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更新日:2026年2月6日
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令和6年5月17日、民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)が成立しました(同月24日公布)。
この法律は、父母の離婚等に直面する子の利益を確保するため、子の養育に関する父母の責務を明確化するとともに、親権・監護、養育費、親子交流、養子縁組、財産分与等に関する民法等の規定を見直すものです。
この法律は、令和8年4月1日に施行されます(令和7年10月31日閣議決定)。
民法改正のポイントは以下のとおりです。
父母が親権や婚姻関係の有無に関わらず、こどもを養育する責務を負うことなどが明確化されました。
父母がこどもを養育する際には、こどもの意見に耳を傾け、その意見を適切な形で尊重することを含め、こどもの人格を尊重しなければなりません。
ただし、「こどもの人格を尊重する」ということは、父母がこどもの養育に当たって、常にこどもの意向に沿う行為をすることではありません。こどもが自らの利益に反することが明らかなことをしようとするときには、その意向に反してでも制止する義務を負うこともあります。
父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを扶養する責務を負います。この扶養の程度は、こどもが親と同程度の水準の生活を維持することができるようなもの(生活保持義務)でなければなりません。
父母は、こどもの利益のため、互いに人格を尊重し協力しなければなりませんが、次のような行為は、この義務に違反する場合があります。
※父母の一方が上記に違反した場合には、親権者の指定又は変更の審判、親権喪失や親権停止の審判等において、その違反の内容が考慮される可能性があります。
しかし、DVや虐待から避難するために必要な場合などは、上記の義務に違反するものではありません。
親権は、こどもの利益のために行使しなければなりません。
これまでの民法では、離婚後は、父母の一方のみを親権者として定めなければなりませんでした。
今回の改正により、離婚後は、共同親権の定めをすることも、単独親権の定めをすることもできるようになります。
【協議離婚の場合】
父母はその協議によって、親権者を父母双方とするか、一方とするかを定めます。
【父母の協議が調わない場合や裁判離婚の場合】
家庭裁判所が、父母とこどもの関係や、父と母との関係などの様々な事情を考慮したうえで、こどもの利益の観点から、親権者を父母双方とするか、一方とするかを定めます。
次のような場合には、家庭裁判所は必ず単独親権の定めとすることとされています。
※これら以外の場合でも、共同親権と定めることでこどもの利益を害すると認められるときは、裁判所は必ず単独親権の定めをすることとされています。
また、離婚後の親権者については、こどもの利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所が、こども自身やその親族の請求により、親権者の変更をすることができます。
離婚前の父母間に一方的な暴力等があり、対等な立場での合意形成が困難であったケースでは、こどもにとって不利益となるおそれがあるため、この手続きによって親権者の定めを是正することができます。
父母双方が親権者である場合の親権の行使方法のルールが明確化されました。
1.親権は、父母が共同して行います。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他方が行います。
2.次のような場合は、親権の単独行使ができます。
| 日常の行為にあたる例(単独行使可) | 食事や服装の決定 短時間の観光目的での旅行 心身に重大な影響を与えない医療行為の決定 など |
|---|---|
| 日常の行為にあたらない例(共同行使) | こどもの転居 進路に影響する進学先の決定 心身に重大な影響を与える医療行為の決定 など |
・DVや虐待からの避難をする必要がある場合(被害直後に限りません)
・こどもに緊急の医療行為を受けさせる必要がある場合
・入学試験の結果発表後に入学手続の期限が迫っているような場合 など
3.急迫の事情があるとはいえない場面における、こどもの転居や財産管理などの特定の事項について、父母の意見が対立するときは、家庭裁判所の手続きで当該事項に係る親権行使者を定めることができます。
父母が離婚をするときは、こどもの監護の分担についての定めをすることができます。定めをするにあたっては、こどもの利益を最も優先して考慮しなければなりません。
離婚後の父母双方を親権者とした場合であっても、その一方を「監護者」として定めることで、こどもの監護をその一方に委ねることができます。この場合、監護者は日常の行為に限らず、こどもの監護教育や居所・職業の決定を単独ですることができます。
監護者でない親権者は、監護者がこどもの監護等をすることを妨害してはなりませんが、監護者による監護等を妨害しない範囲であれば、親子交流の機会などに、こどもの監護をすることができます。
これまでは、同居親と別居親の間で養育費の支払を取り決めていたとしても、別居親が養育費の支払を怠ったときに別居親の財産を差し押さえるためには、公正証書や調停調書等の「債務名義」が必要でした。
しかし、今回の改正により、養育費債権に「先取特権」と呼ばれる優先権が付与されるため、債務名義がなくても、養育費の取り決めの際に父母間で作成した文書に基づいて、差し押さえの手続きを申し立てできるようになります。
※改正法施行前に養育費の取り決めがされていた場合には、改正法施行後に生ずる養育費に限って、この改正が適用されます。
※養育費債権のうち、先取特権が付与される額は、月額8万円に子の数を乗じて得た額となります。
これまでは、父母の協議や家庭裁判所の手続きにより養育費の額を取り決めなければ、養育費の請求が出来ませんでした。
しかし、今回の改正により、離婚のときに養育費の取り決めをしていなくとも、離婚のときから引き続きこどもの監護を主として行う父母は、他方に対して、一定額の「法定養育費」を請求できるようになります。
法定養育費が支払われない場合は、差し押さえの手続きを申し立てることができるようになります。
※法定教育費の額は、月額2万円に子の数を乗じて得た額となります。
ただし、法定養育費は、あくまでも養育費の取り決めをするまでの暫定的・補充的なものですので、こどもの健やかな成長を支えるためには、父母の協議や家庭裁判所の手続きにより、適正な額の養育費の取り決めをすることが大切です。
養育費に関する裁判手続では、各自の収入を基礎として養育費の額を算定することになります。
今回の改正では、手続をスムーズに進めるために、家庭裁判所が当事者に対して収入情報の開示を命じることができることとしています。
養育費を請求するための民事執行の手続においては、地方裁判所に対する1回の申し立てで、財産開示手続、情報提供命令、債権差押命令という一連の手続きを申請することができるようになります。
家庭裁判所の手続中に親子交流を試行的に行うこと(試行的実施)に関する制度が設けられます。
手続き中に親子交流を試行的に実施し、その状況や結果を把握したうえで、家庭裁判所が調停や審判において、こどもの利益を最優先に考慮して親子交流の定めをします。
婚姻中別居の場合の親子交流に関しては、これまで規定がありませんでしたが、以下のルールが明記されました。
1.婚姻中別居の場合の親子交流については、父母の協議により定める。
2.協議が成立しない場合には、家庭裁判所の審判等により定める。
3.1,2にあたっては、こどもの利益を最優先に考慮する。
これまでは、父母以外の親族とこどもの交流に関する規定がありませんでしたが、改正法施行後には、こどもの利益のため特に必要があるときは、家庭裁判所は父母以外の親族とこどもとの交流を実施できるように定めることができるようになります。
この場合、こどもが父母以外の親族と交流するかどうかを決めるのは、原則として父母ですが、例えば、父母の一方が死亡したり行方不明になったりした場合など、ほかに適当な方法がないときは、祖父母、兄弟姉妹、他過去にこどもを監護していた親族が自ら家庭裁判所に申し立てをすることできるようになります。
その他にも、改正法では、財産分与や養子縁組に関するルールの見直しがされています。
詳しくは、法務省ホームページをご確認ください。
法務省ホームページ関連リンク
こども家庭庁や裁判所のホームページでも、民法等改正についての情報が掲載されています。
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