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ホーム > ブログ・SNS > 八木山動物公園スタッフブログ「八木山ZOO通信」 > スタッフブログ2025 > クロサイの引っ越し(2025年9月1日)
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更新日:2025年9月1日
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八木山動物公園スタッフブログ「八木ZOO通信」
当園で進めている再整備計画のエリアⅠに新たに総合獣舎を建設することになっています。
そのため、一時的に仮の獣舎に移動する動物たちがいるのですが、その中の一つがサイです。
7月下旬に仮サイ舎が完成し、通路 → 仮パドック → 仮寝室へと、サイの移動を無事に終えることができました。
今回は、その移動に至るまでの打ち合わせやならし方、そして決行までの様子をご紹介します。
最初に行ったのは、個体の移動順、ならしの方法、移動日程の打ち合わせです。
当園のサイは、オスの「アース」とメスの「ユキ」。
「アース」は人になれやすく好奇心旺盛な性格ですが、「ユキ」は人や物になれるまで神経質な面があり、警戒心を和らげるためのケアが必要でした。
そこで、まずは好奇心の強い「アース」に新しい施設を自由に移動してもらい、自分のにおいをつけてもらいました。
その後、「アース」のにおいを頼りに「ユキ」に移動してもらう作戦を立てました。
ならしの期間は8月6日から。
最初の3日間は「アース」、「ユキ」は8月9日からスタートしました。
この時期を選んだのは、ちょうど再整備工事のお盆休みで作業音が止まり、静かな環境で集中できるからです。
「ユキ」の警戒心を少しでも和らげるために、声をかけたり好物のおやつを使ったりしながら進めていきました。
そして、迎えた8月6日、いよいよ移動本番の日となりました。
仮パドックに入る「アース」(2025年8月6日)
仮寝室に入る「アース」(2025年8月6日)
私たちの予想通り、初日から「アース」は新しい施設に興味津々。
尻尾が少し立っているのは警戒のサインですが、あちこちのにおいを嗅ぎながら、新しい通路、仮パドック、そして仮寝室まで移動してくれました。
しかし今回の作戦の要は、警戒心の強い「ユキ」をどうならし、落ち着いて移動させるかという点でした。
「ユキ」が移動すれば、「アース」は必ずそのにおいを追って移動すると予測していたからです。
そのため、「アース」には3日間のならし期間を順調に過ごしてもらった後、いったん元の獣舎に戻ってもらうことにしました。
そして8月9日、「ユキ」のならし初日です。
通路入口で警戒する「ユキ」(2025年8月9日)
仮パドックに入る「ユキ」(2025年8月10日)
やはり「ユキ」は警戒心が強く、新しい通路には顔を入れてのぞく程度で、様子をうかがっていました。
ユキ自身の糞や、「アース」が角研ぎをした痕跡など、安心できる材料を置いてはいたのですが、興奮してなかなか落ち着きません。
そこで何度か好物を与えたり、名前を呼んだりしてみましたが、通路の半分まで来ることもなく、1日目は終わりました。
2日目(8月10日)になると、今日も新しい施設に行くことを察したのか、外に出る前から少し興奮気味の様子でした。
その影響もあってか、外に出るとその勢いのまま通路を通って仮パドックまで歩いていき、すぐに戻ってしまうという、予想していなかった行動が見られました。
その後は前日と同じように通路をのぞく行動を繰り返し、呼びかければ通路に体を少し入れる程度でした。
3日目(8月11日)になると、これまでよりも通路に入る回数が増え、少しずつ進展が見られました。
ただし、まだ体が入る程度で、通路の半分までは到達できませんでした。
それでも、通路の左右や奥の方など、においを嗅ぐ場所や回数が増えてきたため、この日は午後からも引き続きならしを行うことにしました。
4日目(8月12日)。前日までの反省を踏まえ、「ユキ」を落ち着かせるために、これまでのパドックを少し狭くして放飼しました。
いつもの場所が狭くなったこと、そして少しずつなれてきたこともあり、通路に入る機会が増えてきました。
開始から50分ほど経過した頃、さらに名前を呼んで誘導してみることにしました。
すると、それまでの警戒が薄れたのか、呼び声や好物に反応して通路を進み、ついに仮パドックに入ってくれたのです。
「ユキ」が落ち着いたところで、扉を閉めました。
この時は、一人が「ユキ」を呼び、もう一人が合図を見てタイミングよく扉を閉める、という連携プレーでした。
今回のサイの移動で、まさに最も重要な場面だったと言っても過言ではありません。
二人の連携で扉を閉める
扉を閉めても落ち着いた様子の「ユキ」
仮パドックの扉を閉めた後、「ユキ」は、10分程度で仮寝室へも入りました。
寝室内では少し警戒していましたが、5分後に手渡しのリンゴを食べ、更に5分後に部屋の中に置いた餌のカシ、乾草を採食しました。
その後は常に落ち着いた状態で過ごしており、私たちも一安心。
そのまま仮寝室で落ち着いて過ごしてもらいました。
午後からは、「アース」を屋外展示場からいったん元の寝室に収容し、隣の部屋に「ユキ」がいないことを認識させた上で、「ユキ」のいる仮サイ舎へ移動させるために再び放飼しました。
すると放飼直後に「アース」は通路や仮パドックをゆっくりと進んでいったので、「ユキ」のときと同じように、二人で連携して仮パドックの扉を閉めました。
閉めた直後に少し怒った様子の「アース」でしたが、「ユキ」のにおいをたどって来たのに会えず、扉を閉められたことが気に入らなかったのかもしれません。
少しして落ち着いた後、仮パドックから仮寝室へ移動し、10分後には餌を採食しました。
しかし、隣にいる「ユキ」が気になって仕方がない様子で、終始落ち着きがありませんでした。
仮パドックに入る「アース」
「ユキ」を探している「アース」
今回、サイの仮獣舎への移動を無事に終えることができました。
移動までには多くの打ち合わせを重ね、日頃から動物を観察し、それぞれの個体の性格を理解した上で万全の準備を行いました。
また、担当班だけでなく、多くの職員が協力して移動に取り組んだ結果でもあります。
移動は無事に終わりましたが、これからはサイたちの仮獣舎での生活が始まります。
これまで以上に気を引き締めて飼育管理に努めていきたいと思います。
お問い合わせ
仙台市建設局 八木山動物公園 飼育展示課
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