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更新日:2023年4月21日

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補助金活用事例集volume9-1:ガラス工房尚

 

事業者紹介

ギャラリー写真

事業者

ガラス工房尚(外部サイトへリンク)

所在地:仙台市太白区秋保町馬場字丸山12番地の1

採択 事業再構築補助金 令和3年9月(第2回)
既存事業 ガラス工芸品の製造・販売
事業再構築の類型と内容

新分野展開

実物を手に取るような感覚で作品が展示できる3Dバーチャルギャラリーの導入やガラス体験教室の新設、カフェの充実で新たなガラス工房へ

 

活用事例集:3Dバーチャルギャラリーの導入等で新しいガラス工房へ

 ガラス工房尚さんは、2000年5月、秋保大滝近くに「ガラス工房尚・シーダーギャラリー」を開設し、1点物のオリジナルのガラス作品を制作し、併設したギャラリーで展示販売を行っています。新たな事業を構想したきっかけなどについて、鍋田尚男さんと鍋田久美子さんに伺いました。

事例集volume9(PDF:3,192KB)

 

インタビュー記事

お二人の写真

― 新しい事業に取り組もうと考えたきっかけはなんですか?

(鍋田尚男さん 以下尚男さん)ガラス作品を作って、高島屋さんなどの百貨店での個展や、ギャラリーでの販売が従来のスタイルでしたが、感染症の影響で、百貨店での個展の中止も相次ぎ、加えて秋保への観光客の激減により、かなり売上が減ってしまいました。

そこで、少しでも稼がなきゃいけない、というのが大きなきっかけでした。


― やはり、感染症の影響は大きかったですか?

(尚男さん)そうですね。震災後は、秋保への観光客が減少していたので、百貨店での個展を年2回から、年3~4回に増やし、2019年までは、個展の売上を全体の半分程度まで上げることができていたので、正直、中止はきつかったですね。

その後、個展を再開できるようになったのですが、最近は、個展開催の準備に結構な経費がかかる上に、開催したけどもお客さんが少なくて、売上が伸びないことが続いたので、個展の売上に頼っていくのも、この先どうかと妻と話していました。


― 個展に頼らないやり方として、バーチャルギャラリーの導入を考えたんですか?

(尚男さん)感染症の影響で個展の開催が難しくなったことを契機に、今後、自分の作品をどうやって見せて販売していくかを考えている中で生まれたアイデアです。

私の作品はオリジナルの1点物なので、購入するにあたっては、実際に手に取ってよく見てみたいというお客様が多いんです。

実際、2020年から始めたオンライン販売でも、ウェブサイトに掲載している写真だけを見て購入される方は少なくて、メールなどで何度もやり取りがあってから購入していただく場合がほとんどなんです。

なので、オンラインでの販売を本格的に行っていくうえで、現状のやり方では限界があると考えていました。


― 現状のオンライン販売の課題から考えたことだったんですね。

(尚男さん)そうですね。常連のお客様からも、個展やギャラリーに足を運べないという声をいただいていて、ウェブサイトで、実際のギャラリーで作品を見られるような体験を提供できないかと考えていた時に、今回の「3Dでのバーチャルギャラリー」のシステムを提供している会社を見つけたんです。


― バーチャルギャラリーはどんなものですか?

(尚男さん)不動産物件をウェブサイト上で上下左右、様々な角度から、まるで実際に内覧しているかのように見ることができるシステムをイメージしていただくのが、わかりやすいと思います。

ウェブサイト上で、作品の一つ一つを上下左右、様々な角度から、まるで手に取って眺めているように見ることができるんです。

 

― ウェブサイトで展示する作品はどのように制作されるのですか?

(尚男さん)作品を撮影した写真をメーカーに送ると、3日ぐらいで3D化してもらえるんです。

他にもCGでの3D化も検討したのですが、CGで制作しようとすると作品が出来てからウェブサイト上で展示するまで時間がかかり、ライブ感がなくなってしまうかなと考えて、今回は写真を利用した3Dにしました。

 

ガラス作品1

 

― ウェブ上で、実物を手に取るように作品が見られたら、お客さんも作品をイメージしやすいですね。どんなギャラリーにしていきたいですか?

(尚男さん)自分の作品だけじゃなくて、同業の作家さんの作品も一緒に展示したいと考えているんです。ようやく個展が開催できるようになってきましたが、まだ困っている作家さんも沢山いらっしゃるんです。

また、オンライン販売に取り組んでいない作家さんもいるので、そういう方のお手伝いが少しでもできればと思っています。コロナ禍の前には、秋保のギャラリーで一緒に展示したこともあり、その時と同じように展示して、多くの方に見ていただきたいです。

 

― バーチャルギャラリー以外にも、考えていることはありますか?

(尚男さん)実は、今回の事業再構築補助金の事業計画では、バーチャルギャラリーに加えて、カフェの充実、ガラス体験教室の開催の3本柱での事業展開を行い、ガラスに興味を持ってもらう機会を広げていくことを考えています。

カフェについては、今までは、ギャラリーに来ていただいた方に、ゆっくり鑑賞してもらいたいと思って、コーヒーなどをお出ししていましたが、今後はフードメニューを充実させて、カフェだけでも事業が成り立つようにしたいです。

観光に来た方が、ガラスに興味がなくても気軽に立ち寄ってもらえるようなカフェにしていきたいですね。

 

― 秋保の新たな観光スポットになるといいですね。フードメニューにはどんなものを考えているんですか?

(久美子さん)ギャラリーを訪れる方から、食事ができる場所が欲しいという要望もありましたので、ハンバーガーやホットドッグ、地元野菜を使ったサラダなどの食事メニューを提供していきたいと思います。

また、フードメニューはガラスの器で提供する予定なので、普段の生活の中でのガラスの器の使い方の提案もしていきたいと思っています。

お二人の写真2

 

― ガラス体験教室はどのようにお考えですか?

(尚男さん)ガラス体験教室として、普段やっていなかったのですが、以前知人がガラス作りを体験したいという方を連れてきてくれたことがあり、特別に体験してもらったことがありました。

その時、体験された方が、本当に楽しそうにしているのを見て、私自身、本当に嬉しかったんです。残念ながら、私の作品には全く興味を示してもらえませんでしたが(笑)

でも、私の作品に興味がなくても、ガラスには興味ある人たちがいるんだって、宝物を発見したような気持ちになりました。

(久美子さん)ガラス体験教室を行うことで、どうやってガラス作品が作られているのかを知っていただき、少しでもガラスへの興味を持ってもらえたらと思います。

 

― ガラス体験教室のアピールポイントは何ですか?

(尚男さん)一般的なガラス体験教室のイメージは「吹きガラス」だと思いますが、それだと、一人ずつしか体験できないので、グループで来られた場合には、最後の方は待ち時間が長くなってしまうんです。

私たちの体験教室では、テーブルの上で板ガラスや棒ガラスなどを組み合わせて、皆さんで一緒に体験できるようにしたいと考えています。組み合わせたガラスは、私が後で炉にいれて完成させたものをお送りする予定です。

(久美子さん)ガラス体験に2~3時間かかるとなると、皆さん躊躇されてしまうので、このやり方だとグループで来られた場合でも、30分から1時間程度で体験できるので、そこはアピールポイントになります。

※吹きガラスとは
ガラス成型技法のひとつで、溶解炉などで高温溶融されたガラスを、吹き竿と呼ばれる金属管の端に巻き取って、竿の反対側から息を吹き込んで成形する技法。

 

  • 事業イメージ

事業イメージ

 

― さて、事業再構築補助金についてお聞きしたいのですが、まずこの補助金を知るきっかけについて教えてください。

(久美子さん)実は、会社経営をしている私の父親から教えてもらったんです。

(尚男さん)義父にもよく相談しました。自分たちの事業内容や取り組みをよく分かっていてくれて、本当に助かりました。

(久美子さん)また自分たちでも気付かないところを、認定支援機関のみやぎ仙台商工会さんに指摘してもらえたのも助かりましたね。

※認定支援機関(正式名称:認定経営革新等支援機関)とは?
中小企業・小規模事業者が安心して経営相談等が受けられるよう、専門知識や実務経験が一定レベル以上にある者として国の認定を受けた支援機関のことです。

具体的には、商工会議所や商工会などの中小企業支援者のほか、中小企業診断士、税理士、公認会計士、弁護士、金融機関等が認定支援機関として認定されています。

事業再構築補助金では、「事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む」ことが、必須申請要件となっています。

 

全景

 

― 書類作成で一番大変なことはどんなことでしたか?

(久美子さん)売上の根拠となる具体的な数値を算出するのが大変でした。うちは、秋保大滝の近くに立地しているので、秋保温泉や秋保大滝の観光客のデータなどから、客数の予測を立てやすい面はありましたが。

(尚男さん)やり始めの時はもうちょっと簡単にできると思っていましたけれど、本業のガラス制作に手が回らないところも正直ありました(笑)

 

― いろいろなご苦労があったかと思いますが、今後事業再構築補助金の申請を考えている他の事業者の方へのアドバイスをいただけますか?

(尚男さん)事業計画作成には、売上などの数字的な裏付けが必要となりますが、数値の算出は専門家に依頼して作ることはできると思います。

ですが、そうした数値の信ぴょう性を高めることよりも、自社の強みや、既存事業と新しい事業の関係性などを踏まえて、事業をやる必然性と新しい事業にかける想いを伝えることが重要だと感じました。

(久美子さん)申請までの時間が短くて、事業計画の作成は大変でしたが、どうしても今回の事業をやりたいという想いがあったので、それが採択につながったのかなと思います。

 

― 本日はありがとうございました。

取材日:令和3年12月28日

 

地域産業応援金

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 今般の原油価格高騰等の影響を踏まえ、新たに「原油価格・物価高騰等加算」を新設し、支給額を増額してます。詳しくは地域産業応援金のページをご覧ください。

 

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