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更新日:2025年3月28日

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生きもの認識度調査

 この調査は,仙台市民の方を対象に,12種類の身近な生きものに対する認識や身近な自然に対する意識などについて,アンケート形式で実施するものです。仙台市では,これまでに6回(昭和49年度,平成6年度,平成13年度,平成22年度,平成27年度,令和元年度),同様の調査を行っており,令和6年度に7回目の調査を実施しました。

 今回と過去の調査結果を比較し,市民の皆さんの生きものや自然に対する認識や意識がどのように変化したのかを探り,身近な自然の保全・創造や環境教育・学習の推進に役立ててまいります。

令和元年度調査の概要

  1. 調査対象
    • a 中学生(仙台市立中学校(65校)及び仙台青陵中等教育学校の1年1組の生徒)
    • b 中学生の家族(aの家族の方)
  2. 調査期間
    令和6年5月13日~5月24日
  3. 回答数
    3,354人(中学生1,767人・中学生の家族1,587人)

令和6年度調査の要約

直近10年間の認識度の変化に着目すると、認識度が上昇している生きものがやや多い

 調査結果について、直近の約10年間(平成27年度以降)の変化に着目すると、「ツバメ」、「モンシロチョウ」、「アゲハチョウ」、「セミ」、「トンボ」、「(ハヤシノ)ウマオイ」は約10ポイントから約30ポイントの上昇傾向がみられた。調査開始以来の30年間(平成6年以降)の変化に着目すると、「カッコウ」は約10ポイント低下した。ほか、「カエル」は7割前後、「ホタル」は1割台で推移している。

生きものの認識度変化

生きもの認識度変化

生き物によっては、樹林の多い中学校区で認識度がやや高い

 中学校区の周辺環境に着目し、植生図と重ね合わせて認識度の違いを調査した。中学校区によっては調査数(n)が少ないなどの理由で、必ずしも認識度に実態が反映されていない可能性があるが、草木のある場所や水田などに生息する「カエル」は河川・沼地・水田等が多い校区及び樹林の多い校区での認識度がやや高かった。「ホタル」及び「カブトムシ・クワガタ」は樹林の多い校区での認識度がやや高かった。

周辺環境によって分類した中学校

周辺環境によって分類した中学校

中学校区の分類別認識度の経年比較

中学校区の分類別認識度の経年比較1

中学校区の分類別認識度の経年比較2

中学校区の分類別認識度の経年比較3

令和6年度の中学校区の分類別認識度(樹林の多い校区/樹林の多い校区以外)

令和6年度の中学校区の分類別認識度

 植生と認識度の関連については、地区の分類の方法等について検討の余地があるため、植生をもとに仙台市を西部・中部・東部に大別し、認識度の違いを調査したところ、いくつかの生きものについて、生息場所と関連する可能性がある傾向がみられた。「カエル」は西部及び東部で認識度が高く、「ツバメ」、「カッコウ」及び「カブトムシ・クワガタムシ」は自然が豊かな西部で認識度が高い傾向がみられた。「モンシロチョウ」、「セミ」、「ホタル」、「トンボ」及び「コオロギ」は西部、中部、東部の順に認識度が高かった。

3地区(西部・中部・東部)に分類した中学校

西部・中部・東部に分類した中学校西部・中部・東部に分類した認識度1

西部・中部・東部に分類した認識度2

西部・中部・東部に分類した認識度3

中学生とその家族では、家族のほうが相対的に生きものに対する認識度が高い

 今回の調査では、中学生よりも、中学生の家族の方が自然に親しみを感じており、生物多様性という言葉の意味を知っている人が多い結果となった。

 また、生きものに対する認識度については、全13種類中8種類で中学生の家族のほうが中学生よりも認識度が高かった。その中でも「カッコウ」、「セミ」、「トンボ」、「(ハヤシノ)ウマオイ」、「コオロギ」は中学生の家族のほうが中学生よりも10ポイント以上認識度が高かった。

 生きものを「知らない」と回答した割合は、すべての種で中学生のほうが中学生の家族よりも高く、特に中学生では「カッコウ」、「(ハヤシノ)ウマオイ」を「知らない」と回答する割合が高かった。なお、中学生の「(ハヤシノ)ウマオイ」を「知らない」と回答する割合は年々上昇傾向にある。

中学生とその家族の認識度の違い

中学生と中学生の家族の認識度変化の比較

中学生とその家族の認識度変化の比較1

中学生とその家族の認識度変化の比較2

中学生とその家族の認識度変化の比較3中学生と中学生の家族の「知らない」と回答した割合の変化

中学生とその家族の知らない1

中学生とその家族の知らない2

中学生とその家族の知らない3

生きものに対する認識度の違いには、様々な要因が考えられる。

 生きものに対する認識度の違いには、各種の個体数の増減、生息・生育環境の変化、市民の生活や意識の変化など、複合的な要因が作用していると考えられる。

 「ツバメ」や「コオロギ」は認識度が上昇傾向にあるが、これらは市内に幅広く生息していることや、観察会等の教育活動により、生活の中でも認識する機会が充実したことなどが影響している可能性がある。

 一方、「カッコウ」は認識度が低下傾向にあるが、市内では「カッコウ」そのものが減少している可能性があり、それが認識度に影響していると思われる。なお「カッコウ」が減少している場合に考えられる原因としては、托卵するヨシキリやモズの繁殖環境の草地・疎林等の減少や、気候変動による渡来時期や餌動物発生時期のずれが関係している可能性などがある。

 「ホタル」や「カブトムシ・クワガタムシ」は経年でみても認識度に大きな変化がみられないが、これらは生活の中で姿を見る機会が少ない一方で、能動的に観察できる場所に行く方が一定数いることが影響している可能性がある。特に「カブトムシ・クワガタムシ」は中学生と家族の認識度の差が約1ポイントと小さいことから、親子で生息地に行き、探している方が多い可能性がある。

 「モンシロチョウ」、「アゲハチョウ」、「セミ」及び「トンボ」など、生活の中で姿を見たり鳴き声を聞いたりする機会が多い生きものの認識度は、東日本大震災後の平成27年度調査で低下したが、以降今回調査まで上昇傾向にある。震災から10年以上が経過する過程で、市民の生活や意識、生きものの生息環境などが徐々に変化したためである可能性がある。ほか、街路樹や建物の庭木の増加など、市や企業等の緑化に関する取り組みにより生息・生育環境が整い個体数が増加した可能性もある。

 また、中学生の「知らない」との回答は、いずれも家族に比べて高く、特に「カッコウ」では20ポイント以上、「(ハヤシノ)ウマオイ」では30ポイント以上と、ともに過去最大となっている。社会におけるデジタル化、情報化が進む中で、新たな生きものを知る機会の減少が影響している可能性がある。

 今回の調査結果から、平成6年以降の経年比較を通じて、自然環境や社会の変化が、種ごとの生息環境と複合的に作用して、認識度の変化として表れている可能性があるといえる。

認識度の向上には、生きものや自然に親しむ機会の充実と環境保全が重要である

 今回調査結果について、「カエル」や「トンボ」は市内で広く生息しているにもかかわらず、中学生の約1~2割が認識していないことなどから、生きものへの関心の程度が認識度に影響している可能性がある。生きものへの関心を育むために、教育機関と連携し、身近な生きものに実際に触れたり生息環境について体験的に学んだりするなどの環境学習を充実させることが求められる。

 また近年、社会のデジタル化が進む中で、生きものに触れる機会が少ない親も増加していると考えられる。学校教育、家庭教育、社会教育等の多様な場面で親子が一緒になって自然に親しむことができるよう、教育機関や各種団体が柔軟に連携し、生きものや自然に親しむ機会を充実させるとともに、啓発活動を推進していくことが大切である。また、生きものや自然に親しむ機会を充実させるためには、生態系を守り、生物多様性を高める街づくりの推進や環境保全活動の推進も求められる。

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