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更新日:2025年5月23日

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園長ブログ ホッキョクグマの双子の公開に向けて(2025年5月23日)

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ホッキョクグマの双子の公開に向けて

当園にとって長年の悲願であった、ホッキョクグマの繁殖。
昨年12月に誕生した双子は、ここまで元気に育っています。

当園では、先代ペアの「ホクト(オス)」・「ナナ(メス)」の時代から繁殖に取り組んできましたが、なかなか出産・成育に至らず、平成30年からは北海道大学のご協力のもと、繁殖行動が見られた際に自然繁殖と並行して人工授精を実施してきました。

この取組みにより、「ポーラ」は令和元年、令和4年、令和5年と妊娠・出産しましたが、仔は、死産だったり、生まれて間もなく亡くなったりと成育には至りませんでした。
令和5年の国内の事例を見ると、動物園で生まれたホッキョクグマの仔は、生まれてから30日以内にその7割近くが亡くなっているのですが、当園でも、ホッキョクグマが妊娠・出産、成育のいずれも、とても難しい動物であることを痛感する日々となりました。

今回(令和6年)の出産は、令和4年の時と同じく双子でした。あの時は生後3日で相次いで亡くなってしまったので、今回も祈るような気持ちで「ポーラ」の子育てを見守ってきました。これまでの経験が実を結んだのか、「ポーラ」はとてもしっかり双子のお世話をしてくれて、約600グラムで生まれた双子は、5月中旬には30キログラムを超えるまでに育ちました。
ここまでの「ポーラ」の頑張りには、本当に感謝しかありません。 

双子の出産からこれまでの歩みについては、「八木山動物公園スタッフブログ『八木山ZOO通信』」でお知らせしておりますので、ぜひご覧ください。

また、当園の公式Xで動画を公開しておりますので、併せてご覧ください。


双子のお披露目に向けては、
1.屋外の放飼場に慣れてもらう
2.水に慣れてもらう→屋外展示場のプールで泳げるようになってもらう
3.人に観られることに慣れてもらう
といった段階を踏む必要があります。

この双子は、今後の国内でのホッキョクグマの繁殖に活躍することも期待され、当園だけでなく日本全体にとっての宝物です。
当園としては、不慮の事故に見舞われないよう、少しずつ、慎重に、双子らができることの範囲を広げるように取り組んできました。

好奇心旺盛な双子は、1.はすぐにクリアしてくれたので、屋外にいる時間を少しずつのばしていきました。
2.でも、トロ舟に水を入れたらすぐに中で遊ぶようになってくれたのですが、問題はプールでの泳ぎでした。
この段階が事故が起きるリスクが最も大きいと思われるので、双子の慣れ具合に応じて、少しずつ水深を深くしていきました。
「ポーラ」は結構慎重派で、最初のころは双子がプールに興味を示すと、プールへの道を体でふさいでしまったり、鳴き声を上げて制止したりして、双子が水に近づかないようにしていました。
しかし、回を重ねるごとに「ポーラ」が双子をプールの中に促す様子も見られるようになり、徐々にプールで遊ぶようになりました。
オスの仔の方が先に、水に顔をつけたり、足がつかないところまで出て行ったりするようになり、4月下旬には、とうとう泳げるまでになりました。
一方、メスの仔は、顔は水につけるものの、足がつかないところに出ていく勇気がなかなか出ないようでした。
他園では、母親が仔の泳ぎの練習を促したりする行動が見られた事例もあるそうですが、ここまでしっかり双子のお世話をしてきてくれた「ポーラ」は、仔が水に慣れだすと、仔の自主性を尊重する見守りタイプになったようで、積極的に泳ぎのサポートをする様子は見られませんでした。
そのせいもあってか、メスの仔は、なかなか泳ごうとせず、プールへの慣れ具合ではオスの仔とかなりの開きが出てきてしまいました。

トロ舟にチャレンジの双子
トロ舟にチャレンジの双子
トロ舟チャレンジ

プールにチャレンジの双子
プールにチャレンジの双子
プールチャレンジ


こうした状況を踏まえ、メスの仔のペースに合わせて、時間をかけてプールでの泳ぎに取り組んでもらうこととしました。
当初は5月中のお披露目も考えていたのですが、こうした事情から、公開開始の時期は6月2日(月曜日)といたしました。
たくさんの方々から、「早く双子を観たい。」というお声があり、当園としてもできるだけ早くお見せしたかったのですが、当園の責務は何よりも「双子を無事に育て上げること」と考えており、安全確保を最優先としたため、この時期となったことを理解していただければ幸いです。

5月中旬からは、休園日に複数の職員が観覧通路に立ち(それまでは、放飼場の上にある管理用スペースから限られた職員のみで見守ってきました。)、3.の取組みを始めました。
1回目は、すぐ近くに多くの人間がいることに2頭とも少し驚いた様子でしたが、だんだん慣れてきて、やがていつもどおりに遊び始めてくれました。
ただ、人の視線を浴びることは、動物にはストレスになりかねないため、こちらも少しずつ慎重に時間を延ばしています。

ポーラと双子の様子
プールで遊ぶ仔
初めて「人慣らし」をした時の様子。最初は戸惑い気味だった双子も、いつの間にかすっかり慣れて遊びに夢中に。


本来であれば、2頭の愛らしい姿をじっくりと観ていただきたいところですが、公開に当たっては、仔への負担をできるだけ少なくし、「ポーラ」が過度の不安や警戒心を抱いて思いがけない行動をとらないように配慮することも大切です。
このため、しばらくの間は、公開時間を限定し、できるだけ多くの方々が観察できるよう時間も1分程度といたします。

将来的には、仔らの慣れ具合や成長の度合いに応じ、公開時間を少しずつ長くしていく予定ですので、双子の姿を観られる時間もだんだんと長くなるはずです。
最終的には終日自由に観覧できるようになることを目指しますが、双子と「ポーラ」ファーストで、当分の間、時間に限りがある観覧となることをご了承ください。

具体的な公開の方法については、以下のページをご覧ください。

公開開始直後は、大変な混雑が予想されます。
「一刻も早く観たい。」というお気持ちはわかるのですが、園内では絶対に走らずに、落ち着いて移動してください。
事故や、お客様間等でのトラブルが発生した場合、観覧を中止せざるを得なくなることも考えられます。
要所で係員が誘導し、観覧の列を作りますので、ご協力をお願いします。

また、観覧希望者が多くても、展示時間の延長はいたしません。
当日の混雑状況によっては、展示時間の終わりの方に行ってみたら列に並ぶのが締め切られていた、ということもあると思われます。
更に、動物の体調や天候の具合等により、臨時で展示時間を短縮したり、場合によっては展示を中止したりすることもあり得ます。

いろいろと制約が多い公開となり申し訳ないのですが、双子と「ポーラ」を守るための対応ですので、ご理解くださいますようお願いします。
 

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仙台市建設局 八木山動物公園 管理課
電話:022-229-0122
ファクス:022-229-3159