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更新日:2026年4月23日

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園長ブログ 当園が取り組む「環境生態展示」について(2026年4月23日)

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当園が取り組む「環境生態展示」について

しばらく間が空いてしまいましたが、今月から園長ブログを再開します。
今年度もどうぞよろしくお願い申し上げます。

昨年度(令和7年度)は、当園が進めている施設長寿命化・再整備計画の一環として、は虫類館・ゴリラ舎、ガン生態園、サイ・カバ舎などの取壊しを行いました。今年(令和8年)の4月下旬から、いよいよ(仮称)総合獣舎の建設工事が始まります。
なお、工事の様子は、アフリカ園の南側通路や、アフリカゾウ展示場からアビシニアコロブス展示場に向かう通路の仮囲いに設けられた窓からご覧になれます。

これらの施設の取壊しに際しては、それぞれお別れイベントを開催しましたが、いずれもたくさんの方が足を運んでくださいました。
最後の思い出を作るお手伝いができたことをうれしく思います。
ゴリラ舎の屋外展示場には、様々な遊具がありました。
「ほかの動物に転用してはどうか。」とのご意見もありましたが、残念ながら、これからご紹介する、当園が目指す展示の方向性とはうまくマッチしません。
とはいえ、当園にゴリラがいた大切な証しですので、そうした歴史を後世に伝えるモニュメントとしての活用を考えております、遊具はいずれもかなり大きく重く、取回しが難しいものでしたので、一つだけ遺してあります。

ゴリラ舎にあった遊具
保管中の遊具
ゴリラの体重・体力に負けないように作られたためか、基礎も含めると想像以上の大きさ。現在は、は虫類館の定礎と共に、園内某所にて保管中。

この場所には、これから、(仮称)総合獣舎が建設されます。
以前のブログでもご紹介しましたが、この建物には、天候を気にせずにサイやカバを観られる屋内展示場や、マダガスカルの動物を、現地で暮らす方々の様子などと合わせて観ることができるマダガスカルゾーン、群れで暮らすチンパンジーの様子を屋内でも屋外でもじっくり観察できる「アフリカの森」が設けられます。

現在、当園のチンパンジーは、園の中央部にある、60年前の開園時に作られた建物で暮らしています。
ここは、清掃などの管理のしやすさを重視したと思われるコンクリート張りのつくりで、野生のチンパンジーが暮らすアフリカの森林の環境とは大きく異なっています。
「アフリカの森」では、屋外・屋内展示場の両方で、チンパンジーの野生での生息環境を再現する予定です。
展示場の面積を今よりも大幅に広げるとともに、土を入れて地面を作ります。
また、チンパンジーが樹上生活に適応した体のつくり・生態となっていることを考慮して、樹木や擬木をふんだんに取り入れます。
「アフリカの森」では、チンパンジーが、身体能力の高さを発揮したり、群れの中で様々なコミュニケーションをとったりして生き生きと暮らす様子を、間近に見ることができるようになるはずです。
きっと、チンパンジーの新たな魅力に気づくことでしょう。


他園のチンパンジーの屋外展示場を見ると、大きく分けて2つの展示方法が採用されています。
一つは、縦に長いジャングルジムのような、タワー型の施設を設けたものです。
これは、実際の生息環境とは異なりますが、樹上での暮らしと同様に、チンパンジーの身体能力や立体的な動きなど、その動物特有の能力や行動を引き出すことができるように工夫されています。
こうした展示方法は、「行動展示」といいます。
ほかの動物ですと、アザラシがチューブ状の水路を行き来する様子を観察できるようにしたものなどがこれに当たります。
もう一つは、当園の「アフリカの森」と同じく、チンパンジーが登る樹木を植えるなどして、実際の生息環境を再現した施設です。
これは、「環境生態展示」と呼ばれる展示方法です。
それぞれ優れた特徴を持つ展示方法ですが、当園では、平成11年(1999年)のアフリカ園のリニューアルの際に、初めて環境生態展示を採用しました。
その後行った猛獣舎のリニューアルでも、この手法を取り入れています。
当園の開園時に採用した展示方法は、「無柵放養式」というものです。
今は無きインドゾウ舎やゴリラ舎、完成当時のチンパンジー舎などが典型ですが、動物と人とを柵や檻で隔てるのではなく、展示場周りに堀を設けて動物の逸走を防ぐものです。
当時としては進んだ展示方法で、遮るものなく直接動物を観られることが当園の魅力のひとつとなっていました。
ただ、展示場自体は、人間にとって管理のしやすいコンクリート張りとしたり、当時の一般的な動物園と同様にできるだけ多くの動物を飼育することを目指したため、それぞれの動物たちのスペースがあまり広くなかったりしており、動物の生活の質の向上や、動物の魅力・能力を伝えるうえで、改善の余地があったのも事実です。

開園時のインドゾウ舎
動物と人が堀で分けられている様子がよくわかる、開園時のインドゾウ舎の様子。ただし、展示場内の環境は、インドゾウの本来の棲み処とはかなり異なっている模様。

 

旧アフリカ園
旧アフリカ園の様子。向かって右半分は細かく区分され、多くの種類の動物を飼育することを重視したつくり。なお、は虫類館・ゴリラ舎の場所は、まだ空き地のまま。

 

アニマルウェルフェア(動物福祉)にも配慮した新しい展示方法を導入して生まれ変わったアフリカ園と猛獣舎では、本来の生息環境に近い展示場で、のびのび・生き生きと暮らす動物の様子を見ることができるようになりました。
いまでは、当園屈指の人気スポットになっています。

令和8年3月のアフリカ園の航空写真
は虫類館などが姿を消した、令和8年3月のアフリカ園の様子。
昭和の時代と比べると、樹木が増え、一つ一つの展示場を水堀などで区切っていて、全体的に自然の風景に近くなっています。

 

当園を紹介するにあたり大活躍してきた画像
当園を紹介するにあたり大活躍してきた一枚。
環境生態展示を導入した現在のアフリカ園では、アフリカのサバンナにある池の周りに集まってきた動物たちを観察している気分を味わえるように。

 

猛獣舎のホッキョクグマ舎
プールで遊ぶホッキョクグマ
猛獣舎のうちホッキョクグマ舎は、野生のホッキョクグマの生息地として著名なカナダのハドソン湾の岩場を彷彿とさせるつくり。
当園のホッキョクグマ舎は、ひとつの通路を行き来することで、陸上での活動と水中での活動を途切れることなく観察できるつくりとなっているのが特徴。


今回のリニューアルでは、環境生態展示を導入する動物の種類を増やす予定です。
上述のチンパンジーのほか、ライオンやレッサーパンダ、ニホンザル、ツキノワグマなどの動物で、いままで以上に生き生きとした姿が観られるようになると思います。
すべての施設の完成までにはまだ時間がかかりますが、チンパンジーとライオンについては、それぞれ、令和10年度と令和11年度のお披露目を目指して工事を進めています。
どうぞご期待ください。

 

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