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更新日:2023年10月4日
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平成20年度「仙台市博物館調査研究報告」第29号には、以下の論文等を掲載しました。
内山 淳一
谷文晁(一七六三~一八四〇)は、自他共に認める旅好き、風景好きであった。この趣味を反映した文晁自身の作品については、従来多くの展覧会や論考を通じて紹介されてきている。また、当時「山水癖」などと称されたこの種の自然風景への偏愛ぶりについても近年様々に論じられ、時代の潮流として捉え得るほどの広がりを持っていたことが知られてきている。
小論は、東北大学附属図書館が所蔵する二つの資料を紹介し、文晁周辺の風景愛好癖の実態を確認するための、新たな素材の提供を試みたものである。同館には「谷文晁奥羽游歴写生模本」の名称で登録される二巻本があるが、調査の過程で、この模本の原図が実は文晁のものではなく、その傍らで活躍していた実弟の元旦(一七七八~一八四〇)が、寛政一一年(一七九九)に蝦夷地取締御用掛・松平信濃守忠明らの蝦夷地警備に随行した際の作品であることが判明した。巻中、高低を問わず目にした多くの山岳を描写している点が注目される。また、かねて文晁の文化四年(一八〇七)時の旅日記と考えられてきた『ふところ日記』に登場する文晁門人・大野文泉の果たした風景写生の実際についても、記述からの復元を試みた。さらに、文晁が編んだ『名山図譜』(文化二年正月刊)成立とその改訂版への元旦・文泉双方の関与について言及するとともに、この文化四年時において松平定信専属の写生画家は文泉ら、文晁の門人たちへと世代交替が図られていたことも指摘した。
水野 沙織
仙台藩初代藩主伊達政宗の没後三百年を記念する祭典が、昭和10年(1935)5月20日~26日まで仙台市を中心に宮城県内各地で開催された。この三百年記念事業を主導した組織は、昭和8年11月26日に斎藤実を総裁として宮城県と仙台市が連合して結成した「伊達政宗公三百年祭協賛会」である。本報告はこの組織の結成から財団法人化するまでの経過と、その事業と目的について、当時の新聞や雑誌などからまとめたものである。
伊達政宗三百年祭の遺産としては、宮城県青年団によって建立された伊達政宗騎馬像(現在博物館庭にある胸像)が有名だが、協賛会の事業は『伊達政宗卿』の刊行や後継の「伊達政宗公顕彰会」による『伊達政宗卿伝記史料』の刊行などがあり、祭典のイベントよりも歴史編纂や瑞鳳殿などの保存・維持などの事業を主としていた。
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