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更新日:2022年10月7日
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平成25年に厚生労働省研究班がWHOの診断基準に基づき全国調査した結果、治療を受けていない人を含め109万人もの人が、アルコール依存症にかかっている可能性があることが分かりました。このうち実際にアルコール依存症として治療を受けている患者数は、4~5万人であるとされています。アルコール依存症は誰でもなりうるありふれた病気であるにもかかわらず、相談や支援の状況が広がりにくい現状にあることがうかがわれます。
不適切な飲酒は、アルコール健康障害の原因になります。そして、ご本人の健康問題だけでなく、飲酒運転、暴力、虐待、自死等、様々な問題にも密接に関係しています。従来、中年男性が多かった患者層は、女性や高齢者にも広がってきています。平成25年12月にアルコール健康障害対策基本法が成立し、平成26年6月に施行されました。そして、平成28年5月にはアルコール健康障害対策推進計画が策定され、アルコール関連問題に関して、国を挙げて具体的な取り組みが行われています。
適正にお酒を飲んでいた人が、次第に連続的にお酒を飲むようになり、さらにそれを通り越して、アルコールに対して、精神的、身体的依存を来たし、飲酒行動で自分をコントロールできなくなる病気のことです。
お酒を飲みすぎることが問題だとわかっていても、飲まずにはいられなくなり、飲酒の量も回数も増えていき、徐々に重症化していくことが、この病気の恐ろしいところです。症状が進行し、飲酒のコントロールが効かなくなると、二日酔いで仕事を休んだり、酒代のために借金をしたり、酔って暴力を振るうなどの問題が起きてきます。その結果、職場での信用を失ったり、経済的、家庭的な破綻をきたしかねないのです。
アルコール依存症になってしまうと、適度に飲酒するということができません。できるのは全く飲まないでいるか、飲み過ぎて問題を起こすかのどちらかです。いったんアルコール依存症になってしまうと、元のように適量のお酒を楽しめる体には戻らないのです。ですので、アルコール依存症者が健康的な生活を取り戻すには、生涯を通じて断酒することが必要になります。
このまま飲酒を続けると、家庭崩壊、社会的地位の喪失、生命の危機に繋がります。
WHOの国際疾病分類(ICD-10)によると、通常過去1年間のある時期に、次の6項目のうち3項目以上に当てはまる場合に、アルコール依存症と診断すべきであるとされています。
アルコールは、大麻や覚せい剤などと同じ依存性薬物の一つです。
アルコールの作用はアヘンに似ていて、身体依存性が高く、離脱症状(以前は禁断症状と呼ばれていました)が激しいとされています。離脱症状とは、体内のアルコールが切れてくると(血中濃度が下がる)と、不眠、手指のふるえ、イライラ、幻覚などの症状が現れてくることです。アルコール依存症患者は、このような不快な症状から逃れるために飲酒してしまうことがあります。依存が形成されると自分の意思のみでは断酒をすることが極めて難しくなります。
初期症状(離脱後およそ7~20時間)
進行した症状(離脱後およそ72~96時間)
※これらの症状は4~5日でなくなることが多いですが、栄養管理や症状の抑制、合併症の管理などのため、入院治療が望ましいです。外来治療などで離脱期を家庭で過ごす場合は医師の指示に従ってください。
「イッキ飲み」はアルコールの血中濃度を急激に上昇させ、一気に「泥酔」「昏睡」状態にまで進んでしまいます。中枢神経が麻痺し、呼吸困難など危険な状態を引き起こし、最悪の場合、死に至ります。
妊娠中にお酒を飲むと、胎盤を通してアルコールが赤ちゃんの身体の中に入ってしまいます。その結果赤ちゃんは、知能、身体や臓器の発達障害、特徴のある顔つきなど「胎児性アルコール症候群(FAS)」と呼ばれる障害を持って組まれてくる危険性が高いのです。
ここではアルコールによる身体合併症も紹介しておきます。
代表的なものとしては、脂肪肝、アルコール性肝炎、肝硬変などの肝臓障害があげられます。
肝臓障害に至るメカニズムは複雑で、その原因はいくつかありますが、アルコールの分解過程で作られるアセトアルデヒドという毒性の物質が、長期の大量飲酒によって徐々に肝細胞を害するためにおきます。また大量のアルコール摂取時には、多くの活性酸素ができるため細胞膜やDNAが酸化され肝障害が起こりやすくなります。多量飲酒者は栄養状態が悪いので、このような活性酸素を無害なものにするビタミン類が低下しており、いっそう障害を受けやすくなるのです。
また、アルコールは、肝機能障害を引き起こすだけではなく、胃や十二指腸の障害、膵臓障害、中枢神経や末梢神経の障害など様々な身体合併症の原因となり、多くの生活習慣病を悪化させる原因ともなります。
アルコールが引き起こす身体合併症は、検査によって確認できる障害ですので、アルコール問題の早期治療という観点から重要です。その中に潜む飲酒の問題を見逃さないようにしたいものです。
スクリーニングとは、簡便に実施可能な検査などを用いて、疾患の有無や程度の暫定的にチェックすることです。
ここでは質問紙法の中でも最も簡便なCAGEを紹介します。
次の4問中2問に該当すれば、アルコール依存症の疑いが十分にあります。
アルコール依存症は心の病気です。根本の治療をせずに身体合併症だけを治すと「また飲める体に戻してしまう」という悪循環に陥ります。体を治すだけではなく、専門医療機関での心の治療が必要です。
アルコール依存症の治療は、おおむね以下のような順序に従って行われます。これらの段階を終了するには数年の時間がかかるのが普通です。
お酒をやめて半日を経過したころから約一週間、発汗・微熱・手のふるえ・イライラ・不眠などの離脱症状(目次4参照)が現れます。離脱症状自体を治療するために薬物療法が必要になることもあり、症状を和らげるため安静を保ちます。
患者に断酒の必要性を徹底してもらうことと、その実現に必要な対処方法を学ぶことがARPの治療目的です。これらは集団心理療法、個人心理療法、認知行動療法、薬物療法(抗酒剤など)や家族指導などによって行います。これらの治療と並行して、合併症(肝臓障害などの内科疾患やうつなど精神的な疾患)の治療を行います。
リハビリテーションの延長であり、断酒を維持すると同時に家族の人間関係の改善、職場への復帰の安定化を図ることによって生活の質の向上を図ります。また、再飲酒を防ぐこともアフターケアの重要な課題の一つです。
いったんアルコール依存症になると、お酒を上手に飲むということはできなくなります。アルコール依存症から抜け出すためには断酒が必要です。
お酒への依存によって生じた、自分とお酒、環境との悪循環を断ち切るために専門医療機関への入院・通院を通して治療を行います。また、一人で断酒し続けるのは容易ではありません。「アルコール依存症からの回復」を共通の目標とする人たちがお互い支え合い、励ましあって断酒という目標に向かっていく「AA(Alcohoilcs Anonymous アルコホーリクス アノニマス)」や「断酒会」などの自助グループへの参加が役立ちます。
回復はこれで完了ということではなく、継続するプロセスです。
アルコール依存症は、性別、年齢、職業や社会的立場、学歴などに関係なく、飲酒者であれば誰でもなる可能性がある病気です。
アルコール依存症と言えば、「中年男性の病気」という印象を持っている人が多いと思いますが、最近では女性、若者、高齢者など、依存症者の層が広がっています。それぞれの特徴には次のようなものがあります。
アルコール依存症患者は「自分は他人と比べるとそんなに飲んでいない」「まだ、手がふるえないから大丈夫」と言いながら、現実に起こっている問題を認めようとしないことが多くあります。
このような自分にとって好ましくない事実を認めないようにする心の働きを「否認」と言います。
このように、アルコール依存症患者は自分の病気に気づいていても、自ら相談や病院に行くことはまれなことです。しかし、周囲の人が病気に気づき、アルコール依存症という病気を正しく理解した上で本人に関わることは、本人が病気に向き合う上で効果があります。
アルコールによる問題は、飲酒者自身が苦しむだけでなく、家族や職場など周囲の人も巻き込んで発展していきます。お酒の問題を抱える家族の多くは、問題解決のために色々な工夫をしていることがよくあります。
しかし、ちょっと待ってください。
実は本人を助けようというあなたの対応が、本人の飲酒を助長していることがあるのです。
たとえば・・・
本人の飲酒を際限なく支えてしまうこのような行動を「イネイブリング(Enabiling)といい、イネイブリングを行う人を「イネイブラー(Enabler)といいます。このように、家族が飲酒のために起こった不都合なことを後始末すると、飲酒をしている本人は問題に直面せずに済んでしまいます。周囲の人がイネイブリングをやめることで、アルコール依存症患者が自分の問題に向き合うことができます。
お酒を飲まないように家族が努力しても、お酒を止めようとするどころか余計ひどくなった、ということはありませんか。そして家族であるあなたがそのことでイライラしたり、落ち込んだり、悩んだり、自分自身をせめていませんか。正しい知識と正しい対応を学んで、家族ができることを考えてみることが大切です。そのためには問題を抱え込まず、関係機関などへ相談してみましょう。
本人が医療機関につながって治療を受けることは非常に大切ですが、自ら進んで受診したり、家族の説得に応じる場合ばかりではありません。本人に限らず、どなたでも飲酒について問題を感じた方が、まずご相談ください。それが回復の第一歩です。
担当課 | 電話番号 |
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青葉区障害高齢課 | 022-225-7211(代表) |
宮城総合支所保健福祉課 | 022-392-2111(代表) |
宮城野区障害高齢課 | 022-291-2111(代表) |
若林区障害高齢課 | 022-282-1111(代表) |
太白区障害高齢課 | 022-247-1111(代表) |
秋保総合支所保健福祉課 | 022-399-2111(代表) |
泉区障害高齢課 | 022-372-3111(代表) |
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薬物(違法合法問わず)アルコールの使用に関する悩みを抱えている方を対象に、テキストを使った回復支援集団プログラム(Drug&Alcohol Team Empowerment approach Program→だてプロ)を行っています。これまでの生活習慣を見直し、同じような悩みを抱えた仲間と一緒に薬物やアルコールを使わない方法を考えながら、回復を目指すリハビリテーションです。
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