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更新日:2016年9月20日

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平成27年度施政方針要旨

平成二十七年第一回定例会の開会にあたり、市政運営の所信の一端と施策の大綱について申し述べます。

平成二十七年度は、五か年の震災復興計画の最終年度となりますが、この間、百七万市民を挙げての懸命の取り組みにより、復興公営住宅の建設や防災集団移転の推進、被災宅地の復旧など、住宅再建へ向けての事業が完了へと近づき、本市の復興は新たな段階へ進みつつあります。

新年度は、被災された方々お一人おひとりの生活の再生に重きを置き、再建プログラムに基づく新たな支援策を展開するなど、暮らしの復興への取り組みをさらに加速してまいります。

また、将来起こり得る大規模災害への対応は、わが国全体の防災のあり方に関わる最重要の課題であります。

本市は、そのフロントランナーとして、災害対応法制の見直しを強く働きかけるとともに、かさ上げ道路など多重防御の整備と自助・共助の災害行動を実践できる「防災人」の育成を推進し、災害に強い安全なまち・仙台を構築してまいります。

一方、中長期的なまちづくりの視点から本市の将来を見通しますと、人口減少社会への対応という大きな課題が待ち受けております。

東北が復興の途上にある中、その中枢たる仙台は、先んじて手立てを講じ、大都市圏への人口流出の防波堤として、また、東北発展の中核として、その役割を果たしてまいらねばなりません。

震災復興への取り組みを通じ、本市が得た貴重な経験や知見、新たな気づきや絆。これらをこれからのまちづくりに生かし、人口減少社会を乗り越えるべく、地域課題の解決へと常に前進し、官民が知恵を出し合って経済成長への挑戦を続け、世界とつながりながらまちの魅力を発信していく、そのような新しい仙台の姿、「新生・仙台」を市民の皆さまとともに築き上げてまいります。

その実現に向け鍵を握るのは、若い世代の方々の力であります。

未来を担う若者世代の皆さんに、仙台を定住の地と選択していただくことが大切であり、安心して子育てができ、お子さん方がすくすくと育つ学びの環境の充実をはじめ、住みよいまちとしての魅力の向上に力を注ぎ、笑顔と若い力があふれるまちを目指してまいります。

新たな仙台へ向けてのエンジンとなりますのは、持続的な経済成長に裏付けられた都市の活力であり、若い世代の方々の定住促進のためにも雇用の充実を図り、仙台のまちを元気にしていく取り組みが必要であります。

わが国の経済は回復基調にはあるものの、本市を含め、東北一円にその効果が及ぶには至っておらず、昨今の円安進展への懸念など、経済全体としての先行きは予断を許さない状況にあります。

仙台発展のためには、独自の施策展開により地域の力を一層高める取り組みが不可欠であり、地下鉄東西線の開業を起爆剤としながら、仙台経済成長デザインに掲げた各般の施策を推し進め、人と投資が集まり、高度な都市機能の集積が進むまちを目指し、東北の元気づくりに貢献してまいります。

このような考えのもと、新年度は、「未来へつなぐ復興まちづくり」と「新生・仙台へ向けての魅力づくり」、これら二つの取り組みを施策の柱に据え、議会のお力をいただきながら、百七万市民の皆さまとともに、東北全体の復興と躍進を実現すべく、全力を尽くしてまいる決意でございます。

まず第一の柱、「未来へつなぐ復興まちづくり」であります。

被災された方々の生活再建を最優先の課題と位置づけ、お一人おひとりが明るい未来を思い描き、新たなスタートを切ることができるようさまざまに手立てを講じてまいります。

仮設住宅に入居しておられる方々に向けましては、「被災者生活再建加速プログラム」に基づき、民間賃貸住宅等を活用しての住宅再建相談や専任弁護士との連携による相談体制の整備など、新たなお住まいへの移行をさらに後押しいたしますとともに、心身の健康面に課題を抱え日常生活に支援が必要な方々に対しましても、地域による見守りや関係機関との連携を促進するなど、きめ細かに取り組みを推進いたします。

お住まいの再建を果たされた方々につきましては、移り住む土地での生活をより充実したものとするため、町内会をはじめとする地域団体による被災者交流活動をサポートするなどコミュニティ形成に向けた機会の創出を図り、新たなふるさとにおける絆づくりを進めてまいります。

復興へ向けては、未来を支える安全なまちの構築が不可欠の取り組みであり、津波減災の要となるかさ上げ道路の着実な整備に努めますとともに、津波避難施設や避難道路の整備など、将来起こり得る災害への備えを形づくり、百七万市民の皆さまに安全と安心をお届けいたします。

震災の教訓を未来へと引き継ぐメモリアルプロジェクトにつきましては、アーカイブ機能などを担う拠点施設の基本構想を策定いたしますほか、震災遺構の保存や地域モニュメントの設置などの事業を展開してまいります。
また、東北全体の復興を広く発信することも、復興のトップランナーである本市の大切な使命であります。平成二十八年にわが国で開催される主要国首脳会議(サミット)は、そのまたとない好機であり、震災による風評被害の払拭へとつなげるべく、東北一丸となって誘致実現に努めます。

この度の震災を通じて、改めてその素晴らしさを実感したのは音楽の力であります。仙台フィルなどによる仮設住宅での訪問演奏や各地の復興コンサートにおける美しい調べは、震災で傷ついた人々の心を幾度となく癒やし、励ましてまいりました。

音楽の力による復興を推し進め、楽都仙台の魅力をさらに高めていくためにも、音楽ホールはぜひとも必要な施設であり、本市の復興が次なるステップを迎えつつあるこの時、楽都ならではの復興のシンボルとして、整備へ向けての具体の検討へと踏み出すべく、立地や整備手法などの調査に着手してまいる考えでございます。

新年度における第二の施策の柱は、「新生・仙台へ向けての魅力づくり」であります。

「都市個性を生かした活力づくり」、「若い世代の方々にとっての魅力づくり」、「東北の中枢としての元気づくり」の三つのテーマを掲げ、仕事や子育て、余暇を楽しむ時間など暮らしのさまざまな場面において魅力あふれるまちを目指し、力を注いでまいります。

まず、「都市個性を生かした活力づくり」でございます。

大震災において発揮された行動する市民力は、健康都市づくり以来脈々と受け継ぎ、育んできた、仙台が誇るべき、まちづくりの原動力であります。

誰もが心豊かに暮らし続けることができる地域社会の実現を目指し、今議会に提案しております「仙台市協働によるまちづくりの推進に関する条例」に基づき、複雑化する地域課題の解決へ向け、市民協働事業提案制度の拡充を図るなど、多面的に施策を展開してまいります。

協働のまちづくりは、地域における支え合いへも通じるところであり、ご高齢の方々とそのご家族が安心して暮らすことのできる地域社会の実現に向け、認知症の早期発見・早期対応等のための地域包括支援センターの機能強化や生活支援に関する実態調査などに取り組みますとともに、障害のある方々を取り巻く見えない壁を取り払い、地域共生を目指す、障害者への差別解消を推進する条例の検討を本格化させるなど、協働によって支え合う地域づくりを積極的に進めます。

「防災環境都市」としてのまちづくり。これもまた、仙台の重要な顔であり、世界に通用する都市ブランドを目指し、新たに「防災環境都市推進室」を設け、取り組みを着実に前進させてまいります。

震災によって生まれ、国連防災世界会議を通じてさらに深めたいと考えております各国との絆を生かしながら、女性と防災の関わりや市民協働による防災など、さまざまなテーマによる国際シンポジウム等を継続的に開催し、会議の成果を世界へ発信いたします。

エネルギー分野における取り組みも防災環境都市の重要な側面であり、クリーンで安定的なエネルギーを創出する事業の域内誘致へ向け、助成制度を創設いたしますとともに、地球温暖化対策推進計画の見直しを行い、低炭素化を一層推し進めてまいります。

新たな仙台への第二の取り組みは、「若い世代の方々にとっての魅力づくり」であります。

未来を担う若者の皆さんに「仙台で暮らしたい」と思っていただくためには、子どもを産み、育てることの素晴らしさと楽しさを実感できる環境づくりが重要です。保育から就学までを幅広く網羅し、子育て応援施策を総合的に推進いたします。

保育に関しましては、現在策定中の「仙台市すこやか子育てプラン2015」に基づき、認可保育所や認定こども園の整備を促進するなど保育総量の確保に向けた取り組みを鋭意進めますとともに、子育てと仕事の両立に資する事業所内保育施設への支援を充実させるなど、多様な保育基盤の整備に努めます。

質の高い保育の確保につきましては、幼稚園教諭免許や保育士資格取得への支援制度を創設するなど人材育成に努めますほか、子育て中の方々の地域における交流の場づくりなどソフト面の施策にも力を入れて取り組みます。

就学後の子育てに関しましては、学校施設の活用などによる児童クラブの受け入れ枠の拡大や豊かな体験活動の場を提供する学校支援地域本部事業の拡充を図るとともに、仙台子ども体験プラザにおける学習を全小学校で実施するなど、お子さん方がのびのびと遊び、学ぶことのできる環境を充実させてまいります。

これらの取り組みに加えて、若い世代の方々をひきつけるためには、楽しいまちとしての魅力づくりも大切です。

開園五十周年を迎える八木山動物公園とこの夏にオープン予定の仙台うみの杜水族館は、どちらも動物の生態に触れ、その行動を間近に観察することができる貴重な空間であり、東西二つの施設が相互に連携を図りながら、学ぶ楽しさを広めてまいります。

市民の皆さんが愛してやまないスポーツや音楽も楽しいまちには欠かせない存在であり、スポーツコミッションせんだいを中心に国際大会の誘致等に積極的に取り組み、スポーツの醍醐味を味わっていただくとともに、二十五周年を迎える定禅寺ストリートジャズフェスティバルをはじめとするさまざまな音楽イベントを展開し、仙台ならではの多彩な音の魅力で、まち全体を盛り上げてまいります。

未来の仙台へ向けての第三の取り組みは、「東北の中枢としての元気づくり」であります。

東北の拠点都市としての持続的な発展を確かなものとするためには、地域経済の活性化が肝要であり、国家戦略特区の活用も目指しながら、経済成長デザインに基づく取り組みをさらに推進してまいります。

本市経済の中核を成す中小企業につきましては、その活性化に向け、新たな条例と総額三十億円の基金を両輪とし、専門家の知見を得ながら、取り組みの強化を図りますほか、首都圏に在籍する学生のUターン就職の促進や若者世代を対象とした就業体験の拡充、後継者人材確保への支援策など、若い活力を取り込む施策を充実いたします。

交流人口の拡大に向けましては、海外におけるMICE見本市への出展など仙台国際センター展示棟の活用による国際会議誘致を強化するとともに、アジアに狙いを定めた新たな観光プロモーションを展開し、需要の喚起を図ります。

このほか、起業支援ワンストップサービスや中心部の空き店舗等を活用した創業の促進など、地域経済の活力を生み出すための取り組みを開始いたしますとともに、仙台産農産物の首都圏への販路拡大や農業法人の経営力の向上、女性農業者・アグリヒロインの育成など、農業の足腰の強化へも力を注いでまいります。

これらに加え、本年十二月には地下鉄東西線が晴れて開業の日を迎え、南北線と合わせて十文字の骨格交通軸が完成いたします。

市民誰もが利用しやすく、暮らしやすい都市構造の構築へ向け、大きく前進するものであり、歴史や学術・文化、スポーツ、自然など彩り豊かな沿線の資源を有機的に結び付け、本市に新たな元気をもたらすべく、よりレベルアップした「東西線フル活用プラン2.0」に基づき、さまざまに施策を展開してまいります。

開業を見据えての取り組みにつきましては、市民応援部のお力をいただきながら、「WEプロジェクト」によるPR活動や開業イベントの実施など、多くの市民の方々とともに機運の盛り上げを図ります。

開業後に向けては、潜在的な民間開発需要の掘り起こしや都市計画提案制度の活用などにより、沿線開発を推進するとともに、沿線の企業や学校等を対象とした利用促進策や、国際センター駅と荒井駅の駅舎上部を拠点とする情報発信など、東西線フル活用の取り組みを鋭意進めてまいります。

最後に、戦略的な都市経営についてであります。

平成二十七年度は、十年間の基本計画の折り返しの年にあたり、震災復興計画の理念を継承しつつ、人口減少社会への対応という大きなテーマと向き合いながら、これからの仙台のまちづくりを考えていく必要があります。

基本計画の後半五年間に係る市政運営の方向性を明確にすべく、各界の有識者とも活発に議論を交わし、重点的に取り組むべき施策に関する戦略を練り上げ、「政策重点化ポリシー」として取りまとめてまいります。

今後の都市経営においては、客観的なデータ分析に基づく施策の立案も重要であり、今年度実施した町内会等実態調査を踏まえ、活動活性化に向けてのモデル事業を開始するとともに、地域活動拠点の重要性に鑑み、地区集会所建設補助等の充実を図ります。

行財政改革につきましては、無駄を省き効率性を高めるという従来の方向性に加え、専任チームを編成しての情報システムの見直しなど、費用負担を上回る効果が期待できる分野における「攻めの行革」への取り組みを強化いたします。また、多様化する行政需要に的確に対応できるよう人材育成のあり方について検討を進め、職員のスキルアップと連携強化による組織力の向上に努めるとともに、市政への信頼を確保するため、コンプライアンスに関する取り組みを拡充してまいります。

地方分権につきましては、自治体の未来は自治体自らが創生するとの認識に立ち、経営力の強化に努めることが肝要であり、新たな大都市制度の実現を含め、取り組みを進めてまいる所存であります。

大震災から間もなく四年の歳月が流れ、震災復興計画はその最終年度を迎えようとしております。

震災がれきの処理を終え、東部農地での営農再開を果たし、住宅再建も間もなく完了するなど、計画はおおむね順調な進捗を見ておりますが、全力復興の姿勢はいささかも緩めることなく、ふるさと仙台の再生へ向け、さらなる力を尽くしてまいります。

前例なき復興の先頭を行き、道を切り拓くべく、幾つもの挑戦を重ねての四年間でしたが、復興のその先へ向け、新たな挑戦を開始します。

創意と工夫によるチャレンジ精神をこれからのまちづくりにおいても大いに発揮し、平成二十七年度が新生・仙台への大きな一歩を記す年となるよう、この一年、市民の皆さまとともに、持てる力の全てを注ぎ、市政にまい進する決意でございます。

以上、市政運営の所信の一端と施策の大綱について申し述べてまいりました。
議員各位及び市民の皆さまのご理解ご協力を心からお願い申し上げます。

仙台市長 奥山 恵美子

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まちづくり政策局政策企画課

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