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更新日:2023年5月23日

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補助金活用事例集volume23:株式会社牧山

事業者紹介

代表の写真1

事業者

株式会社牧山(外部サイトへリンク)

所在地:仙台市泉区実沢字二ノ関屋敷10-1

採択 IT導入補助金 2020 A類型
既存事業

造園土木工事や芝生管理、庭園等の植栽工事 等

IT導入補助金活用内容

導入した主なITツール:

1.原価管理システム(レッツ原価管理Go2クラウド)

2. 財務会計システム(勘定奉行クラウド)

IT導入支援事業者

富士フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社(宮城支社)

所在地:仙台市青葉区五橋1-1-23 カメイ五橋ビル5F

 

活用事例集:原価管理と財務会計システムの導入で経営改革を実現!

 株式会社牧山は、仙台市内を中心に造園土木工事などを手掛けている会社です。近年業績が落ち込む中、工事原価の適正な管理による財務状況の改善を図るため、2020年にIT導入補助金を活用。原価管理と財務会計のシステムを導入し、これまで担当者が個別に管理していた原価データの一元化により、収益性の改善を実現しました。導入までの経緯や、補助金の活用方法について、株式会社牧山の瀧口社長にお話を伺いました。

jireisyuu_23活用事例集volume23(PDF:4,070KB)

 

インタビュー記事

――事業内容を教えてください。

 仙台市内を中心に、造園土木工事や植栽工事、スポーツ施設などの芝生維持管理業務などを行っています。官公庁の業務が6~7割で、そのほかに民間企業や個人宅の庭園工事なども請け負っています。

芝生維持管理の業務風景

 

――代表に就任されたのはいつ頃ですか。

 2018年の9月に現職に就き、今年で4年目です。当社は父が創業者で、私は20代の頃に一度入社しましたが、当時担当していた事業の縮小や結婚・出産・子育てにより、一旦会社を離れ、2013年に復職しました。

 

――復職当時の会社の状況はいかがでしたか。

 震災や景気の落ち込みの影響を受けて経営状態は良くありませんでした。「このままでは社員とその家族の生活を守れない」と危機感が湧き、経営者として課題解決に取り組まなくてはと考えました。

 

――どのような課題がありましたか。

 原価意識が浸透しておらず、きちんと利益の上がる構造になっていなかったことが一番の課題でした。職人は現場で非常にいい仕事をしますが、どうしても利益率は二の次。「利益は結果的に生まれるもの」という感覚だったと思います。しかし、それでは企業として存続していくことは困難です。まずは原価の根拠を明確にし、事前に収益を確保できるよう仕事に計画性を持たせることが急務でした。

代表の写真2

 

――それまでの原価管理はどのように行っていたのでしょうか。

 エクセル表計算を使って、工事担当者がそれぞれ自分のパソコンで管理していました。膨大なデータが共有されず、工事に何人の職人が何日必要か、という積算に必要な基本的な情報がすぐに出せない状態でした。過去のデータを探し出すだけで相当な時間と労力を費やさなければならず、とても非効率な上、パソコンが壊れたらデータも消滅する不安も常に抱えていました。

 

――経理の管理はどのようにされていましたか。

 これも大変でした(苦笑)。毎月、各担当者が持っている数字を一つに集計し、財務諸表に作り直して税理士に送っていました。普段の仕事の傍ら作業をするので、1ヵ月分を作るのに半月かかる。前月の利益率を把握して営業に反映するには、これでは遅すぎます。しかもエクセルに手入力ですから、転記を重ねるたびにヒューマンエラーが増えるのも課題でした。

経理管理業務の風景

 

――そこで、システムを導入されたのですね。

 そうです。複合機でお世話になっていた富士フィルムビジネスイノベーションジャパン株式会社(以下、「富士フイルム」)さんが、建設業に特化した原価管理システム「レッツ原価管理Go2」を紹介してくれました。操作しやすい設計で、現場担当者が作成する見積から工事に関する現場の情報、事務担当者が行う経理業務まで一元管理できるものでした。
 また、データはクラウド上に保存するのでどこからでもアクセスでき、万が一パソコンが壊れてもデータが残ることもメリットでした。同時期に検討していた財務会計システム「勘定奉行クラウド」と連動できるとのことで、どちらも導入することに決め、IT導入補助金にチャレンジしました。

管理システム操作中の社員と代表の写真

 

――富士フイルムさんからはどのような支援を受けられたのですか。

 申請は難しそうで尻込みしていたのですが、富士フィルムさんの担当者がとても親身に支援してくださいました。特に計画書に記載する事業内容や自社の強みや・弱みなどは何度も添削をしていただきました。「文章は短く、思いは熱く!」というアドバイスを基に、熱量の伝わる文章を心掛けました。

 

――原価管理システムの導入によってどのような変化が起きましたか。

 日常的に入力する数値の蓄積によって、工事にかかる実際の原価がデータ化されるメリットはとても大きいです。どんぶり勘定ではなく根拠に基づく見積提案や受注が可能になりました。社内の誰もがいつでもデータを確認でき、すぐに見積を出すことができるようになったので、作業時間の短縮と人件費の削減にもつながりました。

 

――財務会計システムの成果はいかがでしたか。

 顧問税理士と月次決算の情報を共有できるようになったことで、利益率の増減をタイムリーに把握できるようになったため、改善策を早めに打ったり、適切なタイミングでの設備投資がしやすくなりました。正しく納税するためだけでなく、生産効率のアップや会社としての成長につながる大きな転機になりました。

 

――従業員の方はどのように受け止めていますか。

 経理担当者は「業務が圧倒的に楽になった!」と大喜びです(笑)。効率が良いだけでなくチェック機能がしっかりしていて間違いに気づきやすく、簿記知識がそれほどなくても無理なく帳簿がつけられます。クラウド型のため、テレワークで作業できるのも大きなメリットです。

業務中の従業員二人

 

――工事現場での仕事が多い従業員の方の反応はいかがですか。

 原価管理システムには、現場作業が中心の従業員が日報を入力する必要があるため、意識を変えてもらう難しさはありました。職人気質というか、やはり彼らは現場で手を動かすのが本業、という意識ですから。
 そこで、原価と利益率の関係をグラフや図表で示し、情報を社内で一本化することの重要性を何度も説明しました。「高い技術を持った職人がこれだけ汗水流して働いてくれているのに、相応の利益を生みだせないことが一番つらい。利益を追求するのは、皆さんに還元したいからだよ」と本音を伝えました。
 とはいえ、入力内容はなるべく簡素化する必要があると感じています。今後の課題として取り組み、日常業務の一環で入力できて、そのデータの蓄積がいつのまにか社の財産になるというのが理想です。

代表の写真3

 

――二つのシステムの導入によって経営的にできることの幅も広がりましたか。

 「守りの経営」から「攻めの経営」へ大きく方向転換できたと思います。これまでは一つの工事が終わってから結果として利益が生まれ、利益率を正確に把握するのにさらに日数がかかり、次の一手が後手に回ることが多かったですが、これからは的確な見積を提案することで利益を先に想定でき、月次決算も早く出せるので、先手を打てます。攻めの意識で「あえて次の仕事を取らない」という判断もあり得るし、必要なところにも投資ができる。
 現会長である先代は、職人気質で利益追求を重視するタイプではありませんでした。経営方針をめぐって議論になることも多かったのですが、経営状況の数値を見える化したことで、意見の食い違いが減り、私自身の経営の不安もだいぶ軽減されました。

代表の写真4

 

――システム導入による業務改善に加え、新たな試みも行われていると伺いました。

 同業者と協力してグループで仕事を受注するという取組を行っています。当社で企画や営業、提案、現場管理を行い、施工は協力会社が行うというものです。各社に得意分野がありますので、それを互いに活かしてよりよい仕事ができるよう、ネットワークの構築を進めているところです。今回のシステム導入によって原価モデルを出せるようになったため、協力会社が見積もりを作成できない場合は、こちらから根拠に基づく工事施工金額の提案もできます。

 

――これから取り組みを予定されていることはありますか。

 業界全体の高齢化が進み、求人を出してもなかなか若い人の応募がない状況が続いています。造園業は、緑の魅力を活かすやりがいのある仕事ですが、人気のある職種というわけではありません。今後は自動運転ロボットや労務管理システムなどを導入し、労務環境の改善にも取り組んでいきたいと考えています。
 また、建設業界では難しいと言われる「働き方改革」を実現し、社員の豊かな暮らしを保証しながら成長できる企業でありたいと考えています。今年度には2回目のIT導入補助金の採択を受け、行政機関に提出する竣工書類の作成を大幅に効率化させる現場管理システムや、勤怠管理システムを導入する予定です。
 周りには私と同じように、悩みながら前進しようとする女性経営者もいます。情報交換しあい、ともに課題解決の道を探っていきたいです。

代表と芝刈りロボットの写真
(試験的に導入している芝刈ロボット)

 

――本日は貴重なお話ありがとうございました。

取材日:令和4年11月11日

 

IT導入支援事業者:富士フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社

 株式会社牧山様には、主に申請書作成支援やITツールの選定等の支援を行いました。
 お客様のベストパートナーとして多様な解決策を提供できることが当社の強みです。
 これまでのノウハウや知見を駆使して、全力でサポートしますので、お気軽にご相談ください。

 

地域産業応援金

 仙台市では、新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えるために、国の補助金などを活用し、前向きな投資や事業活動を実施する市内事業者に対し、その取り組みを後押しする『仙台市地域産業応援金』を支給しています。

 今般の原油価格高騰等の影響を踏まえ、新たに「原油価格・物価高騰等加算」を新設し、支給額を増額してます。詳しくは地域産業応援金のページをご覧ください。

 

補助金申請の相談窓口「オーエン」

オーエンロゴ(外部サイトへリンク)

 仙台圏の事業者の経営課題解決を”応援”する相談窓口「オーエン」を(公財)仙台市産業振興事業団に設置しています。補助金申請に関する相談はもちろん、経営、財務、人事労務、マーケティングなど、たくさんのプロフェッショナルが在籍し、あなたの「困った」を無料でサポートし、ビジネスの成長と継続を後押しします。

 悩んだり、迷ったりしたら、まずオーエン。お気軽にご相談ください。詳しくは、オーエンのホームページ(外部サイトへリンク)をご覧ください。

 

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