカーやNPOなどさまざまな関係機関・団体と連携をしながら、生活支援のご相談や茶話会の開催、就労体験実習、中間的就労の場づくりなど、ともに考え、ともに課題に向かう伴走型の支援を行ってまいります。

続く、復興に向けた第二の取り組みは、「未来へつなぐ安全なまちづくり」であります。本市の災害対応の基本となる仙台市地域防災計画につきましては、東日本大震災の経験を踏まえ、津波対策や原子力災害対策を拡充するとともに、市民の皆さまの自助・共助の活動と公助との連携を重視した取り組みを加えるなど、これまでにない大幅な見直しを行いました。
新年度は、この新たな計画が動き出す初めの年であり、避難施設の整備など、ハード面の対策はもちろん、市民一人ひとりが、自助・共助の精神のもと、季節や時間、場所の状況に応じて、適切な行動がとれるようソフト面での対応にも力を注ぎ、防災「仙台モデル」の構築を図ります。
減災に向けた基盤づくりとしては、今後も東部地区にお住まいになる方々が安心して暮らすことができるよう、かさ上げ道路や避難道路、津波避難施設などの整備を着実に進めるとともに、宮城県と共同で、津波で被災した消防へリポートの早期再建に取り組んでまいります。
ソフト面では、企業の協力も得て、先の震災で大きな課題となりました帰宅困難者対策やエネルギー・物資供給対策を推進するとともに、小学校から高等学校までの全ての段階において、継続的な防災教育を行い、未来の防災人の育成に努めます。また、幅広く地域防災リーダーの養成に取り組むほか、分譲マンションの防災マニュアル作成への支援、地域の方々を主体とした地域版避難所運営マニュアルの作成などを進め、地域の実態に即した防災力の向上を目指します。
世界的に見ても、人口百万を超える大都市で、マグニチュード9の大地震と津波を経験した事例はなく、この度の仙台の経験と教訓を後世に伝え、今後の震災対応に生かしていくことは、被災した私たちに課せられた大きな使命であります。
2015年に日本での開催が決定した国連防災世界会議は、そのまたとない機会であり、本市が目指す都市防災のあり方を世界に問いかけるべく、仙台開催の実現に向けて、さらに力を注ぐとともに、市民共有の記憶として継承されるべき、震災メモリアル事業につきましても、そのあり方について議論を深めてまいります。

復興への第三の柱は、「東北の元気づくり」への取り組みです。
生活再建には、雇用の場の確保が欠かせません。東北の被災地は、復興に向け、工場の再建、仮設店舗での営業再開とそれぞれに懸命の努力を続けていますが、風評被害による交流人口の落ち込みや長期化が避けられない産業基盤の再生といった課題に行く手を阻まれ、苦戦を強いられています。
本市には、仙台空港や仙台塩釜港などのゲートウェイ機能とともに、金融業や卸売業、デザイン業などのさまざまな都市型産業が立地し、知恵と情報と物流が集約する東北の扇の要となっております。こうした力を組み合わせ、東北の多様性を生かした、新しい商品や販路を開拓していくことが東北復興への牽引役としての本市の一つの大きな役割であると考えます。
新年度におきましては、「仙台経済ステップアッププラン2013」を機軸に、地域経済の着実な復興とその後の仙台・東北経済を支える新たな経済活力創出に向けた施策を展開してまいります。
まずは、にぎわいの創出です。四月早々からのデスティネーションキャンペーンの盛り上げを図るとともに、慶長遣欧使節出帆四百年を契機とするイベントの開催、さらには東北大学を中心とする各種学会の誘致など、コンベンション開催件数の増加に本格的に取り組み、交流人口の拡大を図ります。
中心部の商店街では、東北ろっけんパーク、仙台なびっくを活用して東北各地の観光・物産の紹介を積極的に行い、被災地の元気な姿を発信するなど、東北全体の活気づくりにつなげてまいります。
復興特区の活用については、農と食のフロンティア特区で十三件、ものづくり産業特区で五十七件、情報サービス産業特区で二十八件の指定を行っており、既存企業の再建や新たな事業活動への支援などを進めているところですが、新年度においてもさらに特区の種類を増やすとともに、その活用を図り、産業の集積を促進いたします。

以上、復興の三本の柱を中心に施策の概要を申し述べてまいりましたが、復興への計画期間を五カ年とする本市では、平成二十五年度は、早くも計画の折り返しの年であり、復興のその先を見据えたまちづくりについても、復興への歩みと同時に取り組んでいかなくてはなりません。
その第一は、地下鉄東西線沿線のまちづくりであります。
地下鉄東西線は、本市の長年の課題であった東西方向の交通アクセスの改善や沿線開発の促進という、直接的な効果にとどまらず、各駅の周辺に展開する学術文化、歴史、商業、ビジネス、観光といった本市のさまざまな機能や資源を連結することにより、文化面や産業面で新しい価値を生み出すことが期待されるところであります。
全市を挙げてこのプロジェクトを盛り上げ、その効果を最大限にまちづくりに生かしていくため、「東西線フル活用プラン2013」をスタートさせ、地域の方々、若者世代、事業者の皆さまのアイディアやネットワークを生かした沿線活性化策を展開いたします。
(仮称)一番町駅が誕生する青葉通については、地下鉄工事の道路復旧にあわせ、杜の都を代表する街路としての魅力向上を図るため、けやき並木の再生や道路空間の再構成など、リニューアルに着手する予定でありますが、生まれ変わる青葉通のさらなる活性化に向け、青葉通まちづくり協議会など地元の方々とにぎわいの創出に向けたイベントの実施などを検討してまいります。
また、(仮称)国際センター駅周辺におきましては、同地区のコンベンション機能のさらなる拡充を目指して、展示施設の基本設計・実施設計を行いますとともに、あわせて仙台城や広瀬川に隣接する青葉山公園については、東西線開業を見据え、市内外からお出でになる方々にも、城下町の歴史と伝統や学都の風格を感じさせる杜の都のシンボルゾーンにふさわしい公園となるよう、事業を推進してまいります。
さらに東部沿線に目を転じますと、すでに(仮称)卸町駅周辺には、クリエイティブ産業の集積が始まっており、本市のものづくり産業との連携による新商品の開発など、地域産業の活性化にも資するよう、ビジネスゾーンとして、機能の高度化に取り組んでまいります。
先を見据えた取り組み、その二点目は、この度の震災からも明らかになった都市のエネルギー源の多様化及び都市におけるエネルギー消費量の低減に向けた取り組みの強化であります。
本市は、すでに長年にわたって地球温暖化対策の一環として、低炭素社会の実現に向けた取り組みを進めてまいりました。しかしながら、燃料の供給途絶や長期の停電など、震災時における危機的な経験を踏まえますと、これまでの「省エネ」に加え、持続性や環境性に優れた太陽光発電などにより自らエネルギーを創り出す「創エネ」、いざという時のために備えておく「蓄エネ」の3Eの取り組みが必須であり、こうした取り組みが、より多くの市民の皆さま、事業者の方々の間で広がるよう、「せんだいE-Action」を全市的な運動として展開してまいります。
また、多くの方が暮らす街そのもののエネルギー消費量の低減を目指すエコモデルタウン事業を推進するほか、今後の公共施設建設において、「低炭素化技術の導入指針」を策定し、よりエネルギー効率のよい施設づくりを目指してまいります。
復興後を見据えての第三の柱は、将来の担い手である仙台の子どもたちに関する施策の充実であります。
子育てしやすい環境づくりや「生きる力」を育むための教育の推進に引き続き力を注ぎ、若い世代の方々から暮らしの場として選択され、これからも活力があふれるまちとして仙台が発展を続けていけるよう、住みよいまちとしての魅力をさらに高めてまいります。
このため、新年度においては、「子ども・子育て会議」を立ち上げ、子育て支援などにかかわる幅広い方々にご参加をいただきながら、地域ぐるみで子育て応援社会へのプランづくりを進めます。
子育て環境の整備につきましては、三歳未満児を中心とした保育所入所定員のさらなる拡充や私立幼稚園の認定こども園への移行促進に努めますとともに、市内全区へののびすく設置に向け、(仮称)子育てふれあいプラザ若林の設計に着手いたします。
また、安心して子育てに取り組んでいただけますよう、水痘やおたふくかぜの予防接種費用への助成制度を新設し、これら感染症の予防や重症化の防止に努めます。
子どもたちの学びにつきましては、地域の皆さまのご協力を得ながら、学校支援地域本部設置校の拡充を図るなど「地域とともに歩む学校づくり」を引き続き推進いたしますとともに、新年度に開所する「泉岳自然ふれあい館」の活用などによる体験型・参加型の豊かな学びの機会の充実を図り、自ら学び行動する力を育む取り組みを強化してまいります。

最後に、確かな都市経営についてであります。
復興への歩みと未来へ向けての施策を同時に進め、その両立を図ることは決して容易ではなく、これを成し遂げるためには、組織力や財政力など市政運営の基盤をさらに強化していく必要があります。
そのためにも、行財政改革の着実な推進が不可欠であり、先に公表した「復興計画期間における行財政改革の方針」に基づいて、「行財政改革プラン2010」を改定し、事務事業や事業実施体制を徹底的に見直すことはもとより、多くの公共施設が更新時期を迎えつつある状況を踏まえてのマネジメントプランの策定、復興やこれからのまちづくりに市民力を生かしていくための協働指針の策定など、経営重点項目と位置づけた施策を推進し、より高度な行政運営を目指してまいります。また、本市全体の業務遂行能力を今後さらに強化するためには、行政のプロフェッショナルとしての人材育成が大変重要と考えるところであり、職員の専門性の強化に向けて取り組んでまいります。
先の大震災で明らかとなった都市の力を、これからの我が国の発展に生かすためには権限や財源などの移譲が不可欠であり、基礎自治体として、市民の皆さまのニーズに合わせたサービスをより迅速かつ的確に提供できるよう、本市が目指すべき新たな大都市制度を含め、さらなる地方分権の推進に向け、私自身が先頭に立ち、自ら考え、行動できる都市としてのレベルアップを目指してまいる所存でございます。

大震災からの復興は、いよいよこれからという重要な局面に差し掛かっております。
この間、国の内外を問わず、多くのご支援を頂戴しましたことに改めて感謝の意を表しますとともに、今しばし、さらなるご助力をお願いし、一日でも早く、一歩でも前へ、復興への歩みを進めてまいりたいと考えるものであります。
震災復興計画に記したプロジェクトを次々と立ち上げ、その一つひとつが希望の灯として東北全体を照らしていくよう、百六万市民の皆さまとともに、力を尽くしてまいる決意でございます。

以上、市政運営の所信の一端と施策の大綱について申し述べてまいりました。
議員各位及び市民の皆様のご理解ご協力をお願い申し上げます。

仙台市長 奥山 恵美子

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まちづくり政策局政策企画課

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