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更新日:2023年2月10日

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令和5年度施政方針要旨

令和五年第一回定例会の開会にあたり、市政運営の所信の一端と施策の大綱について申し述べます。

三年にわたる新型コロナウイルスとの闘いを経て、我が国は今、アフターコロナに向け動き出しています。

コロナ後の時代に、本市の未来を切り開いていく鍵は何か。私は、幅広い人材の交流と新たな価値の創出により、域外から投資を呼び込む、その好循環にこそあるものと考えます。世界では、スタートアップが革新的なイノベーションや新たな雇用を生み出しています。本市においても、大学発ベンチャーなど、新たなスタートアップが生まれており、その息吹を今後の経済成長のエンジンに位置づけ、地域経済の活性化を目指すことが重要です。

先般、私はシリコンバレーを訪問してまいりました。そこでは、スタンフォード大学を中心に多くのスタートアップが生まれ、イノベーションに取り組む企業が集積しており、起業家や学生が日夜研鑽を積む姿を目の当たりにしました。本市には世界レベルの研究機関である東北大学が立地し、スタートアップ・エコシステムの発展に向けた産学官金の連携が構築されています。若者をはじめ、多くの方が刺激し合いながら挑戦を繰り返し、世界への飛躍を目指す。その後押しを行うことがこのまちの持続的成長に不可欠だとの思いを強くしたところでございます。

新年度には都心再構築プロジェクトの第一号案件となるビルが竣工します。その中にスタートアップのワンストップ支援拠点を整備するほか、首都圏における拠点開設や情報発信の強化に取り組みます。加えて、海外の大学やスタートアップとの交流による起業家マインドの醸成や、起業のすそ野拡大によって若い方の挑戦を促し、付加価値の高いビジネスの創出を目指します。世界最高水準の性能を有するナノテラスを核としたリサーチコンプレックス形成や、スーパーシティ構想など、学都仙台の持つ知の力をビジネスにつなげ、世界を舞台とした競争を勝ち抜くとともに、学都に学ぶ若者の働く場を生み出し、本市への人材定着を図ってまいります。

コロナ禍で途絶えていた海外との交流が回復しつつあり、一月には仙台空港の国際定期便が再開しました。五月に開催されるG7仙台科学技術大臣会合などの機会を逃すことなく、世界に向けて本市の魅力を発信し続けることが必要です。令和五年度を「観光再生元年」と位置づけ、歴史や文化などの資源を生かした観光コンテンツの充実や就航都市へのプロモーションを強化します。インバウンド回復に向け、重点市場であるタイや台湾へのトップセールスを行うなど、国内外からの交流人口拡大に取り組んでまいります。

本市の未来を見据えたとき、このまちの将来を担う若い世代が生き生きと活躍できる環境をつくることが重要になります。ここ仙台で子どもを産み、育てたいと思える、「子育てが楽しいまち・仙台」を実現する。そうした決意のもと、「(仮称)仙台こども財団」を設立し、未来を担う子どもたちを温かく育む取り組みを強力に進めてまいります。また、子供未来局を「(仮称)こども若者局」に改め、幅広い年代を対象としたワンストップ相談窓口体制を構築するなど、困難を抱える子ども・若者への支援を強化します。

さらに、妊産婦が安心できる保健・医療の充実や、子育てにかかる経済的負担の軽減などにより、安心して出産・育児ができる環境づくりを促進します。

学校教育の場におきましては、在籍学級外教室「ステーション」の拡充による不登校対策を推し進めるとともに、様々な方の学びたいという意欲に応える夜間中学の開設などにより、それぞれの個性や環境に応じた、多様な学びの機会を確保します。

「杜の都の環境をつくる条例」制定から五十年。本市は内外に誇る良好な都市環境を市民の皆さまとともに創り上げてまいりました。「仙台はじまりの地」とも言うべき青葉山エリアをメイン会場に開催される全国都市緑化仙台フェアを契機に、杜の都の都市ブランドを強化します。

「仙台・青葉山エリア文化観光交流ビジョン」のもと、新たに整備された青葉山公園をはじめとするこのエリアの魅力を発信するとともに、青葉山交流広場への音楽ホール・中心部震災メモリアル拠点複合施設の整備や、大手門復元に向けた歩みを着実に進めます。

折しも本年は、仙台の地で採択された国際的な防災指針「仙台防災枠組」が折り返しの時期を迎え、各国で中間評価が行われています。本市は、あの東日本大震災以来、杜の都の豊かな環境を基本に災害や気候変動リスクなどの脅威に備える防災環境都市づくりに取り組んできました。東北大学災害科学国際研究所との連携のもと、基礎自治体として一早く中間評価を行い、国際会議などの場で我が国を先導するモデルとして発信してまいります。

また、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、本市のGX推進を加速いたします。市民の皆さまとともに暮らしの中に脱炭素の取り組みを広げることを目指し、気候変動対策を話し合う市民会議を創設するとともに、一段高い温室効果ガス削減目標の達成に向け、「杜の都環境プラン」等を改定し、脱炭素に向けた道筋を描いてまいります。

近年、我が国のデジタル化は飛躍的に加速し、人々の暮らしや働き方も変化しています。本市も「Full Digitalの市役所」創出に向け、次期「DX推進計画」を策定するとともに、「書かない窓口」の導入やオンラインによる手続き環境の充実などにより、市民の皆さまの利便性を向上させてまいります。

「まち」も「デジタル」も、すべての中心は「ひと」に他ならない。私は、進化する都市機能、世界を変えるテクノロジーを、ひとの活躍のために活用することが、内外から選ばれるまち、「“The Greenest City” SENDAI」を実現する原動力になると信じます。

そのような考えのもと、新年度におきましては、「ひとが輝く、デジタル化を推進する」、「ひとの暮らしを支え、未来の担い手を育む」、「すべてのひとが活躍できるまちの魅力を創造し、発信する」の三つを柱に据え、市議会をはじめ、市民の皆さまとともに、各般の施策を推し進めてまいります。

施策の第一の柱は「ひとが輝く、デジタル化を推進する」です。

最先端のデジタル技術により、学都仙台の知の力を生かしたビジネス創出やコミュニティの活性化、市民サービス向上に取り組み、便利で豊かな暮らしを実現します。

まず、まちのスマート化を推進し、市民ニーズに即した先端サービスの提供とまちの魅力向上を図ります。仙台MaaSの機能強化や国家戦略特区を活用した規制改革の動きを加速させるとともに、スマートシティの実現に取り組むエリアマネジメント団体との情報連携機能の構築を進め、市民の皆さまの利便性を高めてまいります。

災害に強いまちづくりに向けては、SNSを活用した被害情報の集約等を通じ、地域における防災力を強化すべく、実証実験に取り組みます。

また、先端技術を活用しながら仙台防災枠組の社会実装に資する新事業の立ち上げを支援することで、東日本大震災の被災地である本市から、産学官金の連携による新しい産業創出モデルの構築を目指します。

地域経済の活性化についても、中心部商店街における人流データの検証・分析結果を用いながら、来街者増加や回遊性向上施策の立案につなげるとともに、デジタル技術を活用した中小企業の新たな製品やサービスの開発を支援し、新産業創出を後押しします。

デジタル技術は、私たちの暮らしを支え、よりよいものとするために大きな力を発揮します。eスポーツの活用による高齢者の健康づくりや生きがいづくりを進めるほか、先端システムの活用によるフレイル予防に向けた健診の実施や、AIを用いた特定健診の受診率向上に取り組みます。

少子高齢化が進む宮城地区西部においては、電子回覧板などの取り組みに加えAIカメラによる有害鳥獣対策を開始し、地域課題の解決に努めます。

学校教育の場においては、デジタルドリルを導入し、それぞれの学びに合わせた教育環境の整備や教員の負担軽減を推進します。

行政運営や手続きのデジタル化につきましても、先行事例を踏まえたスピード感ある新規事業の実装や、業務プロセスの標準化・最適化に取り組みます。また、スマートフォン等による各種申請手続きのオンライン化を推進するほか、全区役所への展開を視野に、タブレット端末を活用したサービス運用を泉区役所から始めてまいります。

施策の第二の柱は「ひとの暮らしを支え、未来の担い手を育む」です。

年齢や性別などに関わらず、誰もが思い思いに活躍できる環境を創出するとともに、社会的・経済的な困難を抱える方に丁寧に寄り添い、誰一人取り残さない施策を拡充してまいります。

子どもを産み育てたいと願う方が安心して出産・子育てできるよう、子ども医療費助成の所得制限を撤廃するほか、妊娠期から出産・子育て期まで一貫して支える伴走型相談支援と、経済的負担軽減に向けた出産・子育て応援給付金の支給を一体的に実施します。併せて、不妊に悩む方に対する相談支援体制を拡充します。

子育てを応援する社会の実現に向けては、地域や企業の理解促進も欠かせません。中小企業等で働く方の育児の実情も踏まえながら、社会全体で出産・育児を支える機運醸成を進めます。また、せんだいのびすくナビを活用した情報発信の充実や、公園等における子どもの自由な遊びを支える活動を支援します。

保育や学校教育の環境整備にも引き続き取り組んでまいります。

定員に空きのある保育所等において、未就園児を定期的に預かるモデル事業を実施し、多様な保育サービスの充実を図ります。小学校では、三十五人以下学級を五年生に拡充するほか、社会全体で子どもを守るという意識のもと、いじめの未然防止や早期発見・早期対応に全力で取り組むとともに、児童生徒の安全・安心を確保するため、全市立学校への防犯カメラ設置を進めます。

仙台工業高等学校においては、産業界と連携した実践的な職業教育を行い、地域社会で活躍できるデジタル人材の育成に取り組んでまいります。

一方、コロナ禍も相まって、安心できる暮らしを支える医療体制構築の必要性も高まっています。

本市をめぐる医療環境の変化や次期「宮城県地域医療計画」を見据え、本市の医療政策に関する方針を策定するとともに、高齢化の進展により増加が見込まれる救急医療需要に対応するため、オンライン診療を活用して休日・夜間の初期救急医療体制を充実させます。

このまちの未来を切り開いていくためには、多様な力が必要です。自分らしく、生き生きと暮らせるまちを目指し、市民の皆さまの暮らしを支えてまいります。

困難を抱える子ども・若者への支援を強化するため、「子ども・若者支援地域協議会」を設置し、様々な視点による重層的な支援ネットワークを構築します。また、ヤングケアラーへの支援につながるよう、当事者が悩みを共有し、経験を話し合えるオンラインサロンを開催します。

さらに、女性や若者の生きづらさに焦点を当て、「女性・若者活躍推進会議」の成果を生かし、支援団体間の連携構築や情報発信を進めるとともに、多様な生き方を尊重し合いながら、お一人おひとりの活躍を実現できますよう取り組んでまいります。

また、困難を抱える女性へのアウトリーチ型相談支援の拡充や、ひきこもりの方の実態・ニーズの把握に向けた調査を行うほか、震災からの心の復興にも継続して取り組みます。

もとより、これらの支援の実施にあたっては、様々な主体と連携したネットワークの構築が不可欠です。市民活動団体等の専門性を生かした地域の課題解決を進めるとともに、地域福祉推進の中心的な役割を担う民生委員児童委員の活動費を引き上げ、負担軽減や担い手確保のための協力員制度を拡充します。

また、子育てしやすい良好な住宅への住み替えを支援し、若い世代の本市への定着や郊外を中心としたコミュニティの維持を図るほか、老朽化が進む市営住宅の居住環境改善に向け、鶴ケ谷第二市営住宅団地の再整備を進めます。

施策の第三の柱は「すべてのひとが活躍できるまちの魅力を創造し、発信する」です。

地域の強みを磨き上げ、まち全体の進化につなげるとともに、まちの魅力を発信することで、人や投資をグローバルに呼び込んでまいります。

国内外への発信については、国際会議等の積極的な誘致に加え、訪日旅行再開に合わせた外国人観光客へのプロモーションに取り組みます。交流人口拡大や地域経済活性化に向けては、デジタル技術も活用しながら各自治体と連携した魅力発信や周遊促進を図り、東北のゲートウェイとしての役割を果たします。また、DMO登録に向けた取り組みを進める公益財団法人仙台観光国際協会と連携し、地域が一体となった観光地域づくりを進めます。

さらに、文化芸術の持つ力を本市の魅力向上に生かすため、「(仮称)仙台市文化芸術推進基本計画」を策定します。

本市の顔となる都心部においては、賑わいや回遊性を高め、エリアの魅力向上を強力に推し進めます。都心再構築プロジェクトにより再開発の事業化を目指す地元組織を後押しするとともに、仙台駅前エリアの社会実験を踏まえた将来ビジョンを検討するほか、仙台駅東エリアにおけるまちづくり団体の活動を支援します。

本庁舎の建て替えが本格化する勾当台・定禅寺通エリアでは、一番町四丁目商店街を含むエリア全体の賑わいや交流機会の創出に向け、勾当台公園や定禅寺通の再整備、商店街活動の支援などを加速します。

南鍛冶町・舟丁工区が間もなく供用開始を迎える宮沢根白石線をはじめ、本市の社会経済活動を支える都市計画道路の整備を着実に進めます。また、泉中央エリアにおける区役所建て替えを契機とした交通環境改善の検討や、長町エリアにおける歩いて楽しい魅力的で快適な街並み空間づくりなど、地域の皆さまとの協働によるまちづくりを進めてまいります。

震災による未曽有の被害を乗り越えて、復興から新たな賑わいが生まれている東部沿岸地域では、貞山運河をはじめとした地域資源の活用を関係自治体等と連携して推進し、エリア全体の回遊性向上と魅力の発信に取り組みます。また、昨年公表された新たな津波浸水想定を踏まえ、指定避難所等の安全性の確認や避難の丘の再整備を行い、災害への備えを講じます。

秋保地区においては、地域おこし協力隊による空き家利活用や豊かな自然など地域の情報発信に取り組み、交流人口拡大や移住促進につなげるとともに、民間事業者とも連携しながらエリアの特徴を生かした魅力の創出を進め、地域ブランドの価値向上を図ってまいります。

食料の安定供給や生物多様性の維持など様々な役割を担う農業を持続的に発展させていくため、環境負荷の少ない生産方式への転換の後押しに加え、米の活用推進や米粉の需要喚起を図ります。

世界的潮流であるカーボンニュートラルを実現すべく、国の脱炭素先行地域の選定に向けた取り組みと併せて、本市独自基準に基づく高断熱住宅の普及や太陽光発電システムの導入支援など、家庭向けの対策を集中的に進めます。さらに、生産性向上とも両立を図る中小企業向け金融支援の拡充や市有施設の脱炭素化、そして豊かな森林資源を地域の理解のもと整備・保全するなど、全庁を挙げて本市のGXを総合的に推進します。

併せて、製品プラスチックの一括回収・リサイクルを全国に先駆け開始することで、資源循環を推進し、持続可能な社会づくりに貢献します。

ガス事業の民営化については、社会情勢や関係事業者の意見を踏まえながら検討を重ね、公募再開の時期を見極めてまいります。

最後に、職員の意識と行政運営の改革についてです。

高度化・複雑化する課題を乗り越え、諸般の施策を力強く推進していくためには、職員がこのまちの未来と市民の暮らしを支えるという気概を持ち、既存の枠組みや慣習にとらわれることなく新たな取り組みへの挑戦を重ねていけるよう、意識改革をしていかなければなりません。

何より、適正な事務執行があってこそ、市民の信頼を得ることができる。市民の信頼あってこそ、本市の未来を切り開く施策を推進することができる。このような公務の原点に立ち返りつつ、私自身が先頭に立って、デジタル技術の活用や業務プロセスの見直しなど構造的・抜本的な視点から行財政改革を進めてまいります。

また、市民の皆さまへの説明責任を果たすうえで基本となる公文書の適切な保存・利用に向けて公文書館の運用を開始するなど、適正な業務執行を鋭意推進いたします。

以上、市政運営の所信の一端と施策の大綱について申し述べてまいりました。

現在も予断を許さない国際情勢は、燃料価格の高騰など市民生活にも大きく影響を及ぼしています。

市民のいのちと安全・安心な暮らしを守るという本市の使命を全うすべく、市役所が一丸となってあらゆる困難を乗り越え、百九万市民の皆さまとともにこのまちを希望ある未来へと引き継いでまいります。

議員各位及び市民の皆さまのご理解ご協力を心からお願い申し上げます。

仙台市長 郡 和子

お問い合わせ

まちづくり政策局政策企画課

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