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更新日:2022年2月8日

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令和4年度施政方針要旨

令和四年第一回定例会の開会にあたり、市政運営の所信の一端と施策の大綱について申し述べます。

新型コロナウイルス感染症との闘いが始まり二年。この間、医療関係者はもとより、市民、事業者の皆さまにご協力をいただいていることに、深く感謝申し上げます。
そして今、かつてない規模の感染の波が仙台にも押し寄せています。保育施設などにおける感染の広がりに加え、高齢者の入院患者数も増加するなど、厳しい局面を迎えております。自宅で療養されている方への支援や三回目のワクチン接種の前倒しなど、市民の皆さまの命と暮らしを守るため、市の総力を挙げて取り組んでいるところです。
今なお世界を覆うコロナ禍は、人々の交流を分断し、孤立や貧困をはじめとする深刻な課題を浮き彫りにしました。また、国内外において、サプライチェーンの停滞や物流の混乱などの影響も報告されています。
その一方で、デジタル革命とも呼ばれる情報化の進展、また気候変動問題の深刻化やカーボンニュートラルの潮流など、都市を取り巻く状況は急速な変化に直面し、不確実性を増しています。我が国においては、少子高齢化や人口減少などの課題もあり、そのような中で、いかにして人々の心豊かな暮らしとまちの持続的発展を実現していくのか、今、そのことが問われています。
都市は、多様な知識や経験、価値観を持つ人々が集い、交流する場であり、その中から新たな活力を生み出すことにより発展してきました。人と人との距離を遠ざけるコロナ禍にあってなお、私たちはデジタル技術などを駆使し、豊かな交流を広げ、まちの魅力を育もうと努力しています。とりわけ、学都と言われる本市には、瑞々しい感性や好奇心によりイノベーションをリードしていく若者が多く、その力を存分に発揮できる場所となるよう、若い世代を惹きつけるまちづくりが重要と考えます。
「“The Greenest City” SENDAI」。震災から十年を経過する中、本市は、豊かな自然や歴史、文化をはじめとする都市個性に加え、復興の過程で市民の皆さまとともに培ってきた高い防災力などに磨きをかけ、世界を視野に、新たなまちづくりのステージへと向かう扉を開きました。
震災で最も甚大な被害を受けた東部沿岸エリアでは、多くの事業者や市民の皆さまとともに、みどりの再生や賑わいの創出に取り組んでいます。南北に延びるかさ上げ道路の意味を震災の教訓として伝えながら、新たな交流を促す拠点へと進化させてまいります。
青葉山エリアでは、青葉山公園や大手門復元に向けた仙台城跡の整備を進めています。私は、仙台のはじまりの地とも言うべきこのエリアを、本市のアイデンティティーを象徴する場所として磨き上げていきたい。そのため、我が国トップクラスの音楽ホールを、文化芸術の創造と発信の拠点、楽都・仙台のシンボルとして、青葉山交流広場に整備いたします。
併せて、中心部震災メモリアル拠点を複合化し、震災復興で私たちを支えた音楽の力を継承しながら、自然とともに生き、災害を乗り越える力を未来へとつなぐ、防災環境都市・仙台ならではの「災害文化」創造拠点を、市民の皆さまとつくり上げてまいります。
さらに、東北大学との連携のもと、青葉山キャンパスを中心とするスーパーシティ構想を推進し、歴史や文化、交流などの機能に加え、若者と企業、研究者などの交流が新たなモノや価値を生み出す、国際的な学術研究拠点としての機能強化を図ることで、多くの人や企業を惹き付け、投資を呼び込んでまいります。
人の活躍こそがまちを育む。私は、このような考えのもと、市長就任以来、未来を担う子どもたちの学びの支援をはじめとする各種施策に力を注いできました。未来に向けてまちが大きく動き出す今こそ、その主役である市民の皆さまが安心して、大いに活躍できる環境づくりが重要となります。
このまちなら安心して暮らすことができる、このまちには居場所があると実感していただけるよう、孤立や貧困、引きこもりなど、様々な困難を抱える方々の声に丁寧に耳を傾けながら、積極的に支援を届けてまいります。
そして、さらなる活躍の可能性を持つ女性や若者など、お一人おひとりが自分らしく夢を描き、実現に向けて持てる力を十分に発揮できるよう、多様な主体の活躍を全力で応援していきます。
本市は、この度、G7関係閣僚会合を誘致すべく名乗りを挙げました。東北の復興の姿を世界に発信し、仙台・東北が一丸となってコロナ後のインバウンド獲得に取り組んでまいります。また、三陸復興道路が全線開通し、本市と三陸各地とのアクセスが飛躍的に向上しました。仙台港では、貨物取扱量が震災前の水準を超え、貨物ターミナル駅の移転に伴う新たな物流機能の集積に向けた動きも始まるなど、本市の東北の中枢都市としての機能はさらに高まっています。
今後とも、国や県、東北の各自治体との連携を一層強固なものとし、本市に関わる全ての皆さまの知識や経験、技術、まちへの想いを掛け合わせ、東北における本市の役割を果たしてまいる考えです。
私の思い描く「笑顔咲く杜の都」、そこには、美しい環境と活力に溢れるまちと、居場所を持ち活躍する市民の姿があります。その実現に向け、新年度におきましては、「世界に誇る魅力と活力を生み出すまちづくり」、「多様な視点から一人ひとりの活躍を支えるまちづくり」の二つを柱に据え、市議会をはじめ、市民の皆さまとともに、各般の施策を推し進めてまいります。

施策の第一の柱は、「世界に誇る魅力と活力を生み出すまちづくり」です。
このまちに集う皆さまとともに、本市の個性を磨き、最大限に活かしながら、まちの魅力を高めて国内外へと発信していきます。
まずは、次世代放射光施設の整備に向け、宮城県などと連携して支援を行うとともに、ICTや大学の研究成果などを活用したスタートアップの創出に取り組み、産学官金の連携のもとで、世界に挑む企業や人材を育て、仙台発のイノベーションへとつなげます。
コロナ後の経済成長に向けては、中小企業や商店街の新たなチャレンジを応援し、成長の鍵となる変化への対応力を高めるほか、AIやIoTをはじめとするICTと様々な産業を掛け合わせる新事業の創出を推進します。また、私自身が、本市の優れた都市環境や高度な知的資源の集積などの強みを発信し、企業の研究開発拠点や本社機能の誘致を図ります。
さらに、デジタルの力も活用しながらまちの活力を高めるべく、MaaSの利用促進、中小企業におけるオンラインを活用した販路開拓やテレワーク導入の支援とともに、スマートシティの実現に向けた取り組みを進めます。
農林業については、ドローンなどを活用したスマート農業の推進に加え、新たな担い手の活躍を応援するため、新規就農者や事業継承者の経営力を高める支援を行うほか、宮城県産木材の利用を促進してまいります。
新たな交流人口ビジネス活性化戦略に基づき、仙台・東北の多様な魅力を実感できるローカルツーリズムの促進、オンライン観光やデジタルマーケティングの推進など、幅広い視点で取り組みを進めるとともに、インバウンドの回復を見据え、台湾やタイなどへのプロモーションを強化するほか、G7関係閣僚会合の誘致を、MICE開催の推進やコロナ後の東北全体の交流人口拡大につなげます。
また、文化芸術の持つ多様な力をまちづくりに活かすべく、文化芸術振興の新たな方向性を示す、「(仮称)仙台市文化芸術推進基本計画」の策定を開始します。
本市の良好な都市環境をアピールする好機となる、全国都市緑化仙台フェアの開催準備を加速するとともに、世界防災フォーラムをはじめとする国際会議を通じて、緑豊かで、世界水準の防災力を備えた本市の魅力を国内外に発信します。
ゼロカーボンシティの実現に向けては、国の動きに先駆けて取り組んでいる製品プラスチックの一括回収・リサイクルについて、令和五年度からの全市展開に向け、一部地域において先行実施するほか、環境に最大限配慮したグリーンビルディングを促進する制度の検討にも着手します。
ガス事業民営化につきましては、エネルギー情勢の変化を的確に捉えながら着実に取り組み、地域経済の活性化など、本市のまちづくりにも資するものとなるよう進めてまいります。
本市には、東北の中枢機能を有する都心はもとより、東部沿岸や広瀬川などの親水空間、里山や豊かな森林など、その場所ならではの個性を持つエリアがあり、歴史や文化、スポーツなどの資源も合わさって織りなす都市環境こそが、まさにこのまちの魅力であると感じています。今後、国内外からより多くの人を惹き付けられるよう、それぞれのエリアの魅力をさらに引き出し、強化してまいります。
まず、青葉山エリアでは、音楽ホールと中心部震災メモリアル拠点の複合整備に向けた基本構想に着手するとともに、「(仮称)青葉山エリア文化観光交流ビジョン」を策定し、このエリアの可能性をさらに高めます。
仙台・東北の玄関口である仙台駅周辺や青葉通・一番町エリアの活性化に向け、引き続き民間による再開発などを支援するほか、これらの開発を契機としたまちの賑わい創出を目指し、青葉通の仙台駅西口周辺において、将来的な広場化も視野に入れ、公共空間の利活用効果や交通への影響を検証する社会実験を行います。
仙台駅周辺と並ぶ本市都心の拠点である定禅寺通エリアでは、いよいよ公民連携によるエリアマネジメントが始動します。地域の皆さまとの協働を深めながら、定禅寺通の再整備に向けた方針を策定するとともに、将来の宮城県民会館の移転も踏まえ、多くの若者が集い、市民の皆さまや来訪者の交流を促す、創造性にあふれるエリアへと進化するよう活性化に向けた検討を進めてまいります。
さらに、市役所新本庁舎の実施設計や勾当台公園再整備基本計画の検討と併せて、本庁舎敷地と市民広場の一体的利活用に関する社会実験に取り組むほか、一番町における夜市の開催など、コロナ禍の影響が顕著な中心部商店街・国分町に対する支援を強化します。
集団移転跡地の利活用が本格化する東部沿岸エリアについては、宮城野区と若林区が一体となって中心的な役割を担い、震災の記憶や地域の歴史・文化を後世に伝え、人々が集まり楽しめる空間となるよう、貞山運河の利活用を含むエリアの活性化と回遊性向上に取り組んでまいります。
本市の北部広域拠点である泉中央エリアでは、区役所の建て替えを推進するとともに、区民の皆さまや事業者との協働のもと、新たな賑わいの創出に向け、駅前広場や七北田公園などエリアの一体的なまちづくりを進めます。

施策の第二の柱は、「多様な視点から一人ひとりの活躍を支えるまちづくり」です。
まちづくりの原動力である市民の皆さまの多彩な活躍を応援する環境を整備するとともに、困難を抱える方々が安心して暮らし、未来に希望を抱くことができますよう、取り組んでまいります。
まず、新型コロナウイルス感染症対策につきましては、迅速なワクチン接種はもとより、発熱患者への医療をはじめとする検査・医療提供体制の確保、学校や子育て関連施設などにおける感染対策に万全を期してまいります。
子どもたちは、未来への希望です。子どもたちを健やかに育む環境を充実させ、ここで子どもを産み育てたい、「子育てするなら仙台」と選ばれるまちを目指します。
まち全体で子どもの誕生を祝い、健やかな成長と希望に満ちた子育てのスタートを応援する新生児誕生祝福事業に加え、若年層の戸建て住宅取得に対する助成を開始します。さらに、子ども医療費の助成について、令和五年度から所得制限を撤廃すべく準備を進めます。
切れ目のない子育て支援のさらなる充実を目指し、新生児の聴覚検査費用の助成や産後ケア事業における訪問型の取り組みを開始するほか、保育施設などにおける一歳児受入枠を拡充します。子どもの安全・安心確保につきましては、子どもが意見を表明する機会を確保し、権利を擁護する「子どもアドボケイト」を児童養護施設などに派遣するとともに、児童相談所では、児童福祉司の増員による組織体制の強化と併せ、大規模改修や児童相談システムの導入に取り組むなど、支援機能を強化します。
子どもたちや市民の皆さまの学びのニーズに応じた教育環境づくりに向けては、GIGAスクール構想の推進にかかる授業支援ソフトウェアの導入や全市立学校へのICT支援員の配置、小学校四年生への三十五人以下学級の拡充を図るとともに、令和五年度の夜間中学開設に向けた準備を進めます。
子どもたちの健やかな学びを支えるため、いじめ防止等に引き続き全力で取り組むとともに、スクールソーシャルワーカーの配置拡充や在籍学級外教室「ステーション」の設置校拡大などにより、子どもたち一人ひとりに寄り添いながら、本市学校教育の喫緊の課題である不登校への対応を強化します。
様々な不安や困難を抱える方々に対しては、それぞれのご事情を丁寧に把握しながら、適切な支援へとつなげてまいります。
新たに、ヤングケアラーの早期発見と支援に向けた窓口を設置するとともに、障害のある方などのご家族に向けた、親なきあとの経済的課題に関する相談会や学習会を開催するなど、相談機会の充実を図ります。
アウトリーチ型の取り組みを一層拡大し、ひとり親家庭等生活向上支援事業の全区展開や、支援が必要な児童に対する見守りの強化に加え、震災の影響により心身に不安を抱える方々の心の復興にも引き続き取り組みます。また、重い障害のある方々の就労について、通勤や就業時における支援を実施します。
生きづらさを抱えた女性や若者が安心できる環境を整え、その活躍を応援するため、「(仮称)女性・若者活躍推進会議」の開催を通じて、様々な支援に向けた検討を進めるとともに、ワークショップなどにより若者の意識や現状を把握し、若者のまちづくり参画を促進する新たな事業展開につなげていきます。
市民の皆さまの暮らしの基盤であり、多様な活動の場でもある地域につきましては、将来にわたり、誰もが安心して、生き生きと暮らし続けられる環境づくりが求められています。
コロナ禍の影響により活動の制限を余儀なくされ、様々な課題が顕在化する町内会に対して、「(仮称)町内会応援!プロジェクト」を開始し、コミュニティまつり復活への後押しや多様な担い手確保のサポートなど、支援を強化します。
健康の保持・増進に加え、地域の一体感や活力の創出にも寄与するスポーツの多様な力に着目し、新たに策定するスポーツ推進計画に基づく様々な取り組みを進め、スポーツを核とした賑わいの創出や地域コミュニティの活性化を図ります。
四病院の再編につきましても、地域の声を受け止めながら、開かれた議論を通じ、適切な医療提供体制により市民の皆さまが安心して暮らし続けられますよう、的確に対応してまいります。
地域の実情を踏まえた持続可能な公共交通サービスの提供に向けては、地域交通の取り組みに対する支援を拡大するとともに、公共交通にかかる新たな運賃制度についての検討を進めます。

以上、市政運営の所信の一端と施策の大綱について申し述べてまいりました。
地球温暖化や気候変動などのグローバルな課題が、カーボンニュートラルや海洋プラスチックへの対応となって、私たちの身近な暮らしに影響を及ぼしています。この度のパンデミックにおいても、オミクロン株の猛威が瞬く間に我が国全体を呑み込むなど、世界レベルでの課題がこのまちの、そして市民一人ひとりの課題として顕在化するスピードが早まっています。
大規模な自然災害や南太平洋の火山噴火に伴う我が国への被害などが生じる中、東日本大震災を経験した本市の職員は、市民の皆さまの安全・安心を守り抜くため、常に高い危機意識を持つことが必要です。そしてこのことを市政運営の基盤としながら、職員一人ひとりが自ら考え、多様な知見を取り入れ、前例にとらわれることなく行動する。未知の課題への対応と新たな価値の創造という二つの使命を果たすため、果敢に挑戦を重ねる。そのような職員の意識改革を推し進めていく覚悟でございます。
時代は大きく動いています。百九万市民の皆さまとともに「挑戦を続ける、新たな杜の都へ」。私たちのチャレンジは、まさに始まったところです。私自身、力を尽くして市政運営に邁進してまいります。
議員各位及び市民の皆さまのご理解ご協力を心からお願い申し上げます。

仙台市長 郡 和子  

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