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更新日:2024年4月17日

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私たちの暮らしを支えている森林

森林の持つ重要な役割がますます注目されています。

(1)地球温暖化を防止する

地球温暖化の防止には、温室効果ガス、中でも温暖化への影響が最も大きいとされる二酸化炭素の大気中の濃度を増加させないことが重要です。森林を構成している樹木は、光合成により大気中の二酸化炭素を吸収するとともに、酸素を発生させながら炭素を蓄え成長します。地球上の二酸化炭素循環の中で、このように森林が吸収源として非常に大きな役割を果たしています。

(2)水をたくわえ洪水を防止する

雨水をたくわえ、ゆっくりと川へ流すことにより渇水や洪水を防ぎます。

(3)山崩れなどの土砂災害を防止する

樹木の根が土壌を抱えこみ、落ち葉や下草が表土の侵食を抑えることにより、土砂が流出するのを抑えます。

(4)レクリエーションの場となる

森林浴などをすることによって、気分がリフレッシュされ生活にゆとりを与えます。
また、最近は森林の持つ癒し効果を、健康増進やリハビリテーションに役立てる「森林セラピー」の研究も進んでいます。

(5)資源を生産する

森林は、再生産可能な資源である木材や、しいたけなどの栽培に必要な原木、薪炭材、近年エネルギー源として注目されている木質バイオマスなどを供給します。

(6)動植物の生活の場となる

微生物から鳥類、大型の哺乳類に至るまで、様々な生き物が生活しています。森林は多様な生態系を守っています。

森林の有する多面的機能

森林は、生物多様性の保全、土砂災害の防止、水源のかん養、保健休養の場の提供などの極めて多くの多面的機能を有しており、私たちの生活と深くかかわっています。日本学術会議の答申では、森林には次のような機能があるとされています。

(1)生物多様性保全

我が国の森林は、約200種の鳥類、2万種の昆虫類をはじめとする野生動植物の生息・生育の場となっています。このように、森林は、遺伝子や生物種、生態系を保全するという、根源的な機能を持っています。

(2)地球環境保全

森林は環境に優しい資材である木材の生産のほか、各種の抽出成分、きのこなどを提供しています。森林は光合成により二酸化炭素を吸収し、炭素を固定して、地球の温暖化防止に重要な役割を果たしています。日本の森林が、光合成によって吸収する二酸化炭素は年間約1億トンで、これは我が国の二酸化炭素排出量の8%、国内の全自家用乗用車の排出する量の7割に相当します。

(3)山地災害防止機能/土壌保全機能

森林の下層植生や落枝落葉が地表の浸食を抑制するとともに、森林の樹木が根を張り巡らすことによって土砂の崩壊を防いでいます。

(4)水源涵養機能

森林の土壌が、降水を貯留し、河川へ流れ込む水の量を平準化して洪水を緩和するとともに、川の流量を安定させる機能を持っています。また、雨水が森林土壌を通過することにより、水質が浄化されます。

(5)快適環境形成機能

森林は蒸発散作用等により気候を緩和するとともに、防風や防音、樹木の樹冠による塵埃の吸着、いわゆるヒートアイランド現象の緩和などにより、快適な環境形成に寄与しています。

(6)保健・レクリエーション機能

森林は、フィトンチッドに代表される樹木からの揮発性物質により直接的な健康増進効果が得られるほか、行楽やスポーツの場を提供しています。

(7)文化機能

森林のランドスケープ(景観)は、行楽や芸術の対象として人々に感動を与えるほか、伝統文化伝承の基盤として日本人の自然観の形成に大きく関わっています。また、森林環境教育や体験学習の場としての役割を果たしています。

(8)物質生産機能

森林は環境に優しい資材である木材の生産のほか、各種の抽出成分、きのこなどを提供しています。

以上、林野庁ホームページ「森林の有する多面的機能」より

森林の手入れ

人工林

スギやヒノキなどの針葉樹で構成されることの多い人工林は、主として木材生産のために造られた森林です。優良な木材が採れるまで成長するには多くの森林作業を必要とします。また、二酸化炭素の吸収や洪水、土砂災害を防止するといった公益的機能も積極的な手入れを行うことによってはじめて十分に発揮することができるのです。

〈太白区秋保町の峠下市有林の様子〉
写真:間伐など良く手入れされています。

 

人工林の管理に必要な作業

地ごしらえ

苗木の植え付け前に、地面の笹や枯れ枝などを取り除きます。

植付け

植えた場所が後で確認できるように「判別柱」を立て、クワで穴を掘ります。苗木の根を広げて丁寧に植えつけ、根が乾燥しないようにしっかり土をかぶせたあと平らに踏み固めます。

下刈

植付け後数年間、苗木の生長を助けるため、暑い夏の時期に周囲の雑草を刈り払います。

枝打ち

節のない良質な木材をつくるため、低い位置の枝を切り落とします。また枯れ枝に産卵して幹に穴を開けてしまう害虫の被害を防ぐこともできます。

間伐

混みすぎた森林を整理するために木を間引く作業です。林内を明るくするので、下枝まで光が当たり、光合成がしやすくなり二酸化炭素の吸収もよくなります。また、下層植物の生長を促し、雨による表土の流出を防ぐことができます。

〈植付け〉
写真:植付け作業の様子

〈下刈り〉
写真:下刈り作業の様子

〈枝打ち〉
写真:枝打ち作業の様子

〈間伐〉
写真:間伐作業の様子

〈太白区秋保町の黒森山市有林内の様子〉
写真:伐採された後の林内は明るく健康的になりました

里山林

コナラやクヌギなどの広葉樹を主体とした里山林(雑木林)は、薪炭材やキノコ類の原木としての利用、多様な動植物が生息する森林として親しまれてきました。切り株から芽が出る性質(萌芽更新)を利用し、定期的に伐採し、積極的に手入れすることにより、林内が明るくなり健全な森林になります。

〈青葉区上愛子の西原市有林内の様子〉
写真:定期的な伐採等、良く管理されて明るい林内となっています

 

里山林の管理に必要な作業

落ち葉かき

種が発芽しやすくなるように表面の落ち葉を取り除きます。

笹伐り(ささきり)

他の植物が生長できるように、林床をおおった笹を刈りとります。

つる伐り

木にからんだ「つる」は木の成長の妨げになるので伐りとります。

もやかき

切り株から芽が出てきて4~6年後、細いものを整理して残りを大きく育てます。

伐採

樹林の密度を管理するため、込み入った部分を伐採します。

〈笹伐り(ささきり)〉
写真:笹伐り(ささきり)作業の様子

〈伐採〉
写真:伐採作業の様子

国産の木材を積極的に使いましょう

木材は自然素材のため、私たちの暮らしに安らぎを与えてくれるばかりでなく、様々な優れた性質を持つ素材です。

しかしながら、最近は、国産木材価格の低迷により間伐などの手入れが行われなくなり、荒れた状態の森林が増加しています。私たちが積極的に国産の木材を使うことにより、国内の林業が活性化され、その結果森林の手入れが行き届き、森林を健康な状態にすることができます。また、輸送に必要なエネルギーの少ない国産の木材を使うことによって、輸送エネルギーを節減したり、海外の貴重な森林が伐採されるのを防いだりすることができます。

木材の特徴

1.やすらぎを与えてくれる

独特の香りや、触れたときの優しい感触が、私たちをリラックスさせてくれます。

2.断熱性に優れる

木は,中に空気を含みやすいため熱を伝えにくい性質をもっています。木材を使用した部屋は、例えば、寒い日に手足が冷えるのを防いでくれます。コンクリートなどの素材に比べて体温を奪われにくいのです。

3.湿度の調整してくれる

木材でできた家は、湿度が高いときは湿気を吸い、低いときは湿気を吐き出し、部屋の中の湿度を人間にとって快適に感じる50%前後に保ってくれます。木材は、湿度の高いところで生きるカビやダニの増殖を防いでくれますし、インフルエンザウィルスは湿度の低いところで長期間生き続けますが、湿度が50%くらいになると多くが死滅するため、学校などに木材を使えば、インフルエンザの蔓延防止に効果が期待できます。

4.衝撃吸収性に優れる

木材はその構造上の性質から、コンクリートなどに比べ、衝撃が加わってから跳ね返ってくるまでの時間が、長くなります。人が転倒したときなどに受ける衝撃を和らげてくれるため、床などに木材を使うことによりケガの発生を少なくすることができます。体育館の床に木が使われていることが多いのもこうした理由によるものです。

5.炭素を固定する

木は、光合成により二酸化炭素を取り込んで、内部に取り込みます。木材を利用することは、固定された炭素を保管していることになります。木材は、燃料として燃やされたり、微生物により分解されたりするときには、再び二酸化炭素を排出しますが、これは、もともと空気中に存在していたものなので、新たに二酸化炭素を増加させるわけではありません。木材を使用することは地球温暖化防止に貢献していることにもなります。

6.素材の生産に必要なエネルギーが少ない

同じ重さの素材をつくるのに必要なエネルギーを比べると、木材はアルミニウムの140分の1、プラスチックの40分の1、鉄の14分の1と非常に少なく、省エネ型の素材ということができます。

7.再生産可能である

木を伐採して木材にしても、再び植林して育てていけば、数十年後には木材として使うことができます。このように使った分だけ植林することを続けていけば、森がなくなることはありません。

「木材みんなで使っちゃおう!」(林野庁)より抜粋

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仙台市青葉区国分町3-6-1表小路仮庁舎9階

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