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更新日:2024年1月10日

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セミのぬけがら調査結果を大発表!(1月10日)

八木山動物公園スタッフブログ「八木ZOO通信」

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すっかり寒くなり、動物たちも温かい屋内で過ごす日が増えています。

そんな中、今日はちょっと夏を思い出しながら、園内で行ったセミのぬけがら調査の結果をご報告したいと思います。

当園ではこれまで3年間にわたり、園内で来園者の方にセミのぬけがらを見つけてもらい、種類を調べて報告してもらうという来園者参加型イベント「セミのぬけがら調査員になろう!」を実施してきました。
参加してくださったみなさん、どうもありがとうございました。

R5 セミのぬけがら調査結果 羽化したばかりのセミ
羽化したばかりのセミ

R5 セミのぬけがら調査結果 集まりました
ぬけがらがこんなに集まりました。

それではさっそく、セミのぬけがら調査結果を発表します。

1.ぬけがらの合計

R5 セミのぬけがら調査結果 ぬけがらの数
発見されたセミのぬけがら合計2021~2023

発見されたぬけがらの数はこのようになりました。
2021年は予備調査を兼ねており職員が飼育用通路も含めて探索したので、871個と数が多くなっています。
2022年からはイベントの体制が整ったことから本格的に来園者の方に参加していただき、396個の発見となりました。
そして、翌年の2023年には、発見数が629個となったことから、参加していただいた方が増えたのかもしれないと思っています。

2.園内のエリア別発見割合

園内の7エリアにおける発見割合は次のようになりました。

R5 セミのぬけがら調査結果 発見の割合
園内の7エリアにおける発見割合(%)の表

アフリカ園は2021年には1位でしたが、2022年は振るわず2023年にはまた1位に返り咲きました。
は虫類館のあたりでは、2021年と2022年に発見された割合が大きく、特にたくさんのアブラゼミとツクツクボウシが植え込みで見つかりました。
しかし2023年には、は虫類館あたりの発見割合が減りました。

R5 セミのぬけがら調査結果 エリア
園内の7エリアにおける発見割合(%)

前年に多く発見されたエリアであっても、翌年にまた多く見つかるとは限らないこと、前年に特に多く発見された場所では、翌年の発見割合が少ないようだということがわかりました。
年によってぬけがらが多く発見されるエリアは異なっているようです。

3.性比

つぎに、オスとメスの割合です。

R5 セミのぬけがら調査結果 性別
性別割合(%)

2022年は、オスのほうが多かったのですが、2023年はオスとメスが同じくらいでした。
年によってオスとメスの割合が異なるのかもしれません。

4.性別による発見時期の比較

下は、どの時期にセミのぬけがらが見つかっていったかを積み上げて示したグラフです。
※2021年はデータなし

R5 セミのぬけがら調査結果 2022累積発見数
2022年 性別ごとの累積発見数

2022年はオスのほうが早く発見され、遅れてメスが見つかる傾向がありました。

 

R5 セミのぬけがら調査結果 2023累積発見数
2023年 性別ごとの累積発見数

一方、2023年は性別でぬけがらが発見された時期に差はほとんど見られませんでした。

一般的に、セミはオスが先に羽化する傾向があることが知られています。
実はセミはオスもメスも鳴くのではありません。鳴くのはオスだけです。
オスが鳴くのはメスを誘うためで、羽化してから鳴くことができるまでには数日かかります。
オスは先に羽化して鳴く準備を整えておき、後からメスが羽化したらすぐに誘って出会えるようにではないかと考えられています。

当園の結果でも、オスのほうが早く羽化していると思われる年がありましたが、毎年オスのほうが早いわけではないようです。

5.ぬけがらの種類別割合

次にどのような種類のぬけがらが見つかったのか見ていきます。

R5 セミのぬけがら調査結果 6種類のぬけがら
6種類のセミのぬけがら

園内では、エゾゼミ、アブラゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクボウシ、ヒグラシ、ニイニイゼミの6種類が発見されました。

発見されたぬけがらの種類の内訳は次のようになりました。

R5 セミのぬけがら調査結果 2021内訳

 R5 セミのぬけがら調査結果 2022内訳

R5 セミのぬけがら調査結果 2023内訳

 

どの年においても、一番多かったのはアブラゼミでした。
続いて、ミンミンゼミ、ツクツクボウシとなり、この順位は年によって変わりませんでした。
一方、年によってそれぞれの種類が全体に占める割合は異なりました。
特定の種類のセミが多く羽化する年とあまり羽化しない年があるのかもしれません。

6.おわりに

3年間セミのぬけがらを収集してみると、このようにセミの種類、性別による羽化時期、発見場所の推移など園内におけるセミの羽化事情がわかるようになってきました。
セミの羽化は、産卵された年から羽化する年までの天候、羽化する年の気温や梅雨明けの時期などによっても影響を受けると考えられています。
今後も定点観測していくことで判明するセミ事情があると考えられます。

このイベントはテレビ取材を受けるなど反響をいただき、またNHKのシチズンラボという市民共同型自然調査にも参加し、全国各地のセミ調査の一環として3年間にわたり当園の情報を提供してきました。

そして、去る12月16日(土曜日)には、せんだいメディアテークで行われたトークイベントにて、市民の方にセミのぬけがら調査の結果をご報告する機会もいただき、参加者の方にも興味を持っていただけたようです。

当園では今年もセミの羽化に関するイベントを行っていきたいと思っています。
みなさまの参加をお待ちしています!

 

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