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更新日:2016年9月20日

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25年度包括外部監査報告書・経済局の財政事務の執行および関係出資団体の経営に係る事業の管理について

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平成25年度包括外部監査の結果報告書

仙台市包括外部監査人 公認会計士 今野利明

「経済局の財政事務の執行および関係出資団体の経営に係る事業の管理について」概要版

第1 外部監査の概要

1.特定の事件を選定した理由

仙台市においては、東日本大震災により大きな打撃を受けた市経済の完全復旧と復興後の自立した地域経済の実現に向け地域産業金融支援、緊急雇用対策、被災農家支援等、諸事業の大幅な拡充が図られた。そのため経済局の事業費は震災前の60億円から震災後は100億円超と急激に増加し、今後も震災復興対策事業等により更なる増加が見込まれる。

このような状況に鑑み、経済局の財務事務の執行および関係出資団体の経営に係る事業の管理について、その合規制を見るとともに経済性、効率性、有効性の観点から検討する必要性を認めた。

第2 外部監査の結果及び意見

1.仙台市中小企業融資制度について

[1]損失補償額の算出について(指摘)

市の制度融資に関して、市は保証協会と損失補償契約を締結し、保証協会の信用保証に伴う損失の一定割合を負担することとしており、また、損失補償限度額も定めている。

市は仙台市の財務諸表(貸借対照表等)において損失補償額を公表しているが、制度融資に係る損失補償額は、契約に基づく制度融資の損失補償限度額から損失補償実行額を差し引いた損失補償限度額の残額を事業年度末の損失補償残高として公表している。

しかしながら、市の年度末の損失補償残高は、当該契約に基づく損失補償限度額の残額と年度末における実際融資残高に対する市の損失補償割合から算出した金額のいずれか少ない方の金額である。

したがって、市は損失補償残高を再計算し、正確な金額を公表すべきである。

[2]協調倍率と預託金について(意見)

市は、中小企業融資制度に基づき中小企業者に低利な融資が行われるよう金融機関と契約を締結し、預託金を預け入れ、その預託金の一定倍率に相当する金額を融資枠としてそれを目途に金融機関が融資を行うことを約している。この一定倍率が協調倍率であり、それは金融機関のプロパー融資金利に調整率を加えた基準金利と制度融資の金利の差により計算される。

協調倍率の算定における基準金利は、現状、金融機関のプロパー融資金利に調整率として0.7パーセントを上乗せした金利を用いている。調整率0.7パーセントの上乗せがないと仮定した場合の預託金必要額は、5,224,000千円となり現状の預託金18,167,000千円に比して12,943,000千円少なくなる。

しかしながら、金融機関のプロパー融資と中小企業向け融資である制度融資の相違から生じる貸倒リスクおよび金利変動リスクを補填するために一定の調整率を上乗せすることは必要な措置である。

平成24年度における調整率0.7パーセントは、過去10年間における長期金利の年間変動幅の最大値をとっているが、調整率で考慮すべきは中小企業融資に係る貸倒れコストを反映することであり、当該基準金利と制度融資の金利差から計算される協調倍率により適正な預託金が算定できる。

金利変動リスクに関しては、一定幅以上の金利変動があった場合には、協調倍率を見直し追加預託金で対応すべきと思われる。

調整率の上乗せは必要であるが、その率如何により預託金の金額は大きく変動することから中小企業融資の実態を反映した適正な水準の率である必要がある。現状、公表データとしては、金融機関のプロパー融資に係る平均約定金利のみであるが中小企業融資に係る貸倒れコストの反映は金融機関にもメリットのあることであり、制度融資への協力金融機関と協議の上、必要なデータの入手に努めるべきである。

なお、制度融資の資金のうち保証協会の100パーセント保証となる資金については金融機関の負担する貸倒れコストはないのであるから、協調倍率および預託金は他の資金と区別し算定すべきと思われる。

[3]地域産業活性化融資および新事業創出支援融資について(意見)

地域産業の活性化や新事業の創出は仙台市の経済対策の重要な柱であるが、地域産業活性化融資、新事業創出支援融資(起業家支援融資、創造的産業創出支援融資)ともに市の制度融資においては非常に小さな割合であり、その推移をみても明らかに停滞している。

これらの融資については、融資額に占める預託金の割合が大きく、融資を実行する金融機関へのインセンティブとなるものの、借り手となる中小企業者へのインセンティブとしての効果が弱いのではないかと思われる。
地域産業活性化や新事業創出支援を重要な経済対策として位置付けその推進を図るなら、地域中小企業者へ効果的な方法で制度の周知を行うとともに、金融機関、商工会議所などと協議し預託金の在り方を含め制度融資の金利引き下げなど効果的な施策を検討することが望まれる。

[4]制度融資に係る条件変更について(意見)

中小企業育成融資制度要綱において、融資が実行された者の申し出があった場合、保証協会は資金使途、融資期間、元金均等返済等、融資要綱の条件の範囲内で信用保証の内容を、融資を実行する指定金融機関と協議の上変更でき、協会は当該内容の変更について市長に報告しなければならない。

また、保証協会は指定金融機関と協議の上真にやむを得ないと認めるときは、市長の承認を受けて上記の条件によらず信用保証の内容を変更することができる旨規定している。

しかしながら、東日本大震災の影響から中小企業の資金繰りが厳しくなっており、より速やかな対応を行うため、市は平成23年6月10日付「通知」により育成融資要綱の融資条件である「原則として元金均等返済」について「最終回に残金をまとめるなど融資の期間内で不均等返済とする変更は、制度融資の条件範囲内とし、協議ではなく、報告による取扱いとする。」旨の通知を出している。

その結果、それまで市の承認が必要であった条件変更案件の多くが報告扱いとなった。

報告案件とされた条件変更の報告書を検討すると、その多くが元金均等返済から最終回に多額の返済をまとめて行う、いわゆるテールヘビーの返済計画への変更であり、再建計画等に基づく合理的な返済計画への変更ではなく単なる返済猶予と思える条件変更が多く存在するが、保証協会からこのような条件変更の報告が提出されるとそのまま受理している状況である。

市は保証協会と損失補償契約を締結し、保証協会の債務保証による損失の一部を負担するのであるから、報告案件といえども単なる返済猶予と思われる案件については条件変更による損失拡大を防ぐために保証協会と随時協議し保証内容の変更が妥当であるか否かを検討することが望ましい。

[5]保証協会との損失補償契約について(意見)

市が保証協会と締結している損失補償契約においては、損失補償の額については、融資の種類ごとに保証協会との負担割合を記載しているのみである。

市と保証協会の損失負担割合は年度により変更になることがあるものの、実務上は融資を実行した年度に決めてある負担割合が適用されている。したがって、同一年度において発生した保証協会の債務保証による損失であっても融資が実行された時点でのそれぞれの損失負担割合が適用される。

この点に関して市と保証協会に見解の相違はないものの、保証協会と締結する損失補償契約上、誤解の無いよう、損失負担割合は融資が実行された年度において決定している負担割合であることを明示することが望まれる。

2.仙台市中小企業育成融資制度利子および保証料補給金について

要綱における規定の明確化について(意見)

要綱において、利子補給金は補給対象者あたり補給対象資金の融資額合計で30,000千円を限度として計算した金額となっているが、支給対象期間についての規定がない。

中小企業融資制度ガイドブックでは、3年間の期間限定であることが記載されているものの、この限定は、制度の利用者にとり重要事項であると思われることから、ガイドブックではなく要綱本文に3年間の期間限定である旨記載することが望ましい。

また、同様に利子補給および保証料補給に関して、30,000千円の融資枠を一度利用すると、新たな融資について利子補給金および保証料補給金は受けることはできない。

この点に関しても要綱上は不明瞭である。その利用限度枠は一度である旨要綱本文に記載することが望ましい。

3.企業立地促進助成金について

[1]操業継続報告書および添付書類の提出について(指摘)

企業立地促進に関する各助成金交付要綱には、助成金交付対象事業が助成金交付期間終了後も助成金を交付申請する際の条件等を満たしている必要があることから、交付期間終了後の事業者の遵守状況を確認できるように、助成対象期間の最後の助成金の交付決定の通知を受けた日から5年を経過するまでの間、操業継続報告書に必要な書類を添えて市長に提出しなければならない旨定めている。

平成24年度に操業継続報告書を提出すべき23件の助成金交付対象事業のうち12件については監査実施時点で当該報告書および添付書類が提出されていなかった。また、操業継続報告書を提出した3件(1社)については添付書類が提出されていなかった。

担当部署によると担当者の変更があり引継ぎが十分になされていなかったことおよびチェックがなされていなかったことによる入手もれとのことであった。

操業継続報告書およびその添付書類は、助成金対象事業が助成金交付期間終了後も要綱に従い継続して操業していることを確認するための書類であり、適時に入手し変更の有無等を確認する必要がある。また、このような定期的に提出される報告書等については、提出の有無を一覧できる管理表等を作成しチェックすることがもれの防止につながるため必要である。

[2]助成金の交付の指定の承継について(指摘)

都市型サービス業立地促進助成金交付要綱第12条では、「助成金の交付の指定の承継を受けようとする者は、交付対象事業について、助成金交付指定承継申請書を市長に提出しなければならない。」そして同第13条では「前条の規定による申請があったときは、これを審査し、適当と認めるときは、申請者に対し助成金交付指定承継承認書により助成金の交付の指定の承継の承認を行うものとする。」と規定されている。

この審査は、交付対象事業の承継を受ける者が助成金交付要綱の規定を遵守し、助成金の交付目的を達成できるか否か、事業の実質的な継続性を検証することにある。

平成24年度に提出された書類に、操業継続報告書の事業者名と添付書類である納税証明書の事業者名の異なるものが存在した。これは助成金交付対象事業の譲渡が行われ譲渡人の納税証明書が添付されていたことによる。しかしながら、この事業者から助成金交付指定承継申請書は提出されておらず、したがって助成金交付指定承継承認書による承認もなされていなかった。

助成金の交付の指定の承継承認は助成事業の適正性に係る問題であり、承継に係る書類の提出を要求し、改めて承認の手続を取る必要がある。

4.東北復興交流パーク事業について

委託事業に係る経費について(意見)

仙台市は当事業の実施に当たり、特命随意契約に基づき企業体に業務委託を行っているが、業務委託料の決定に当たり競争原理が働いていない。資料の閲覧および担当者への質問から特命随意契約であることについては妥当性があると考えられるが、このような競争原理が働かない状況において、市は委託料が有効かつ効率的に使用されるように特に留意する必要がある。

この点において、市は企業体が支出した経費について領収書のチェックを行い金額の正確性、実在性の検証を行っているが、金額の妥当性の検証は行っていないとのことであった。業務委託契約である以上、受託者側に裁量の余地があるが、一方で特命随意契約であり競争原理が働かないため、市としては支出の有効性、効率性が確保されるように当事業に関わるべきである。

したがって、市は契約書において一定の基準を定め、当該基準に該当する支出については相見積もりを取らせるなどして支出金額の妥当性を確保する仕組みを整え、資料の閲覧等によって支出金額の妥当性を確認するべきである。

5.東北復興創業スクエア事業について

デザイン連携促進業務におけるハンドブックについて(意見)

仙台市は当業務において「あきんどでざいん手帖」の作成および配布を行っている。「あきんどでざいん手帖」は地域企業等に対し、デザインの活用に関するニーズをヒアリングまたはアンケート調査によって把握し、地域企業等がサービスや商品の質を向上するためにデザインを活用するための情報をまとめたものである。「あきんどでざいん手帳」は事業者や起業家にとって有用な情報であったといえる。

市の委託事業により情報を収集し作成した冊子である以上、支出の効果を最大にする必要があり、情報の提供先を限定する必要はなく広く公開すべきである。

市は「あきんどでざいん手帖」を、より多くの事業者や起業家に配賦するという意図とともに、インターネットが苦手な高齢の事業者、起業者にも情報を提供したいという意図があったため5,000部印刷し配布しているが、今後インターネット等により公開が行われるなら、印刷部数を限定してもより広く情報提供が可能となり、印刷経費の削減にも効果があると思われる。

6.仙台市情報・産業プラザ運営管理費について

[1]備品の管理について(指摘)

事業団では仙台市所有の備品について「協定書」に基づき管理しなければならないことになっている。「備品台帳」に基づきサンプルベースで実物検査を実施したところ、「備品台帳」に記載されている備品の一部について現物が確認できないものがあった。

職員が持ち出しているため現物が手許にないとのことであったが、当該事実が確認できる帳簿類が作成されていないことから管理上問題がある。

また、事業団による「備品台帳」と現物との定期的な照合が実施されていないため、現物が紛失または盗難により無くなったとしても長期間にわたってその事実が判明しないおそれがある。

したがって、備品の持出および返却の事実を適切に記録するための帳簿類を整備・運用するとともに、定期的に「備品台帳」と現物との照合を実施する必要がある。

[2]情報・産業プラザ管理に係る再委託承諾願の承認方法について(意見)

「協定書」において、事業団は、原則として管理業務の全部または一部について第三者に委託し、または請け負わせてはならないこととなっているが、事前に仙台市へ書面で申請し、仙台市による承認を得たときは、例外的に第三者に再委託し、または請け負わせることができるとしている。

事業団では「協定書」に基づき、施設の貸出、保守点検、清掃および警備業務等の管理業務について第三者に再委託するために仙台市に対して再委託承諾願を提出しているが、仙台市ではこれを承認するにあたって、再委託承諾願に記載されている委託予定金額の正確性について事前の検証をしていない。

事業団では、契約金額1,000千円以上のものに関し、契約事務審査委員会を設置し契約内容、契約の相手方ならびに契約金額等を審議しているが、これについて仙台市は事業団の審議記録を事後である年度末3月の事務検査時に閲覧しているのみで事前には徴求していない。

「協定書」上、事業団の審議記録は再委託承諾願を提出する際の添付書類として規定されてはいないが、仙台市が再委託承諾願を承認するための判断材料として必要なものであるため、審議記録を添付させることが望ましい。特に、事業団においては、競争入札や相見積もりを実施せずに特定の事業者を再委託先として長年にわたって指名しているケースがあるため、審議記録の徴求は、仙台市が事業団の再委託先の選定にあたって競争入札や相見積もりの余地がないかを検討するためにも必要である。

7.公益財団法人仙台市産業振興事業団補助金について

事業団からの実績報告の検証について(意見)

補助金交付要綱では、市長は補助事業の実績報告に係る書類の審査及び必要に応じた現地調査等を行い、補助事業の成果が補助金の交付の決定の内容及びこれに付した条件に適合すると認めたときは、交付すべき補助金の額を確定するとしている。

事業団からの実績報告の審査等の状況を確認したところ、事業団に仙台市の担当者が訪問し、事業費の内容の調査を行っているとのことであるが、この調査に係る報告書が作成されていないため、実際に調査を行っているかどうかの確認ができなかった。

仙台市が交付した補助金が事業団でどのように使用されているかを調査することは非常に重要な手続であるため、当該調査を行った担当者は調査内容および調査結果に関する報告書を作成する必要がある。

8.公益財団法人仙台市産業振興事業団について

[1]出張旅費の精算方法について(意見)

事業団の旅費規程においては、新幹線を利用した場合や宿泊した場合の精算報告にあたって領収書等の必要書類の添付が要求されていない。

領収書の添付がない場合、実際に出張したかどうかの確認ができないこととなる。出張旅費の精算にあたり新幹線切符代や宿泊料といった重要と判断される出張旅費については、領収書の添付を義務付ける必要があるため、旅費規程にその旨を追加する必要がある。

また、旅費規程において、出張宿泊料が役職ならびに宿泊場所に応じて定額支給されることになっている。定額支給の場合、役職員が支給額より安価な宿泊施設を利用することによって、その差額を役職員が収受することになると考えられ、補助金を財源とする経費の支出としては問題がある。

したがって、出張宿泊料は役職ならびに宿泊場所に応じて支給限度額を定めたうえで実費精算するよう旅費規程を改正する必要がある。

[2]休眠口座の取り扱いについて(意見)

事業団の保有する普通預金口座のうち長期間動きのない、いわゆる休眠口座が2口座検出された。そのうちの1つは残高がなかったが、もう1つについては残高4円のまま平成18年2月13日以降動きがない状態が続いていた。
残高自体は少額であるものの、法律上は預金の時効消滅が規定されているため、このままの状態が続いた場合、払戻請求ができなくなるおそれがある。

したがって、当該普通預金口座については今後の利用を検討する、または解約して払戻しを受けるといった対応をとることが望まれる。

9.株式会社仙台ソフトウェアセンターについて

[1]情報化推進事業における仙台市との取引の合理性について(意見)

仙台ソフトウェアセンターは情報化推進事業において仙台市と毎年200,000千円前後の取引があり相当の利益を計上しているものの、仙台市以外の者との取引は年々減少傾向にあり、平成22年度及び平成23年度は30,000千円台、平成24年度には20,000千円台の売上となり、売上総利益率も低い水準にある。仙台市以外の新規の受注が獲得できていない。

売上総利益の推移をみると、情報化推進事業の利益は、ほぼ仙台市との取引により生じたものである。
このような状況において、仙台市は毎年継続して200,000千円前後の業務を随意契約に基づき委託しているが、仙台ソフトウェアセンターの仙台市以外の者との取引金額およびその売上総利益率から考えた場合、会社の市場競争力および価格競争力に疑問を持たざるを得ない。

仙台市は、改めて仙台ソフトウェアセンターとの取引の必要性および取引金額が市場価格を反映し妥当な水準なのかなど、随意契約の合理性を再検討する必要がある。

[2]仙台ソフトウェアセンターの存在意義の検討について(意見

仙台ソフトウェアセンターは、地域ソフトウェアセンターの当初の設立趣旨である地域へのソフトウェア産業の立地・育成の担い手としての役割を期待されて設立された会社である。

仙台ソフトウェアセンターの情報化推進事業は、事業の内容から、また、売上高および売上総利益の水準等から基幹事業となるものである。しかしながら、基幹事業であるにもかかわらず事業そのものが仙台市との随意契約に基づく取引に依存している状況である。仙台市はさらに、仙台ソフトウェアセンターの建物の敷地を無償で貸付している。これらは実質的には仙台市からの援助である。

仙台市との随意契約の合理性に疑問がある中で、さらに仙台市以外の者との新規取引の見通しが立たない中で仙台市が実質的な援助を継続する意義は乏しい。

仙台市は、仙台ソフトウェアセンターの役割を議論し、また、他の株主と意見交換した上で、その存在意義を再検討する必要があると考える。

10.公益財団法人仙台観光コンベンション協会運営費等補助金について

[1]補助金支出に対する効果検証について(意見)

毎年観光コンベンション協会より補助事業に対する事業報告がなされているものの、その報告内容はほとんどが補助金を利用して実施した事実のみの報告にとどまっており、補助金の出し手である市側による有効な効果検証を行い得る情報入手が必ずしもなされていない。実績報告を受ける場合においては、補助事業の成果が補助金交付の決定の内容およびこれに付した条件に適合するか否かを確認することになっているため、複数年度比較・見込実績比較などこれまで以上に詳細な「効果に主眼をおいた報告」を求めるべきである。

[2]補助金交付金額の戻入額について(意見)

過去5年間の補助金交付状況を確認した結果、当初交付した補助金のうち約4パーセント~16パーセントが結果的に戻入されていた。

職員の退職等による人件費の剰余分、予定した活動の縮小や事業費の圧縮努力を行い要求額以下の支出に留まったこと、また、協会独自の収益事業による収入を原資とした戻入であるということであるが、収益事業による収益見込みの予測が困難である点を差し引いても、戻入額はなお大きい。

過大な戻入額が生じる場合、当該年度での資金の固定化を招き、他の案件への補助機会の逸失など、市財源の有効的な利用がなされなくなる恐れがあるため補助金交付額の適切性についてさらなる検討が望まれる。
補助金対象業務について詳細かつ具体的な支出見込の報告を求めるとともに、その内容の検討をより厳密に行うなど補助金決定時にこれまで以上の実効性のある審査を行うべきである。

11.観光客誘致宣伝に要する経費について

委託業者への指導強化について(意見)

東北観光案内・物産展事業に関して、特命随意契約により選定された団体へ市から業務委託料(平成24年度27,136千円)が支出されている。この団体は、その代表者が経営する別会社へほぼ一元的に事業に関する広報費の発注を行っていた。団体は、当該事業の遂行に必要であるとして当該別会社に発注していたが、実際にどの会社へ発注するかまで市は関知していない。また、市にはこのような取引を制限する規定もなく、業務委託契約書上も明示されていない。

事業全般の運営を委託して支出した金額であるものの、元を辿れば市財政からの支出であるため、団体とその代表者の取引は、たとえ適正額での発注であるとしても、客観的にはその取引の正当性にやはり疑念の生じる余地がある。

したがって、市においては、受託者による業務委託料の使用がこのような疑念を生じる取引であるか否かの観点からも検証し、指導することが望まれる。

12.公益財団法人 仙台観光コンベンション協会について

[1]出納業務に係る上長認証について(指摘)

「経理事務規程」によると「会計事務担当者は、現金については日々の現金出納終了後、現金有高を集計し、かつ仕訳伝票および現金出納帳と照合して会計事務責任者の認証を受けなければならない。」とある。しかし、協会の実務について質問および関連資料を閲覧した結果、実際には日々の現金有高の集計に基づく会計事務責任者の認証は行われていないことが判明した。

現金についてはその性格から不正や誤謬を招きやすく、また、横領の対象になるおそれがあるため、特に厳格な管理の必要がある。

規程に準拠した手続を順守することを通じ、適切な現金管理を行うことが必要である。

[2]預け在庫の集計もれについて(指摘)

協会は、収益事業の一つとして観光PR物品販売事業を行っており、仙台市内を循環するバスである「るーぷる仙台」のチョロQを製作し、委託販売している。

協会は、期末時点の当該在庫数量を確認するため、自ら保有する在庫に加え、販売委託先から期末時点の在庫数量情報を入手して集計・確認を行っている。しかし、平成25年3月末時点の在庫数量の集計の際、一部の販売委託先からの在庫数量情報を合算することを脱漏しており、金額は僅少ではあるものの結果として貸借対照表上の在庫金額が誤っていた。

在庫とはいえ、現実に換金価値を有する資産であるため、適切な管理が必要である点は上記現金管理と同様である。

担当者以外の者による確認を行うなど、誤集計を防止する体制や、貸借対照表計上額を検証する体制の構築の必要がある。

[3]出張旅費の精算方法について(意見)

協会の旅費規程において、概算払い後の精算報告や、領収書等の必要書類の添付が要求されていない事実が判明した。

領収書の添付がない場合、実際に出張したかどうかの確認ができないこととなるため、出張旅費の精算にあたり新幹線切符代や宿泊料といった重要と判断される出張旅費については、領収書の添付を義務付けるなど、旅費規程にその旨を追加する必要がある。

また、旅費規程において、出張宿泊料が役職ならびに宿泊場所に応じて定額支給されることになっている。定額支給の場合、役職員が支給額より安価な宿泊施設を利用することによって、その差額を役職員が収受することになると考えられ、補助金を財源とする経費の支出としては問題がある。

したがって、出張宿泊料は役職ならびに宿泊場所に応じて支給限度額を定めたうえで実費精算とするよう旅費規程を改正する必要がある。

[4]物産会館積立金に係る会計処理について(意見)

協会は、将来建設されるであろう「仙台市物産館」の物産陳列に係る什器購入を目的として、昭和56年から平成21年まで資金の積立てを行っており、平成25年3月末現在の貸借対照表上、資産取得資金として「物産会館引当資産」11,603千円を計上し、また、固定負債に「物産会館積立金」を同額計上しているが、当初予定した物産会館の建設計画は長期にわたり具体的な進展がない。

したがって、現状は、当初の積立目的を達成できる状況ではなく、資金積立に合理性は乏しいと言わざるを得ない。建設計画を進めるのかまたは断念するのかを仙台市等と協議の上、法人の意思決定の場である理事会で明確に決議する必要があると考える。また、仮に断念することを決定した場合には、引当資産は取り崩す必要がある。

また、公益法人の会計基準上、負債の定義や金額等の記載はないものの、一般に債務性のない負債は制限されるべきであるため、固定負債に計上している「物産会館積立金」は、建設計画の如何に係わらず戻入を行うべきである。

[5]特定金融機関への資金の集中について(意見)

協会保有の預金140,331千円のうち133,234千円が特定の金融機関に集中している状況である。
当該資金については、大部分が預金保護制度の対象から外れているため、元本保護の観点から、金融機関の財政状況等のモニタリングに基づきリスク低減を図るなど慎重なリスク管理を行うことが望まれる。また、可能な範囲で、複数金融機関を利用したリスク分散を図ることも望まれる。

13.緊急雇用創出事業-仮設住宅安心見守り協働事業について

[1]協定の更新について(指摘)

平成23年5月18日付で締結した協定により、事業の実施に当たり受託者および仙台市の双方が互いに理解・尊重し、対等な関係のもと協働により進めていくこと、事業費の負担金額が定められているが、この協定が平成24年度も引き続き効力を有するとして、新たな協定の締結や更新は行われていない。

しかし、協定に記載された事業費および事業期間は平成23年度分のものであり、協定の締結または更新が行われないため、協働事業と言いながら平成24年度において受託者が負担する費用項目・金額が不明確となっている。
この事業に係る業務委託契約も年度ごとに締結していることから、協定も実態に即した形で、年度ごとに更新し、市と受託者の事業費の負担区分を明確にする必要がある。

[2]事業計画および事業収支予算書の提出について(指摘)

協定には、受託者が提出した事業計画書に基づきこの事業を実施する旨および受託者は申請した事業収支予算書に基づく自己資金等を活用し費用を負担する旨が定められているが平成24年度は業務委託契約に基づく業務履行計画書は提出されているものの、協定に基づく事業計画および事業収支予算書は提出されていない。

市は平成23年度の当該事業の実施過程において、また、業務完了届及び仕様書で定める書類の提出時において事業の課題や問題点を受託者と協議しているとのことであるが、これらの課題や問題点にどのように対処するかは事業計画にも詳細に記載されるべきものである。この事業は、応急仮設住宅入居者の孤立を防止し、自立促進に寄与することを目的としており、その目的を効果的に達成するためにも、現実に即した事業計画が必要であり、市は業務委託契約の締結前に慎重に検討する必要があった。同様に、事業収支予算書についても、協働事業であることから受託者が負担する費用項目・金額を明確にしたうえで事業を行う必要があり、契約締結以前に入手し検討すべきであった。

したがって、市は平成24年度の協働事業の実績を再検討し、その課題や問題点について平成25年度実施事業に反映すべきである。

14.緊急雇用創出事業-国民健康保険料等収納率向上事業について

ハローワークの求人票の記載事項について(指摘)

平成24年度はこの事業により延べ87名が採用され、任意に抽出した10名分にかかる求人票6件を閲覧し、ハローワークの求人票の作成(必須)要件の記載の有無を検証したところ、3つ要件がもれなく記載されているのはサンプル6件中1件にとどまり、3つとも記載されていないのは6件中3件にのぼった。担当者によると、この事業による募集と他の事業・予算による募集を兼ねた求人票の作成を行ったため、当該記載を行わなかったと推測される旨の回答を得た。

この事業の対象とはならない失業者が応募するケースや採用されたケースはなかったということであるが、要件が記載されていない、または不十分な場合、この事業の対象者ではない求職者が応募し、担当課による面接が行われる可能性も否定できず、求職者に無用な混乱を生じさせ、各課担当者に無用な労力を費やさせることにもつながりかねない。

この事業により採用を行う場合には求人票に必要な事項を記載して求職者に対し募集の条件を明示するとともに、他の予算・事業による募集も併せて行う場合にはそれぞれにつき求人票の作成を行うべきである。

15.緊急雇用創出事業-震災対応就職支援事業について

未派遣者および再就職支援を受けずに辞退した者の抑制に向けた対応策について(意見)

本事業は、震災により離職を余儀なくされた者、高校新卒未就職者および若年求職者に対し、委託先での研修および派遣による就業体験を通じ、派遣終了後の直接雇用に結び付けることを目的として実施されるものである。
この事業における参加者は186名、派遣終了者は162名であり、そのうち、派遣先および再就職支援による派遣先以外での直接雇用者は138名であった。政令市が実施した同種事業の直接雇用の割合を上回っていることから、本事業は一定の効果があったと仙台市は判断している。

その一方で、研修のみの参加者、すなわち事業所への未派遣者は24名であり、また、派遣終了後に再就職支援を受けずに辞退した者が16名であった。

この中には、自ら就職先を探す者、進学者、音信不通となる者等、動機や意欲などの観点から本事業の趣旨に適さない者が採用されている。「仕様書」では「本事業を活用する意思を確認したうえで派遣登録を行う」と定められているが、確認が必ずしも十分ではなかったものと推測される。

本事業に採用された参加者には日当が支給され、この事業を実施するにあたっては研修費や運営費などの諸経費がかかっており、仙台市は未派遣者・辞退者にかかる人件費や諸経費を支払っている。本事業の目的は派遣による就業体験を通じその後の直接雇用につなげることにあり、その趣旨の理解に乏しい参加者に予算を投入してまで就職支援を行う必要性はない。

未派遣者・辞退者数をより低く抑えるためには、「応募者には本事業の趣旨を説明し、本事業を活用する意思を確認する」旨をさらに強調することや、仙台市の負担を抑制するため、想定以上の未派遣者・辞退者が生じた場合その者にかかる費用の一部を委託先に負担を求めるなど、実効性のある対応策を講ずることも必要と考える。

16.緊急雇用創出事業-産業人材育成事業について

[1]仙台市による事業の効果の検証の実施について(意見)

この事業は、訓練生にOFF-JTとOJTを通じて専門的な資格・技能を取得・習得させ、その後の直接雇用や再就職支援による就職につなげることを目的として実施されたものである。例えば、「宅地建物取引主任者養成コース」や「太陽光分野営業スペシャリスト養成コース」のように、訓練生に占めるその後の直接雇用者・再就職支援による就職者の割合が90パーセント以上にのぼり、一定の効果があったと推測されるコースがある一方で、「介護職員人材育成コース」や「ネットショップ運営人材育成コース」のように、訓練生全員が資格を取得しながらもその後の就職には必ずしも結びついていないコースもあり、この事業の目的を達成できずその効果が疑問視されるコースに対しても予算が投じられている現状がうかがえる。

この事業は「産業人材育成」事業というその名のとおり、事業期間中の短期の雇用の確保ではなく、社会に資する人材を育成しその後の雇用につなげていくことを主眼として行われるものであり、この事業の趣旨に合致しないコースに予算は投じられるべきではない。

当初に想定していたような効果が見られないコースがある場合にはその問題点の洗い出しを行い、今後の事業の効果的な運営につなげていく必要がある。

[2]取得した資格の確認について(意見)

各コースを通じ訓練生が取得した資格については各受託者が実績報告により市に報告しているが、実績報告書に合格証書の写しなどの添付は義務づけられていないため、合格証書や修了証の閲覧などを通じ訓練生が取得した資格の確認は行っていない。

この事業は、訓練生にOFF-JTとOJTを通じて専門的な資格・技能を取得・習得させ、その後の直接雇用や再就職支援による就職につなげることを目的としており、資格の取得自体を目的とはしていないが、資格の取得はこの事業にとって一つの重要な要素となっている。市による事業の効果を検証する際の重要な指標となる資格取得が不明確な現状では誤った結論を導き出すことにも繋がりかねない。受託者に訓練生の合格証書の写しなどを提出させ、受託者の報告どおりに訓練生が資格を取得しているか確認することが必要と考える。

17.緊急雇用創出事業-震災対応等臨時職員雇用事業について

ハローワークの求人票の記載事項について(指摘)

平成24年度は、市長部局においてこの事業により延べ492名が採用され、任意に抽出した11名分にかかる求人票10件を閲覧し、ハローワークの求人票の作成(必須)要件の記載の有無を検証したところ、3つの要件がもれなく記載されているのはサンプル10件中3件にとどまり、3つとも記載されていないのは10件中3件にのぼった。
平成24年度は要件が緩和され、被災求職者の場合は、既に緊急雇用創出事業により通算1年間雇用されたことがある者もこれまでの雇用期間によらず再度の雇用が可能となったにもかかわらず、「緊急雇用創出事業により就労したことがない人」という誤った記載がなされていた求人票も存在した。担当者によると過年度の求人申込書の記載をそのまま踏襲してしまったということである。

要件が記載されていない、または不十分な場合、この事業の対象者ではない求職者が応募し、当該求職者に対し担当課による面接が行われる可能性も否定できず、求職者に無用な混乱を生じさせ、各課担当者に無用な労力を費やさせることにもつながりかねない。また、求人票に誤った記載を行った場合、本来ならこの事業の対象となるにもかかわらず応募ができないとの誤解を招きかねず妥当ではない。
この事業により採用を行う場合には求人票に必要かつ適切な事項を記載して求職者に対し募集の条件を明示しなければならない。

18.緊急雇用創出事業-誘致企業雇用促進事業について

直接雇用者数の報告の義務付けについて(意見)

この事業により雇用された者が事業終了後に各受託者において引き続き雇用されているか否かについて、現状ではその報告は各受託者に義務付けられてはいない。一部の受託者は自発的に実績報告書において事業終了後の雇用状況につき報告を行っているが、他の受託者の実績報告書には事業終了後の雇用状況が記載されておらず、事業終了後の雇用状況は把握できていない。

業務仕様書において「事業終了後の直接雇用に努めること」と定められているとおり、この事業は東日本大震災等の影響による失業者に短期の雇用・就業の機会を提供し、必要な知識・技術を習得させることのみならず、事業終了後の直接雇用に結び付けることを主眼として実施されるものである。一部の受託者は自発的に事業終了後の雇用状況につき報告を行っているため直接雇用者数のある程度の把握はできているものの、その他の受託者の直接雇用者数が不明な現状では、事業の効果の検証を行うに際してもその検証が不十分なものにならざるを得ない。

市は、事業終了後の直接雇用者数やそれ以外への就業状況、処遇等について受託者に報告を義務づけ、当該報告を事業の効果検証に役立てるべきである。

19.農業園芸センター運営管理費について

指摘および意見はない。

20.財団法人仙台市農業園芸振興協会について

指摘および意見はない。

21.被災農家経営再開支援事業費について

指摘および意見はない。

22.東日本大震災農業生産対策交付金、農業生産復旧緊急対策事業補助金、農業生産復旧促進事業について

補助事業者の入札手続きに対する指導について(意見)

一般競争入札は、入札情報を公告し、多数の企業が入札に参加することで、契約金額の縮減をはかり、効率性を上げることに意義がある。

M社は、交付金対象事業である養液栽培施設工事(事業費1,165,500千円、うち国、県および市の補助金合計915,750千円)について、条件付き一般競争入札を行っている。M社は、平成24年10月19日に自社のホームページに入札の公告を行い、平成24年11月2日を入札書受付締切り、すなわち14日間の公告期間を設けていた。この入札では、実際の入札業者は1社のみであった。

新規設立の小規模な一民間企業のホームページ上で、限られた期間の公告では、広く参入業者を集めることはできず、上記のような競争入札の効果を得ることは困難と思われる。

市の規則では一般競争入札の公告期間を30日間としており、民間事業者の行う入札手続きであっても高額な補助事業については市の規定に準じて十分な公告期間を確保させるなど、市による補助事業者の入札手続きに対する指導が望ましい。

23.農業用機械施設等整備費補助金について

野菜・花きパイプハウス緊急設置事業について(指摘)

この補助金の補助対象事業は、間口5メートル以上パイプ径20ミリ以上専用ドア付とされている。補助金交付請求書および添付資料を閲覧したところ、農業者A氏から申請のあった間口が4.5メートルのパイプハウスに対して343,000円の補助金が交付されていることが判明した。当該パイプハウスは補助対象事業の要件を満たしていないため、補助されるべきではない。市は今後、農業者A氏に対して返還を求めるべきである。

市は今後申請書及び添付書類を複数人でチェックを行うなど、単純なミスを防止する体制を整えるべきである。
さらに、この補助金の交付誤りは、包括外部監査において補助金交付請求書および添付書類をサンプルベースで閲覧した結果であることから、市は、この事業を開始した平成23年度と平成24年度の申請書および添付書類を再度チェックし、交付した補助金が要綱にしたがっていることを再確認すべきである。

24.被災地域農業復興総合支援事業について

営農再開面積に応じた農業用機械の購入について(意見)

平成24年度の農業用機械の導入は、基本的には24年度末まで導入し25年度の営農再開に向けてリースされるものである。

田植機は1台当たり4,000千円、コンバインは1台当たり16,300千円である。

高砂地区における田植機および自脱型コンバインの平成24年度の導入実績は、それぞれ8台および6台であるが、営農再開予定地の工事の遅れや転作面積の増加によりそれぞれ3~4台で賄える状況となり、結果的に加配となった。

平成25年度分を含めた必要台数を超えているわけではないが、年度ごとの営農再開面積および転作面積を適切に予想しそれに応じた農業用機械の実際必要数を購入することが、当該農業用機械の有効利用および交付金の有効な使い方である。

25.農業基盤復旧復興整備計画策定事業について

契約方法の適切性について(意見)

仙台東土地改良区による農地集約化等合意形成促進業務の事業費の見積もりによると、この業務に関して宮城県土地改良団体連合会から4人が1年間派遣されており、営農状況および農地集積促進計画書の作成業務も同連合会に再委託されている。また、農地集約等合意形成促進システム構築に係る業務もP社に再委託されている。これらに要する経費は65,000千円であり、仙台東土地改良区のこの業務に係る人件費および庁費合計100,494千円との比較において、この業務の大部分が外部の事業者により行われていることがわかる。

この業務は、地域の農業者との面談や折衝を行うという意味において仙台東土地改良区が適任であるが、農地集約化に関する能力・経験は宮城県土地改良団体連合会が豊富に有しているであろうし、この業務に同連合会から4人が1年間派遣されている事実からもそのことは窺える。すなわち、この業務の中核となる農地集積促進計画書の作成や仙台東地区の農業のあり方のとりまとめ等は派遣社員および再委託先により実施されている。

したがって、市は、この業務を一つの団体と随意契約を締結するのではなく農業者に対応する業務とその原案を作成する業務について、それぞれ仙台東土地改良区と宮城県土地改良団体連合会に分けて発注することが経済的かつ効率的な事務の執行方法であったと思われる。

26.仙台東部地域農地集積促進業務委託について

実績報告に係る見積書の検証について(意見)

この業務に関しては、仙台東部地域農地集積促進業務仕様書に基づき見積もりされ、契約が締結されていたものの、参加者の状況や時期的な問題から講習会および先進地研修の回数が変更になり、この業務委託に係る契約金額29,381千円も22,087千円に減額され、変更契約書が締結された。

この変更契約の基礎となる新たな事業費の見積書を検証した結果、講習会や研修会等の回数が減少しているものの、受託者側の直接人件費については当初見積もりと同額であった。また、当初見積もりでは、受託者側の直接人件費に含まれていた議事録作成費用が新たな事業費の見積書では雑役務費として別計上されていた。

この業務委託契約の変更に係る協議では、当初見積もり以上に受託者側の人的負担等が大であったことなどから変更契約に係る見積書に合意したということであったが、この協議に係る書面は残されていない。

見積書は契約金額の基礎となる資料であることから、委託業務の実態を正確に反映しているか否かを検証する必要があり、また、契約書や見積書等に記載されない合意事項は書面で残す必要がある。

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