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更新日:2024年3月14日

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園長ブログ マダガスカル訪問記 第17回【最終回】(3月14日)

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これからの当園とマダカスカル

16回にわたりマダガスカルを初めて訪れた新米園長の視点から様々な事柄をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
私の正直な感想としては、マダガスカルの人々は「将来はもっと豊かな暮らしができる」と実感することがなかなか難しい状況にあると思われましたが、現地の方々は、常に明るく前向きな気持ちで暮らしているように見えました(一方で、現状をあるがままに受けいれる、ある種の諦観のようなものが感じられることもありました。)。
長年にわたり機械の力を借りずに手間のかかる稲作を営んできたせいかどうかわかりませんが、真面目で勤勉な方が多いとも感じました。
社会制度やインフラの整備はまだまだ必要ですが、発展するポテンシャルは十分にあると思われます。
経済的な発展と残された貴重な自然の保護について、先に発展した国々の成功例と失敗例を学び、時にはそれらの国の力も借りながら、ぜひ両立してもらいたいと考えます。

この訪問記でマダガスカルの魅力をどれだけ皆様にお届けできたか不安ですが、これをきっかけとして、これまで以上にマダガスカルに興味を持ってくださった方がいらっしゃれば、こんなにうれしいことはありません。
中には、実際に現地に行ってみたいと思ってくださった方もいらっしゃるかもしれませんが、我々の経験に照らせば、正直なところ、マダガスカルに行くのはそれほどたやすいことではありません。

マダガスカルに行ってみたいのになかなか実行に踏み切れない、そんなマダガスカルファンの皆様に朗報です。
当園では、令和3年8月に策定した「施設長寿命化再整備計画」に基づき、園内の大幅なリニューアルを進めております。

アフリカ園(西園)では、老朽化が著しいサイ・カバ舎とは虫類館を取り壊し、サイとカバの様子を天候に左右されずに観ることができる屋内展示場や、「アフリカの森」をコンセプトに野生での生息環境を大胆に取り入れ、屋内・屋外のいずれからもチンパンジーが生き生きと活動する様子を観ることができるチンパンジー展示エリアを設けた「総合獣舎」を建設することとしています。
そして、この「総合獣舎」の2階には、これまでのマダガスカルコーナーの内容を大幅に拡充し、園内に散在しているマダガスカルの動物たちを集めた「マダガスカルゾーン」を設けます。

アフリカ園の新たな施設のイメージ図
アフリカ園の新たな施設のイメージ図。上側に見える左右に長い建物が「総合獣舎」。その右側にある、塀に囲まれた森のような場所は、チンパンジーの屋外放飼場。

マダガスカルでは、地域ごとに個性的な植生が見られます。
このゾーンでは、擬木や擬岩、パネルなどを駆使してそれらの特徴を再現するとともに、キツネザルやリクガメを生息地域ごとに展示し、マダガスカルのかけがえのない自然への理解を深めることができるようにします。
また、このブログでも少し触れましたが、現地に暮らす人々の生活風景や、現地からのメッセージなども展示し、マダガスカルの生物多様性保全について考えるきっかけとなる場所を目指します。
マダガスカルゾーンについては、令和10年の公開を目指し、詳細な設計・プランニングを進めているところです。どうぞご期待ください。

マダカスカルゾーンの平面プランのイメージ図
「マダガスカルゾーン」の平面プランのイメージ図

 

リクガメやワオキツネザルの展示イメージ図
マダガスカル南西部の植生の再現とリクガメやワオキツネザルの展示のイメージ図

 

クロシロエリマキキツネザルの展示のイメージ図
マダガスカル東部の植生の再現とクロシロエリマキキツネザルの展示のイメージ図

 

最後に、我々が帰国する際にマダガスカルの上空で目にした景色をご紹介します。

マダガスカルの風景

マダガスカルの風景

マダカスカルの風景

いかがでしょうか。マダガスカルというと、「豊かな自然が残るキツネザルの楽園」というイメージがあるかもしれませんが、実際は、このように赤茶けた山肌が至る所で顔を出していて、雨が降ると赤土が河川に流れ込み、その赤い水は、青く美しい海にまで達してしまいます。

以前このブログでも触れましたが、マダガスカルの森林破壊はかなり深刻な状況にあります。
薪の量を少なくできる改良かまどの普及【マダガスカル訪問記 第15回(2月10日):参照】や、希少動物の生息地での観光ガイドを通じた保護活動【マダガスカル訪問記 第8回(11月20日):参照】を進めるなどして、森林保全とそこに暮らす動物たちの保護に真剣に取り組んでいくこと必要なのですが、現在のマダガスカルの経済状況では、そうした活動を自力で行うのには限界があるのです。
我々が現地でお会いした関係者の皆さんは、どの方も、思うように事業を進められない歯がゆさを抱えながら、精一杯自分の務めを果たそうとされていました。

当園は、こうした活動を支援していくだけでなく、これまで培ってきたマダガスカルとの協力関係・信頼関係を活かし、マダガスカルに興味を持ってくださった方々と現地との懸け橋になりたいと考えております。
「マダガスカルゾーン」にお越しになりマダガスカルに興味を持ってくださった方から支援金をお預かりし、マダガスカルのしかるべき機関にお渡しして活用してもらう仕組みづくりなど、さまざまな方策を検討しておりますので、実現の暁にはご協力を賜れれば幸甚です。

マダガスカル訪問記は、今回が最終回です。長きにわたりお付き合いしてくださいまして、ありがとうございました。次回から、また園内の話題を中心にお届けしようと思います。

 

最後のおまけとして、今回の訪問で出会った動物たちの中から印象的なものを改めてご紹介。
まずは、当園でも観ることができる動物から。

ワオキツネザル
お馴染みの日向ぼっこのポーズをとるワオキツネザル

マダカスカルホシガメ
背中の甲羅のフォルム・模様がきれいなマダガスカルホシガメ

マダカスカルホシガメのこども
既に見事な甲羅をお持ちのマダガスカルホシガメのこども

クロシロエリマキキツネザル
高枝の上でくつろぐクロシロエリマキキツネザル

園内マップ
これらの動物には、当園のは虫類館と類人猿舎で会うことができます。

 

訪問記の殿(しんがり)は、やはりこの動物に務めてもらいましょう。

ウスタレカメレオン
口の中を見せてくれたサービス精神旺盛なウスタレカメレオン

ウスタレカメレオン
空を見つめながら思索にふける(ようにも見える)ウスタレカメレオン

 

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