チンパンジーの「ヤワラ」について（3月23日）

八木山動物公園スタッフブログ「八木ZOO通信」

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チンパンジーの「ヤワラ」について　

先日、ホームページなどでご報告させていただきましたが、チンパンジーの「ヤワラ」が3月19日に残念ながら流産してしまいました。
「ヤワラ」の妊娠中の暮らしぶりについて、お話ししたいと思います。

6月に来園した「ヤワラ」は、当園での環境に慣れてきた8月に「チャチャ」、「ギンジ」、「ポッキー」、「メダカ」と同居できるようになりました。
群れの中で一番道具の使い方が上手で、枝を加工して穴の中のハチミツを舐める「ヤワラ」を、他の個体が横でうらやましそうに見ていることもありました。

群れの中で生活する「ヤワラ」

9月に、繁殖を目指していたアルファオスである「チャチャ」との間に繁殖行動が見られました。
その後、「ヤワラ」に発情が見られなかったため、妊娠検査を実施したところ、「ヤワラ」が妊娠していることが分かりました。

妊娠が判明してから、「ヤワラ」にハズバンダリートレーニングによる、エコー検査をしました。
「ヤワラ」は順応性が高く、エコーの機械や腹部に塗るジェルにもすぐに慣れ、検査しやすい体勢をとってくれました。

エコー検査の様子

エコー検査では、胎児の心拍などを確認することができました。
「ヤワラ」のお腹の中で赤ちゃんが元気に生きていることを確認できました。

エコー画像

2月末くらいから、お腹を守るためなのか、「ヤワラ」は麻袋を腰に巻くようになりました。
腰に巻く麻袋はお気に入りのものがあって、なかなか手放さず、破けるまで使うので、新しいものと交換するのも一苦労でした。

麻袋を腰に巻くヤワラ

夜間はふかふかの毛布を与えていましたが、朝、「ヤワラ」の様子を見に行くと上手にくるまって寝ていました。
渡したアイテムを上手に使いこなす「ヤワラ」の姿にいつも感心させられました。

毛布にくるまる様子

3月に入ると、お腹がずいぶん大きくなってきました。
「ヤワラ」は体重計に乗る練習もしていたので、こまめに体重測定を実施することができました。
餌をよく食べ、4月の出産に備えて、徐々に体重も増加していました。

お腹が大きくなってきた「ヤワラ」

餌を食べる様子

経過が順調だったため、「ヤワラ」の妊娠について皆さんにお知らせしようと準備していたところでしたが、流産という残念なお知らせをすることになってしまいました。
悲しい気持ちでいっぱいですが、亡くなった赤ちゃんに接する「ヤワラ」の姿を見ていると、常に自分の近くから離さないようにするなど、母親としての行動を垣間見ることができ、不思議と温かい気持ちにもなりました。
現在、「ヤワラ」は食欲もあり、落ち着いて穏やかに過ごすことができています。

今後も「ヤワラ」の体調を気遣いながら飼育管理していきたいと思います。

 

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