ページID:58475

更新日:2023年4月21日

ここから本文です。

補助金活用事例集volume8-1:株式会社吉田酒店

 

事業者紹介

吉田酒店社屋

事業者

株式会社吉田酒店(外部サイトへリンク)

所在地:仙台市太白区大野田2丁目1番54号
採択 事業再構築補助金 令和3年9月(第2回)
既存事業 酒類卸売業
事業再構築の類型と内容

新分野展開

自社と飲食店双方の売り上げを回復するため、惣菜製造キッチンを導入し飲食店と共同開発した商品のEC販売事業に着手

 

活用事例集:酒類卸売業から総菜製造キッチン設立&EC販売へ

 吉田酒店さんは、仙台市内を中心に600店舗を超える飲食店に対して酒類の卸売販売を行っている老舗の酒屋さんです。新たな事業を構想したきっかけや苦労した点などについて、取締役営業部長の吉田智博さんにうかがいました。

事例集volume8(PDF:1,913KB)

 

インタビュー記事

吉田営業部長

― 今回新しい事業に取り組もうと考えたきっかけはなんですか?

 それはやっぱり、取引先である飲食店さんの衰退ですよね。新型コロナウイルスの感染リスクが高い場所として飲食店さんが槍玉に上がって、飲食店に夢を持てなくなっている現状があって、「続けたいけど続けられない」という声を聞いてもどかしくて。

 酒屋にはいろいろな売り先がありますが、うちは全部BtoBで取引先の99%が飲食店なので、飲食店がないと商売が成り立たないんです。

 それでどうにか飲食店さんに生き残ってほしいと思ったんですが、なにせ酒屋なので、うちが何かしたからって飲食店自体の売り上げが倍になるかっていうとそんなことはないですよね。

 でも何か、直接的に飲食店さんの売り上げを上げられるような支援ができたら、ただ酒を運ぶだけの酒屋じゃなく、もっと違った酒屋になれるのかなという思いから、今回の事業を思いつきました。

 

― 取引先の飲食店さんからそういう相談はあったのでしょうか。

 相談というか、お付き合いの中でいろいろな話が聞こえてきたという感じです。そもそも酒屋に相談する話ではないですからね(笑)

 話を聞く中で、EC販売をやってみたいと考えている飲食店さんが多かったんですが、実際やろうと思うとものすごく大変なんですよね。

 飲食店の営業許可とは別に食品販売の許可が必要だし、その許可を取るためには飲食店で使っているのとは別にキッチンを作らなければならないので、その場所を借りて・・・という風に、いくつもハードルがあるんです。

 

― 確かに、コロナ禍で大変な思いをしているところで、大きな負担になりますね。

 そうなんです。やりたいけれどなかなか難しいというのを飲食店さんから聞いていて、それならうちでそういう土台を作ってしまえば、活用してもらえるんじゃないかと考えました。

 自分達だけではできないとあきらめてしまっている人たちは、コロナで飲食店営業も難しくてそのままお店をたたんでしまうことになるかもしれない。

 そこを僕らが支えてあげることができたら、飲食店をあきらめずにいられるんじゃないかなって思ったんです。
 大好きなお店ばかりなのでね、やめてほしくないんですよね。

 

― いつ頃からこの事業についてお考えだったのでしょうか。

 2021年の春頃だったと思います。考えていたところにちょうどよく国の事業再構築補助金が創設されたので、これはチャンスだと思って申請しました。

 実はもともとはここまで大きな事業としては考えていなかったんです。最初は、飲食店を少しでも支えられればいいかなと思っていましたが、やるからにはそれなりの設備が必要だし、もう少し踏み込んだ形でやるべきかなということで今のような形になりました。

 

  • 事業のフロー図

吉田酒店が総菜製造キッチンを導入し、そこで飲食店が総菜を製造、出来上がったものを吉田酒店が買い取りEC販売を行う

 

― 補助金が出るなら大きくやろうと思ったということでしょうか。

 そうですね。最初は貸しキッチンという形で場所としての提供を考えていました。

 でも、それだと家賃収入みたいなもので、ひと月の貸し出せる枠が決まっているので、それ以上にはなり得ない。その枠でしか飲食店さんを支援できないし、あまり意味がないのかなと。

 それよりも、作ってもらったものを買い取って売ったほうが、ビジネスの幅として広がるだろうと考えました。

 もともとは場所だけの話で、キッチンだけ整えて、許可を取ってということだけで、設備投資もそこまで必要なくて、まあ数百万くらいかな、というところだったんですが、事業再構築補助金が創設されたことで、これを活用してもっと大々的にやっていこうという気持ちになりまして。在庫管理や梱包資材の準備まで行うことにしたので、結果的に約2,000万円の事業規模となりました。

 

― 作ってもらったものを買い取って売る、ということですが、実際にはどのような販売方法になるんでしょうか。

 新たにECサイトを立ち上げまして、そこで販売する予定です。

 ゆくゆくは、お惣菜とお酒のセット販売ができればと思っています。

 夢のような話です(笑)

お酒の説明をする吉田さん

 

― 酒屋さんがお惣菜に合うお酒を選んでくれるというのは、いち消費者としてとても興味があります。

 ありがとうございます。セット販売による相乗効果も見込めますし、お酒を造っている酒蔵の魅力も発信もできるようになると思っています。

 酒蔵の人達は、お酒を造ったら造りっぱなしではなく、実際に扱っている飲食店さんにプライベートで行くことが多いんです。飲食店に飲みに行って大将と話したりしているんですよ。一緒に行くこともありまして。

 そういうご贔屓にしている飲食店さんと酒蔵と一緒に作ったものも出来上がってくるので、想いを乗せやすいというか、ただ単純に作って売るんだったらどことやってもいい話ですが、せっかくならうちのオリジナリティを出したいなと。お客さんに響くようなストーリーが作れると期待しています。

日本酒

 

―補助金申請で苦労したことなどはありますか?

 新たな製品・サービス等の売上高が3~5年後に総売り上げの10%以上となるような事業計画を立てるという補助金の要件がありますよね。それに合致するような事業とするのに苦労しました。

 先ほども言ったように、もともとは貸しキッチンをやろうと思っていたんですが、それで売上高10%に持っていくというのがなかなか難しくて。

 その10%を考えなければ、補助金を活用せずそのまま事業が進んでいた可能性もあるんですが、補助金があったからこそいろいろなことを考えて、コラボした商品を売るというここまでの事業になったと思っています。

 10%がネックであり、チャンスでもあったんです。

 それがなかったらこのアイディアは思いついていなかったと思います。

 

  • 収益計画のイメージ

収益計画のイメージ

 

― チャンスだと前向きにとらえてやれるというのは素晴らしいです。

 いやー実際どうしたらいいかなぁっていう感じでしたよ(笑)

 時間貸しは広がりはないですが、それはそれでいいんですよ、決まった金額はもらえるし、取りっぱぐれもないし。

 今回の事業は作ったはいいが売れなかったら全く成り立たないハイリスクハイリターンなので、それがコロナで売り上げが下がっている中でやるのもどうかなと思ったことはありました。

 今回の連携先に株式会社ラッシュビズという会社がありまして、大学の同級生がやっている会社なんですが、ECサイトのことからコンサル的なところまで担ってくれていて、この10%の話なんかはどうしたらいいか、ずっとホワイトボードで書きながら一緒に考えました。

 

― 認定支援機関である日本みらい税理士法人さんとの関わりはどのようなものでしたか?

 事業の構想は自分たちで考えて、それを日本みらい税理士法人さんが形にしてくれました。

 ふわっと投げかけても、「それはこういうことですよね」ときっちり具現化して返してくれたので助かりました。

 

  • 認定支援機関(正式名称:認定経営革新等支援機関)とは?

中小企業・小規模事業者が安心して経営相談等が受けられるよう、専門知識や実務経験が一定レベル以上にある者として国の認定を受けた支援機関のことです。

具体的には、商工会議所や商工会などの中小企業支援者のほか、中小企業診断士、税理士、公認会計士、弁護士、金融機関等が認定支援機関として認定されています。

事業再構築補助金では、「事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む」ことが、必須申請要件となっています。

 

― 最後に、事業再構築を検討している他の事業者さんへメッセージなどあればお願いします。

 メッセージというと難しいですが・・・一番に思い浮かぶのは、このコロナ禍はあらためて得意先の大切さを感じた時間だったなということですね。

 彼らがいないと僕らは仕事ができないとすごく痛感したんですよね。

 大好きだったお店がやめていくのを見て何もできない無力さがありました。

 そういう人たちに対して少しでも恩返しして、やめる・やめないの判断を少しでもやめない方向にできればという想いで進めてきたのが今回申請した事業です。

 自分の会社のことだけを考えたら、例えば名のある企業とコラボして名前だけ借りるみたいなことでいくらでもやれるんですが、それだと今売れている人たちがさらに儲かるだけなので、そうじゃない人たちを助けたかったんです。

 まだこれからの事業なので偉そうなことは言えませんが・・・すみません、答えになってないですね(笑)

 

― まず想いがあって、そのために何ができるか、それを考えていったときに補助金という手段をうまく活用されたということだと思います。ぜひ他の事業者さんも、やりたいことがあればチャレンジしてほしいですね。ありがとうございました。

 

取材日:令和3年12月7日

 

地域産業応援金

 仙台市では、新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えるために、国の補助金などを活用し、前向きな投資や事業活動を実施する市内事業者に対し、その取り組みを後押しする『仙台市地域産業応援金』を支給しています。
 今般の原油価格高騰等の影響を踏まえ、新たに「原油価格・物価高騰等加算」を新設し、支給額を増額してます。詳しくは地域産業応援金のページをご覧ください。

 

補助金申請の相談窓口「オーエン」

オーエンロゴ(外部サイトへリンク)

 仙台圏の事業者の経営課題解決を”応援”する相談窓口「オーエン」を(公財)仙台市産業振興事業団に設置しています。補助金申請に関する相談はもちろん、経営、財務、人事労務、マーケティングなど、たくさんのプロフェッショナルが在籍し、あなたの「困った」を無料でサポートし、ビジネスの成長と継続を後押しします。

 悩んだり、迷ったりしたら、まずオーエン。お気軽にご相談ください。詳しくは、オーエンのホームページ(外部サイトへリンク)をご覧ください。

 

仙台市経済局SNS

 仙台市では、本市が実施する経済施策や主催するセミナー・イベント等の情報を発信するため、以下SNSを運営していますので、是非ご確認ください。

Adobe Readerのダウンロードページへ

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。Adobe Readerをダウンロードしてください。Adobe Readerのダウンロードページ

お問い合わせ

経済局中小企業支援課

仙台市青葉区国分町3-6-1表小路仮庁舎9階

電話番号:022-214-7338

ファクス:022-214-8321