現在位置ホーム > 市政情報 > 市の概要 > 市長室へようこそ > -協働がつなぐ仙台-郡市長とふれあいトーク > 令和4年度 > 第3回「-協働がつなぐ仙台-郡市長とふれあいトーク」(9月2日)

ページID:63923

更新日:2022年10月6日

ここから本文です。

第3回「-協働がつなぐ仙台-郡市長とふれあいトーク」(9月2日)

9月2日(金曜)は、エル・ソーラ仙台にて、外国につながる子どもの学習をサポートしている「外国人の子ども・サポートの会」の皆様と懇談しました。
懇談前には、学習サポートをしている方々にお話を伺いました。

懇談している様子

学習サポートをしている様子

懇談の様子(写真)         1対1で学習サポートを行っています(写真)

外国人子ども・サポートの会

外国にルーツを持ち、日本語での授業やコミュニケーションに困難を抱える子ども向けに、日本語と教科学習の習得をサポートすることを目的として、平成17年3月に設立。主にエル・ソーラ仙台の施設ボランティアとして、市民交流スペースで活動。現在18年目。未就学児から大学生まで、計37名の子どもとその親を支援しています。
サポーター会員は現在約50名在籍しており、そのうち約7割が県内の大学生(宮城教育大、宮城学院大、東北福祉大、東北大、東北学院大学など)ボランティアで構成されています。

懇談に参加された方

代表       田所 希衣子(たどころ・きいこ)さん
サポーター会員  櫻井 香織(さくらい・かおり)さん
サポーター会員  松井 将大(まつい・まさひろ)さん
サポーター会員  山内 藍子(やまうち・あいこ)さん

懇談者4名と記念撮影

学生さんも含めて皆さんと

懇談者4名と(写真)        学生さんも含めて皆さんと(写真)

市長
市内では、小中学校に通われている外国人のお子さんが増えてきている都市構造になっています。皆さんには、日頃からボランティアで日本語を教えてくださるだけではなく、日本の文化や仙台のいいところ、あるいは、社会で適応していくために必要なことを含めてさまざまな支援をされていると伺っています。これからは、多様性もますます重要ですし、どの国籍であっても、皆さんが幸せになれるようなまちづくりをしていきたいと思っています。今日は、限られた時間ではありますが、ぜひ皆さんのこれまでのご経験などをお聞かせいただき、少しでも市政に反映させていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
では、おひとりずつ自己紹介をお願いします。

田所さん
外国人の子ども・サポートの会の代表をしています田所希衣子と申します。

山内さん
サポート会員として1年になります。宮城教育大学3年の山内藍子と申します。

松井さん
サポーター会員として1年半になります。東北大学大学院社会学研究室に所属している松井将大と申します。

櫻井さん
サポーター会員として今年で4年目になります、櫻井香織と申します。

市長
外国人の子ども・サポートの会は平成17年に設立されたと伺っています。どのようなきっかけで設立されたのでしょうか。

市長挨拶

田所さん

市長(写真)            田所代表(写真)

田所さん
30年くらい前に外国からたくさんの方がいらした時期がありました。最初は大人向けの日本語教室から始まり、私はそこで、大人の方に日本語を教えていました。やがて、その方たちが子どもを産み、その子どもが学校に行くようになると、お母さんたちから、学校で子どもたちがとても大変だと相談を受けはじめ、子どもへのサポートの必要性を感じ、4人のメンバーで立ち上げました。現在、サポーター会員は約50名、生徒会員は37名在籍しています。そして、このサポートの会を支えてくださっている会員が約23名います。

市長
学生のお二人に伺います。どういうきっかけでこの会に参加をされて、今どんなことを中心に活動されているのですか。

山内さん
大学の掲示板で紹介されていたことと、既に活動を始めていた友達から誘いを受け、興味を持ったことがきっかけです。

市長
どんなところに興味をもったのですか。

山内さん
ニュースや新聞などで、外国人の子どもたちが小学校で授業を受けるときに、言葉などの壁を感じていることを知り、自分にできることがあれば活動してみたいと思ったからです。

海外での経験を還元したい

松井さん
学生の頃から国際協力や国際政治に興味があり、2018年に青年海外協力隊としてヨルダンに2年間滞在し、さまざまな活動をしている中で、改めて学び直したいと思い、大学院に進学しました。大学院での研究やこれまで経験してきたことを何らかの形で活かしたい、還元したいという気持ちから、この活動を始めました。

市長  
ヨルダンでは、どのような支援をされていたのでしょうか。

松井さん
ヨルダンは政治的にも難しい地域で、イラク・シリア・パレスチナから、多くの難民を受け入れています。その難民の子どもたちが通ってくる日本の児童館のような施設で日本の文化の紹介や情操教育、食育など、現地の教育現場では教えられていないことなどを企画して教えていました。

市長
櫻井さんは、この活動を始められて5年目ということですが、どのような支援をなさっているのですか。

櫻井さん
奨学金を受けて海外から留学生として日本にきた高校生に日本語を教えています。一人目がこの春高校を卒業して、日本の大学に進学することができました。現在二人目の高校生をサポートしています。

市長
大学進学までサポートできたということは、喜びも大きかったと思いますが、英語圏の子どもだけではないでしょうし、いろいろとご苦労もあるのではないでしょうか。

櫻井さん
担当している学生は英語を話すことができますし、私も松井さんと同じく海外青年協力隊として英語圏にいましたので、お互い問題なく意思疎通ができます。日本語の勉強も熱心に取り組んでいますので、今では英語を使わなくても日本語で学習が進められるようになってきています。

松井さん

櫻井さん

松井さん(写真)          櫻井さん(写真)

弟や妹と一緒に勉強するような気持ちで

市長
皆さん、いろいろな経験を活かして外国の子どもたちを支えていることを改めて実感しました。また、外国人と言っても、いろんな国の言葉や文化、背景を持った子どもたちがいて、サポートの仕方も多岐にわたると思いますが、どのように考えて、サポートしているのでしょうか。

田所さん
学習方法ですが、大きく二つあります。まずは日本語の学習をします。それができるようになったら教科学習に移行していきます。日本語が少しできるようになったところで、それぞれサポーターの得意なところを活かして対応してもらっています。一番大切なことは、よく見るということです。一人ひとりが子どもたちを見て、求めていること、必要なことを一緒に考え、弟や妹と一緒に勉強するような気持ちでサポートすることを大事にしています。

市長
山内さんの担当しているお子さんは、どちらの国から来ていて、何年生ですか。

山内さん
ネパールから来た中学3年生の女の子です。小学校のときに日本に来ているので、日本語はかなり達者です。妹のように接し、一緒に考え、調べながら楽しく勉強をしています。

市長
話すのは達者でも、日本語は平仮名や片仮名、漢字と難しい成り立ちの言葉だと思うのですが、そういうところを教えていくのは、大変なのではないでしょうか。

山内さん
主に社会科の歴史を教えています。歴史は特に漢字が難しく、教科書の言葉も難しいため、その言葉を一つ一つ解説しながら一緒に勉強しています。教えたところが定期テストに出て、答えられましたと言われたときは、とてもうれしい気持ちになり励みになります。

山内さん

山内さん(写真)

生徒に寄り添い信頼関係築く

市長
松井さんは、これまでの活動を通して、良かったなと思ったことや、逆に難しくて随分悩んだなどエピソードをご紹介いただけますか。

松井さん
去年、マレーシアから家族できていた中学1年生の男の子のサポートをしていました。ご両親がとても教育熱心な方で、家庭では日本語、アラビア語、英語、マレー語の4か国語を勉強していたことに加え、日本という異国の環境に疲れている様子が表情に出ていたので、話を聞いてあげたり、時には息抜きをしたり、コミュニケーションを大切にしていました。家族で本国に帰国してしまいましたが、何度か家に招かれて食事をしたなど、家族ぐるみのお付き合いができたことや信頼関係が築けたことにやりがいを感じています。

市長
温かく寄り添いながら信頼関係を築いていくことで、学びを後押ししているのですね。本国に帰られてもやり取りがあるのですか。

松井さん
はい、今年の4月からは、オンラインで妹さんも一緒にサポートしています。

市長
ご家族の皆さんが仙台を離れた後でもいろんな形でサポートが続いているのですね。
先ほど櫻井さんから、サポートしていた学生さんの大学進学の話がありました。日本人にとっても大学受験は大きな壁であり、ましてや外国から来られて日本語もよく分からない中での受験だと思いますが、特に心掛けていることは何ですか。

櫻井さん
先ほど、山内さんは妹のように接しているとお話していましたが、私の場合は、息子と同じくらいの年齢なので、お母さんという立場で接しています。日本でたくさんのことを学んで、帰国したら国の発展のために尽くしたいという強い思いを持って頑張っている姿に感銘を受けますし、その気持ちを大事に育てたいという思いでサポートしています。

「言葉の力」を育てるために

市長 
活動を通しての課題や、誇りに思って活動していることなどありましたら、お聞かせください。

田所さん 
最近は両親とも外国人で、日本で子どもが生まれたという家族が全国的にとても増えています。その子どもたちの「言葉の力」をどう育てていくかが課題となっています。大きくなってから来た子どもたちは、自分の国で母語で勉強をしてきているので、知識もあるし、考える力も成長しているのですが、日本で生まれた子どもは、自分の母語の確立が難しいのです。例えば、幼稚園に通っている子どもが、何も話さない、話をしても蚊の鳴くような声で話をするというのです。話を聞くと、日本で生きていくために、日本語を使った方がよいと考える親御さんが、あえて慣れない日本語を使うそうです。母語と日本語がミックスされた環境で育ち、どちらの言語も十分でない語彙力・表現力で就学年齢になってしまい、考える力も知識も育たないまま成長し、学校の勉強についていけなくなるのです。日本語を学ぶには、母語も重要。親が周囲の人とつながって子育てができるよう、家族の支援も必要です。

市長
これは、とても大きな話ですね。お子さんたちを通して、親御さんへのサポートも重要なのですね。
山内さんは、どうですか。

山内さん
将来、通訳の仕事をしたいので頑張りたいと一生懸命な姿に「私も頑張らなきゃ」とエネルギーをもらっています。

みんなで支えるやさしいまちに

市長
松井さんは、この活動を通して、何か気づいたことなどありますか。

松井さん
外国人の視点で日本での生活を考えたときに、標識などにふりがなやローマ字表記の配慮があったら、理解できる可能性が広がるかもしれません。今後、在留外国人の増加が見込まれているなかで、誰にでもやさしいまちづくりが求められているのではないかと思います。

市長
櫻井さんは、この活動を通して、市民の方にどんなことを知ってもらいたいと思いますか。

櫻井さん
街中を見ましても外国人の方が増えています。多様性を受け入れ、お互い理解し合えるような社会、やさしい日本語が広まって、日本語が分からない人たちにも伝わるようなやさしい社会であってほしいと思います。

社会で生きる力を育みたい

市長
最後に、会としての今後の抱負、多くの市民の皆様方にお伝えしたいことがあればお話しいただけますか。

田所さん
小さい子どものサポートは、どなたでもできると思います。身近に外国人の子どもがいたら手助けしてほしいです。多くの方は、英語ができないとダメなのかなと思われているのではないでしょうか。私たちは、ほとんど日本語で十分サポートできていますので、日本語でやさしく受け入れていただきたいと思います。そして、子どもたちが大人になったときに、社会で生きる力を育んでいけるように、周囲とつながっていけるようにサポートしていきたいと思っています。

市長まとめ

市長
子どもたちを優しく見守る皆さんの存在が、学習面だけでなく、精神的にも大きな支えになっているのだと感じました。外国人も日本人も地域の一員として暮らしていくには、互いに文化や習慣を理解し、認め合うことが大切。こうした多様性を尊重することは地域の豊かさや活力につながります。今後とも、誰もが安心して生き生きと暮らすことができるよう、どなたにもやさしいまちづくりを進めてまいります。そして、この仙台で多くの外国人の子どもたちが笑顔になりますことを祈念いたします。
本日はありがとうございました。

お問い合わせ

市民局広聴課

仙台市青葉区国分町3-7-1市役所本庁舎1階

電話番号:022-214-6132

ファクス:022-213-8181