現在位置ホーム > 事業者向け情報 > 経済・産業 > 中小企業支援 > 支援メニュー > 新事業を展開したい > 施策 > 事業再構築補助金 > 補助金活用事例集volume24:株式会社ホクトコーポレーション

ページID:66821

更新日:2023年5月23日

ここから本文です。

補助金活用事例集volume24:株式会社ホクトコーポレーション

 

事業者紹介

代表の写真1

事業者

株式会社ホクトコーポレーション(外部サイトへリンク)

所在地:宮城県仙台市青葉区上愛子字堀切1-13

採択 事業再構築補助金 令和3年6月(第1回)
既存事業 印刷業
事業再構築の類型と内容

新分野展開

動画配信拠点としてのスタジオ運営を行い、動画配信に必要な周辺機器のレンタル事業を行うことで情報発信事業の強化を行った。

開設スタジオ

A Cue Studio(アキュースタジオ)(外部サイトへリンク)

所在地:宮城県仙台市太白区秋保町長袋字西台18-24

 

活用事例集:”ちょうどいい”スタジオで本格的な動画制作を!収益の落ち込みを支える新しい柱

 株式会社ホクトコーポレーションは仙台市の愛子・秋保に自社工場を持つ印刷会社です。コロナ禍をきっかけに、印刷事業に次ぐビジネスの柱として、自社スタジオでの動画撮影・配信事業を構想した代表取締役社長の及川文和さん。スタジオの立ち上げに事業再構築補助金を活用しました。
 今回は、この新事業に取り組むまでの経緯や今後の展望について、お話を伺いました。

 

 

インタビュー記事

─ はじめに、御社のこれまでの事業を教えてください。

 当社はチラシやパンフレットなどの商業印刷物を中心に扱う印刷会社です。
 クライアントは企業、学校法人、行政など多岐にわたります。また、JR仙台駅前にクリエイティブ部門の事務所を構え、デザイン業務や動画編集、自社媒体の子育て世代向けフリーマガジン「ままぱれ」の発行も行っています。

フリーマガジンままパレの写真

 

─ 事業再構築補助金を活用したきっかけを教えてください。

 コロナ禍になってから、リモートワークの推進やイベントの休止などの影響を受けて、印刷物の需要が大きく減少しました。例えば、学校の入学式・卒業式が開催できなくなったことで、例年3〜4月に納めていた印刷物の発注がゼロになってしまいました。
 「この状態が続けば大変なことになる。すぐに行動に出なければ」と思い、手探りで色々なことに挑戦し始めた、というのが背景です。

 

─ そこから、スタジオ立ち上げの構想が生まれたのでしょうか。

 いいえ、いきなりその構想に至ったわけではなかったんです。
 最初は減少した売上を補う対策として、飛沫感染防止用のアクリルパネルの開発に取り組みました。たまたまテレビ番組で「中国のカフェではアクリルパネルを活用して営業している」という報道を見かけて、「うちでも製作できるかもしれない」と思い、すぐに製品開発へ取り掛かりました。
 自社で持っているレーザーカッターでアクリル板を裁断して、パネルを支えるスタンドも作りました。商品を梱包するパッケージも自社でデザイン・印刷して、すぐに商品化できました。

アクリルパネルを活用して営業をしている様子の写真

 開発したアクリルパネルをクライアントにご案内したところ、すぐに受注につながり、ありがたいことに数千枚を売り上げることができました。売上の減少を完全に補填できたわけではありませんでしたが、危機的状況はなんとか脱せたという感じでした。

 

─ 当時は感染予防製品のニーズが高まっていましたね。

 アクリルパネルに加えて、フェイスシールドなどの衛生用品の生産も行いたいと考え、新たに工場を立ち上げることにしました。国の補助金に応募したのですが、採択のハードルがかなり高かったようで、不採択でした。その後、宮城県の方から「県の補助金に応募してみませんか」とご案内をいただき、県の補助金を活用して工場の立ち上げに成功しました。
 ただ、やっぱり感染予防製品というのは、いずれ需要がなくなるものです。衛生用品の生産だけでは、本業である印刷業に代わる柱にはなりません。
 そして印刷業の方も、コロナ禍によってペーパーレス化・デジタル化が加速しているため、これからも需要は減少していきます。そこで、次に打つべき一手は何かと考え始めました。

 

─ そして、自社スタジオを建てる構想が生まれたんですね。

 もともと自社のクリエイティブ部門で動画編集などを行っていたので、そのノウハウを活かして、スタジオを使った撮影や動画制作のサポートなどを始めようと考えました。
 タイミング良く事業再構築補助金の第1回公募が始まったので、すぐに準備して申請し、採択していただきました。

自社スタジオ看板の写真

 

─ スタジオの特徴を教えてください。

 単にスタジオを貸し出すのではなく、動画の撮影や編集、Webへのアップロードなどのサービスも併せて提供しているので、初心者の方でも高クオリティな動画を制作できます。
 スタジオ設備の大きな特長は、壁一面のグリーンバックと最先端の機材を導入していることです。クロマキー合成(※)で大規模なセットを組まなくても自由な表現ができますし、楽器演奏などの高音質が求められる動画も撮影できます。
 また、スタジオの規模も「ちょうどいい」と喜ばれています。設備が充実しているスタジオを探すとテレビ局のような大規模スタジオになってしまい、それより小さなものや価格を抑えたものを探すと、フォトスタジオのような小規模スタジオになってしまいます。
 当社のメインスタジオは約20坪で使いやすい広さです。個人や中小の事業者の方にも利用しやすい価格設定にしているので、「最新設備を使いたいけれど、費用も抑えたい」という需要に応えられるスタジオだと思います。

※クロマキー合成…背景に別の映像を合成する技術

スタジオ内機材設備の写真

 

─ スタジオにはグランドピアノもありますね。

 音楽関係の方にも利用していただきたいので、メインスタジオにグランドピアノを用意しました。
 実際にピアニストの方にもご利用いただいていて、先日はピアノとバイオリンの演奏動画を撮影しました。曲の世界観を演出するために、演奏者の背景にクロマキー合成を施し、美しい空の中で演奏しているような動画を制作しました。
 個人でスタジオを借りて、更にグリーンバックを手配してクロマキー合成を行おうとするとコストも手間もかかります。当社のスタジオであればその場で全て完結できるので、お客様にとってメリットが大きいと考えています。

ピアノとバイオリン演奏動画撮影中の様子写真

 

― メインスタジオのほかにキッチンスタジオもありますね。

 自社媒体「ままぱれ」のYouTubeチャンネルで料理講座の動画をアップしているのもあって、調理風景を撮影できるスタジオも需要があると考えました。キッチンの形はアイランド型にして、コンロの油はねガードを取るなど、調理風景を撮影しやすい構造にしました。

キッチンスタジオの写真

 

─ これまでの印刷業とは違う分野への思い切った挑戦ですが、不安はなかったのでしょうか。

 会社設立時からこれまで、当社では印刷業だけでなく「情報発信のトータルサービス」を行うために、様々なことに取り組んできました。デザインや動画編集業務などの内製化もその一環で、情報発信手段・媒体の多様化に対応してきました。
 今回の取組は印刷業とは全く違う分野ですが、動画編集などの自社ノウハウを活かせますし、印刷物と組み合わせて相乗効果を狙うこともできます。
 一方で、未知の分野での取組には高いリスクがあり、設備投資の費用を全額自己資金で賄うのは難しいです。事業再構築補助金があったからこそ、実現できたと思っています。

 

─ 補助金申請のときに苦労したことは何ですか。

 事業計画に関してはもともと構想があったので、スムーズにまとめることができました。ただ、申請まで2週間しかなく、タイトなスケジュールの中で金融機関や認定支援機関の確認を取らなければならなかったのが少し大変でした。
 認定支援機関は、以前からお世話になっていた群馬県の株式会社高崎総合コンサルタンツにお願いしました。計画の中身というよりは、「この項目ではこれが求められているのでこう答えた方がいい」といった書き方・見せ方の面でのアドバイスをいただき、大変参考になりました。

代表の写真2

 

─ 今後の展望を教えてください。

 まずは、スタジオ・動画制作を収益の柱の一つとなるように育てていきたいです。
 最近では、イベントや式典なども再開されて印刷需要も少しずつ回復していく予兆もありますが、印刷業自体のマーケット縮小は避けられません。
 これからも情報発信のトータルサービスを担う企業として、印刷と動画などのデジタル技術を組み合わせたビジネス展開をしていきたいと思います。

 

─ 常に先を見据えて積極的に新事業に取り組んでいく姿に、今後も目が離せませんね。本日は、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

 

地域産業応援金

 仙台市では、新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えるために、国の補助金などを活用し、前向きな投資や事業活動を実施する市内事業者に対し、その取り組みを後押しする『仙台市地域産業応援金』を支給しています。今回紹介した株式会社ホクトコーポレーションが活用した事業再構築補助金も応援金の支給対象となります。

 今般の原油価格高騰等の影響を踏まえ、新たに「原油価格・物価高騰等加算」を新設し、支給額を増額してます。詳しくは地域産業応援金のページをご覧ください。

 

補助金申請の相談窓口「オーエン」

オーエンロゴ(外部サイトへリンク)

 仙台圏の事業者の経営課題解決を”応援”する相談窓口「オーエン」を(公財)仙台市産業振興事業団に設置しています。補助金申請に関する相談はもちろん、経営、財務、人事労務、マーケティングなど、たくさんのプロフェッショナルが在籍し、あなたの「困った」を無料でサポートし、ビジネスの成長と継続を後押しします。

 悩んだり、迷ったりしたら、まずオーエン。お気軽にご相談ください。詳しくは、オーエンのホームページ(外部サイトへリンク)をご覧ください。

 

仙台市経済局SNS

 仙台市では、本市が実施する経済施策や主催するセミナー・イベント等の情報を発信するため、以下SNSを運営していますので、是非ご確認ください。

Adobe Readerのダウンロードページへ

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。Adobe Readerをダウンロードしてください。Adobe Readerのダウンロードページ

お問い合わせ

経済局中小企業支援課

仙台市青葉区国分町3-6-1表小路仮庁舎9階

電話番号:022-214-7338

ファクス:022-214-8321