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更新日:2021年10月24日

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第4回―協働がつなぐ仙台ー郡市長とふれあいトーク(7月24日)

7月24日(火曜)は、史跡陸奥国分寺・国分尼寺跡のボランティアガイドに取り組む「陸奥国分寺薬師堂ガイドボランティア会」の皆さんにお話をうかがうため、現在拠点としている「史跡陸奥国分寺・尼寺跡ガイダンス施設」を訪問しました。

集合写真

懇談に参加された皆さんと団体の概要

陸奥国分寺薬師堂ガイドボランティア会
 会長  岩渕 隆是(いわぶち たかし)さん
 副会長 阿部 次男(あべ つぎお)さん
 赤石 成子(あかいし しげこ)さん
 庄子 清史(しょうじ きよし)さん
 髙島  駿(たかしま はやお)さん

「陸奥国分寺薬師堂ガイドボランティア会」は、本市主催の文化財ガイドボランティア養成講座受講者の有志で前身となる会を発足。陸奥国分寺薬師堂で毎月行われる「お薬師さんの手作り市」でのガイドを皮切りに、無料でボランティアガイド活動を開始。現在は昨年夏にオープンした「史跡陸奥国分寺・尼寺跡ガイダンス施設」を拠点とし、本格的なガイド活動を展開しています。

「国の指定史跡」「国の重要文化財」「国の名勝」で活動できることを誇りに

市長 
陸奥国分寺・国分尼寺跡は子どもを連れて遊びに来たりとずいぶん通いましたので、私にとっても大変思い出深い場所です。きれいに整備もされて、ここでボランティアガイドの活動をされている皆さんと懇談するということで大変うれしく思っております。

岩渕会長
私の出身は一関市ですが、仙台に40年住んでいますので「宮城の人間」だと思って活動しています。
ご存じのとおり、陸奥国分寺・尼寺跡は国の指定史跡であり、薬師堂は国の重要文化財、そしてこの一帯は「おくのほそ道の風景地」として名勝指定されています。このような場所で活動できることを誇りに思っております。
この会は市が主催した国分寺のボランティア養成講座の受講者が集まり、平成21年11月に「手づくり市」でガイドを行ったのが始まりだったと思います。その後、組織として平成26年に会をまとめ、現在はこのガイダンス施設を活用しながら広く皆さんに歴史のある国分寺、特に政宗公以前の古い歴史を知っていただきたく活動しています。これからは地域の皆さんと一緒にこの国分寺を盛り上げていきたいと考えています。

赤石さん
もともとは仙台市博物館のガイドボランティアをしていました。同じボランティアに所属していた岩渕会長と同じ勤め先だと知り、この会にも誘われて参加しています。
「歴史」というと皆さん過去のもの、「国分寺」というと旧跡のような捉え方をされていますが、わたしはこれらが過去から現在、そして未来につながるものとしてガイドしていきたいと思っています。
私は七重の塔が一番好きで、訪れた子供たちには「東京スカイツリーにも採用されている芯柱が実は七重の塔を基にした発想であり、過去を勉強することが未来にもつながる」と教えています。中高生であれば奈良・京都に行くこともあると思うので、陸奥国分寺のことについて過去と現在に何らかの接点を感じてもらえたらと思いガイドをしています。また同年代の方には、ガイドを通じて何気なく見てきたものに秘められた価値について共感していただいています。こうしたものが私の基礎になっています。

市長
今のお話しも情景が浮かんでくるようなすばらしいガイドでした。

阿部副会長
私は民間企業を定年退職後、ボランティアを始めました。こちらの会のほか、地底の森ミュージアム、仙台城等のボランティアのほか、自身で主催する会において、年に一度日本遺産や世界遺産を鑑賞して勉強する会を開いています。
日本中の方とお話しすることが好きであちこち巡っておりますが、最近は海外を訪ねることもあります。

市長
ご自分で楽しむだけではなく多くの方に歴史を教えてくださっている重要な役割を担っているのですね。

庄子さん
私は生まれも育ちも仙台で、会社員時代は楽天のホームゲーム会場でエコボランティアをしていました。定年退職後はお誘いがあってこちらのガイドボランティアをしています。一から岩渕会長に教えていただき、今年から仙台市博物館でもボランティアをしています。倍率は3~4倍でしたが、今年採用されました。今日も午前中は博物館に行き、午後からこちらに参加しています。

市長
博物館ボランティアは倍率が高いのですね!

岩渕会長
現在は124名ほど在籍しています。私は今年の5月まで17年参加しました。

市長
そちらにも参加されているとは、今日の方々はエキスパートですね。

髙島さん
私の出身は会津ですが、仙台に転勤して50年になりました。もともと歴史的建造物等の建築の仕事をしており、その勉強のためにガイドボランティアの講座を受講したのがきっかけです。

市長
日頃から様々なことを勉強していないと務まらないボランティアであり、それが皆さんの元気にもつながっているのだと感服しています。

岩渕会長

阿部副会長

写真左:岩渕会長
写真右:阿部副会長

自分だけ知っているのはもったいない、学んだことを他の方にも知ってほしい

市長
岩渕会長はどのようなことがきっかけでこのボランティアを始めようと思ったのですか。

岩渕会長
63歳の時に退職し、今後何をしようかと考えていた時に、歴史が好きということで博物館に行って勉強をしていました。仙台の歴史を知る上で、政宗公の時代以前について学びたいと思い、当時市が開府400年として開設していた講座に国分寺に関する講座があり、それを受講する中でボランティアとしても活動したいと思ったことが始まりでした。

市長
歴史が好きで勉強して講座を受けるだけでなく、自分でボランティアを行うというところが他と違うところだと思いますが、ボランティア活動を続けようと思ったきっかけはどのようなことでしょうか。

岩渕会長
自分だけ知っているのはもったいないと思ったことと、私が学んだことを他の方にも知っていただきたいと思ったことですね。

市長
ガイダンス施設がオープンして間もなく1年になりますが、入館者の8割以上に対しガイドを行ってきたとうかがっておりますが、これだけ多くの方に応対いただくというのはすごいことですね。

岩渕会長
このような施設が整備されたことで、広く知っていただく機会ともなり、そのお手伝いができることを幸せなことと感じています。

市長
むしろこちらが御礼を申し上げる立場だと思っております。
開館以来、来館者は増えていますか。または季節によって何か傾向のようなものはありましたか。

岩渕会長
施設ができるまでの団体のお客様は年間2、3組でしたが、開館後の1年で62組ほどがいらっしゃっています。
また国分寺が好きな方がいらしていますが、他の文化遺産も好きな方が多く、お話しすることでこちらも勉強になっています。

市長
阿部副会長が定年後の選択肢としてボランティアを選ばれたきっかけはどのようなことだったのでしょうか。

阿部副会長
十数年前に退職し、何もすることがなく始めたのがきっかけです。ガイドの仕事は勉強しないとお客様についていけません。質問に対して「分かりません」ではガイドになりませんから、常日頃から勉強しています。歴史というのは関連性がありますから、市内各所のガイドやボランティアを数多く経験することで、幅広く勉強しています。

市長
赤石さんにとって活動の醍醐味はどのようなところでしょうか。

赤石さん
ボランティア活動の中で自分には知らないことがたくさんあると感じ、62歳を過ぎた頃から勉強を始めました。またお客様から教えていただくことも多く、それが楽しかったのです。国分寺のボランティアを始めてからは積極的に年配の方に声をかけるようにしました。すると昔の話や逸話などを教えていただくことがあり、文字情報としてではない活きた歴史を知り、そのことで人間を知る、これは人間学なのだと感じました。様々なことを教えていただく場としても、私はこちらに来ることを楽しみにしています。

市長 
表情から楽しさが伝わってきますね。庄子さんはこちらのボランティアに参加される前にもイーグルスのホームゲームでの実績がおありですが、そもそもボランティアに興味があったのですか。

庄子さん
昔はジュニアリーダーをしていたこともあり、好きではありました。会社員の時は仕事の関係で人との関わりはあるのですが、定年を迎えてしまうとそれで関係が途切れてしまいます。その時に、もう一度故郷である仙台で何かしようと思い、自分の好きなことであれば話がしやすいのではないかと思いました。趣味で集まった人達ですから、性別・年代問わず様々な人とつながりができることがボランティアの楽しみだと思っています。

市長
ボランティアの方だけでなく、訪れる方も様々な年代の方がいらっしゃると思いますが、その関わりの中で気が付かれることや学びになっていることはありますか。

庄子さん
訪れる方の中にも歴史に詳しい方もおり、先ほど赤石さんのお話しにあったように、こちらが教えていただくこともあります。また、他の国分寺・国分尼寺のガイドの方がいらっしゃることもありました。先日は東大寺の管長さんもお越しになられましたし、専門の方から詳しい話を聞くことができます。
学生へ案内する場合は、教科書の内容とつながるようなことを話すように心がけています。

市長
訪問される方のうち、大人と子供の割合はどれくらいになるのでしょうか。

庄子さん
大人の方が割合は高いですね。

岩渕会長
多賀城市の施設は小学校の校外学習先になることも多いようですが、仙台は学生の利用はまだ少ないです。市内でも知らない人がいて、たまたま通りがかった人が訪れることもありました。

髙島さん
政宗公時代以降の薬師堂としての歴史は知っていても、それ以前の歴史は近隣の方にすらあまり知られていないという印象です。近所に30年以上お住まいの方が「薬師堂は知っているが国分寺のことはこの施設に来て初めて知った」という方もいらっしゃったこともありました。

赤石さん

写真:赤石さん

地元の方とも連携した活動を

市長
これからますます皆さんの活動の場が拡大していくと考えられますが、地域の方との連携についての展望などはありますか。

岩渕会長
地元の方とボランティアが連携して活動していけたら、と思っています。
そのうちのひとつとして聖和学園の生徒さんにガイドボランティアをしていただくことになりました。これは地域との連携の一環として是非行っていきたいと思っています。

市長
会長さんが「お薬師さんの手づくり市」に参加されたとおっしゃっていましたが、手づくり市にいらっしゃった市民の方とご一緒にということは考えていらっしゃいますか。

岩渕会長
手づくり市の出店が120~130店、お客様が2~3000人はいらっしゃいますので、手づくり市のある日はいつもより多いです。その方々にもガイドボランティアに興味を持っていただけたらと思うのですが、そのためにももっと施設をPRして若い方を取り入れていきたいと思っています。
この会は女性11人、男性24人の35名体制なのですが、ボランティアを続けていくには人数が足りず、個人的には50人体制にしなければと考えています。また若林区在住の方が少ないので、ぜひ地域の方に参加していただけるように進めていきたいと思っております。

市長
手づくり市にいらっしゃる方にアプローチして担い手の方を取り込めるといいですね。

庄子さん

髙島さん

写真左:庄子さん
写真右:髙島さん

「西は仙台城、東は陸奥国分寺」を観光の目玉に

市長
国分寺・国分尼寺・薬師堂の魅力などについてお話しいただけますでしょうか。

阿部副会長
1200~1300年前と400年前の政宗公の時代の遺跡が揃っており、このような素晴らしい場所は少ないと思います。
西は仙台城、東は陸奥国分寺として観光の目玉になりうる素質があると思います。

岩渕会長
先ほどもお話ししましたが、陸奥国分寺は国の史跡、重要文化財、名勝の風景地の三冠にもなっている場所です。ぜひこの点をPRしていただきたいと思います。

阿部副会長
政宗公が作った建物が残っているのはこの場所と大崎八幡宮、瑞巌寺だけです。

赤石さん
ここは松尾芭蕉以前から仙台萩の名所として有名で、橘為仲が仙台萩を京都に持ち帰り、それを枕詞に詠んだ場所でもあります。
ここは桜が綺麗で、特に准胝観音堂の所の景色が私は好きですが、この広い広場を萩の名所にしたら目玉になると思います。
秋にはこの場所で萩が見られ、5月には心字ヶ池でカキツバタが見られます。
陸奥国分寺には池と准胝観音がありますので、綱宗公も眺めたであろう風景も楽しめます。

阿部副会長
松尾芭蕉もこの場所に立ち寄った時に、きれいなあやめが咲いていたことから、「あやめ草 足に結ばん草鞋の緒」の句を詠んだといわれています。遠くからでも足を運んでもらえるように整備する必要もあると思います。

赤石さん
仙台の観光地といったときに、目につくのは仙台城などの自然的な観光名所であり、陸奥国分寺や薬師堂のあるこの場所がホッとできる場所になればよいと思っています。

市長
こちらの整備も今折り返し地点ではありますが、さまざまなご意見をいただきました。先ほど現状でもボランティアが足りないというお話をされていましたが、今後観光客が増加した場合はどのように活動を広めていこうと考えていますか。

阿部副会長
よいガイドをして皆様に認めていただくよう頑張っていくしかないと思っております。

岩渕会長
ここは環境が素晴らしい場所ですから、いらっしゃった方には、ぜひ景色を見ていただくように案内しています。

市長
皆様にもこの施設をご好評いただき、大変喜ばしく思っております。一方で、もう少し利用者を増やしたいというお話もあり、市として更なる周知に努めていかなくてはならないと感じております。

庄子さん
観光というお話がありましたが、子供たちの五感に訴えるものがあれば、理解も深まるのではないかと考えます。1300年前のものに実際に触れることができる箇所は少ないですが、そうした機会を作ることができれば、必ず観光資源として仙台市に還元されると思います。

阿部副会長
仙台市には先人が遺してくれた立派な遺跡があります。せっかく資金をかけて発掘しているのですから、保管しておくだけでなく、観光資源として市民や全国の方々に見ていただくようにしなければもったいないと思います。

岩渕会長
この会の展望としては、先ほどもお話ししましたが、現在35人体制のところを50人体制にし、施設にガイドのいない日をなくしたいということです。
また、地域の方を大切にということで、地元の方とさらに連携して活動を進めていきたいと考えています。

施設を見学しました

懇談のあと、施設内の展示物や隣接する天平回廊についてガイドをしていただきました。
文化財行政から観光行政まで、活動を継続されている会員の皆さんならではのお話しをうかがい、思いを受け止めました。
このガイダンス施設をさらに利用していただけるよう努めていかなければならないと感じましたし、ボランティアの養成については会長をはじめ皆さんに大きな期待を寄せるところです。
また仙台市のPRに寄与していただいていることに感謝申し上げ、今後様々な機会においてさらなるご活躍をされることを願っております。
元気な街、誇れる仙台を後世に残していけるよう私も努めていきたいと思いました。

施設見学

写真:会を代表して庄子さんにガイドをしていただいた時の様子です。大変わかりやすく、興味をかきたてられました。

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市民局広聴課

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