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更新日:2023年4月21日

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補助金活用事例集volume9-3:株式会社トラクシィ

 

事業者紹介

 トラクシィ

 
事業者

株式会社トラクシィ(外部サイトへリンク)

所在地:仙台市青葉区一番町2丁目2-11 TKビル5F

採択 事業再構築補助金 令和3年9月(第2回)
既存事業 飲食業
事業再構築の類型と内容

新分野展開

コロナ禍で打撃を受けた外食事業の売り上げをカバーするため、製造工場を設立し自社製品をECサイトで販売

 

活用事例集:焼肉百名店の味をそのままにEC販売で全国の食卓へ

 株式会社トラクシィさんは、仙台市内を中心にグループで計6店舗の焼肉店「仔虎」を経営しています。事業再構築補助金を活用して新たに挑戦する事業について、代表取締役社長の中村弘志さんにうかがいました。

事例集volume9(PDF:3,192KB)

 

インタビュー記事

トラクシィ中村さん

ー 今回新しい事業に取り組もうと考えたきっかけはなんですか?

 これまで店内飲食を主軸に経営してきたんですが、コロナ禍で来店するお客様が激減して本当に苦しい経営状況が続いたんです。先が見えない中で、このまま売り上げは元通りにならないかもしれないと考えるようになりました。家賃は変わらない、でも従業員の雇用を守らなければならない、とにかくなんとかしないと、と思ったのがきっかけで、打開策として考えたのがECサイトでの販売でした。

 

― EC販売に取り組むうえで、補助金を活用しようと考えた理由は何でしょうか?

 EC販売で全国に広く展開しようと考えたときに、現状の店舗の厨房だけでは安全面でも機能面でも対応しきれない部分がありますから、大きな製造工場が必要となります。ただ、どうしても設備投資に大きな金額が必要になるので、事業再構築補助金を活用したいと思いました。ハードルは高いだろうけど頑張ろうと思ったんです。

 

― 構想にちょうど補助金の制度が合致したということですね。補助金を活用したとしても、大きな工場を建てるなど多額の投資が必要になります。コロナ化で先が見えない中で、心配はありませんでしたか?

 心配もありましたが、EC販売にチャレンジしたいと考える理由が他にもありました。実は、コロナの影響で少し休業した時期がありましたが、営業再開後に従業員が何名か離職してしまったんです。離職の理由を聞いてみたら、土日に家族と一緒にいられる、夜6時くらいに家でご飯が食べられるといった生活を1か月してみて、飲食業じゃない職場で働こうと思ったみたいで。夜にも営業する飲食業だと、どうしても帰宅が夜12時くらいになったり、土日祝日など皆が休みの時に忙しくなったりする商売ですから。工場を作ってEC販売で売り上げを立てられれば、従業員のワークライフバランスの向上につながるという面でも、チャレンジしてみようと思いました。

― 新事業展開には、従業員が働きやすい職場環境を整えるという目的もあるんですね。

 そうですね。これまでも独自に働き方改革を進めてきたんですが、離職する従業員の話を聞いて「働きやすさ」と「働き甲斐」の両方を伸ばしていかないといけないなと実感しました。働き甲斐ばかりを気にして、売り上げを上げれば従業員の給料を上げられる、とだけ考えるのはよくない。特に、うちは従業員の離職率が低いので、平均年齢が年々高くなってきているんです。だから、従業員が元気に働きやすい環境づくりが大事だな、と。飲食店と違って、工場だったら例えば平日9時から17時までの規則的な勤務時間にできるかもしれないな、ということで工場を持つ判断をしました。

トラクシィインタビュー

 

― 会社経営において、従業員を非常に大切にされていますが、何かきっかけがあるのでしょうか?

 私はもともと山形県で、両親と一緒に焼肉店「虎ノ門」をやっていました。父から「仙台で勝負してみなさい」と言われて、姉と一緒に焼肉店を始めるにあたって、「虎ノ門」の子供たちが仙台でがんばる、ということで「仔虎」という名前を付けました。もともと家族経営からスタートしているので、従業員が増えても家族みたいな企業だったんです。

 うちの経営理念は「愛」なんですが、これはお客様だけでなく、従業員に対しても当てはまります。だから、従業員を経営の歯車の一部と考えるのではなく、やりがいをもって働ける職場を作るようにしています。そうすれば、従業員がお客様に丁寧に接してくれるだろうし、そうしてリピーターが増えて利益が上がれば、会社から従業員みんなに利益を還元できます。従業員の誕生日には本人へのプレゼントだけでなく、同時に親御さんへ手紙を発送したり、働くママには母の日プレゼントを用意したりと、独自の福利厚生制度もその一部です。

  • 毎年恒例の契約農家での田植え

トラクシィ田植え

 

― 日頃から従業員のために考えていることから、新しい事業の構想につながったように感じます。この新しい事業を補助金を活用して始めるにあたり、事業計画書の作成で苦労されたことはありますか?

 事業計画書は、認定支援機関の七十七銀行さんと、補助金関係に詳しいコンサルタントの方と一緒に作成しました。当初は、支援機関から計画書作成に関する直接的なお手伝いをいただけると思っていたんですが、全然そんなことなくて(笑)

 「社長、この点はどうお考えですか?」ってたくさん聞かれて、自分で考えながら計画に落とし込んでいかなくてはならないことが多くて大変でした。 

※認定支援機関(正式名称:認定経営革新等支援機関)とは
中小企業・小規模事業者が安心して経営相談等が受けられるよう、専門知識や実務経験が一定レベル以上にある者として国の認定を受けた支援機関のことです。
具体的には、商工会議所や商工会などの中小企業支援者のほか、中小企業診断士、税理士、公認会計士、弁護士、金融機関等が認定支援機関として認定されています。
事業再構築補助金では、「事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む」ことが、必須申請要件となっています。

 

― 実際やってみてどうでしたか?

 終わってみると、支援してくださった方々に対して本当にありがとうございます、という思いでした(笑)

書類作成から申請まで半年くらいかけましたが、支援機関とのやり取りを重ねながら計画書を作成していく過程で、自分の頭の中も整理できました。そうした検討を十分に行わず、最初に思い付いた事業計画のままで万が一申請が通っていたらと考えると、逆に怖いです。


― 自分の中におぼろげにあった考えが、事業計画書の作成やその過程での支援機関からのアドバイスを通じてより具体的になったんですね。プランを具体化するうえ、特に意識したことなどはありますか?

 やっぱり、どんな商品を作りお客様にアピールしていくか、という部分ですね。肉に関しては、各地にブランド牛がありますから、後発組としてどこで違いを見せるか、みんなで考えました。食べるときに取り扱いしやすいよう、1枚1枚フィルム張りしたものを花びらのように盛り付けたり、牛脂を牛のかたちにして「ありがとう」や「感謝」といったメッセージ付きのフィルムで包装したりしようかなと、今でもいろいろなアイデアを考えています。

 また、うちの強みは「実店舗を持っている」ことです。実店舗はおかげさまで高い評価をいただき「焼肉百名店」にも選ばれています。実店舗の味を自宅でそのまま味わえるのは、今お客様がECで求めていることかな、と。コロナ禍でこれまでのようには旅行もできないので、仙台の焼肉店「仔虎」の名前もセットにして地方の味・お店の味を楽しめる商品を展開したいと思っています。

※レストラン検索・予約サイト「食べログ」が、毎年全国をTOKYO・EAST・WESTの3エリアに分け、焼肉やラーメンなど各ジャンルにおいて、総合点上位100店を選出するグルメアワード。「仔虎」は、焼肉ジャンルにあたる「焼肉百名店『EAST』」に2018年から2021年まで選出されています。

トラクシィ調理

 

― 全国にお店のブランドをPRする機会にもなりますね。

 そうですね。コロナが収まり、仙台や東北に遊びにきておいしいものを食べていこうとなったときに、足を運んでもらえるようなPRができるといいですよね。そうしたブランディングの一環で、商品名には「焼肉百名店」を入れようと考えています。

― 事業計画書を拝見したところ、数値を用いた顧客層の分析を行われていましたが、普段からデータをとっているんでしょうか?
 食事の際のアンケートベースではありますが、実施しています。満足度が高いお客様は、何を召し上がっていたか、どのくらいの年齢層の方だったか、お会計の内容とリンクさせて、データの分析を行っています。実はIT導入補助金を活用して、こうしたデータを取ることができるシステムを入れたんですよ。

― 補助金の活用が、次の補助金の申請にも活きているんですね。今回の事業再構築補助金は、具体的にどのような使い道を予定していますか?

 ECサイトの構築、製造工場の建設、ラベル発行機の導入に使う予定です。総事業費は9,000万円くらいですね。工場の建設工事はすでに着工していて、今年(2022年)4月末に完成予定です。
 

― いよいよ事業がスタートしますね。

 はい。最近、他の事業者さんから、新たな取り組みへのお声がけもいただいており、店内飲食以外の収益源を持てるのは楽しみな部分です。一方で、工場の設計は初めて挑戦するものになるので、今までの飲食店の設計と勝手が全く違って、時間がかかりました。EC販売も初めてなので、広告の出し方など、まだ不安要素も多いです。


― 新たな分野への挑戦は、中村さんだけでなく多くの方が不安をお持ちだと思います。最後に、これから事業再構築補助金に申請される方に向けて一言お願いします。

 「これをやりたい」としっかり熱量をもってチャレンジすれば、採択に至らなかったとしても、自分の中で事業計画を十分に検討した経験が残ります。私自身、申請用の資料作成過程一つ一つに意味があったと実感しています。だから、ほんとにチャレンジしていただきたい。必ずいい経験になると思います。

― 普段からお客様や従業員のために何ができるか考えていたことが、新分野のアイデアや補助金申請の原動力になり、申請用の書類作成を通して、より考えが明確化したんですね。これからも頑張ってください。本日はありがとうございました!

 

取材日:令和4年1月13日

 

地域産業応援金

 仙台市では、新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えるために、国の補助金などを活用し、前向きな投資や事業活動を実施する市内事業者に対し、その取り組みを後押しする『仙台市地域産業応援金』を支給しています。
 今般の原油価格高騰等の影響を踏まえ、新たに「原油価格・物価高騰等加算」を新設し、支給額を増額してます。詳しくは地域産業応援金のページをご覧ください。

 

補助金申請の相談窓口「オーエン」

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 仙台圏の事業者の経営課題解決を”応援”する相談窓口「オーエン」を(公財)仙台市産業振興事業団に設置しています。補助金申請に関する相談はもちろん、経営、財務、人事労務、マーケティングなど、たくさんのプロフェッショナルが在籍し、あなたの「困った」を無料でサポートし、ビジネスの成長と継続を後押しします。

 悩んだり、迷ったりしたら、まずオーエン。お気軽にご相談ください。詳しくは、オーエンのホームページ(外部サイトへリンク)をご覧ください。

 

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