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更新日:2024年3月25日

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補助金活用事例集volume33:株式会社一の坊

 

事業者紹介

スイートルームの写真

詳細

事業者

株式会社一の坊(外部サイトへリンク)

所在地:宮城県仙台市青葉区花京院2-1-10

採択 事業再構築補助金
既存事業 宿泊業
事業再構築の類型と内容

新分野展開・業種転換

客室を改装しエグゼクティブルームとして充実したプライベート空間を創出することで、これまでターゲットとして取り込めていなかった富裕層市場に新たに進出する。

対象施設

仙台・作並温泉ゆづくしSalon一の坊(外部サイトへリンク)

所在地:宮城県仙台市青葉区作並字長原3

 

活用事例集:プライベートロウリュサウナを初導入した客室へ改装 高付加価値化実現でお客様も従業員も共に幸せに

宮城県内で4つの温泉リゾートを経営する株式会社一の坊グループ。業界に先駆けてオールインクルーシブの滞在スタイルを導入し、ストレスフリーな大人のリゾートステイを提供しています。「作並温泉ゆづくしSalon一の坊」では、コロナ禍を機に客室リニューアルに踏み切りました。活用したのは事業再構築補助金です。そのポイントや効果について、同宿ゼネラルマネージャーの小野寺裕史さん、営業推進本部の吉川美紀さんにお話を伺いました。

 

 

インタビュー記事

大浴場の写真

 

──はじめに経営されている宿の特徴を教えてください。

宿ごとに立地環境や宿泊単価、ラウンジでの楽しみ方のコンテンツやサービスも異なっており、それぞれの個性を大切にしています。例えば「作並温泉ゆづくしSalon一の坊」は里山に抱かれ、とても環境に恵まれた立地です。「山と呼吸を合わせる宿」というコンセプトのもと、豊かな自然環境とお客様のプライベート空間を重視した、自由で快適なステイスタイルをご提案しています。その中で4つの宿の共通のコンセプトとしているのが「理想の日常℠」です。特別な記念日にご利用いただく非日常の宿ではなく、日常づかいで何度もリピートしてお越しいただきたいという思いを込めています。

ラウンジの写真

※「理想の日常℠」:一の坊グループでは2020年の70周年を機に、「理想の日常」に役務商標としてサービスマークを導入。

 

──業界に先駆けてオールインクルーシブの滞在スタイルを導入されたと伺いました。

2012年に「蔵王の森がつくる美と健康の温泉宿ゆと森倶楽部」で初めて導入後、お客様がお財布を気にせずストレスフリーでお過ごしいただけるよう、現在は4つの宿すべてに導入しています。その中で「作並温泉ゆづくしSalon一の坊」は特に食事に定評があり、料理人が目の前でつくるオーダービュッフェの“ひとさら”をコース仕立てで、ドリンクとのマリアージュをお楽しみいただけます。プライベート空間を重視していますが、お部屋よりも“くつろぎSalon”などのパブリックスペースで過ごされる時間が多いお客様もいます。

コーヒーを提供するスタッフの写真

 

──施設の主要顧客層はどのように設定されていますか。

当社は以前から、競合との差別化を図るため団体客から個人客へ主要顧客層をシフトしてきました。宴会団体客の場合、長期にわたる事前打ち合わせや宴会の準備など従業員にかかる負担が大きく、深夜まで業務が及ぶケースも少なくありませんでした。大切にしなければいけないのは、お客様満足度だけではありません。より良いサービス提供のためには、従業員の働きやすさも重要。属人化されていた業務をできる限り共有化し、シンプルな働き方へ業務改善を重ねることで、一人ひとりへの負担を軽減できるようにしています。

 

──今回はどのような経緯で事業再構築補助金申請に至ったのでしょうか。

さらなる高付加価値化を計画していた矢先にコロナ禍に直面し、「作並温泉ゆづくしSalon一の坊」の2021年度の客室稼働率はコロナ禍前と比較して約7割まで低下しました。一方で少人数の宿泊需要が増えており、より「個」に合わせた商品・サービスを模索する中で、以前から計画していた客室のリニューアルに踏み切ることにしたのがきっかけです。その時期が事業再構築補助金申請期間と重なり、認定経営革新等支援機関の株式会社七十七銀行、そのグループ会社の七十七リサーチ&コンサルティング株式会社のサポートを受けて申請しました。

インタビュー時の様子

 

──具体的なリニューアルの内容について聞かせてください。

作並温泉の自然に抱かれながら、自由で快適な「理想の日常℠」を提供すべく、もともと4室だった最上階を、それぞれ100平方メートル超のスイートルーム3室へ改装しました。広々とした専用テラスには源泉かけ流し露天風呂と、好きな時間に自由なセッティングでお楽しみいただけるプライベートサウナを設置し、ゆとりあるプライベート空間としました。東北には高単価層を迎え入れられる宿は限られているため、こうしたお客様の宿泊を視野に入れ、新しいマーケットに進出したい思いもありました。

露天風呂付き客室の様子

 

──リニューアル後の稼働状況はいかがですか。

新たに整備した3室の宿泊単価は従来の約4倍と高額に設定しましたが、リニューアルから約半年後の稼働率は80%以上を維持しています。宿泊後のアンケートを見ると「ずっとここで過ごしていたい」という声も多数あり、サウナ好きな方や、連泊利用を機に、リピーターとなっていただく方も多いです。他社ではコロナ禍を契機に団体客から個人客向けにシフトしたものの、稼働率が回復していないところもあると聞きます。その点、当社はベースがありましたので比較的スムーズに稼働率を回復できたように思います。

スイートルーム室内の写真

 

──客室のリニューアルに際しては特に考慮した点はありますか。

従業員が楽しく働けなくては、お客様に楽しい時間は提供できません。現場の声を吸い上げて、「みんなでいっしょに魅力ある一の坊グループにしていこう」が当社の社風です。今回のリニューアルに際しても、どんな部屋にするかを従業員全員で話し合いました。みんなで創り上げた理想のコンセプトルームは、シンプルで快適なのはもちろん、清掃がしやすいなど実は従業員にも優しい設計。また現状に満足せず、お客様により満足してもらうためにはさらに何が必要か、ボトムアップの組織だからこそ、日々アップデートが行われています。

お客様を見送るスタッフの写真

 

――従業員の働きやすさを大切にしているからこその業務の効率化なのですね。

はい。今回の事業再構築補助金の対象ではありませんが、自動精算機とカードーキーの導入もコロナ禍で進めました。お客様はよりストレスフリーになり、従業員の負担もさらに軽減されました。業務がシンプルになれば商品・サービスの品質向上に労力を費やすことができます。コロナ禍以降、観光宿泊業は就職先としての人気が低下していますが、当社ではお客様の満足度はもちろん、従業員の満足度も追及した働き方改革を進めています。今回の取り組みもその一環で、得られた収益を従業員に還元することで人手不足に対応しつつ、お客様へはさらなるサービス品質向上につなげていくことが大切だと思っています。

自動精算機の写真

 

──支援事業者に補助金申請のサポートはどのように受けましたか。

これまで他の補助金は自分たちで申請書を準備してきましたが、今回は金額も大きく、今後の一の坊グループの柱となる一大プロジェクトです。そこで以前からお付き合いのある株式会社七十七銀行の担当者から、グループ会社の七十七リサーチ&コンサルティング株式会社を紹介され、申請をサポートいただきました。

 

──具体的にどのようなサポートやアドバイスがありましたか。

申請までに毎週1回、計10回の打ち合わせを行いました。申請内容は業界人として文章にすると、どうしても売り手目線でセールストークになりがちですが、第三者目線で添削いただいたことにより、情報の不足分をきちんと補完できました。マーケット情報も端的にまとめていただき、効果的で解りやすい資料添付など、勉強になることばかりでした。宿泊業界専門でないにもかかわらず、旅行ニーズに関するアドバイスが非常に的確で、今後同様の補助金申請を行う機会があるとすれば、今回の資料がベースになると思います。

支援に対する感想を述べる様子

 

――最後に今後の展望についてお聞かせください。

コロナ禍で宿泊単価を大胆に切り替えましたが、おかげさまで稼働状況は好調です。ただ、ここをピークと捉えず、さらなる高付加価値化を図るためにも新商品・サービスはもちろん、既存の取り組みにも磨きをかけ、お客様から選ばれ、何度も足を運んでいただける宿を目指します。また、作並や秋保地域の他の事業者とも連携しながら、新しい働き手が宿泊業界に飛び込んで来やすい環境づくりにも注力し、お客様の一層の満足につながる好循環を生み出していきたいと思います。

一の坊作並旅館入り口看板の写真

 

――本日は貴重なお話ありがとうございました。

 

認定支援機関:株式会社七十七銀行、七十七リサーチ&コンサルティング株式会社

 七十七リサーチ&コンサルティング株式会社は、株式会社七十七銀行のグループ会社として、2018年7月に設立されました。

 今回紹介した株式会社一の坊の取り組みも支援されております。認定支援機関である七十七銀行と、事業計画策定支援者である七十七リサーチ&コンサルティング、それぞれのご担当者の方にお話しをお伺いしましたので、詳しくは七十七銀行、七十七リサーチ&コンサルティングのインタビューページをご覧ください。

七十七銀行、七十七リサーチ&コンサルティング取材の様子

 

地域産業応援金

 仙台市では、新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えるために、国の補助金などを活用し、前向きな投資や事業活動を実施する市内事業者に対し、その取り組みを後押しする『仙台市地域産業応援金』を支給しています。今回紹介した株式会社ホクトコーポレーションが活用した事業再構築補助金も応援金の支給対象となります。

 今般の原油価格高騰等の影響を踏まえ、新たに「原油価格・物価高騰等加算」を新設し、支給額を増額してます。詳しくは地域産業応援金のページをご覧ください。

 

補助金申請の相談窓口「オーエン」

オーエンロゴ(外部サイトへリンク)

 仙台圏の事業者の経営課題解決を”応援”する相談窓口「オーエン」を(公財)仙台市産業振興事業団に設置しています。補助金申請に関する相談はもちろん、経営、財務、人事労務、マーケティングなど、たくさんのプロフェッショナルが在籍し、あなたの「困った」を無料でサポートし、ビジネスの成長と継続を後押しします。

 悩んだり、迷ったりしたら、まずオーエン。お気軽にご相談ください。詳しくは、オーエンのホームページ(外部サイトへリンク)をご覧ください。

 

仙台市経済局SNS

 仙台市では、本市が実施する経済施策や主催するセミナー・イベント等の情報を発信するため、以下SNSを運営していますので、是非ご確認ください。

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お問い合わせ

経済局中小企業支援課

仙台市青葉区国分町3-6-1表小路仮庁舎9階

電話番号:022-214-7338

ファクス:022-214-8321