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更新日:2023年4月13日

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補助金活用事例集volume18:わとな補聴器

 

事業者紹介

わとな補聴器代表の画像2

 
事業者

わとな補聴器(外部サイトへリンク) 代表 安野 英彦 氏 

店舗所在地:仙台市宮城野区平成2-1-3

採択 事業再構築補助金 令和3年11月(第3回)
既存事業 訪問による補聴器の販売やメンテナンス
事業再構築の類型と内容

業態転換

聴力測定専用設備完備による信頼と安心の補聴器専門店を開店

 

活用事例集:聴こえる喜びを共に 訪問と店舗の二軸展開でより良い「聴こえ」をつくる

 わとな補聴器代表の安野英彦さんは大手補聴器メーカーの営業職として12年勤めた後、2019年に独立して補聴器の訪問販売とメンテナンス事業を開始しましたが、訪問のみの営業スタイルに限界を感じ、事業再構築補助金を活用して実店舗を開設しました。訪問販売と実店舗での二軸展開の取り組みなどについてお話を伺いました。

事例集volume18(PDF:4,963KB)

 

インタビュー記事

─ 大学卒業後は、福祉のお仕事をされていたのですね。

 身近にご縁をする方々の中に障害を抱えている方がいたので、高校生の頃から福祉に携われる仕事に就きたいと考え、大学では手話通訳などの勉強をしていました。そして、在学中に聴覚障害のある方への手話通訳の活動を行い、卒業後は、当時東北で初めて設立された仙台の自閉症専門施設に就職して、自閉症や知的障害などをお持ちの方への支援に携わっていました。

わとな補聴器代表の写真3

 

─ その後は、補聴器メーカーの営業職に転職されたのですね。営業所長まで務められていた補聴器メーカーから独立した理由はどのようなものだったのでしょうか。

 私が補聴器メーカーにいた頃に感じていたのは、販売店のレベルが様々ということです。補聴器を売ることが目的となり、売りっぱなしの販売店が多く、実際に消費生活センターへの苦情や相談が非常に多いと聞いていました。販売店には、しっかりアフターフォローをやってもらうよう、調整技術向上の勉強会などできる限り行ってきましたが、結局、自分が直接お客様に接することが少ないので、お客様のアフターフォローをしっかりできる販売店をつくりたいと思いメーカーを退職し、販売店として起業する決意をしました。

わとな補聴器訪問時の写真1

 

─ 屋号の「わとな補聴器」には、どのような思いが込められているのでしょうか。

 青森県内の大学で学生時代を過ごした経験から、津軽弁の「私」のことを「わ」、「あなた」のことを「な」と表現する言葉を使い、「私とあなたで補聴器を通して聴こえる喜びを分かち合いたい」という意味を込めています。

 

─ 店舗販売ではなく、訪問販売を選んだのはどうしてですか。

 補聴器専門店は、市内中心部に一定数あるものの、街中を離れると店舗数が少ないのが現状です。補聴器購入後も音の調整やメンテナンスなどの定期的なケアが欠かせず、高齢のお客様などが店舗まで移動しなくても済むように、こちらから訪問するスタイルを選択しました。こちらから訪問するといっても、今のご時世、自宅に突如やってきた人の話を聞いていただくことは難しいので、連絡いただいた方への訪問販売を行ってきました。

わとな補聴器訪問時の写真2

 

─ 独立後、すぐに事業を軌道に乗せられたのでしょうか。

 最初はまったくでした。どこに営業して良いか分からず、はじめは事務所として構えていた錦ケ丘の自宅周辺エリアに新聞の折り込みチラシを配りました。それから、高齢者施設にも営業に行ったのですが、そこでは斡旋してもらうことができず、地域の包括支援センターを訪問するなど地道な営業を行ってきました。しかし、それだけでは収入が安定しなかったので、週に数回グループホームの夜勤の仕事や児童館でアルバイトをして、生計を立てていました。

 

─ 夜勤もこなしながら事業を軌道に乗せることは大変でしたね。

 私の場合、前職のお客様が販売店で、補聴器を購入するお客様との直接の接点がない中での出発でしたから、お客様がついてくるまで時間がかかりました。少しずつではありましたが、配ったチラシをご家族の方が見て連絡してくれたり、包括支援センターさんからの紹介でお客様が増えていきました。

 

─ そのような中で、事業再構築補助金を活用して、店舗を開設することにしたのはなぜですか。

 訪問による補聴器の販売やメンテナンスは、高齢者や障害のあるお客様に移動の負担をかけない点や、日常生活の環境で調整できるため感覚的な聴こえ具合に合わせた調整がしやすいというメリットがあります。しかし、訪問時に持参できる機材は限られ、より繊細な音の調整には限界があります。さらに、新たにお客様を獲得するという点では、医療機関はどうしても設備の整った店舗型の販売店に患者様を紹介する傾向が強いので、事業再構築補助金を活用して店舗開設を決意しました。

わとな補聴器店舗写真

 

─ 事業再構築補助金は、新事業を検討する前から把握していましたか。

 以前、みやぎ仙台商工会(以下、「商工会」)さんの支援を受けて、国の持続化補助金を活用したことがあり、それ以降、商工会さん経由で色々な支援情報をチェックしていました。事業再構築補助金の情報も商工会さんの会員向けメールで把握していました。店舗開設を検討していたタイミングとちょうど一緒だったので、すぐに相談にいきました。

わとな補聴器代表の写真4

 

─ 事業計画書などの申請書の作成は、ご自身で記載したのですか。

 一通り自分で作成した後に、商工会さんに書き方のアドバイスをいただきながら計画書をブラッシュアップしていきました。計画書作成にあたっては、自社の強みや弱みなどを「SWOT分析」をする必要があり、私自身SWOT分析をしたことがなかったので、担当者の方には一から教えていただきました。この分析により、競合他社との比較など課題が明確になりましたし、自社の強みなどをどう活用するのが良いか、客観的に検討することができ、今後の方針が具体的になったと思います。
 ※自社の事業の状況等を、強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4つの項目で整理して、分析する方法。

 

─ 補助金を活用された、店舗の改修などをされていますが、苦竹エリアを選んだ理由はどうしてですか。

 競合他社を考えた場合、青葉区は市内中心部に大型の補聴器専門店が多かったので、郊外で競合店が少ない場所を考えました。立地条件としては交通機関を利用しやすい駅から近い場所で、かつ、車の駐車場があるなどの立地で探したところ、全ての条件を満たす現在の物件がみつかりました。

 

─ 開設した店舗は、東北最大級の防音測定室を完備しているそうですね。

 一般的な防音測定室は、人が一人だけ入れる狭いものがほとんどです。ご高齢の方や車いすの方などは、移動に困難を抱える場合も多いため、受付から問診、測定、調整まで移動せずに座ったまま行えるということが、お客様にとっての利便性に繋がると思い、広さがある防音測定室を整備しました。

わとな補聴器店舗内写真

 

─ その他の補助金の使い方についても教えてください。

 補助金では、訪問の際、持ち運ぶことができない高度な測定をするための測定機材を導入しました。また、当店の認知度を高めるための販促ツールとして、パンフレットやチラシなども作成しました。

わとな補聴器パンフレット写真

 

─ 店舗を開設したことで、どのような効果がありましたか。

 店舗を構えたことで、おかげさまで病院や介護施設から紹介をいただくようになり、その結果、補聴器は今年の9月までの間で、店舗開設前の売上と比較すると約1.5倍に伸びました。また、訪問ではどうしてもできなかった繊細な音の調整ができるようになったことで、より精度の高い「聴こえ」の改善につながっていると思います。

わとな補聴器代表の写真5

 

─ 今後の事業展開の展望を教えていただけますか。

 店舗を構えたことで売上は大きく伸びましたが、訪問サービスのニーズが高いので、これまでどおり訪問に基軸を置きながら、お客様のより良い「聴こえ」をつくっていきたいと思います。将来的には、従業員を雇用して医療機関が行っている補聴器外来などでのサービス提供を行いたいと考えています。

 

─ これから事業再構築補助金の活用を考えている方にアドバイスいただけますか。

 事業再構築補助金を活用したことで、少しずつではありますが事業の拡大とともに売上を伸ばすことができました。皆様も、「こんなことを新しくやってみたい」など検討していることがあると思います。常に色々なことにアンテナを高くして、挑戦されることをおすすめいたします。ぜひ諦めず頑張ってください。

 

─ お客様のより良い「聴こえ」をつくるという安野さんの強い思いがとても印象的でした。これからも訪問と店舗の二軸展開頑張ってください。本日は、貴重なお話ありがとうございました。

 

地域産業応援金

 仙台市では、新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えるために、国の補助金などを活用し、前向きな投資や事業活動を実施する市内事業者に対し、その取り組みを後押しする『仙台市地域産業応援金』を支給しています。
 今般の原油価格高騰等の影響を踏まえ、新たに「原油価格・物価高騰等加算」を新設し、支給額を増額してます。詳しくは地域産業応援金のページをご覧ください。

 

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オーエンロゴ(外部サイトへリンク)

仙台圏の事業者の経営課題解決を”応援”する相談窓口「オーエン」を(公財)仙台市産業振興事業団に設置しています。補助金申請に関する相談はもちろん、経営、財務、人事労務、マーケティングなど、たくさんのプロフェッショナルが在籍し、あなたの「困った」を無料でサポートし、ビジネスの成長と継続を後押しします。

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