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更新日:2023年11月20日

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園長ブログ マダガスカル訪問記 第8回(11月20日)

八木山動物公園スタッフブログ「八木ZOO通信」

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アンダシベのガイドグループのヒアリング編

チンバザザ動植物公園では希少な動物の生息域内での保護活動にも取り組んでおり、首都のアンタナナリボから最も近い国立公園(アンダシベ・マンタディア国立公園)の周辺の集落で、観光客に動植物観察のガイドを行うことにより森林の伐採や農業以外の収入源を得て、自然保護にも繋げたいとしている住民団体への支援を検討していました。
そこで、我々も実際に団体の代表者とお話をしてみることとしました。
また、その代表者に国立公園を実際に案内してもらい、国立公園での動物保護の状況や実際のガイドの様子を把握するとともに、その団体のガイドとしての力量を確認してみることとしました。

アンダシベ・マンタディア国立公園とその周辺の森林には、世界中のどこの動物園でも飼育されておらず、観光客に人気があるインドリが生息しています。
地元の住民が立ち上げたミチンジュという団体が保護する“コミュニティ・フォレスト”(国立公園の周辺にあり国立公園と同じく希少な動物が生息している森林のうち、当局の許可を受けて地元の住民団体が管理・保護しているもの)では、この団体に属するネイチャー・ガイドが旅行客を案内して入園料とガイド料を得、自分たちの生活の向上や自然保護の活動などに役立てています。

園長ブログ マダガスカル訪問記8 ミチンジュ・アナラマザアオトラ公園看板
地元住民の団体ミチンジュが管理するコミュニティ・フォレスト「ミチンジュ・アナラマザアオトラ公園」を含め、アンダシベでは、現生のキツネザル類では最大のインドリ(右端)が見どころ。
もちろんカメレオン(インドリの左下)も生息。

園長ブログ マダガスカル訪問記8 ミチンジュ・アナラマザアオトラ公園案内図
公園の入り口にある案内図。ここでも主役はインドリ。

 

この成功に刺激を受け、国立公園周辺の集落では、自分たちが植林し回復させてきたコミュニティ・フォレストに観光客を呼び込み、自然保護や集落の整備などの費用を確保しようという動きが出ています。
我々は、チンバザザ動植物公園の動物部長の方などと一緒に、ミチンジュ・アナラマザアオトラ公園にある集会所で、こうした活動に強い意欲を持っているという2つのグループから直接お話を聞く機会を得ました。

園長ブログ マダガスカル訪問記8 ヒアリング風景
ヒアリング風景。
奥の4人がガイドグループの代表者で、左手前がチンバザザ動植物公園のスタッフ。

 

どちらのグループも、既に国が定めるガイドの資格を持っている方がいて、ふるさとの自然に誇りと愛着を持ち、「地元の風景をいろいろな人に観てもらいたい。」「この自然を子孫にしっかり伝えていきたい。」という熱意が感じられました。
また、ほかの地区ではなかなか見られない珍しい鳥(マダガスカルの固有種であるヘルメットモズ(別名:ヘルメットオオハシモズ))が生息しているなど、観光客を呼び込む魅力も十分に備えていると思われました。
実際に数年前からガイドツアーを始めているグループもありましたが、観光客が訪れるのはヘルメットモズの観察ができる年に数か月程度の期間に限られており、また、観察ができる場所に到達するのに必要な橋が雨季に流されてしまうことがあり、そうなると、せっかく得られた収益は橋の復旧費用として使い果たしてしまうとのことで、独力で事業を継続・発展させるのはなかなか難しい様子でした。

当園としては、今回見聞した事柄も踏まえ、マダガスカルの自然を守るためにどのような支援をすることが望ましいのか、現地でのパートナーであるチンバザザ動植物公園とともに考えていきたいと思います。

なお、お話を聴き終わって集会所を出たところ、ブラウンキツネザルの歓迎を受けました。

道路の向こう側に姿を見つけて驚いていたところ、器用に電線を渡ってこちら側へ来てくれました。
人を見慣れているのか、大人数の我々を前にしてもそれほど警戒する様子はなく、じっくりと観察できました。
これが、この出張で初めて見かけた野生のキツネザルでした。

園長ブログ マダガスカル訪問記8 ブラウンキツネザル精神統一?
電線渡りにチャレンジする前に、入念に精神統一?

園長ブログ マダガスカル訪問記8 ブラウンキツネザル電線を渡る
実際は、電線を渡ることなど朝飯前。

園長ブログ マダガスカル訪問記8 ブラウンキツネザル観察
我々は、観察しているのか、観察されているのか…。

 

ブログの執筆中に、この時にお会いしたVOI Iaroka 代表のToto jean Etienneさんから現状報告のメールをいただきました。
現地のガイド及び森林保全の活動の実情を知る一助となると思いますので、ご本人の了承のもとご紹介します。
園長ブログ マダガスカル訪問記8 ロゴマーク
VOI Iaroka のロゴマーク。
青いくちばしが印象的なヘルメットモズがシンボル。

 

原文(マダガスカル語)
Salama Tompoko
Efa anatin’ny fahasahiranana tokoa ny tan-tsaha amin’izao fotoana izao.Manomboka koa ny maintso ahitra izany hoe : fotoana hisian’ny mosary (tsy manana sakafo ny tantsaha).Manomboka koa ny fotoan-tsarotra eo amin’ny raharaha politika ka ahiana misy fiantraikany eo amin’ny fizahantany.
Ny vaovao mahafaly dia mahazo famindram-pitantanana ny alan-Tavolobe Iaroka mandritra ny 5 taona indray ny VOI IAROKA (2023-2028) ka antenaina ahitana fiaraha-miasa vanona eo amin-tsika roa tonta.
Efa manomboka manatody ny « Helmet vanga » ary efa nandray touriste miisa roapolo(20) izahay hatreto Nationalité : British, American, Hollandais ary Frantsay no vahiny efa nanao visite taty avy amin’ny agence de voyage :MTG,Cactus-Tour,Wings ary Sens of Oceans (SOS) ireo.
45000 Ar/pers/jours ny droit de visite aty aminay miampy guidage 150 000Ar/ jours à 4 pers raha hijery vorona 80 000Ar à 120 000Ar 1 à 4 pers/jours raha zavatra hafa no jerena.
Manana Facebook tokoa izahay. Zanako no mikirakira azy mbola tanora tsy dia manana traikefa fa mbola mianatra sy manazatra.
Maro ireo agence de voyage mikasa handefa client aty aminay fa ny partenaire technique et financier tsy mbola misy ary tianay raha ianareo Japonais no partenairanay amin’ny lafiny fiarovana ala sy fampandrosoana isan-karazany.
Miady mafy izahay izao amin’ny fiarovana ala satria tsy mahay afatsy manampotika ala ireo tan-tsaha sasany.efa misy voasambotra ary mbola misy manao ka ilaina fepetra enjana. 

園長ブログ マダガスカル訪問記8

Mila tosika ara-bola entimanana amin’izany (mission de brigade mixte arahina amin’ny zandary +mpiasan’ny tontolo iainana+commune +fokontany+VOI) atao matetika. 
Misaotra betsaka ary mirary soa sy fiaraha-miasa matotra eo amin’ny VOI Iaroka sy fikambanana Japonais tarihinao madame Tanaka Chihiro.

Président VOI Iaroka 
Toto jean Etienne

 

日本語訳(意訳)

こんにちは。現在マダガスカルは、(収穫の前の)農民には食糧不足となる厳しい時期です。
観光業には影響が出ないと良いですが。

さて、良い知らせがあります。私たちVOIイアルカは、コミュニティ・フォレストの管理期間をさらに5年間延長することが認められ、2028年までエコ・ツーリズム等の活動をここで継続できることが約束されました。
ヘルメットモズの産卵期が例年のとおり始まり、これまでに、複数の旅行会社を通じて、イギリス、アメリカ、オランダ、フランスから訪れた20名の外国人観光客をご案内しています。

私達のコミュニティ・フォレストであるタブルベ・イアルカ森林は、入園料を45,000アリアリ(約1,500円)、ガイド料を内容や人数によって団体当たり80,000~150,000アリアリ(約2,400~5,000円)としており、これらの情報を公開すべく息子にFacebookの活用を学ばせているところです。

多くの旅行会社から観光客の案内を求められていますが、私たちには森林保全や持続可能な開発のため今後もやるべきことがたくさんあり、技術的、資金的パートナーが必要です。
日本人の皆さんに私たちのパートナーになっていただきたいと考えています。
憲兵隊や環境活動家とも連携し、私たちの団体はもちろん、地域を挙げて、森林保全のためのパトロールを定期的に実施していて、そのための財政的な支援も必要な状況です。

引き続きのご協力とご支援をよろしくお願いいたします。

VOI Iaroka 代表 Toto jean Etienne

 

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