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更新日:2025年4月11日

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適切なターゲット設定で越境EC開設|株式会社ラプラス

株式会社ラプラスは製造工場向け機械工具等の販売商社で、創業は1868年と長い歴史があります。東北圏内でBtoB事業を行ってきましたが、約15年前からネット通販に着手しBtoCにも販路を拡大しています。さらに越境EC事業へ挑戦するにあたり、海外マーケティングのスペシャリストである辻雄多郎さんがサポート。東南アジア・台湾エリアで最大規模のECプラットフォーム「Shopee(ショッピ―)」への出店を実現させました。

お話をお伺いした方

株式会社ラプラス

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取締役 総務部 部長 吉田 道弘さん

DX事業部 杉山 大祐さん

EC事業部 小林 敬弘さん

プロフェッショナル人材

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JUTOU株式会社 代表 辻 雄多郎さん

どの国に何を売るか

小林さん:

約15年前から、国内向けのオンライン販売を行っています。主に東北でBtoBの事業を展開していましたが、BtoCに販路を広げたいということで始めました。当時、製造工場向けの機械工具をネット販売する会社は少なく、早いほうだったと思います。数年前から、海外向けにも手を広げようという話が出ていましたが、ノウハウがなくどう始めていいか分からない状態でした。

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吉田さん:

困っていたところに今回の支援事業を知り、伴走していただけるならありがたいと思い応募しました。

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辻プロ:

越境ECに取り組みたいという意志と、出店先は東南アジア・台湾エリアで最大規模の「Shopee(ショッピ―)」にしたいということは決めておられましが、どの国に何を販売するかという戦略は固まっていない状態でした。そこで、まずは東南アジアエリアの市場調査、競合調査を行い、分析結果に基づいて戦略を練りましょうと提案させていただきました。

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市場調査に基づきターゲットと商材を設定

辻プロ:

ターゲットの候補として台湾、フィリピン、タイ、シンガポール、ベトナムを挙げました。それぞれの市場規模と競合状況、日本ブランドの浸透度合いなどを調査分析し、候補を3つに絞りました。そのうち、台湾はマーケットの大きさが魅力だが競争が大変激しく、現地に他の代理店が多く進出しているためメリットが少ないと判断。シンガポールは単価を高く設定できるが、マーケットが非常に小さい。そこで、もっとも参入しやすくライバルの少ない、しかも日本のブランドがよく浸透しているフィリピンがいいのではないか、と私の考えを伝えました。

小林さん:

どの国をターゲットにすればいいか、考えるヒントさえ持っていなかったので、しっかりした調査データをもとに提案いただきありがたかったです。それぞれの候補にメリットとデメリットがありましたが、決め手となったポイントは「競合が少ない」という点でした。
「何を売るか」については、当社で取り扱う分野、メーカー、ブランドの一覧を辻さんに提出して一通り調査していただき、意見をもらいました。

辻プロ:

ラプラスが取り扱うカテゴリや商品について、Shopee内での市場規模や流通金額、どの程度動きがあるか、詳細に数字で出してご提示しました。フィリピンは、日本や台湾と比べて製造業が発展途上にあるため、Shopeeで販売されている商品も建設・建築の分野、そこにかかわる機械工具や商材がかなり大きい割合を占めます。これは日本と大きく異なる点。このマーケットに合わせて商材を絞っていくのが効果的と話をさせていただきました。ラプラスの強みは圧倒的な品揃えです。海外でも人気の高い日本ブランドの商材をほぼ取り揃えておられるので、非常に優位性があると感じました。

小林さん:

取り扱うメーカーも商品も膨大な数のため、自分たちだけでセレクトすることは不可能でした。辻さんの知見のおかげである程度整理ができ、出店が実現しました。

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さらなる拡大戦略の可能性を探る

辻プロ:

もう一つは、杉山さんと取り組んだ英語のランディングページ(LP)制作です。自社の事業内容や商品展開、強みなどを一枚のページで紹介するものです。Shopeeは単品で目当ての商品を買ってもらうことが目的ですが、LPはこれを見た現地の企業や工場、商社などからの引き合いを狙うものです。試験的にフィリピン国内のGoogleサイトに1ヵ月間広告で出稿しましたが、このときはあまり手応えを感じられませんでした。調べてみると、ページのアクセス数やクリック数、クリック率も悪くないし、問い合わせフォームまで誘導もできているのですが問い合わせに至っていない。今この要因と改善策を探っているところです。

杉山さん:

辻さんのアドバイスは非常に有用でした。訴求のための見せ方や表現の使い方が、国内向けとはまったく違うことを教えてもらえました。われわれは海外で知名度がありませんから、事業内容はもちろん社の規模や取引先など、信用・信頼をいかにPRできるかが大事だと認識しました。

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辻プロ:

また、Shopeeでの開設と並行して北米やメキシコ、ブラジル、インドの市場を簡易的に調査し、ご報告しました。

小林さん:

他国へのアプローチの可能性、Shopee以外の販路も含めて、検討する材料とアドバイスをいただきました。Shopeeの今後の動き次第では、社として新たな判断があるかもしれません。

国内ECのノウハウ+最適サポートで念願成就

小林さん:

まずは無事にショップを開設できたことは大きな成果。ここから売り上げを伸ばしていくのは、自分たちの仕事だと思っています。

辻プロ:

今回のプロジェクトでは開設までのプロセスをサポートしましたが、オープンにこぎつければ数字の見方などは国内ECと変わりません。運用が進めばデータが蓄積されますので、ニーズに合わせて売れる商品に入れ替えるなど最適化を図ることができます。
ラプラスがすでに国内ECを運営され、基本的な知見とノウハウをお持ちだったことでスムーズにプロジェクトを進行できました。「こういうリストがほしい」といえばすぐに出してくださり、フィードバックのスピード感につながりました。膨大な量の商品のデータを、すべて適切に管理されているからだと思います。

杉山さん:

これまで、越境ECを手掛けるいくつもの業者に相談しましたが、なかなかしっくりくる回答がいただけませんでした。「製造工場向け機材の販売は前例がないから分からない」と言われることが多かった。国内ではできても、海外でのECのハードルは高かったです。しかし辻さんは、市場調査を行いデータを分かりやすく資料にまとめて提示してくれた。そのおかげで私たちは、どの国にどのような商品を販売するか、社内で話し合って決められることができました。本当に感謝しています。

吉田さん:

これまでわれわれの中には、市場調査と分析結果を踏まえて方向性を決めたり商品を入れ替えたりする発想はありませんでした。データと数字を見るという知見をいただくことができたし、他社の実例を踏まえたアドバイスも役に立ちました。
当初設定した売上目標にはまだ至っていませんが、越境ECの開設に至るプロセスや知見を得られたことが、今回の大きな成果と捉えています。これらの学びを生かし、今後自分たちで売り上げ増を目指していきたいと思います。

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(令和7年2月取材)

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