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更新日:2022年10月7日
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厚生労働省患者調査によると、経済不況や高齢化、情報化・社会構造の複雑化など様々なストレスの増加等を背景としてこころの病気に悩む人は年々増加しています。
また、自死の9割以上が何らかの精神疾患にかかっていると推定され、とくに中高年の自死では「うつ病」が背景に存在していることが多いと言われています。
こうしたことから、現代社会においては「うつ病」が大きな健康問題の1つとなっています。
以下に、うつ病の基本的な知識について解説しました。ぜひご覧いただき、理解を深めてください。
「うつ病」は多くの人がかかる代表的な精神疾患で、WHOの国際疾病分類(ICD-10)によると「気分障害」の一つに分類されています。
うつ状態になる気分障害は、以下のように二つに分けられます。
※「うつ状態」とは、活動が低下し、気分が沈むなど、心身のエネルギーが低下した状態。精神的には意欲や関心がなくなり、疲れがとれず、考え方が後ろ向きになり、身体的には、頭痛、肩こり、動悸、食欲の低下、不眠などのさまざまな症状が現れる。
※「躁状態」とは、気分や意欲が高まり、過活動になっている状態。おしゃべりでよく動き、機嫌がよかったり、怒りっぽくなったりする。
うつ病は、気分がひどく落ち込んだり、何事にも興味を持てなくなったり、食欲減退、全身のだるさなど心や身体に様々な形で現れ、日常の生活に支障が出るまでになった病気です。
また、うつ病は、子どもから高齢者まで幅広い年齢層で発病する可能性がありますが、わが国では、中年期に一つのピークがあります。
各年齢層や性別によるうつ病の特徴は、以下の通りです。
うつ病は一生の間に約15人に1人という割合で発病すると言われるほど、多くの方が経験する病気です。 しかし、症状で悩んでいても病気であると気づかなかったり、医療機関の受診に抵抗があったりして、うつ病にかかっている人の4分の1程度しか治療を受けていません。
うつ病は特別な病気ではなく、誰でもかかる可能性がある病気です。
また、きちんと治療することで回復できるので、早めの相談・治療と休養が必要です。
うつ病で見られる基本的な症状には、以下のようなものがあります。
気持ちの変化だけではなく、身体の症状を引き起こすこともあります。このため、最初は内科などを受診する場合も多いです。
また、うつ病の症状は、朝に状態が悪く、午後から夜にかけて徐々に改善するという日内変動が見られることがあります。
人は以下のような、色々な出来事をきっかけに、「気持ちが晴れない」、「気持ちが落ち込む」、「ゆううつだ」などという「うつ状態」になる可能性があります。
ただし「うつ状態」がすべて「うつ病」というわけではなく、その多くは時間の経過やストレスの軽減などで回復します。
現在のところ、上にあげたような色々な出来事によるストレスが重なることによって、うつ病が発病すると考えられています。
うつ病になった人の性格を調べたところ、几帳面で、真面目で、完璧主義の方が多いといわれてます。
具体的には
という性格の方が多く、どちらかというと、困難をがんばって乗り越えようとする方が多いようです。
そのため、うつ病を発病し、作業の能率や集中力が落ちると、それを挽回しようとして焦ってさらにがんばろうとするため、悪循環を生み、「うつ状態」をさらに強めてしまうことになります。
几帳面で、真面目で、完璧主義の方は、何事も徹底的にこなすことをめざすのではなく、いい意味で「手抜き」をすることも、時には必要でしょう。
一方、青年期など比較的若い年齢で発症するタイプのうつ病の方には、上記のような性格傾向が認められない場合もみられます。
この場合、ものごとに対して回避的であったり、他罰的であったり、あるいは自己愛的な傾向も見受けられます。
いずれにしても、このような性格傾向の方すべてがうつ病になるわけではありません。
まず、こころと身体をゆっくり休めることが必要です。回復するまでには、ある程度の時間がかかります。
うつ病の症状でもある心配事から離れ、ゆっくりと休むことが大切です
自分では休養する環境が作れない場合には、医師に相談したり、家族や職場に協力を求めましょう。それでも休養する環境が作れない場合や、症状が重い場合には、入院するという選択肢もあります。
治療は、医師やカウンセラーとの対話を通して進めていきます。
うつ病では、むやみに励ますのではなく、患者さんの気持ちによりそいながら支えていく精神療法が中心です。
また、うつ病になると、何でも悲観的に考えるようになったり、ただ一つの見方や解決法にとらわれてしまいがちです。このようなうつ病に特徴的なものの考え方を、より現実的で柔軟な考え方に修正していくような認知行動療法も、有効であると言われています。
うつ病の薬物療法は、抗うつ薬が中心です。
抗うつ薬の服用で、多くの場合は症状が改善します。
うつ病は、脳内の神経伝達物質のバランスの乱れが原因となって症状が現れると考えられています。
抗うつ薬は、これらの神経伝達物質(特にセロトニン、ノルアドレナリンなど)のバランスを調整し、情報伝達をスムーズにすることで、うつ病の症状を改善します。
抗うつ薬にはたくさんの種類がありますが、従来から使用されている三環系・四環系抗うつ薬といわれるものの他に、副作用の比較的少ないSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)・SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)・NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)という新しいタイプの抗うつ薬が登場し、よく使われるようになっています。
抗うつ薬は、その効果が現われるまでに、通常1週間~4週間かかります。
薬を飲み始めてすぐに効果が現れないからといって、薬をやめないようにしましょう。
抗うつ薬は、十分な量をきちんと服用することが大切ですので、わからないことや心配なことがあったら、医師とよく相談するようにしてください。
うつ病は再発しやすい病気ですので、症状が良くなってもしばらくの間は薬の服用を続ける必要があります。
医師の指示のある間は薬の服用を続けてください。
薬について疑問があるときは、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
どんな薬にも副作用があります。抗うつ薬には、眠気、吐き気、口の渇き、立ちくらみ、便秘などの副作用が見られる場合があります。
心配な時は、遠慮せずに医師に相談しましょう。
うつ病は、突然重い症状が現われるというものではありません。本格的な症状が出る前段階として、心身に様々な変調があります。
ですから、変調に気づいたら、早めに精神科を受診しましょう。早期発見・早期治療により、病気が重くなったり長びいたりするのを防ぐことができます。
うつ病を発症してから、治療を始めるまでの時期は、絶望感、閉塞感、焦燥感などから、「不安・イライラ・ゆううつ」を強く感じるとても苦しい時です。
専門医に相談をし、こころの休息だけでなく、身体もゆっくりと休める必要があります。
回復期に入ると、悲観的な気分はまだ強いのに、行動力の方は少し回復してくるために、かえって自死を引き起こしやすいと言われています。
主治医と相談しながら、本人も周りも焦らずに、少しずつ活動の範囲を広げていきましょう。回復には波がありますが、必ず良くなります。良くなったり、少し後戻りしたりを繰り返して回復していくのです。ゆっくりと焦らずにペースを取り戻していくことが大切です。
うつ病は、単なる気分の落ち込みとは違って、本人の努力だけではどうにもならない病気です。
心身ともに十分に休養し、本来の機能を取り戻すことが大切です。
まずは、本人も家族も、周りの人も、うつ病についてよく知り、正しい知識を持ちましょう。
本人の気力だけでは治らないことを理解し、治療を勧めることが必要です。
うつ病の人に対して、「気の持ちよう」とか、「根性が足りない」という接し方をする人が多く見受けられます。
しかし、気力や周囲の励ましでは、うつ病は治りません。
本人が「できない」、「もうダメだ」と悲観的になって自分を責めたり、「早くどうにかしなければ」と焦り、かえって病状が悪化してしまいます。「がんばりたくてもがんばれない」というのがうつ病になった人の苦しみです。
そのため、「がんばって」という励ましの言葉は、余計に本人を追いつめます。
本人のつらさや焦りなどを理解しながら、あたたかく見守ることが大切です。
うつ病にかかると冷静な判断能力が極端に低下します。たとえば「仕事を辞めようか」、「離婚しようか」というような大きな決断を、うつ病の症状である悲観的な考えのままでしてしまうことがあります。
また、周りから決断を迫ることも、本人を追い込むことになります。
重要な決定は、先送りにすることも時には必要です。
うつ病は「こころの風邪」という表現で広まり、身近な軽い病気のイメージが定着してきていますが、けっしてそういった軽い病気ではありません。
誰もがかかりうる病気という点では風邪と同じですが、うつ病は風邪のように短期間で治る病気ではなく、適切で積極的な治療が必要な病気であります。
「死にたい」という言葉が出たら、冗談のように言ったことでも、笑顔で言ったことでも、決して軽く考えずに受診・相談を勧めてください。
絶対自死をしない約束を本人と交わすことも、自死の大きな歯止めとなります。
回復してくると、本人も周囲も安心しがちですが、油断は禁物です。
自死は、何もやる気が起こらない症状の時期に比べ、少し行動的になる回復期に多くみられます。
早く元に戻ろうと焦ったり、つい無理をしてしまう結果、症状が悪化したり、自死を引き起こしたりします。
あくまでも、じっくり、ゆっくり療養することを心がけましょう。
また、周囲も主治医と連絡を取り合って、本人を注意深く見守ることが必要です。
時には、入院して治療をした方が安全な場合もあります。
うつ病は一進一退を繰り返して回復していきます。
回復してくると、自己判断で薬の服用をやめてしまうことがあります。これは、病気が治るのを遅らせてしまうことになりかねません。また、回復後も、再発予防のために、一定期間は薬を飲み続ける必要があります。
薬の服用を続けるようなサポートが必要ですので、医師とよく相談することをお勧めいたします。
不眠や苦悩をまぎらわすためにお酒を飲むのは、うつ状態を悪化させたり、薬との相互作用から予期せぬ副作用が出たり、アルコール依存症になりやすくなるので禁物です。
知らず知らずのうちに、酒量が増えている場合、断酒するだけでうつ状態が快方に向かうこともあります。
主治医とよく相談し、無理のない範囲で、活動の時間や、仕事の量・質を少しずつもとに戻していきます。この間にも病状の波があるので、本人、家族、職場も十分な配慮が必要です。
職場では、産業医や、職場内のサポートを活用することも一つの方法ですが、多くの職場では、そのような体制が確立されていないのが現状です。ただ、そのような場合でも、精神科デイケアや就労移行支援事業所で行われているリワークプログラムが利用可能です。また、公的な機関としては、労災病院の勤労者向けメンタルヘルスサービス窓口や、各都道府県にある産業保健総合支援センターなどがあります。悩み事やこころの病気は、上司などに直接話しにくいと思う人も多いので、職場でも気軽に相談できる第三者の相談窓口を用意することが必要です。
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