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更新日:2022年10月28日
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依存症(嗜癖)とは、アルコールや薬物のような物質に対する依存(物質依存)と、買い物、窃盗などのある特定の行為に対する依存(行動依存)とに分類されます。「ギャンブル依存」は行動依存に分類されます。
依存症の共通していることとしては、理性をつかさどる脳の一部分(前頭前野)の働きが悪くなり、「ギャンブルの刺激に対して過剰に反応してしまう」「やってはいけない状況でも、強い衝動を抑えられず、ブレーキが効かなくなる」状態になり、繰り返しギャンブルを行うことで「賭け金に対する感覚が徐々に麻痺してしまう」といった状態になります。
国でも平成30年に「ギャンブル等依存症対策基本法」が施行され、地域レベルでの医療提供体制の整備、行政機関や民間団体による相談支援の充実が求められています。
ギャンブル依存症とは、ギャンブル等にのめり込んでコントロールができなくなる精神疾患の一つです。国際的な精神疾患の診断基準でも、”病的賭博”、”ギャンブル障害”として位置付けられています。
ギャンブル依存症の特徴として、以下のようなことがあげられます。
精神疾患の分類と診断の手引き(DSM-5)による診断基準の項目として
といった項目があげられます。
(日本精神神経学会監修 DSM-5 精神疾患の分類と手引、医学書院)
(※以下の4つの項目のうち、2つ以上あてはまったら、ギャンブル依存症の可能性があり)
[出典:田中紀子、松本俊彦、森田展彰、木村智和、病的ギャンブラーとギャンブル愛好家とを峻別するものは何か:LINEアプリ・セルフスクリーニングテストを用いた病的ギャンブラーの臨床的特徴に関する研究、日本アルコール・薬物医学雑誌、2018,53(6):264-282.]
ギャンブルに依存的になってしまう要因のひとつとして「快楽を求める」事があげられます。これには過去に大勝ちした経験が忘れられず、何度もその快楽を求めてしまうことがあります。
もう一つは「日々の生活の中での嫌なことから逃れる(=現実逃避)」といった側面もあります。家族や職場などでの人間関係や、自信の満たされない気持ち、不全感・虚無感など、何らかの問題を抱えており、それによって生じた心理的ストレス・不快感を解消するためにギャンブルをしてしまいます。これは他の薬物やアルコールなどの物質依存の場合でも同様なことが言えます。
ギャンブル依存により、以下のようなことに問題が生じてしまうことがあります
調査項目 | 調査結果 |
---|---|
国民のギャンブル等※行動経験がある人のうちギャンブル等依存が疑われる割合 | 男性3.7%、女性0.7%(全体2.2%) |
ギャンブル依存が疑われる人のうち過去1年間にギャンブルで使った金額 | ひと月当たり5万円(中央値)(疑いのない人は、ひと月当たり1万円(中央値)) |
ギャンブル依存が疑われる人の心理面への影響 | ギャンブル等依存がないと考えられる群よりも「抑うつ・不安が高い」「自死念慮」がある割合が有意に高い |
家族や重要な他者にギャンブルの問題がある割合 | 14.4%(問題のある当事者は「父親」「配偶者」「兄弟姉妹」) |
ギャンブル依存が疑われる人の家族等が受けた影響 | 「浪費・借金による経済的困難が生じた」「ギャンブル等をやめられない人に怒りを感じた」「家庭不和・別居・離婚を経験」など |
※ギャンブル等:パチンコ・パチスロ・競馬・競輪・競艇・オートレース・サッカーくじ・証券の信用取引・先物市場への投資・FX・インターネットを用いたギャンブル・海外カジノなど
「やめ続けること」
いったん依存症の状態になってしまうと、行動にコントロールが効かなくなるので、「ギャンブルに費やす金額に上限を設ける」「ほどほどなところでやめる」といったことができなくなります。
そのためギャンブル以外の「楽しい時間」「満たされる時間」をみつけながら、ギャンブルをやめ続けていくことが必要です
「一人で乗り越えようとしない」
「自分で何とかやめられる」「強い意志があるから大丈夫」と思っていても、ギャンブルをやめ続けることは非常に難しい病気です。
そのため、医療機関や精神保健福祉センターなどの相談機関に受診・相談しながら、専門家から適切なアドバイスをもらいながら回復に向かっていった方が、ギャンブル依存の問題を乗り越えやすくなります。
加えて、ギャンブル依存の場合、多額の借金を抱えてしまう、返済に困っている、といった法的な問題もあることが多いですので、法律の専門家への相談も必要になってきます。
また、依存症の問題を抱えた人同士が集まる「自助グループ」に参加して、同じ仲間とのミーティングや情報交換をしながら、回復に向かっていく方法もあります。
いずれの場合であっても、様々な専門家や同じ仲間と「つながり」を作りながら、一緒に乗り越えていきましょう。
ギャンブル依存の本人の影響を最も受けやすいのはご家族になると思います。いつもギャンブルにのめり込んでいる本人に対して「もうギャンブルをしないでほしい」といった心配する気持ちで、本人へ叱責する、本人が借金した所との調整をする、場合によっては借金を代わりに返済する、といった状況になることもあります。そのため、ご家族自身も疲弊し、精神的に参ってしまうこともございます。
また、ご家族の対応が、本人の問題をかえって助長させてしまうことがあります。逆に家族の対応が変わることで、家族自身が健康的に過ごせるようになり、本人が回復に向かいやすくなります。
したがって、ご家族も抱えている悩みなどを、相談機関の専門家と共有しながら負担を軽くするとともに、本人の回復につながるような正しいサポート方法を一緒に考えていくことが大切な対応になりますので、本人がなかなか相談につながらない場合は、ご家族だけでも、まずは相談することをお勧めします。
[当事者向け]
GA仙台グループ・みやぎグループ
ギャンブル依存症問題を考える会
[家族等向け]
ギャマノン
全国ギャンブル依存症家族の会宮城
※相談機関の詳細は「依存症関連の相談」、「ひとりで悩まず、まず相談を(相談機関等一覧)」のページをご覧ください。