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更新日:2016年9月20日

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ケヤキ並木は いま

青葉通・定禅寺通にケヤキ並木が植えられてから半世紀。今では仙台のシンボルとなった並木ですが、その生育状況は必ずしも良いとはいえません。生育環境の悪化や樹齢が進んだことによってさまざまな問題を抱えるようになっているからです。今回は、このケヤキ並木の現状についてお知らせします。

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人々に親しまれ「市の木」に

現在の青葉通・定禅寺通の路線が決まったのは昭和二十一年の戦災復興計画によるものです。計画の中では都市への緑の導入が図られ、青葉通には昭和二十六年から長いものでは樹齢約五十年になるケヤキを、また定禅寺通は昭和三十三年から若木のケヤキが植え始められました。
その後も植栽は続き、昭和四十年ごろまでには青葉通、定禅寺通ともほぼ現在と同じ範囲まで並木が拡がりました、ケヤキ並木は多くの人々に親しまれ、昭和四十六年には市民投票でケヤキが「市の木」に決定し、名実ともに「仙台のシンボル」となりました。
市では、昭和五十年に「杜の都の環境をつくる条例」の中でケヤキ並木を保存樹林に指定するなど、現在まで並木の育成・保全を図ってきました。

厳しい環境に置かれる ケヤキ並木

しかし、昭和四十年代後半に入ると一部のケヤキに異常落葉や病害虫が発生。これをきっかけに、市では昭和四十九年から平成七年まで五年ごとに生育状況、生育環境についての調査を実施しています。また、平成九年の強風により青葉通で倒木が発生してからは、毎年樹木の空洞調査や目視調査などを行ってきています。
これらの調査の結果、大気・土壌の状況の悪化や、地下埋設物等による根の生育阻害などが明らかになっています。さらに、大きくなった木の枝・葉が道路を覆い、自動車の排ガスを滞留させ、木自身にも歩行者にも悪影響を及ぼす可能性も指摘されています。
特に青葉通では交通量が多いこと、樹齢が百年を超える大木があることなどから、これらの問題は深刻になりつつあります。

ケヤキの現状

樹齢・樹勢

樹齢は90~110年になるものもあり、狭い生育空間で、大木化し、せん定や植えマスの管理が難しくなっています。

大気

自動車交通から発生する大量の排ガスにより、樹皮が黒ずむなどの悪影響が見られます。

根や枝の切り口から腐朽菌が入り、空洞ができているものもあります。
平成9年の倒木以後、3本を植え替え、2本を観察中です。

土壌

アスファルトに覆われ、水分が不足するとともに、舗装や歩道の中の地下埋設物により根の発達が阻害されています。

植え替えで元気に生育

ケヤキ並木は過去に何回か部分的に植え替えを行ってきました。主なものでは、昭和57年の地下鉄南北線工事、平成4年の仙石線地下化工事などにより、青葉通で25本のケヤキを新しい木に替えています。このとき、工事で影響を受けたケヤキは市内の公園等へ移植されました。
泉区の七北田公園には、8本のケヤキが移植されています。ここをよく訪れるという方は「この公園に青葉通のケヤキが移植されているとは知りませんでした。でもそれを聞くとここの環境のほうがケヤキにもいいでしょうから、街なかのケヤキが少しかわいそうな気もしますね。街なかでも元気に育つように工夫が必要でしょうね」と話していました。
また、青葉通に新たに並木として植えたケヤキにも、水分補給のための水やり口の設置を行うなど、生育環境の改善が進められています。

美しい並木を維持し伝えるために

こうした状況を踏まえ、市ではこのほど、「青葉通ケヤキ街路樹等に関する方針<素案>」をまとめ、「杜の都の環境をつくる審議会」に諮問しました。
この素案では、「都市再生プロジェクトの一環として、ケヤキ並木の保全を基本に将来の姿を検討する」「倒木の危険のある木は更新する」「東西線工事のケヤキへの影響を最小限にし、それでも影響を受けるケヤキは公園等に移植することを基本とする」「工事完了後は景観に配慮し新たなケヤキを植える」などの方針を示しています。
今後、審議会では市民の皆さんから寄せられる意見などを生かしながら検討を進め、来年の六月頃までに審議会として素案への意見をまとめる予定です。

ケヤキについて宮城農業短期大学 日比野紘一郎教授に聞きました

Q:ケヤキはどうして街路樹に多いのですか?

A:ケヤキは樹形の美しさや緑の量の多さから、街路樹として選ばれることが多い樹種です。その一方で、資材としても価値が高いことや生育環境を選ぶため、自然に自生しているものは少なくなってきています。

Q:街路樹としてのケヤキはどんな特徴があるのでしょうか?

A:環境が良好な状態ではかなり長い樹齢を持つケヤキですが、排気ガスなどの大気汚染にはやや弱い性質を持っています。また、大きく育ったことにより心配事も出てきました。歩行者や車の安全を確保するための適切なせん定など人間の手を掛ける必要もあります。

Q:今のケヤキ並木の状況についてはどう思いますか?

A:大気汚染、土壌の悪化、大木化などケヤキにとっていい状況とはいえません。仙台の貴重な財産ですので、今後どのようにケヤキ並木を整備していくか早めに考えなければならないと思います。

お問い合わせ

建設局百年の杜推進課

仙台市青葉区二日町12-34二日町第五仮庁舎4階

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