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更新日:2016年9月20日
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平成25年5月30日(木曜日)午後3時00分
教育局第一会議室
委員長 松坂 宏造
委員 油井 由美子
委員 宮腰 英一
委員 草刈 美香子
委員(教育長) 上田 昌孝
午後3時00分
(1)実態調査で把握した体罰事案に関する学校職員の処分等について
(教職員課長 報告)
資料に基づき報告
主な質疑
委員
体罰の根絶に向けた取り組みのところで,各学校にスクールコンプライアンス委員会を設置し,研修において体罰根絶を学校の重点目標とするということである。昨年もいろいろと教職員の不祥事があって,それを機に8月にコンプライアンス委員会を設置することが決定された。今年度の計画書が各学校から提出されたということだが,その中で,特徴的な取り組みがあればご紹介いただきたい。
教職員課長
私の手元に全ての学校から提出されたものがあるが,その中で今年最初に,私どものほうから体罰の根絶について重点目標にしてほしいという依頼をしており,ある小学校の今年度の1回目の内容が体罰の厳禁,いじめの早期発見ということで,このことを重点目標として,もう既に1回目から取り組みをしている学校がある。また,中学校等については,中体連が近いこの時期において,体罰の根絶ということについて再度,職員に研修をするといったような取り組みをしている学校があり,昨年は夏以降だったが,昨年度よりも開催件数が4回程度増えている。
委員
コンプライアンス委員会の中でも,特に体罰根絶に向けた取り組みが昨年に比べて各学校,小中高を含めて増えていると理解してよろしいか。ぜひ,こちらで作成した体罰防止ハンドブックとあわせた形で効果を上げていただきたい。
委員長
処分の概要等については,全体で63件のうち,懲戒処分である戒告が3名ということだが,全体的な割合からすると3名というのはとても少ない感じがする。どういう形で今回この3名を懲戒処分にしたのか。
教職員課長
63件という数そのものがこれまでになく多い数で,数の多さについては4月24日に報告したとおりである。全市の一斉調査という形で,これまで教育委員会になかなか上がってこなかったようなケースについても,今回報告という形で私どものところで把握したということで,数そのものはかなり多くなっている。過去の理由を見ると,体罰に関する処分で一番多かったものが,平成21年の3件というものがあったが,このときには鼓膜が破れて全治1か月といったような大きなけがをしたケースがあった。今回,私どもで認識しているケースについては,幸い大きなけががなかったということもあり,過去の量定等に照らして戒告相当ということで3件を計上させていただいた。
委員長
そうすると,措置にはどのような種類があるかという部分と,どのような基準で決められているのかというところが,その事案の内容によっても変わってくると思うが,基準的なものはどういう形で考えているのか。
教職員課長
本市教育委員会では,平成18年に懲戒処分の基準を定めており,それ以降,その基準に従って処分をしている。過去の量定を見ると,子供がけがをして治療を行わなければならないような場合については,懲戒処分という形になっている。それから,継続的にやっていたのかどうかということも観点としてはある。また,これまでのところでは保護者に対しての説明や,保護者からの理解をいただいているかどうかというところも勘案されていたようだが,今回についてはこれまでの量定と同じように,繰り返しがあるかどうか,悪質性,どういう体罰であったのかという内容の3点ほどを,過去の例を勘案しながら量定を定めた。
委員長
教育委員会より指示をした上で,校長からその職員に対して指導していくということだが,市教委からは誰が校長先生に指導し,校長先生はその先生に対してどういう形の指導をするのか。
教職員課長
校長からの指導は,従前は各学校において体罰と思われるような事案があった場合に,保護者への謝罪,生徒への謝罪,校長による本人への指導ということで,各学校あるいは校長に裁量的なところは任されていたが,今回,文部科学省からの指導もあり,校長からの指導は教育委員会からの指示によってするということである。それで,私どもはその学校によって差がないように,校長に対して書面を用意して,その事例に応じた内容の本人への指導文を作成し学校に送付して,現在の校長からその職員に対して,その書面に基づいて指導をしていただいた。したがって,校長が独自で自分の裁量でやるということではなく,教育委員会からの指示によって指導を行った。
委員長
そうすると,指導する内容については,事案の内容によって変わるのではなく,一律でこういう形でやってくださいという認識でいいのか。
教職員課長
そのような形で,私どもの方から校長にお願いした。
委員長
退職の8名についてだが,現在ほかの市町村に行かれている場合もあるだろうし,本当に退職をされている,定年になっている方がいるのかどうか。その内訳をお聞かせいただきたい。
教職員課長
この8名の中では,3名が仙台市の教育委員会の学校を3月31日付で辞めて,他の県立あるいは町村の学校に行っている。残りの5名のうちの3名が勧奨退職ということで,定年前に退職しており,学校現場からは既に退職をしている。それから,残り2名は講師をしており,任期満了に伴い学校現場を去っているということで,合計8名となっている。
委員長
退職された方については,処分対象外という認識でいいのか。
教職員課長
既に退職された方については,私どもで遡って処分はできない。
委員
退職者の中の3名が3月31日付で他市町村に転出ということだったが,そうすると仙台市の中で行った体罰の事案については,その先の教育委員会に申し送りされているのか。
教職員課長
この3名の者については,私どもの委員会の身分から転出先に移っているので,本市教育委員会では処分はできない。ただ,これについての処分を私どもが決めるわけにはいかないので,転出先の任命権者とどのようにするかということについては今,相談中である。
委員
懲戒処分を受けた3名の方々だが,事案の概要ということで全て謝罪が済んでいるということと,大きなけががなかったということが挙げられているが,実際に行った教員の反省文とか始末書といったものは形として残っているかどうかをお伺いしたい。
教職員課長
私どもでは,学校からの事故報告が上がり,交通事故や何かでも加害の場合については顛末書ということで,本人からの反省の弁を出させている。今回の体罰についても,全ての職員からこの顛末書については提出をさせている。本日,懲戒処分の3名については処分をしたところだが,本人からの反省の弁ということで一言必ず述べさせているが,自分の指導の未熟さということについては3名の教員ともに異口同音に話をしており,今後研修を積み重ね,そういったことがないようにということで,子供との信頼関係をとるための方法を研究してまいりたいという言葉が3名から出ていた。
委員
確かに今回は中学校の3件の事例で類似しているが,必ずしも基準値や基準で懲戒処分の内容を決定できないケースがある。しかしこういった問題は迅速かつ的確に早急に処分を決定しなければいけないわけで,この処分を決定するに当たって,当該校の校長からの予備報告,あるいは本人からの報告という形で概要を確認されたということだが,実際に教育委員会のコンプライアンス委員会として,その事実を調査されて,当該生徒,教員,あるいは事実確認というところをきちんとされた上で,この量定が適切だろうということである。その辺の厳重かつ正確性を期した調査というものはなされているのかどうか。
教職員課長
今回の全国一斉調査については,保護者の方への調査依頼をしているところが大きな特徴かと思う。そうすると実際,自分のお子さんがそういう被害を受けたということだけではなくて,見ましたというケースの報告もあり,それが490件の報告という形になっている。その一つひとつについて,当該校の校長が寄せていただいた情報を確認して,事案が重複しているのではないか,あるいは全く見間違いだったのではないか,そうしたことを一つひとつ,確認させていただき,それで今回,残った事案が63件となっている。したがって,私どもは教員本人への聞き取り,それを寄せていただいた方からの聞き取り,それから自ら私が体罰をしましたというような教員もいるわけで,その場合ももちろん被害があった児童に確認をさせていただき,事実確認をさせていただいている。その上で,本人を呼んで,どういう状況だったのかを確認して,保護者からの書いてある内容とつき合わせて,事実確認をさせていただいた上で,判断をさせていただいた。私どもとしては,慎重に事を進めたとは思っているが,もちろんどこかに見落としがあれば,本人から話があるかと思うけれども,今のところはそういうことは聞いていないので,慎重に進めてきた結果ではないかと考えている。
委員
慎重は当然だが,なかなか迅速と相反するところもあるので難しいところもある。この点が児童生徒にとっても,教員にとっても非常に大きな点であるので,ぜひ慎重かつ厳重に取り組んでいただきたい。
委員
ハンドブックで取り上げているが,言葉の暴力について,児童の心を傷つけることがあってはならないというようなことで締めくくられている。文部科学省からは体罰ということだったが,今後,もしそういったアンケートなどがあった場合,心の問題も取り上げるのか。
教職員課長
ハンドブックの5ページ等に運動部活動での指導のガイドラインということで,文部科学省から出されたものがある。その中にもやはり身体や容姿,人格を否定するような発言,こういった言葉によるものということが挙げられており,今後の私どもの体罰ないしは不適切な指導という中でのいろいろな事案を検証する際に視野に入れていく必要があるかと考えている。
委員長
このハンドブックについて,今後いろいろな研究で様々使っていきながら,学校現場で発信していくということだが,学校内でどういう形で活用していくのか。
教職員課長
12ページからに感情のコントロールという項目があるが,私どもが教員からの聞き取りをしていると,学校教育法11条で体罰が禁止されているのは重々分かっていながらも,ついカッとなってしまったというようなことがよく教員の口から出る。この感情をどうコントロールしていくのかということが今,我々教員には求められているということで,教育センターでも研修体系について研究しており,感情のコントロールの研修については,学校現場や教育センターと連携をとりながら,教員が自分の感情をいかにコントロールしていくかというスキルを体得して,子供に向き合っていくことができればと考えている。今回これを出させていただいたが,私どもも出して終わりではなくて,ハンドブックの活用の方法や手引など,今後,検討していかなければならない。実際,上手に活用している学校の例なども広く皆様と共有しながら,効果的なハンドブックの活用について方策を検討してまいりたい。
委員長
この合同校長会というものは,いつごろを予定されているのか。
教職員課長
仙台市の教育委員会で主催するものは8月になるが,それぞれ小学校,中学校別々であるが,7月の上旬にもあるので,そちらのほうでもご紹介する機会があればと考えている。
委員
ハンドブックの「はじめに」は非常にいい内容で,中の内容をここで凝縮した形でポイントを各段落の中に説明されているということで,内容が非常に高邁になったというか,充実した。やはり学校教育法11条ということで禁止されているわけだが,体罰というものは戦前の日本で公教育,学校教育制度が始まって以来,禁止されている。1900年のころに小学校令というものが作られたが,もうそのころから体罰というものが禁止されている。もちろん戦中,その中で形骸化してきたという事実はあるけれども,やはり教師の使命としてこういった将来の国民たる子供たち一人ひとりを育てていくということになるので,そういった観点からここでも触れているが,権利・人格を尊重するという言葉,こういうものが体罰にしても,ほかのいろいろな児童生徒と対応するときに,ここがやはり一つの大きなポイントとなるので,それがこの「はじめに」の言葉の中に非常にうまくまとめられている。体罰はいけないというよりも,こういった児童生徒の権利・人格を尊重するといった観点から,やはり体罰というものはそれを否定する行為になるので,絶対に根絶しなくてはならないというポジティブな内容が込められている。各学校でもこれをもとに研修を積んで,教員一人ひとりの意識改革という言葉はあるが,自覚として意識の徹底を図るという形でこれが用いられると良い。
委員
ハンドブックで,「体罰は,学校教育法第11条において禁止されており,校長及び教員は」という文言だが,例えば学校部活動などで外部講師の方もいらっしゃると思うし,小学校で放課後のいろいろなクラブ活動とか,学校現場でスポーツの指導をする方たちも体罰に対する考え方,仙台市の考え方をお伝えするというか持っていただく対象と考えてよろしいのか。
教職員課長
学校教育法については,学校の教育活動の中で教員が守らなければならないということであるが,外部講師等については身分上,非常に難しい問題もあるが,この精神については同じように持っていただかなければならないということで,その外部講師等について,もし不適切な指導があったら,学校の担当もしくは教育委員会の相談窓口に情報を寄せてくださいということでお願いをしている。体罰あるいは部員といった者に対する指導については,教員と同じようなモラルが求められているということについて,同じ立場に立って指導していただくことが基本的なスタンスかと考えている。
委員
体罰を受けた生徒は,確かに大きなけがといったものはなかったと思うが,心にはやはり大きな傷を負っている。それは多分,一生引き継いでしまう子供も中にはいるかもしれない。そういったことを考えると,体罰というものは一番,教師の先生方がやってはならないものだということを本当に自覚していただきたい。
委員
仙台市の教育振興基本計画の中でも,教育の課題として自己肯定感やコミュニケーション能力の低下ということが上げられている。教育は子供に自信を持たせる場であるが,体罰によってそれさえもなくしてしまうのではないか。体罰はけがだけではなくて心の中の傷も大きいものがあるので,ぜひ自己肯定感を高めてコミュニケーション能力をつけられるような指導をしていただきたいということと,もしかしたら指導なさっている方には,自分が体罰を受けて効果が上がったと思っている方もいるかと思う。それはそれでその方の育ってきた過程を否定はしないが,今,体罰というのはこれほど子供たちの心に傷を受けて効果があるものではないし,効果とその責任はまた別問題であるということも,先生方によく心に刻んでいただいて,子供たちと接していただきたい。
委員
部活との関係で,学校を越えた中でスポーツに対する指導法,これも大学での指導法から,あるいはオリンピックの強化選手の指導法から,今,全体が見直されている時期でもあるし,これまでとは違った,きちんと言葉で説明するというか,コミュニケーションを図りながら指導していく方向に教育の方向性も変わってきている。かつて自分自身で築いてきた指導法もあるのかもしれないけれども,そこはやはり研修等を積みながら,科学的な指導方法を取り入れた中で,お互いに指導者,被指導者が納得する形でその次のステップに向かっていく,次第に実力をつけていく方向というものが今模索されているので,ぜひそういった流れの中で,これが今,国際標準になっているということもあるので,古き伝統に良いところがないわけではないが,そういったところを積極的に取り入れる指導法を目指すということも教員一人ひとりに求められている。そういう意味でハンドブックが十分に活用されるといいと思う。
委員長
今,各委員からいろいろな質問,あとは今後こういうふうにしていただきたいというお話があった。やはり今回この63名について,そのうち今日3名の懲戒処分がされたということは,我々は東日本大震災から復旧・復興に向けて,子供たちと一緒に頑張っていこうということで,教育委員会または仙台市の市民の方々と一緒に取り組んできたにもかかわらず,このような結果になったということは大変残念だと思う。ただ,現実的には受けとめなくてはいけないので,今後は学校現場でどんな形で対応していくのか,PTAまたは学校教員,さまざまな団体と体罰に向けた形をお示しして,地域または学校を挙げてこの内容についてご理解をいただくという全体的な取り組みも必要ではないか。学校の中だけで対応するといっても限界があるので,地域からの声も反映できる学校づくりをしていくことや,学校内で体罰について認識しながら,何かあったときには学校長の判断ではなくて,すぐ教育委員会に報告をする,そういう風通しのいい関係づくりというものも必要ではないかと思う。体罰防止のハンドブックは,体罰の根絶に向けて約20ページにわたって作ったので,ぜひこういうものを活用しながら,スクールコンプライアンス委員会の中でのさまざまな情報交換をしていって,体罰の根絶に向けた取り組みを皆さんで一致団結してやっていきたいと思う。何とぞよろしくお願いしたい。
それでは,ほかにご質問等がなければ,以上で報告事項を終了とする。
午後3時48分
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