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更新日:2022年10月21日

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第5回「―協働がつなぐ仙台―郡市長とふれあいトーク」(10月25日)

10月25日は、ドナルド・マクドナルド・ハウス せんだい※を訪問し、施設で活動するボランティアさんたちにお会いしてきました。
このハウスは、2003年に宮城県立こども病院に隣接して建設されて以来、高度医療を受けるために市内外から入院・通院される病気の子ども達とそのご家族が、「第二のわが家」としてくつろげるよう、数名のスタッフと200名以上のボランティアさんの活動によって運営されています。ボランティアの情熱や心温まる交流が、利用される方々のサポートにつながっていることが伝わる訪問でした。

懇談に参加された皆さん
土岐 耕一さん  事務ボランティア
櫻井 光雄さん  事務ボランティア、ハウスキーピングボランティア
冨澤 たき子さん ハウスキーピングボランティア
笹川 瑞希さん  ナイトボランティア
丹野 由紀さん  マッサージボランティア
  
※ドナルド・マクドナルド・ハウス せんだい
病気の子どもとその家族が滞在するための宿泊施設で、宮城県立こども病院から徒歩10分の距離にあり、2003年11月11日に日本で2番目のハウスとして開設された。
運営は、ハウスマネージャーと4名のスタッフおよび200名以上のボランティアにより成り立っており、費用は100%寄付と募金により賄われている。
当該施設の利用は、宮城県立こども病院をはじめ、仙台市立病院や東北大学病院、日本赤十字病院にて外来または入院し、治療中の患者とその家族も利用可能である。
公益財団法人ドナルド・マグドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパンが全国に11のハウスを運営している(2019年11月現在)。

市長
今、小松さんのご案内でドナルドハウス内を見学させていただきました。
2003年に県立こども病院に隣接するかたちで建設されたこの施設は、アメリカで1974年に創設以来、日本では11あるうち2番目のハウスと伺いました。
大変な治療が必要な子ども達とご家族の方々を支えている皆さんに、今日はどのような思いでこの活動をされているのか、どのようなことを教えていただけるのか期待しています。

小松さんと

小松さんと

自分の時間を誰かのために

土岐さん
動機は、サラリーマンを退職後に社会貢献をしたいという気持ちがあり、いつもこの施設の前を通りかかるうちにボランティア募集を知りました。初めは、マクドナルド社の独身寮かと思っていました。

富澤さん
ハウスキーピングのボランティアを仕事をしながら月に2回活動しています。
震災でいろいろな事があり、私にも何かお手伝いできることがあれば始めたいと思っていました。こちらでボランティアをしている人に職場で出会い、募集を紹介されました。

櫻井さん
たぶんボランティアを始めて10年近くになります。
二十歳のころ職場の仲間に誘われるまま、別の施設の窓拭きボランティアに参加したのがもともとのきっかけです。ところがベッドが縦横に並ぶ乳児室内は、割れたままのガラス窓から北風が吹き込む厳しい環境でした。拭くに拭けない窓を前にショックを受け、それがトラウマになり、ボランティアから遠ざかっていました。しかし3.11の震災後に自分の時間を誰かのために役立てたらと思い、好きな子どもに関われる活動なら長く続けられそうだと思い、こちらで始めました。

丹野さん
マッサージのボランティアをしています。活動期間は2003年から始め2006年で一度休み、2011年から再開し今に至っています。家族の入院の付き添いを経験し、自分自身が疲れているときに、誰かにそばにいて話し相手になって欲しかったという思いがありました。
アロマやリフレクソロジーのブームに乗って学び、アロマセラピーもあわせて仕事にしていたところ、ボランティアでも、共感した仲間とやらせていただくことになりました。

笹川さん
東北福祉大学の4年で、利用者家族でもあります。出身は岩手県の雫石です。3か月に一度の割合で、仙台に通院する弟のために家族全員で利用していました。大学でこちらのボランティア募集を知り、昨年6月から始めました。

土岐さん

笹川さん

写真左 土岐さん
写真右 笹川さん

それぞれの役割分担で

市長
いろいろな種類のボランティアがありますが、マッサージは珍しいですね。

丹野さん
単発の施術でなく、継続しているのは珍しいと思います。
ご家族の個室に入らせていただいて話を聴く際には、きっと葛藤を抱えているのだろうなと失礼のないように気を配ります。

市長
ハウスキーピングというと、ベッドメーキングを学ばれたのですか。

富澤さん
初めにスタッフに教えていただき、季節に応じた寝具を用意し、対応しています。

市長
櫻井さんは、ご自宅でもハウスキーピングをなさっていますか。

櫻井さん
いいえ。外でやるなら、家のガラスもやって欲しいと家人に言われてしまうレベルです。(笑)

市長
土岐さんは、事務ボランティアや見学対応をなさっていますね。

土岐さん
見学希望の方がいらっしゃる際には、その都度ご案内しています。希望されるのは、企業の方や学校の生徒さんなどいろいろです。「第二のわが家」というコンセプトを実感して頂けるように、施設内だけでなく、手入れした庭の様子や草刈り、除雪等のエピソードにも触れます。概要については、事前にイメージして来られる方が大半ですので、説明は補足的な内容になります。

富澤さん

丹野さん

写真左 富澤さん
写真右 丹野さん

利用するご家族に心地よく過ごしてほしい

市長
こちらへは私自身とても興味がありながら、訪れる機会がこれまでありませんでしたので、とても楽しみにして参りました。
こうしてお話を伺い、企業はもちろん、ボランティアの皆さんのおかげで運営が成り立っていることに感動しましたが、皆さんは実際に活動しているということをどのように捉えているのでしょうか。また、長く続けている秘訣は何なのでしょうか。

富澤さん
シフトのパターンがある程度固定化されています。一緒になるボランティアさんとは、仕事仲間とは違う新鮮さがあります。

櫻井さん
病気の子どものきょうだいは、自分はしっかりしなければと責任感が芽生えて、親に甘えるのも遠慮がちになってしまいがちですが、子どもらしさを失わずに遊びが第一でいてほしいと思います。ハウスとして、バレンタインカードや手作りの腕輪をプレゼントされたときには、小学校低学年の女の子が素の子どもに戻った瞬間に思えて、自分の子のように嬉しかったです。

市長
大変なことのエピソードなどは、ありますか。

丹野さん
誰のせいでもなく、体内の細胞のちょっとした違いが現れたために病気を患う子どもを持ち、自分を責めている親が大勢います。そして子どもは、親の感情を敏感に汲み取っています。親の元気は子どもに影響すると思うので、私は布団のような存在でありたいと思っています。心が寒くて冷える時に必要とされ、温かい時には要らないのです。
マッサージで血行が良くなると顔色もピンクに色味を帯びてきて、ニコッと笑顔を見せてくれるときが嬉しいです。
2006年に出産のためボランティアを一時休み、自分の子育てに専念した後の2011年以降、生活も少し落ち着いてきて、ハウスの様子も気になり、物資を必要としているかと連絡したところ、物資よりマッサージボランティアで戻ってほしいと言われたのです。

市長
利用者として、また支える側として、感じた違いはありますか。

笹川さん
幼い頃は、弟の通院に付き添ってきても小児病棟には子どもは入室できず、外で待つしかありませんでした。さらに、家に残された私の妹は、祖父母に預けられ留守番をしていました。この施設ができたおかげで、家族で一緒に過ごせたのはありがたいことです。利用者として、そんな家族の心情をよくわかっている自分が、利用される家族の方々に少しでも悲しい思いをせずにいられるよう役立てたら、支えられたらと思っています。ハウスが岩手にもあればいいなとも思いますし、県外の利用者はそれぞれ同じように感じていると思います。

市長
卒業後は、どのように?

笹川さん
岩手県の教員採用試験に合格しましたが、在学中はこちらの活動を続けます。

市長
おめでとうございます!

(みんなで拍手)

市長
笹川さんが教員を目指されたのも、これまでの活動があったからでしょうね。
他に感動したことや難しかったことがあれば、紹介してもらえますか。

土岐さん
過ぎたことは記憶に残らないので、すぐに出てきません。(笑)

(全員で爆笑)

土岐さん
チェックインの説明をする際、利用者に時間がかかりイライラされないかが心配でしたが、最近入力システムが変わり履歴が活かされるため、申し込みの受け付けがスムーズになりました。

市長
初めて利用される方に、いろいろな説明をするのは大変ですよね。

土岐さん
ホテルのようなイメージを持って問い合わせいただくのですが、実際は自分でお部屋の掃除をしていただくなどのシステムです。チェックアウトの際に「お世話になりました」とお礼を言われるのが嬉しいです。

市長
皆さんの名札は、子どもでも読めるように平仮名で書かれているのですね。
声をかけられることは、ありますか。

土岐さん
子どもから募金箱にお金を入れてもらったり、カードをあげる際に「これは何?」といったやり取りがあり楽しいです。

市長
ご自宅でご家族と話題になることはありますか。

土岐さん
あります。中学2年と小学6年の孫がいるので、将来ボランテイアに興味を持ち、見学したいと言われたら案内するつもりです。

市長
ボランティア活動の原動力になっていることは何でしょうか。

富澤さん
掃除や洗濯は家では簡単に済ませますが、ここでは少しの汚れや髪の毛1本にも丁寧に取り組んでいます。(笑)やること、やりたいことは多岐にわたりますが、3時間という時間内で優先順位を決めて取り組んでいます。

市長
利用者に気持ちよく使ってほしいという思いからですよね。
ご自身をそのように奮い立たせている1番のもの、辞められない理由を聞かせてください。

櫻井さん

櫻井さん

必要なのは、今できる少しのこと

櫻井さん
お応えする前に逆に、市長へおたずねしても良いですか。
このハウスへのご興味の源泉は何だったのか、お聞かせくださいますか。嬉しかったので。

市長
障害を持った子どもたちやその母親たちとの交流が以前からありまして、県立こども病院の建設の際も、ハウスの存在も認識していました。高度な専門医療が受けられるところは限られていますので、御苦労されながら、どんな風に活かされているのか、その頃から、このハウスには大きな意味があると認識していました。ボランティアの登録者数が200人以上もいらして、24時間365日支えておられるというのは、すごいことです。
仙台市は、市民協働の取り組みを掲げていますので、今回、現場の皆さんの思いを教えていただくのは、大きな意味があると思っています。
原動力の源を教えてください。

櫻井さん
患者のきょうだいなど、子どもとの遊びを通して関わり、帰り際に母親から「ありがとう」と言われるので、心の余裕のお手伝いもできる気がします。
また、縁があってニュージーランドとバンクーバーのハウスを訪問したことがありますが、外国は寄付の文化が厚く、韓国では大学卒業後の1年間のボランティアが就職のポイントになるなど社会で支える制度があります。
日本では何をしていいのかわからない人や定年になってから、そのうちに活動しようと考える人がいますが、自分でも何かできる、そして人に感謝されることを知り、今できるちょっとを医療専門家ではない人がやることが大事だと考えます。
そのためには行政の力を頂きながら、このようなボランティアを是非知ってもらいたい、欲しいのは、そのうちでなく、今できるちょっとしたことなのです。

市長
素敵なことをお話しいただきました。ありがとうございます。やはり小さい子どもから大人まで、誰しも役に立ちたいという思いはあるわけですよね。また、小さなことの積み重ねが力になり、役立つことを引き出せると社会全体がよりよくなりますね。

丹野さん
利用者の方々はさまざまな事情があり、ハウスを出入りされていますが、ここにいる少しの間だけでもほっとしてほしいし、心に余裕を持ち、よい気分になってもらえたらという一心で、たくさんのことでなく小さなことをコツコツとの気持ちで活動を続けています。夫からは、「よくやっているな。」と言われていますが、私には活動をほめて認めてくれる家族の存在も励みになります。

市長
支える側には、反面教えてもらう側面もあり、ボランテイアの方も学ばれて、ご自身の勉強になることもおありだと思いますが、いかがですか。

富澤さん
こども病院とハウスと両方でボランティア活動している方もいて、病気の子どもさんにこんなことが喜ばれたといった話を聴けることもあり、勉強になります。

櫻井さん
ある時、利用家族の低学年の女の子から、「ちゃんとボランティアやっていた?」と声をかけられたときには、その子らしい自己肯定感の高まりを感じて、涙が出るほど嬉しくなりました。

笹川さん
患者家族は、周囲からかわいそう、大変だねと言われがちですが、病気や障害があり付き添う大変さはあっても、生きづらさだけを感じる必要は無いと思っています。支援やサポートがあるから大丈夫といえるように世間の目が変われば、例えボランティア活動をせずとも、理解してもらえる動きがあれば、少し負担も軽く過ごしやすくなると期待しています。

市長
それぞれのお話を伺って、その情熱や使命感のようなお気持ちに支えられて、利用される患者やそのご家族がハウスでの時間を過ごされていることを知りました。
本日は、貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。

懇談の様子

全員集合

お問い合わせ

市民局広聴課

仙台市青葉区国分町3-7-1市役所本庁舎1階

電話番号:022-214-6132

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