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更新日:2023年7月31日

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園長ブログ 八木山動物公園の「日本一」〈アフリカゾウ「ベン」編〉(7月31日)

八木山動物公園の「日本一」(アフリカゾウ「ベン」編)

「メアリー」に続いて紹介する当園の「日本一」は、同じくアフリカゾウの「ベン」です。

ベン
青草でコーディネートして、炎天下でも涼し気(?)な「ベン」。
ちなみに、この牙の長さは152cmもあり、小学6年生の女児の平均身長とほぼ同じです。

「ベン」は、現在飼育されているなかで日本一大きなアフリカゾウです。

「ベン」は平成元年(1989年)の生まれと推定されていて、メスの「リリー」(現在は秋田市大森山動物園にお出かけ中)と一緒に、南アフリカのクルーガー国立公園から平成2年(1990年)8月9日に来園しました。
平成2年は、東西ドイツの統一や湾岸危機、日本人初の宇宙飛行、「スーパー・ファミコン」の発売、第1回大学入試センター試験などがあった年です。
先輩の「メアリー」には及ばないものの、当園での暮らしは30年を超えています。
今の大きさからは想像もつきませんが、日本には飛行機に乗ってやってきました。
当時の体高(背丈)は140センチメートルくらいだったのです。

ゾウは、成獣になるまでは1日に1キログラム体重が増えると言われているのですが、「ベン」もそのとおりすくすくと成長し、今では体高が約3.2メートル、体重は約7トンに達しています。
「メアリー」もメスとしては大柄ですが、「ベン」の体重は「メアリー」の1.7倍ほどもあり、「ベン」と同居している「花子」と比べるとほぼ2倍です。
大きな人代表の力士と比べてみると、横綱照ノ富士関(174キログラム)だと約40人分、大相撲で歴代最高重量(285キログラム)を誇る元大関の小錦関でも約25人分と、驚きの結果に。

手前はベンのパートナーの花子
手前は「ベン」のパートナーの「花子」。
かなり大きさが違うため親子と勘違いされることもありますが、「花子」も立派な大人です。

アフリカゾウはオスの方が大きくなりますが、日本にいるアフリカゾウのオスの中では、体高・体重とも「ベン」が最大です。
アフリカゾウは陸上で暮らす動物の中で最大とされていますので、日本にいるアフリカゾウの中で最も大きな「ベン」は、いま日本の陸上で暮らしている動物のなかで最大ということにもなります。

この「ベン」の足型をアフリカ売店のレジの横に展示しておりますので、ぜひその大きさを実感してみてください。

巨体を誇る「ベン」ですが、性格はいたって温厚。
以前このブログでご紹介した「ハズバンダリートレーニング」でも、飼育員の指示にしっかり応えてくれます。
いま、アフリカゾウの繁殖のため、全国の動物園が連携して人工授精を試みようとしているのですが、採精するには、ゾウに一定時間静止してもらい、飼育員が刺激をする必要があります。
現時点では、国内でこうした作業に応じてくれるのは「ベン」だけです。

ハズバンダリートレーニング中のベン

ハズバンダリートレーニング中のベン
ハズバンダリートレーニング中の「ベン」。
さすが日本最大の陸生生物、立ってもしゃがんでもこの大きさ!

採精するには、肛門から腕を差し入れて前立腺を刺激します
採精するには、肛門から腕を差し入れて前立腺を刺激します。
「ベン」がいつも協力的なのは、その温厚な性格と、長年にわたり培われた飼育員との信頼関係の賜物です。

「ベン」といえば、長い片牙が印象的です。
「ベン」は、平成14年に、誤ってぶつけて両牙を折ってしまいました。
ゾウの牙は一生伸び続けるので、右側は今のような立派な牙に戻ったのですが、左側は、根元にある牙の成長のもとになる部分が傷ついてしまったようで伸びてこず、今の姿となったのでした。

今年で推定34歳となった「ベン」は、現在日本で暮らしているアフリカゾウのオスの中では最高齢で、日本記録の推定38歳に迫りつつあります。
アフリカゾウは、哺乳類では珍しく、生きている間は成長し続ける生き物なので、しっかり食事を管理してあげないと大きく重くなり続け、健康上のリスクが増してしまいます。
今でも元気いっぱいの「ベン」ですが、これからもたくさんの方にその雄姿を観てもらえるよう、適正体重の維持などの健康管理を続けてまいります。

えさを食べているベン
草の束を鼻の裏側に打ち付けて、自分好みに整えてから食べるのが「ベン」流。
その巨体を維持するため、アフリカゾウは起きている時間の大部分を食事に費やします。
「ベン」は当園で一番の大食漢で、いまの時期には一日にこれだけのえさを食べます

青草100kg、乾草35kg、ヘイキューブ13kg+塩400g、稲わら5kg 
大型草食動物用ペレット5kg、ニンジン5kg、リンゴ3kg、バナナ2kg

たくさん食べるアフリカゾウは、たくさんの糞をします。
当園のアフリカゾウの糞の一部は、「ゾウ糞エコサイクル授業」(ゾウの糞から作った堆肥で野菜を育て、収穫した野菜をゾウにあげる、小学校高学年以上を対象としたプログラム)で活用しています。

 

お弁当をもっている花子
おまけ。
お弁当を持ってお出かけする「花子」

 

お問い合わせ

仙台市建設局 八木山動物公園 管理課
電話:022-229-0122
ファクス:022-229-3159